2017/10/20 のログ
ご案内:「職員室」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 「ふッ」

朝。出勤して早々、自席でほくそ笑むヨキの姿がある。

「ふ……ふふ、ふふふふふ……!」

この男が機嫌良さそうにしているのは毎度のことだが、今朝ばかりはどうも尋常でない。
様子に気付いた同僚が、何か良いことでもあったんですか、と尋ねる。

「ついに、だ。ついにヨキはやったぞ。ほれ……この通り、」

赤い革の長財布をごそごそと漁り、何やら取り出してみせる。
それは――

「ふふん!」

――大型二輪車の、運転免許証であった。
獣人の頃には犬ならではの視覚がネックとなり、どうしても取得が阻まれていたのだ。

ヨキ > ずっと欲しかったゲーム機を手に入れた子どもも斯くやとばかり、両手で掴んで見せびらかす。

「これでまた一つ、人間の暮らしに近付いたというものよ。
 新たな友(と書いてバイクと読む)を手に入れるのが楽しみで仕方ないわ」

顔中を輝かせながら打ち震えるヨキに、あら、と同僚が首を傾ぐ。
でもヨキセンセ、以前はお車に乗りたいと仰ってませんでしたか、と。

「む」

回転式のオフィスチェアを落ち着きなく右へ左へ揺らしていたヨキが、顔を上げる。

「車か。車も諦めてはおらんが、今はバイクなのだ。何よりもな」

無性に乗ってみたくなったのさ、と、にんまり笑った。