2017/07/27 のログ
■暁 名無 > こくこく。
残念ながら俺は保健の先生ではない。人間のことは専門外と自負している。
ネームプレートを掲げるのを止め、一度居住まいを正す。
代理で保健室に居るのか、と問われ首を左右に振る。
喋れなくとも首の動きである程度は意思表明を出来る質問をくれるのはありがたい。
けどまあ、うん、しゃがむのは良くないって言ったけど体育座りはもっと危ないのでは。
ソファに誘導した方が良いかもしれないかね、いや俺としては眼福だけども。
■中条 薫 > 「代理じゃないとなると、もしかして保険室って基本無人なのかな。なら自由に使ってもいいのかも!」
やったね、とガッツポーズをする女生徒。ふと、教員であるうさぎを見て誤魔化すように、
「あぁいえ!別にサボる為に使うんじゃないですよ?授業の合間の休み時間とかにゆっくり休みたい時とかに使いたいなーって思ってまして…ははは。」
ガントレットを嵌めた指で頭をガショガショ掻きながら言う。サボりではない重要な事だ。
しかし教員という事はさておき、やっぱりうさぎは可愛いなぁ。
姿勢はそのままに、相手の目を見つめる。
ちなみに彼女はそこら辺ズボラなので特にスカートがどうとかは特に気にしない。
■暁 名無 > 代理じゃない。代理じゃないが何の権限も無いわけでもない。
一応教員として生徒を指導する立場にはあるし、すり傷や切り傷といった簡単な傷の手当くらいは出来る。
なのでまあ、今の発言は看過出来るものでは無い。保健室の留守を任された身だ。
ただ、注意しようにも声が出せない。
言い訳をしつつこちらを見つめる中条にじーっと非難の眼差しを返す。
ただ、あくまで非難の眼差しのつもり、なので傍から見ればじっと見返しているだけに見えるだろう。
流石にウサギ相手にスカート周りを気にする事は無いか、と俺は早々に諦めることにした。
下心なんて無いさ。本当さ。
■中条 薫 > 「そういえば、暁先生はうさぎ…何ですか?もしくは幻獣の一種?立派な角をお持ちのようですけど…。あっ、喋れないのでしたら歯を鳴らしていただければ…うさぎなら1回、幻獣なら2回、それ以外なら首を振って下さい。」
と面倒臭い質問をする。今は好奇心が先を行っているのであまりそういう心遣いが出来ないのは非常に申し訳ない事だ。
抗議の目を向けられているとはいざ知らず。
■暁 名無 > 名前をちょっと調べれば教員データベースでパーソナルデータは出て来るよ!
と毎回毎回思うのだが、案外生徒は教師に対して関心を持っていないのかもしれない。
……まあ数も多いしな、無理もないか。
俺は静かに首を振って中条の問いに答える。
歴とした人間……まあ未来人だから幻獣とも呼べなくも……呼べねえわ。
少なくとも獣では無い。ケダモノでもない。誰が淫獣か。
そんな事を思いながら今はただ目の保養に努める俺である。
■中条 薫 > 「それ以外…なんだろう。もしかしてうさぎですらないとか…?それっぽい見た目した人?でもそれも所謂幻獣だしなぁ。」
予想外の返答で思考を巡らす。正直想像もつかない。
相手も話せないとなると詳細を聞くのは難しいかも。
「そうですか…ありがとうございます。先生に対して興味が湧きました。先生のプロフィールが載ってそうなもの探してみますね!」
彼女はまだこの学園の事をよく知らないので、職員データベースがあるなど全く知らないのだ。これから図書館にでも行って探すつもりなのだろうか。
「もし何か体調が悪かったのでしたら、話に付き合わせてしまって申し訳ありませんでした。」
スッと立ち上がり、お辞儀をする。
■暁 名無 > プロフィールを調べれば、自然と保健室に居た理由も分かる筈だ。
もうしばらく居るつもりだから、また機会があれば此処でまた会う事もある事だろう。
中条の謝罪に対して、俺は静かに首を振った。
別に体調不良だったわけではないし、むしろ目の保養をさせて貰って礼を言いたいくらいだ。
立ち上がってこちらにお辞儀をする彼女へと、俺も頭を下げる。
そして再び頭を上げて彼女を見上げれば、やはり眼福だった。
うん、視点が低いってのも存外悪くないと思う。むしろいい。
■中条 薫 > 「それでは、失礼しました。先生の授業、どうやるのか気になりますね!」
変な期待を胸に抱いて、軽く手を振り保健室を立ち去る。
まさか終始下着を覗かれていたとは思いもしないだろう。
「先生の授業取ってみようかな、生態学好きだし…。」
(後に彼の素性を知り、合点が一致した、と納得した模様。しかしそれを知った上でも、ガードの緩さを当の本人は気にしていなかった。そもそも緩かったなんて気づいてないしね。)
ご案内:「保健室」から中条 薫さんが去りました。
■暁 名無 > はいはいそれじゃあね、と保健室を去る後ろ姿を見送ってからソファへと戻る。
ふむふむ、なるほど。この姿だとこういうメリットがあるのか。大変参考になった。
いや、警戒をされにくいだろうって事は薄々勘付いてはいたが、これほどとは。
などと、一人大いに納得しながらコーヒーに再び手を着ける。
正体がバレた時が怖いが、まあ、何とかなるだろう。
惜しむらくはもう少しメリハリのあるボディだったら……とか考えながらぼんやりと夏の空を見上げる俺である。
今日はもう誰も来ないかな、と取り留めもなく浮かんでは消える思考。
■暁 名無 > 非常にゆっくりと時間が経つように感じる。
体感時間まで人間の頃と感じ方が違うのかと一瞬思うほどには。
もちろん外見はともかく、内面がウサギ寄りになっているという事は無い。
内部スペックは暁名無そのままだ。だから下着を覗き見する事だってする。誰が淫獣だ。
それでも時間が経つのが遅く感じるという事は。
意外にも、今俺は退屈しているという事の証左だった。
人間の頃に図書館から借りてきた本はあらかた読み終えてしまったし、この手ではパソコンは操作しづらい。
煙草に至っては変身時に服と一緒に変身に巻き込んでしまったようだ。
もっとも、喫煙するウサギなんて誰も見たくないだろうけど。
■暁 名無 > 『よし……ちょっと外出てくるか』
暑いから、という理由で引き籠り続けた保健室から出る決意を固める。
別に女生徒にちやほやされたくなったから、とかそういう理由では無い。断じて。
図書館に出向いて新しい本を何冊か借りて来ようと思った次第だ。
『少し人体の本も見とくかな……』
今不足している知識が何か、そしてそれを補うための必要な本は何か。
頭の中でざっとリストアップしてから保健室の扉を全身でこじ開ける。
思っていたよりも廊下はひんやりとしており、ひとまず道中に熱中症で倒れる心配はなさそうだ。
そう、この身体はあっという間に体の水分が抜けてしまう。
まあ、厚手の毛皮を常に纏ってるのだから、無理もないが……。
周囲に人が居ないのを目と耳と使って確認し、そのまま静かに俺は図書室へと向かうのだった。
後に残されたのは少しだけカップに残ったコーヒーだけ。
ご案内:「保健室」から暁 名無さんが去りました。