2017/06/13 のログ
ご案内:「ロビー」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 午後。ロビーの椅子に腰掛けて携帯端末で通話をしている少女がいる。

「…うん、今日はもう講義は終わりなんだけど、ちょっと部室で練習していこうと思って。試験が始まる前に形にしとかないと後が恐いし。
…夕飯の頃までには帰るから大丈夫よ。…うん、それじゃ」

一人暮らしのはずの少女が、誰かと自宅で夕飯を一緒に食べるかのように会話をして、通話を終わらせる。
しかも、相手は夕飯の作り手か何かのようだった。

…実際、通話相手はこの島に滞在中は蘭のアパートの家事をそこそこしっかりこなしてしまう、蘭の母親なのだが。
先週末から検査や異能制御訓練を受けに来ていて、明日島を発つのだ。

美澄 蘭 > (…お母さんが検査とかの合間にも色々やってくれるのは正直助かるけど…
ちょっと、複雑ね)

まだまだ家族に甘えている自分を見るようで、劣等感を覚えるから。

そんなことを考えながら、ブリーフケースから筆記用具と楽譜を取り出す。
練習の前に、今回の練習で気をつけるべき部分をチェックしていくつもりなのだ。

練習を録音したファイルを端末で呼び出し…イヤホンをセットして、聞こうとする。

美澄 蘭 > 同好会の夏の演奏会、蘭が自分の発表曲として選んだのは、現代音楽。
技術的にはシンプルながら透明感ある響きが美しい、親しみやすい楽曲だ。
…もっとも、こういう楽曲をきちんと「聴かせる」ことこそ難しいことを、蘭は知っている。
だから、技術だけでなく、表現もある程度早い段階で形作ってしまうのだ。
定期試験を終えれば夏休みまで間もない。夏休みに入れば、発表会はもうすぐだ。

「………。」

イヤホンから聞こえてくる自分の演奏に耳を傾けながら、気になった部分を楽譜に書き込んでいく蘭。
その表情は真剣だ。