2016/05/19 のログ
■久藤 嵯督 > 「思ってたのかよ……」
半ばずっこけるかのように、つられて苦笑いをした。
眉間の皺がいくらか薄れて、年相応のあどけなさが浮かび上がってくる。
しかしなるほど、彼女は”生徒会役員”。その名に恥じぬ立ち振る舞いをしている。
「だとすると、そういう観点で礼を言われるのはいささか不公平な気がするな。
あんたの言う通り、何も戦っているのは俺だけじゃあない」
自分以外の風紀委員、公安委員、生活委員、図書委員……
目の前の少女が並べた通り、自分以外にも学園の平和を守っている者はいる。
「風紀委員として言わせて貰うが、あんたが俺達に感謝をしているなら……
それは仕事で示してくれればいい……と、思ってる」
そう言う風紀委員はとても難しい顔をしながら、眉間に親指と人差し指を当てた。
常日頃から考えている領域の外側にあるものを、必死で手繰り寄せているかのような。
「あんただって、学園を守る生徒会なんだろ。
俺に見えていないようなトコで、学園を支えているんだろ。
だったら何も言わなくったって、既にお互サマなんじゃないのか」
■乙訓 真織 > 「おー、その顔! ええ顔やね!」
眉間の皺が少しだけ消えたその顔を見て、真織は満足気に笑う。
彼女はどんな形であれ、笑っている人を見たいのだ。それが彼女の性である。
「ここでだけお礼を言ってる、なら不公平やね。
せやから、気付いたら、色んな人に挨拶とお礼はしとるで。
もしお互様だとしても、だんまり……ってのはどうも、うちの性に合わないんやな~
……たはは」
そんなことを言いながら、真織は恥ずかしそうに笑い、人差し指で自分の頬を掻く。
「……ま、仕事で示せっていうのはドの付く正論やな。うちも頑張らんといかんね!
見ててや、もっと良い学園にする為にうちも頑張る! ……って、わわっ」
そう口にして、拳を胸の前できゅっと握れば。腕時計を目にして声をあげる真織。
「もう会議の時間や! 急がな……! っと、風紀委員さん、またな~!」
甘い声と香りだけを残して、真織は去っていった。
■久藤 嵯督 > 「そりゃあまたお節介というか、お人よしと言うか……」
それでも続けるんだろうな、こういうやつは。などと言葉を溢す。
この手の人間に被害が及ばぬようになるのであれば、戦う意義だって増していく。
誰にも負けるつもりはないが、今は負けられないとも思った。
敵にも、仲間にも。
「ああ、急げよ!遅刻ってのは、やった本人が一番やり辛いもんだからな!」
軽く手を上げて見送れば、ややすっきりとした面持ちの嵯督も
風紀の仕事に戻っていくのであった。
ご案内:「廊下」から久藤 嵯督さんが去りました。