2018/01/21 のログ
ご案内:「屋上」に追影切人さんが現れました。
追影切人 > この学園に成り行きで入学した――もとい、入学させられてからかれこれ2年。
着崩した学ラン、左腰に帯びた刀、左目に眼帯をした一人の少年がベンチにだらしなく背を預けて黄昏ていた。

「…あーー…かったりぃ。何でこう、授業ってのは眠気を誘発すんのかねぇ。
これなら、歯応えのあるヤツと斬り合いしてた方が遥かに有意義ってもんだろーによぉ。」

などと、後半やたらと物騒な台詞をのたまいつつぐてーっとしている。
何時もはその目付きの悪さやら眼帯でややコワモテっぽい風貌も、今は何ともダラけて覇気が無い有様で。

追影切人 > 「……んぁ?」

ぼーっと黄昏ていたら、懐から感じる振動音。携帯にメールか着信があったようだ。
億劫そうに右手で制服のポケットを探り、スマホを取り出して確認。メールのようだ。

面倒くさそうに内容に目を通す。風紀委員会からの『定期報告』しろとのお達しだ。
流石、風紀委員様…凶悪でタチの悪かった元・二級学生への『首輪』は健在だ。

「……めんどくせー…メールだけで返せばいい話じゃねーのかぁ?これ。
何で直接風紀委員会の本部まで顔を出さないといかんのよ…」

ボヤきながらメールを消去。スマホをポケットに戻して更にダラける有様だ。
元・二級学生の<斬鬼>と呼ばれた少年も、今では人並み?に学生生活だ。それでも風紀の目は厳しいが。

(…ほいほいと落第街にも顔を出せやしねぇ。つまんねーわな…ったく)

追影切人 > 「…つーか、飼い殺しってのも面白くねーなぁ」

だったら自主退学して逃げるなり何なりすればいいのだが、風紀委員会とは別に恩人との約束がある。
風紀委員会は正直どうでもいい、というか斬りたいが恩人との約束だけは破れない。
チラリ、と腰に下げた愛刀…恩人から譲られた剛刀を一瞥する。そういえば斬り合いも最近ご無沙汰だ。

(男でも女でも強くても弱くても構わんから、ぼちぼち思い切り斬り合いとかしてぇなぁ)

心の内で物騒な事を平然と漏らす。少年にとって何かを斬る事は己の存在意義に等しい。
それしか誇るべき能が無いと思っているし自負もある。だが井の中の蛙なのも分かっている。
少年は単純馬鹿だが、愚者ではないのだ。とはいえ斬り合いの欲求とそこの弁えや自覚は別問題だが。

追影切人 > 「…ま、取り敢えず退屈は如何ともし難いわな…学園襲撃事件とか起きねーもんかなぁ」

コイツ物騒な呟きしかしてねぇ。ちなみに、その場合自衛の建前で襲撃犯を斬りまくるつもりだ。
勿論、返り討ちに遭う可能性も高いのだがそこは少年にはさして問題ではない。
勝つも負けるも糧になる。白黒付かないよりはスッキリするし、多少なり斬れるなら文句は無い。

で、とうとうベンチに背中を預けるどころかそのまま寝転がってしまう。
刀を腰に差したままだと少し邪魔になるので、外して体の上に乗せるようにして片手で抱え込み。
ボンヤリと空を見上げる視界は半分だけ。いい加減もうこれにも慣れた。片目を失ってもう2,3年か。
どうせならこう、カッコよく義眼を嵌めてみるのもいいが生憎とそういうツテとかアテがとんと無いのだけど。

追影切人 > 「かつての<斬鬼>も今じゃ首輪嵌められて牙も制限有りの飼い殺しだもんなぁ。ま、あの時に負けたんだからしゃーねぇ」

一瞬だが過去を思い出してやれやれ、とばかりに苦笑。たった一度の敗北で人生が変わる。そう珍しい事でもない。
少年の場合、むしろ命があって、未だに檻の中でないだけマシと言えるだろう。
風紀委員会への定期報告や、多少の監視があるのを除けば生活にまぁ不自由はしない。

(…中々斬り合いとか出来ねぇのが難点だが…)

まぁ、落第街で暮らしていた頃に比べてメシは美味いし、まともなベッドがある。あとこの学園とかやたら美人が多い。

「……あぁ、恵まれてんのは分かってんだがなぁ」

人間、欲を出せばキリが無いものだと馬鹿なりに思う訳で。
紫暗色の隻眼を一度閉じて吐息を零す。やっぱり牙を抜かれてるのは否めない。

追影切人 > そうこうしている間に、すっかり良い時間になっていたらしい。
面倒臭そうに上半身を起こし、軽く欠伸をかみ殺しながら立ち上がる。
手に持った刀は改めて左腰の定位置に差してから、最後に首や肩をゴキゴキと鳴らして。

「んじゃま、適当に買い食いでもして帰るとすっかねぇ」

ベンチから腰を上げて、ダラダラとした足取りで屋上の出入り口の扉の方へと歩き出し――…

ご案内:「屋上」から追影切人さんが去りました。