2017/08/31 のログ
ご案内:「ロビー」に筑波 察さんが現れました。
■筑波 察 > 昼下がりのロビー。
大半の学生は夏休みも終わり、通常の学生生活に戻っているためか、
お昼時になるとそれなりに人の往来がある。
そんな少し騒がしい空間で、ずっと椅子に座っている青年が一人。
「うーん、んん?いや、ちょっと違うか。」
いつもなら外すことなく身に着けているゴーグルを、
テーブルの上に置いて、
傍らにパソコンとちょっとした道具を広げて首をかしげていた。
「おっかしいな。今朝までちゃんと動いていたじゃん。
なんでまた突然動かなくなるかな」
すこし、いや、かなり困った様子でキーボードを叩いては、
工具でゴーグルの隙間から内部を調節するというのを繰り返す>
■筑波 察 > 「なんとなく使えるからって放置してたけど、
これはある意味人間関係なんかよりも深刻だぞ?」
このゴーグルがなければ満足できる視界、
つまり肉眼と同等以上の視界を確保できない。
一応代わりになるものはそこらへんにたくさん転がっているが、
日常生活を送るのに最低限の水準にしかならない。
「意図しない問題っていうのは楽しいけど、
やっぱり面倒ごとだなぁ」
ゴーグルの側面にあるカバーを外すと、
スペースギリギリに押し込まれた基盤や配線が露になる。
それをいじくりながら、挙動を確認する姿は、
憩いの場には不釣り合いなものだった>
■筑波 察 > 「……これ、もうだめなんじゃないかな?」
どれくらい時間が過ぎたか。
雑踏にあふれていたロビーも授業が始まれば人が消えて静かになる。
そして、その静けさに流されるようにテーブルに突っ伏した青年が一人。
どうやら直せなかったようで、カバーの外れたゴーグルと工具、
そしてパソコンが広げられたままやる気を削がれてしまっていた。
「発注すればきっともっといい眼が手に入るんだろうなぁ。
でもそれはなんかプライドが許さないなぁ」
そんな小さなプライドなんて捨ててしまえ。
我ながらそう思うが、そんな小さなプライドも大事なのか、
業者に発注するという選択がなかなかできない>
■筑波 察 > 「むしろゴーグルなんて無くったって歩けるくらいに、
ちゃんと訓練するべきなのかもしれないなぁ」
正直なところ、その辺を歩くくらいならゴーグルなんて無くても大丈夫だ。
周囲の様子を確認する術なんて光以外に沢山ある。
でも誰かと話をしたり、戦闘しようとなると困る。
音の反射では細かな造形はわからないし、
床や壁を伝わる振動ではモノの大きさがわからない。
今まで可視光に頼ってきた身を、
ほかの方法が通用するレベルまでにしようとすると、
きっとあっという間に年老いて墓場だ。
「あー、ダメだダメだ。気分転換しよ」
ガバっと起き上がると、財布を取り出して軽く振る。
硬貨のぶつかる音を聞けば、
ちょうどコーヒーを買うのに足りる額あることを確かめる。
そして慣れた様子で自販機まで歩けば、缶コーヒーを買い…
「あれ、いつも飲んでるコーヒーって何段目のボタンだっけ…」
思い切ってボタンを押すと、出てきたのはコーヒーではなく…
ココアだった。>
ご案内:「ロビー」に時坂運命さんが現れました。