2017/11/30 のログ
真乃 真 > 「おっとよく見れば鈴ヶ森さんじゃあないか!
 メイド服似合ってるね!まるで本職の人みたいだ!」

…よく見れば、以前時計塔で会った後輩だ!
メイド服だったから一瞬気がつかなかった!
そんな後輩に対して良く分からない褒め方をすると耳打ちされる様子を見る。

「…そうか!まだやってるんだね!
 よろしくお願いするよ!鈴ヶ森さん!
 …それにしても自分がご主人様とか言われると何か照れるな!」

案内されるままに席に座ればメニューを見る。
その間なんだか他のメイドからの視線を感じる…。
今まで相当に暇だったのだろう。

「…なんかここまで貸し切りだと逆に落ち着かないな!!」

鈴ヶ森 綾 > 「恐れ入ります、ご主人様。」

緩やかな動きでくるりと一回転して見せ、
最後にスカートの裾をちょこんと摘んでポーズを決める。

「えぇ、まぁ…。少し立地に問題があったようで。良ければ、たくさん注文してくださいな。」

席についた彼の横に控え、注文を待つ。
メニューの内容はいかにも学園祭らしい、端的に言えばコップに注ぐだけでできるドリンク類に、
クッキー等の洋菓子類が幾つか。
一応目玉は学生街の有名店から仕入れたケーキという事になっているようだ。

もし気になる部分があるとすれば、明らかに後から書き足したであろう、特別サービスあり、の文字だろう。

真乃 真 > 「立地?ああ、確かにあそこの階段が使えないのは痛いね。
 来るまでに似たような所もあるし…。」

先日、自分が手伝っていたところほどではないがあそこはなかなかにぎわっていた。
ここに来るまでに向こうに入るのは仕方ない事だろう。

「そうだね!丁度喉も乾いたし…とりあえずストレートティー!
 あっ!このケーキあの店のなのかい?じゃあ、これも!
 コレもっと宣伝してもいいんじゃないかい?」

今は常世祭の期間と言うのもあってあの店はかなり並ぶ必要がある。
それをこの待ち時間で食べられるのは得なのではないだろうか?

「…でも、ほかにも何か目玉みたいなものがあればもう少しお客さんもきそうなんだけど…。
 …この特別サービスって何?」

メイドさんとじゃんけんできるみたいなやつだろうか?

鈴ヶ森 綾 > 「私、実は今日限りの助っ人でして、企画や宣伝には関わっていないもので…。
 このお店のケーキは私も食べたことがありますけど、本当に美味しいですよね。
 せっかくのセールスポイントなのに、勿体無いというか…。
 あ、ストレートティーにケーキですね、畏まりました。」

実際、企画者は可愛い女の子が可愛い服を着て接客すればそれだけで大繁盛!
ぐらいの考えでいたというのはこちらもあずかり知らぬ所。
注文を受けて一旦カーテンで仕切られた調理スペースへと引っ込もうとしたところで、彼の言葉に足を止める。

「は?特別サービス?ちょっと失礼します…。」

聞かれた方も特別サービスとやらは初耳だったのか、断ってメニューを受け取って自らの目で確かめる。
そこには確かに特別サービス +50円の文字が。
教室の隅で控えている他のメイド達に視線を送ると、目を逸らされたり曖昧な笑みを浮かべられたりと、何やらはぐらかされた。

「えー、…特別サービスとは…注文してからのお楽しみとなっております。」

何か遊ばれている気がする。
腹立たしいが笑顔は崩さず、上手いことはぐらかして答えた。

真乃 真 > 「ああ、本当に美味しい!
 常世祭の期間には限定のケーキがいくつも出たりするんだよ。
 その分、普段よりも混んでるけど並ぶ価値はあるよ!」

一昨年の一番人気だった品はそのリクエストの多さから常に販売するメニューに追加されたほど…。
絶対に並ぶ価値はある。

「注文してからのお楽しみ…」

怪しい…。
こんな物を注文して良いのだろうか?
+50円と言えども大事なお金…少し考え「すいません!じゃあ特別サービスもお願いします!!」

考える前に口が動く。
注文してからのお楽しみ?上等だ!ワクワクするじゃあないか!

鈴ヶ森 綾 > 「まぁ、そうだったんですか。
 ここにあるのはいつもあるものだけですけど…今日この後、はちょっと難しいですから、
 明日にでも行ってみます。
 …では、少々お待ち下さい。」

本来なら注文は受けた人が用意するのだが、何分全員暇を持て余しており、
既に他に人が用意した物を受け取るだけで済んだ。
そしてその際、今度は特別サービスの内容について耳打ちされる。

「あぁ、そういう事ですか。」

いかにも、年頃の小童が好きそうな事ではある。
自分の柄ではないし、見世物にされるのも気に入らないが、
代役を引き受けた以上はやらざるをえまい。

「お待たせいたしましたご主人様。こちらストレートティーとケーキになります。」

コースターを敷いてその上に運んできたプラスチックのコップに注がれたアイスティーを、
隣には紙皿に乗せたケーキが用意されるが、フォークがついてこない。
そればかりか、何故か彼が座る隣にもう一脚椅子が用意され、そこに彼女が座り込む。

「では、特別サービスです。失礼して…どうぞ、あーん。」

手にしていたフォークでケーキを小さく切り取ると、それを彼の口元に慎重に運んだ。

真乃 真 > 「ああ、かなり早めに並んだ方が良い。」

少なくとも開店よりまえに並ばなければかなりの時間並ぶ事になる。なった。
だが、並んだかいはあったのだ。

「やあ、ありがとう!
 …フォークは?」

その疑問に対しての回答は口元に運ばれたケーキ。
なるほど、そういう事か!

「…なるほど!こういうのか!」

近づいてくるケーキに照れから顔を少し赤くする。
…恥ずかしい!更にその店内に二人きりという事や…
他の店員が裏の方からみんなでこっちを見てるのも恥ずかしさが増す!

「いや、なんて言うかこれはちゃんと書くべきだと思う…。
 色々…そう、こころの準備とかもいるし…需要は確かにあるだろうけど…
 でも、知らないままで注文したら困っちゃうよね…。
 …いや、嬉しいんだけどね。あーん。」

照れてしどろもどろに言葉を続けて最後にケーキを口で受ける。
…やはり恥ずかしい!思わず顔を押さえて俯くほど!

鈴ヶ森 綾 > 「あーん…お味の方はいかがですか?ご主人様。」

戸惑う彼とは対象的に、こちらは笑顔を崩さず、
むしろ貫禄すら感じさせる程の堂に入った様子で、感想など求めて。

「あまりにお客が少ないもので、急遽考えついたみたいですから…。
 もし良ければ、この後お知り合いの方に会ったら宣伝お願いします。」

ちゃっかりと宣伝を依頼しつつ、その後も切り分けたケーキを彼の口元に運んでいく。
さほど時間も掛からず、残ったケーキも彼の口の中に消えていくことだろう。

「…あ、ごめんなさい、ここにクリームが。」

ふと、唇の端に白いクリームが付着しているのに気がつく。
それを指で拭い取ると、躊躇いもせず自らの口元に運んで舐めとる。
その一部始終を見ていた周囲がざわつく。

「ふふっ、やっぱり美味しいですね、ここのケーキは。」

そんなやりとりをしていると、再び教室の入り口がざわつきだす。
先程の客引き少女が今度は団体客を連れてきたらしく、他のメイドたちも慌ただしく働き始めた。

真乃 真 > 「お、おいしいです。」

男は敬語になってしまっていた!
後輩に対して!メイドに対して!!
耐性があまりに低い!!

「…!そっ!そういうのは良くないと先輩は思うな!!」

顔を更に赤くして椅子から立ち上がり自らの口元を抑えて固まっている。
弱い。男はあまりに弱すぎた!

「…あっ!ほら、お客さんが沢山来たね!
 サービスはもう大丈夫だから!行った方が良くないかい!?」

立ち上がったままでそんな風に促す。

 

鈴ヶ森 綾 > 「先輩、メイドさんに対してあまりかしこまらないでくださいな。」

少しばかり主人とメイドから先輩と後輩の間柄に戻ってそのようなアドバイスを。

「あら、申し訳ありません。私ったらつい粗相を…。」

慌てる様子を内心で面白がっているものの、それを表にはおくびも出さず。
口では粗相などと言っているが、その表情はすずしいもので。

「そうみたいですね。では、何かありましたらお呼びください。ごゆっくりどうぞ…。」

椅子から立ち上がると恭しくお辞儀をしてからテーブルを離れ、
他のメイド達と共に新しくやってきたお客の接客へと向かった。

真乃 真 > 「あ、ああ、うん。…大丈夫、大丈夫だよ。
 鈴ヶ森さん少しほんのちょっと混乱しただけだ。だけだ!」

無駄にカッコ良いポーズで取り繕う。
…普段よりキレが悪い気がする。

「結構落ち着いてるな…っていうか!
 …ハートが強いな君は!」

落ち着いた印象の見た目の割にそういうの恥ずかしく無いタイプなのだろう。
人は見かけによらないとはこの事だろう。

「ああ、ありがとう鈴ヶ森さん!頑張ってね!」

そう言って送り出すとクリームが着いてた口元をまた触って…

「…味わかんなかったな。」

そんな風に呟くのだった。

ご案内:「教室」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「教室」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。