2017/10/28 のログ
■暁 名無 > 「……お?」
声を掛けられて顔を上げてみれば、見慣れた半人半蛇の姿。
何だかえらく久しぶりに見た様な錯覚すら覚えるが、多分気のせいだろう。
「よお藤巳。
何って、まあ……一仕事終えて一服終えたとこさ。
藤巳こそ、何してんだこんなとこで。」
寒いのは好きじゃないだろう、と首を傾げる俺である。
■藤巳 陽菜 > 「これを持ってきたんです。薬の材料なんですけど。
えーと『なるべく空に近いところで月の光に当てると良い』らしいですよ?」
何が良いのかは知らないが使う前にはそうするらしい魔術の本にはそう書いてあった。
魔術、特に古い魔術については根拠が薄いものが多い。
「本当は時計塔とかに置けたらいいと思うんですけど立ち入り禁止なんですよね…あそこ。」
扉は空いていたし立札も外されていたが立ち入り禁止は禁止。
勝手に入るのは良くない。
「というか先生こそ寒くないんですか?
もうちょっと温かそうな服着た方が…。」
■暁 名無 > 「ほう?薬の?
ああ、変身薬の材料って事だな。」
藤巳が示した植木鉢を見遣って、ふむ、と納得する。
見たところ特殊な薬草と言うわけでもなさそうだ。
となると、魔術的な儀式としての意味合いが大きいのだろう。
「生徒はな。
まーぁそれでもこの辺でも十分だと思うぞ。」
仮に立ち入りを禁止されて居なくとも、藤巳の下半身ではあの階段は厳しかろう。
であれば比較的出入りの容易な屋上にするのは正解だ。危険も少ない。
「うん?寒いよそりゃ。
こんな急に寒くなると思わんかったから、冬物もそんなに用意してねえんだ。」
軍手ならある。だから何だって話だけども。
■藤巳 陽菜 > 「はい、今回試してるのは頑張らなくても材料が手に入る代わりに手順が面倒なタイプの薬なんですよ。」
前回、協力してもらったのは材料が手に入りにくいタイプの薬。
わざわざ転移荒野まで行く必要があったもの。色々、試しているのだ。
「確かに急に寒くなりましたからね…。
こう寒くなるとお鍋とかコタツとか恋しくなりますよね…。」
もう直に11月に入る。
そろそろコタツとか出しても許されるかもしれない…。
「タバコ吸うのにも一苦労ですね…寒い中わざわざ屋上まで…。
正直止めればいいのにと思わなくもないですけどね…」
■暁 名無 > 「ふーむ、頑張らなくても材料が、ねえ……」
そいつはまた胡散臭い……まあ全部胡散臭いと言えば胡散臭いのだが。
それでも魔術、特に薬に関係するものは現代科学の雛形になっている事もあるので、一概に切って捨てるという事は出来ない。
何より、切磋琢磨してる藤巳の姿はどちらかと言えば好ましい様に見える。
……こうして成長してくんだなあ、としみじみ。
「……ああ、天気がぐずつく事も多いしな。
コタツに鍋か……鍋は家にあったけど、コタツはねえなあ。」
冬の定番だけれど、実のところ人生でコタツに入るという経験があんまり無い。
「はっはっは。もう中毒だからな。
ま、口臭に関して苦情を言って来る相手が出来たら止める事もあるかもな。」
幸いと言うか悲しい事に、そんな相手は未だに居ない。
■藤巳 陽菜 > 「ええ、普通の魔術店で売ってるような材料ばかりなのでお財布にも優しいんです。」
普通の魔術店、そんな言葉を疑問なく使う段階で割とこの島に毒されて来ている。
この場合は特別に許可のいる品物を扱ってない店という意味で大丈夫だと思う。
「先生も鍋とかはするんですね。正直、意外でした。
てっきり、インスタントとスーパーのお惣菜だけで生きてるんだと…。」
本当に意外そうな顔で言う。
少し、酷いかもしれないがそんなイメージだった。
「中毒って…口臭はともかく服はたまにタバコの匂いしますよ。…私はそこまで気にしませんけど。
そう言えば先生は何歳ぐらいからタバコ吸ってるんですか?
学生の時にグレてそれから吸い始めたとか?」
■暁 名無 > 「へえ……まあ節制は大事だよな。」
今の姿になってから日増しに食費が嵩んでいくのだと、前に聴いた。
であれば、それ以外の事柄で出費を抑えるのは大事だろう。
「あー、まー、うん。
一応鍋はあるんだよ、見直したか。そうかそうか。」
使った事は無い。
最初の給料日に、とりあえずで買ったものだ。
それっきり一度もまともに使われたことは無い。インスタントラーメン茹でたくらい。
「んー?……一応二十歳過ぎてからだぞ?
別にグレたとかそう言うわけじゃなく……きっかけなんて些細過ぎて覚えてねえなあ。」
■藤巳 陽菜 > 「本当に使ってます?…まあ、あるだけマシなんでしょうか…。
いざって時に鍋パーティーとか出来ますし…。」
駄目だこの人!絶対殆んど使ってない!
恐らく、その鍋も埃を被っているのだろう。
「…グレてなかったんですね。いや、それは何となく分かってたんですけど。
先生はどんな学生だったんですか?意外と真面目だったりしました?」
今の感じを見ていれば流石にグレてたりワルだったりしたような事は無いと思う。
■暁 名無 > 「そうそう、パーティ用に使えるからな。」
いやいや、流石に棚の奥に居るから埃はさほど被ってない筈だ。
……今度のオフの日に洗っておこうっと。
「んー?至って普通の学生だったと思うぞ。
少しばかり活発過ぎた気もしたけど、おおむね普通の学生だ。」
いきなり何を訊きだすんだろう。
俺の学生時代と言うと、奇しくも今この時なのだけども。
■藤巳 陽菜 > 「…パーティー用。
暁先生が鍋パーティーしてるのも自炊してるのと同じくらいイメージ出来ないですね。
…まあ、鍋パーティーとか私もしたことはないんですけど…。」
自分がやった事ない事で人を上手くイメージ出来る訳がない。
それにしたって鍋パーティのイメージがある先生ではないが…。
「普通…この島の普通は結構広いですからね。
…活発?」
会話の流れからふと、気になっただけで深い意味ないとりとめのない話。
だが、活発という言葉が出れば首を傾げて目の前の教師に視線をやる。
■暁 名無 > 「何だと失礼な。
……いやまあ、確かにやった事はねえけどさ!」
でも鍋を囲んで酒盛りくらいは機会があればやってみたい。
問題は鍋を作れそうな知り合いが果たして居たかどうか……。
「んん?何だよその顔は。
少しばかり世間知らずで無鉄砲な子供だったんだよ。
今じゃとても考えらんねえけどな。」
此方を見る藤巳に怪訝な顔をして。
どうせまた想像もつかないとか思ってるんだろう。
■藤巳 陽菜 > 「やってみたいですよね。
…私はちょっと食べすぎてしまうので厳しいかもですけど。」
食べすぎてしまう。
参加すればきっと食べ続けてしまう、それは流石に悪い。。
「その世間知らずで純粋な子供が何年かの間に…こんな風。
…時の流れって言うのは…その…凄いですね。」
…想像もつかない。
まだ学生の頃からセクハラしまっくてたとかの方が納得できる。
だがそうではない。恐らく色々あったのだろう。
子供が大人になるまでの間に…。
「ところで…そろそろ中に入りませんか?いい加減寒くなってきました。」
■暁 名無 > 「そうだなあ……
藤巳が参加するなら、普通の土鍋じゃ足りないよなあ。」
少しばかり大きい鍋と、多めの材料が必要になる事だろう。
前に転移荒野へ行ったときは、俺の三倍くらいの量の弁当を持って来ていたし。
「何だよー、悪いかよー。
藤巳だって、初めっからそんなたわわだったわけじゃないだろー」
時間と共に人は成長していく。
身体だけではなく、心も。そして性格なども変わっていくものだ。
「……うん?そうだなあ、そうすっか。
他でもないお前さんの頼みなら、素直に聞いてあげようかね。」
■藤巳 陽菜 > 「先にご飯食べてからとかならなんとか…。」
本末転倒。
いや、鍋パーティー自体が目的であればそれが正しいだろう。
「セクハラですよ!
先生はもう少し子供だった頃の純粋さを思い出すべきです!」
まあ、実際どんなだったのかはわからないが
流石にここまでセクハラする生徒ではなかったはずだ!
「…私の頼みでなくてもこんな所にずっといたら風引きますよ。
素直に今日はもう帰るべきだと思います!」
そんな風に言うと屋上から中に入っていく。
薬草の植木鉢は明日の回収になるだろう。
■暁 名無 > 「とはいえ、そこまで人を集められる気がしないんだよなあ。」
集められそうなメンバーをざっと思い浮かべてみる。
………う、うん。なんか修羅場りそうだからやめよっかこの話。
「いやー、そうは言っても藤巳が物足りなさそうに話振るからさー」
まあそれはともかく実際のところ何歳くらいから成長が始まったのだろう。藤巳の場合。
俺の事はまあ良いんだ。あの頃にはもう戻れないから……。
「大丈夫大丈夫、何だかんだ丈夫だし。
そういや、あげたマフラーは使ってたりするのか?」
確か赤地に黄色いヒヨコのプリントされたマフラーだった。
渡してからだいぶ経つが、そろそろ本格的に出番じゃなかろうか。
そんな事を気にしつつ、藤巳に続いて校舎へと戻っていくのだった。
■藤巳 陽菜 > 「私も友達は多い方ではないので…。」
むしろ少ないくらいだし…
その中でも親しいといえるのは一握り。
「物足りななさそうにしてません。
…してませんよね?」
普通にしてない。というか別にセクハラがノルマという訳でもない。
「見ての通りまだですよ。
というか先生は私のマフラーよりも自分のを先に買うべきでしたね。」
確かにそろそろあれを使える時期だ。
…明日からはあのマフラーを使う事にしよう。
そんな事を考えたり校舎でも少し話したりしてから帰る事になっただろう。
■暁 名無 > 「へえ、意外だな。
藤巳は結構友達多いのかと。」
まあ、これから幾らでも増やしていけると思うが。
俺も多少は交友関係を拡げた方が良いのだろうか。この歳で、と思わなくもないけど。
「そうか?
なーんかそっちの方そっちの方に話を持ってくから、てっきり言われたかったのかと。」
特にこれと言って言う気も無い時に限ってそういう話を振って来るんだからなー藤巳はなー。
「ははは……いや、ストール持ってたんだけどな。
こないだ休みの時にちょっと落しちゃってなー。」
校舎の中でも、帰宅する藤巳を見送る時も、
割と取り留めもない話は絶える事無く続いたという。
ご案内:「屋上」から藤巳 陽菜さんが去りました。
ご案内:「屋上」から暁 名無さんが去りました。