2018/01/16 のログ
ご案内:「教室」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 今日の授業が全て終わった放課後の教室。
外は既に日が沈み、薄闇が電気のついていない教室の中にまで入り込んできている。
教室に二つあるドアは誰かが閉め忘れたのか、片方が開け放たれたままである。
大勢の生徒がひしめいていた時の熱気はとうに逃げ、室内はいかにも冬らしい寒々とした空気で満たされている。

そんな中、窓際の席に座った少女は何をするでもなく、ただぼんやりと視線を目の前の机に向けたまま、自身の長い三つ編みを弄んでいる。
少女の他に生徒や教師の姿は無く、静まり返った教室に響くのは壁掛け時計の秒針の音だけだ。

鈴ヶ森 綾 > 二月程続いていた心身の不調は随分回復したように思う。
それがあの少女のおかげであるのは明白で、それは自分でも理解している。

だがそうして精神の安定を取り戻すと、今まで鳴りを潜めていたものが鎌首を擡げだす。
本能的な欲求、すなわち食欲だ。

先日路地裏で喰らった男達はあまり食欲が湧く相手ではなかった。
嬲ってそれなりに嗜虐心は満たされたが、結局はただの遊びでしかない。

「どうしたものかしらね…。」

本能に従うのは簡単だ。これまでもずっとそうして生きてきた。
だというのに、こうも思い悩んでしまうのは何故なのか。
胸にもやもやとしたものを抱えたまま、殆ど一日を費やしてしまった。

鈴ヶ森 綾 > そもそも彼女に近づいたのも、最初はそういう目的だったのではなかったか。
それが今では…。

どれだけ考えてみても、自分の中だけでは答えが出る気がしない。
机の脇に掛けたままだった鞄を手にし、のろのろとした動きで椅子から立ち上がる。

その時、消えていた廊下の蛍光灯が一斉に点灯し、薄暗かった室内にも光が指してくる。
闇に慣れていた目がその明るさに反射的に細められ、暫くの間何かに縛られたようにその場に立ち尽くす。