2016/10/11 のログ
■ヨキ > 「(……もし)」
端末を操作する手を止め、机に頬杖を突く。
「(《大変容》以前のようだと言われるほど、異能者や魔術師や、異邦人との垣根が目立たなくなったなら……)」
先ほどの映画とは何ら関係のない、事務的なメールの文中でカーソルが止まっている。
「(そのときこそは、ヨキも“人間らしく”身を固めてもいいのやも知れんな)」
無論のこと、そんな相手も機会も、確かなものは何も持っていない。
■ヨキ > 「(だが……そうしたら、)」
そしたら?
「……………………、」
眉を顰め、唇を尖らせた気難しい顔で両手を後頭部へやり、チェアに背を預ける。
こんなにも大勢の人間が集う明るい室内というのに、突然独りで放り出されたような心持がした。
止そう。
「――何でもない」
まるで言い訳でもするみたいに、小声で一言。
ぷい、と仕事へ戻ってゆく。
“家族”に対する、無根拠な憧れが催したものは――罪悪感だった。
ご案内:「職員室」からヨキさんが去りました。