2016/11/14 のログ
ご案内:「教室」に不凋花 ひぐれさんが現れました。
不凋花 ひぐれ > 不凋花ひぐれは端的に言えば疲れていた。
進級の後に上級生との引継ぎの後、委員が出向くに値するようで値しないいざこざの沈静化に追われ、大事になる前に解決。
なぜか迷子対応までして窓口に引っ張り、気付けば冬らしく暗い時間になっていた。やっとこさ暇を与えられた次第である。
そも、なぜ自分がそんなことをせねばならないのか甚だ疑問であり、人選を考えてほしいと吐露したくもなったが、この際おいておくことにする。
下駄を鳴らして控えめに扉を開く。
常世祭の準備室代わりとして利用していた教室。
人気はなく、こっそりサボったり寝るのには丁度良さそうであろう。はたしてそんなことを悠長にもしていられないのだけど。

「……つかれた」

片付けられた机には凭れることもできないので、ゆっくりと教壇の上に腰かけた。

不凋花 ひぐれ > 本来であれば怒られるような仕出かしではあるのだけど、疲れているのだから許してほしい。
背筋をピンと伸ばして、目を閉じて顎を引く。呼吸は最小限に体を休める。果たして楽になる姿勢とは世辞にも言い難い。育ちの良さか後ろめたさがあるからしゃんとしたいのか。
傍から見れば眠っているようにも見える光景。腕の中に抱いた白木の鞘を大事そうに抱える。

――あぁ、ミュージックプレイヤーでも持ってくれば良かった。
お気に入りのロックミュージシャンが先日新作をリリースしたのでは。ひと段落付いたら買いに行って貰おう。

音楽は良いものだ。外界とのつながりをシャットアウトしてその世界に没頭できる。
軽音も催し物があれば必ず時間を作って出るし、今後もやってくれると嬉しいのだが。

詮無い思考を繰り広げながら、足をぷらぷらと揺らす。

不凋花 ひぐれ > 買いに行く暇も、ふと思えばなかった。開始前日まではどうしてもピリピリとしていたし、連日小競り合いやちょっとしたトラブルも絶えない。
しかし大きな事象が起きないことは成功と同義である。究極、祭日前日までに火種を尽きさせてしまえばうまくいくのである。

「……う」

頭がかくついた。反動で眼を開く。開眼しなれないせいで眼が、眼が――。
ふるふると頭を横に振った。普段であれば鈴音が聞こえるものを、流した髪では何の音も響かない。地につかぬ足では下駄も響かず、無音が広がる。宵闇の中に沈殿した白色は、赤い眼をぱちりと瞬かせる。

不凋花 ひぐれ > 「……こほ、休憩は終わり」

そうしよう。そうしなければ。メリハリ大事。
咳ばらいをしながら恐る恐る地に足を付け、刀の鞘の先を付けた。
見回りがひと段落したらショップへの要請を家人に願おう。音楽を聴き終えたら明日を迎えるのだ。

明日もささやかな出来事がありますように。

ご案内:「教室」から不凋花 ひぐれさんが去りました。