2017/10/15 のログ
ご案内:「保健室」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 今日は休日、外は雨。
なのに俺は人の来そうにない保健室の片隅で、ノートパソコンを睨みつけていた。
正直、やりたくない事この上ないし、やったところで何か報酬がある訳でもないから、作業は遅々として進まない。
「せめて何か息抜きでも出来ればいいんだけどな。」
モニタを睨む目を休める為に、俺は一度視線を窓の外に移した。
見るだけで体温を奪いそうな秋の雨が、今日は朝から降り続いている。
■暁 名無 > ぼんやりと外を眺めていたら、いよいよ作業を続行する気力が無くなった。
ノートパソコンを閉じ、使い慣れたコーヒーメイカーを起動させる。
コーヒーが入るまでの時間を如何潰そうかと考えて、結局再び外を眺めることに落ち着いた。
「雨、雨と。もう暫く雨が続きそうだな……。」
この前まで暑さに音を上げていた筈だが、気が付けば室内に居ても肌寒さを覚えるほどになった。
そろそろ衣替えも必要か、と薄手のシャツを着て来たことに若干の後悔。
■暁 名無 > 「静かだし、暇だ……」
いや、暇と言ってもやらなきゃならない事はあるのだけど。
それほど急を要するわけでもないし、明日の仕事の合間にやれば良いだけのことでもある。
どうして昨日はこれを今日やってしまおうと考えたのかが謎すぎる。
「というわけで、話相手でも居りゃ良いんだけど。」
コーヒーの香ばしい匂いが辺りを漂い始めた。
そろそろ良い頃合いかもしれない、とコーヒーメイカーを一瞥してカップを探す。
当たり前の様に動いているけれど、実のところ何一つ俺の私物ではないんだなこれが。
ご案内:「保健室」にクロノさんが現れました。
■クロノ > (静かに降り続く秋の雨は、その回数を重ねる毎に寒さと冷たさを連れてくる。暑さと陽射しに茹だっていたのが昨日の事のような気もするけど、カレンダーを見ればその数字はもうしっかりと秋。)
…?
(休日の保健室、通い慣れた職場。人の気配の少ない校舎の一角、その扉の鍵を開けようとして、鍵が既に開いている事に気付いた男の子は一瞬きょとんとするけど、すぐに扉をコンコン、とノックして中に入る。…最も、先に室内にいる人には、男の子独特の駆動音と足音でその存在がバレバレなのだろうけれども。)
… ぁ、名無。お疲れさま。今日出勤日だっけ?
(教卓でお仕事中?の相手の姿を見て、そして室内に充満する慣れたコーヒーの香りに「僕も一杯、もらおうかな?」とニコニコ顔。)
■暁 名無 > 「おう、やっぱりクロノか。」
特徴的な機械の音から誰か来ることは容易に想像がついたし、誰が来るのかもまた容易だった。
淹れたてのコーヒーを片手に、俺は軽く手を振って挨拶をすると最初に座っていたソファへと腰を落ち着かせる。
「んー、ちょっと野暮用でなー。
だから職員室じゃなくてこっちでやってる。」
一応部屋の主である養護教諭には話は付けてある。
今やってきた機械仕掛けの少年も同じ養護の職員だが、生徒数が多ければ自然と増える保健室とその主、彼はまた別の担当だ。
■クロノ > … ぁはは、やっぱり、か。
(ハロウィンの季節だけど、男の子は稼働音もあって変装には不向きなようだ。相手の言葉に、くす、と笑いながら紙コップを取り出して、ポットから淹れたてのコーヒーを注ぐ。)
… そぅ。あまり打ち込み過ぎない程度にね?風邪も流行る季節だし、ちゃんと休まなきゃ。…あ、そうだ。チーズケーキ作ったんだけど、よかったら食べる?
(とコーヒー片手に同僚を労りつつ、教卓傍らの小さな冷蔵庫から取り出すタッパー。中には男の子お手製のチーズケーキが何個か入っている様子。それを取り出して、戸棚から小皿を出して、てきぱきと進める「おやつの準備」。)
■暁 名無 > 「一応昨日は休みだったし、一日寝てたよ。」
だから問題ないとは言い切れないが、少なくとも休みもなしに働き続けるよりはだいぶマシだろう。
風邪も気を付けたい。俺自身が風邪をひく事よりも、生徒に移しちまうのが一番怖いし。
「……お、チーズケーキ?食う食う。
男の手作りってとこが非常に納得いかねえけど、まあそれは贅沢ってもんだよな。」
なんて軽口を叩きつつ俺は頷いた。
チーズケーキ。久しく口にしていない気がする。
■クロノ > … そっか。じゃあひとまず安心だね。
(かく言う相手は今も、仕事に追われてうちひしがれている…と言うよりはソファでのんびり寛いでいる感じだし。)
… ぶー。…なんてね。
(男とか女とかの前に、そもそもロボットが作っている点で「手作り」と言えるのかも怪しいけれど、とりあえずこのロボットは見た目に反して料理も家事も得意な女子力高い系。おまけに可愛いもの好きで、空き時間に作ったキャラクター小物やちょっとした飾り物は、各々の保健室の随所にちょこちょこと並べて飾ってある。)
…はぃ、お待たせ。いっただっきまーっす♪
(相手と自分の二人分、小皿に乗せたタルトのチーズケーキ。ソファの前のローテーブルに向かい合わせに置いて、おやつ用の細身のフォークも一緒に並べる。彼と向き合って向かいのソファに座って、コーヒーを一口、そしてチーズケーキも一口。幸せそうにもぐもぐする男の子の表情はとても人間臭いけど、その挙動の一つ一つに無機質な機械の駆動音が伴い、頭の中のコンピュータが演算処理する度に、おでこの小さなランプが忙しなくチカチカと点滅して、この男の子が機械であることを認識させる。)
■暁 名無 > 「ま、欲を言やあ、休日くらい彼女と出かけたりしてえんだけどな。
……生憎と出かける先も彼女もアテが無いもんで。」
近頃は別に彼女とか出来なくてもいいか、くらいの心持になりつつある。
女生徒の接点が無いわけではないけれど、そもそも大半が学生なわけで、
流石にそれはそれとしてどうなのさと思わなくもない。
「サンキュー、いただきまーす。」
クロノが持って来たチーズケーキを手に取り、フォークで一口切り分けて口へ運ぶ。
甘さと酸味とが丁度良いくらいに口の中に広がって、作業漬けで疲れた頭に染み渡る。
どちらかと言えば和菓子の方が好きな俺だけど、素直に美味いと感想を抱いた。
淹れたばかりのコーヒーとも良く合うし。
■クロノ > …ふふふ。彼女、かぁ。名無、まだまだ青春だね。…作りたいと思わなきゃ、どこかに転がってるチャンスも見逃しちゃうよ~?
(映画館とかゲーセンとかテッパンなのもいいし、ショッピングモールでのんびりするのもいいし、お夕飯のあとで夜景の綺麗なとこ行ったら雰囲気いいよね~、と、男の子ロボットはデート相手の有無はさておき、そんなプランを楽しそうに話しつつ。)
… ん。今回もまずまずの出来映え、かな。良かった。
(男の子お手製の日替わりスイーツも、毎日毎朝、各保健室の冷蔵庫に本人によってデリバリーされる。いつしか趣味から派生し、日課になっているその成果を自身で確認しつつ。)
■暁 名無 > 「青春も何もそろそろ30控えてんだ。
だのにいつまでも安アパートでカップ麺生活してらんねえだろ。」
平日の昼飯だけはどうにか工面出来ているけれど、それもいつまで持つか分からない。
三十路前の俺と現役女子高生とじゃ、恋人が出来る確率が雲泥ほどの差があるんだから。
それまでにどうにか、飯作ってくれる相手くらいは見つけとかないと。
割と切実なんだ。クロノは何考えてるのか分かんねえけど。
「しっかしお前もよう作るよな。
俺も料理の一つくらい覚えた方が良いのかねえ……?」
もういっそ単身で生きることに特化してしまうか。
いや、それはあまりにも悲しい。悲し過ぎる。
が、料理は出来るに越したことはないだろうな……モテそうだしな……。
■クロノ > …あぁ…っははは、確かに。不摂生のツケは後々身体に重くのし掛かって来るから、覚悟を決めるか…少しでも早めに改めるかしなきゃだね…。
(なかなか切実な具合の相手を前に、男の子はじわじわと圧力をかけるように、しかし当人的には心配そうに、そんな助言。)
… ん、ありがと。 …そうだね、いきなり「料理するぞ!」っていう本格的なのも意外と大変で長続きしないし、作るのも片付けるのも簡単なものから、ゆっくり試していくといいかも。
(生きるための手腕…はもちろんだけど、どうせなら負担なく、楽しく出来た方がいい。モテるかどうか…というのも、やっぱり当人が嫌々ではなく楽しそうに、得意そうに振る舞っている方がきっとかっこよく、安心して見える…と思う男の子。)
…ね、名無の都合のいい時間でいいから…良かったら今度、僕の部屋で一緒にごはん作って食べよ?一人で食べるよりも楽しいし、きっと美味しいよ?
(男の子の住処は、学校の備品というだけあって宿直室あるいは生徒の男子寮だ。)
■暁 名無 > 「そうなんだよなあ……
はぁ、まあなるようになれだ。」
わしわしと頭を掻きながら半ば自棄気味に答える。
此処は一つもう少し俺の栄養管理に気を配った内容の弁当を作って貰おうか。
「そうだなあ、まず米を炊くところからだな。
あるいはトーストを焼くところからか。先は長ぇな……。」
カップ麺にお湯を注ぐのと電子レンジを扱う事にかけてはもうプロ並みという自信はある。
多分世界一持っててもどうしようもない自信だけど、何も無いよりは良いじゃないか。
「うんー?クロノんちで?
……あー、申し出は有り難いけどお断りしとくわ。
何が悲しくて野郎同士で一緒に飯作らなきゃなんねえんだ。
そういうの事は女子となさい女子と。あるいは同じ様な趣味の男子と。」
そもそも一人飯を不味いと思った事は無いし、別に美味い飯が食いたいわけでもない。
というか、そういうことならもう既に十分間に合っている。
■クロノ > … っふふふ。長く元気で居られるといいね。応援してるよ。
(製造から120年、永遠の16歳は既にちょっと自棄気味の様子の相手にそっとエールを。)
…そうそう、大事なのは"毎日規則正しく、ちゃんと続けられること"だからね。
(バターを塗ったトーストでもいい。卵かけご飯でもいい。出来ることからちょっとずつ、とのんびり話す男の子は相手の料理スキルを聞いても驚いたりする事なく終始穏やか。)
…? そぅ?…残念~。
(わかったぁ…。と相手の返事にちょっと間延びした反応。男の子も時々参加する料理部の活動にお誘いするには、部の実習レベルは相当に高いので入門者相手には難しいだろうし、と考えた提案だったけど、まぁいいか、とすぐに割りきる。)
…ん。ごちそうさま。コーヒー、ありがとうね。
(ロボット自身お手製のチーズケーキを食べ終えて、備え付けの小さなシンクでお皿とフォークをささっと洗う。)
…ねぇ、名無が良ければ、僕ここでちょっと一休みしていっていい?ちょっと充電したくて。
(男の子は自身の脇腹からガラガラと電源コードを引っ張り出しつつ、ソファ近くのコンセントを探してプラグを差し込む。)
■暁 名無 > 「まあどっか飯食いに行くくらいなら構わねえんだけどさ。」
そもそも他人の家で料理をするという概念が無かった。
鍋を囲んで酒を飲むくらいのイメージしかない。あるいは出前を囲んで酒を飲むか。
「うん?充電?ああ、構わねえよ。
俺はそろそろ作業に戻るけど、それでいいんなら。」
多少なら話を振られても生返事くらいは出来ると思うが。
あ、その前に図書室で資料探して来ねえと、か。
俺も食べ終えた皿とカップを洗うと、一度大きく伸びをした。
「んじゃあ、ちょっと図書室の方行ってくるから。
まあ適当に楽にしてな。」
■クロノ > … ほんと? …っふふふ、やったぁ。楽しみにしてる。
(相手とはこっそり一緒に煙草を味わった事も何度か。次はお酒かな?とか内心のわくわくがすぐに顔に出ちゃう男の子。)
… ん、ありがとう。僕も、名無の眠気防止にお話するくらいは平気だから。
(相手の返事に、男の子は安心したようにソファにぼふん、と横たわる。ふかふかの大きな応接ソファに、鋼鉄のロボットが転がっている違和感。)
… ぁ、うん。了解。行ってらっしゃーい。
(図書室に向かう彼とは裏腹、ソファに寝転がるロボットはふぁ…と眠気眼にあくびひとつ、彼の背中姿に小さく手を振って見送る。彼が保健室に戻って来たら、同僚ロボットの無防備な寝顔が拝める…かもしれない)
ご案内:「保健室」からクロノさんが去りました。
■暁 名無 > 「おう、ちょいと行ってくるー」
図書室の開いている時間かどうかを確認してから、俺は保健室を後にした。
何冊かの本を抱えて戻って来てからは、眠っているクロノを起こさない様に気を付けつつ、
作業に戻っていったのだった。
ご案内:「保健室」から暁 名無さんが去りました。