2016/05/27 のログ
ご案内:「ロビー」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 金曜日の昼間、授業が行われている時間帯。
丁度時間割が空いている蘭は、ロビーのテーブルの上でノートと、白紙の紙を広げていた。
傍らにあるのは、魔術文字の辞書と、少し汗をかいたペットボトルのお茶。

「うーん…」

左手で辞書を戯れに探り、右手に持ったシャープペンシルを弄びながら、思案の声を漏らす。

美澄 蘭 > 「獅南先生の宿題で見た術式…多分魔力を「その場で回して離さない」術式がこうでー…」

以前、魔術学の教員に個人的に出された宿題の術式をノートに書き写す。
内心、(もっと簡略化出来たら良いのに)とか考えながら。

「それで、冷却の文字がこうでー…」

魔術文字の辞書から、魔術を「冷却」に方向付けるための文字をノートの同じページの、別の位置に書き出す。

「………えーっと、程度と、範囲の定義は………」

シャープペンシルを一旦置いて、辞書と本格的に格闘しだす。

美澄 蘭 > (………これ、そもそもどう定義して術式組んだら良いか考える方が先だわ)

辞書を一旦閉じて、今まで魔術文字や術式を書き連ねていたノートの反対側のページにざくざくと箇条書きし始める。
…書き味の割には読める文字をしているのが、蘭らしいところといえばところだ。

《・程度→周囲の気温マイナス5度くらい(それ以上だと落差が怖い)
・範囲→人一人分くらい
→人一人分?(個人差がある)
→身につけた人間の体格を察知出来ると良い→どうやって?》

等といった具合だ。

「………とりあえず、この感じでもう一回辞書にあたってみましょ」

と言いながら、一度ペットボトルに手を伸ばす。
蓋を開けて、三口ほどお茶を摂取すると、蓋を閉めて置き直した。

美澄 蘭 > 「んー………こう?」

辞書をひとしきり眺めた後、首をひねりながら魔術文字の列を書き出していく。

「………あ、なんかそれっぽい気がする」

ものすごく、蘭の知人が持つ彼女のイメージとはかけ離れた言葉が口から漏れる。
妙な事に、本人も数秒後に口からこぼれた自分の言葉に首をひねっていた。

(………何で、そんな気がしたのかしら?)

とりあえず、「それっぽい」ものを術式として構成出来るのかどうか。
落ち着いて検討を試みる事にする。
頭を切り替えるために、またペットボトルのお茶を一口。

美澄 蘭 > ペットボトルを再度置いてから、ノートの新たなページに魔術文字を術式の形に構成し始める。

「えーっと、ここを崩すと破綻するから、この文字はこうして…」

ぐりぐりと魔術文字を書いていく。作用、循環、制御を意味する文字を、崩壊させないように、バランスをとって組み立てて行き…

「………これでいい、かしら?」

術式としてひとまずの完成を見たそれを、再度確認する。

美澄 蘭 > 蘭のくみ上げた術式は、なかなかの精度で
「身につけた者の周囲に冷却した空気を循環させ、体感温度を5度ほど下げる」
事に成功していた。人体を想定した指定範囲を取るようにしているので、それ以上の体躯の持ち主には足りなかったが。

しかし、それ以上に重大な問題が1つ。
「体感温度が5度ほど下がる」のは、「身につけた者が魔術に耐性を持たない場合」に過ぎない点である。

美澄 蘭 > 「…ここで実験したら危ないわよね…大丈夫だとは思うけど、うっかり範囲が広かったら大変だし」

そう言いながら、ノートを閉じる。
実験は、後で訓練施設ですればいいだろう。丁度、「予定」もある。

気がつけば、昼休みが近い。
昼休みが始まれば、食堂が本格的に混雑するだろう。

その前に昼食にありつくべく、蘭はロビーを後にしたのだった。

ご案内:「ロビー」から美澄 蘭さんが去りました。