2017/09/06 のログ
ご案内:「保健室」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 放課後の保健室。
夏の間中出張版研究室として使わせて貰っていたベッドを俺は片付けていた。
流石にもう暑くないからと間借り期間も終わってしまったからだ。
読み散らかした本をベッドから退かし、乱れたシーツを新しいものと取り換える。
それだけの作業でも、俺には精一杯というか、かなりしんどいことになっていた。
「ハァ……せめて実験はこの片付けが終わってからにすりゃ良かったニャ……。」
何故なら今、俺の姿は二足歩行する猫と化しているからだ。
オーソドックスなトラ猫。ただし毛並みはだいぶ赤い。きっと俺の赤毛が反映されたのだろう。
どうしてこんな姿に成ったのかと言えば、変身魔術の試し打ちをしてみたからである。
本来なら耳と尻尾だけをネコ化させようと思ったのだが、どういうわけか全身猫になってしまった。
ま、今回は喋れるから良いけど。
■暁 名無 > 「大体、事情を説明したうえで、それでも片付けは片付けって言い切ったあいつも相当意地が悪い奴だよにゃ。」
ぶつぶつと独り言を零しながら本を平積みで積み重ねていく。
あっという間に現在の背丈を軽く超えてしまった。これ、どうやって図書室まで運べばいいんだ……?
ゆうらり揺れる己の尻尾を眺めて考える。
「2冊までなら持ちあがるが、3冊とにゃると分からんぞ……」
そして全部で十数冊に及ぶ本を運ぶには何往復すれば良いのか。
この保健室から図書室までどれくらいの距離があるのか。
考えるだけでも耳が垂れる。
■暁 名無 > 「ふぃー、きゅうけきゅーけ。
この身体じゃ本を平積みするだけで重労働だにゃ。」
ぴょいん、と跳ね上がってベッドに腰を下ろす。
夏休みの間散々世話になったベッドだが、不思議と愛着と言った物は無い。
でも、それは今だけで、いざ使えなくなると後からしんみり思い返すこともあるのだろう。多分。
まあ、それはそれとして。
腰掛けたままでぶらぶらと揺すっていた自分の足を見る。
爪先まで赤茶の体毛がびっしりと生え、足の裏には肉球。
両手も同様に毛と肉球と爪。どれも人間のものとは思えない代物。