2018/03/31 のログ
ご案内:「屋上」にモルガーナさんが現れました。
モルガーナ >   
かつんかつんと階段に固めの靴音が響く。
その音の主は欠伸を噛み殺しながらゆっくりと階段を上っていた。
紅をさし、普段は素顔以上に鋭く見えるまなざしも
幾分か眠そうな表情から若干和らいで見えるかもしれない。

「この国の四季……であったか?
 心地は良いが気も抜けるの」

扇子で隠した口元から漏れるような呼吸を一つし、一つ愚痴る。
そのまま階段を登りきると

「……はー。気怠い
 これはやれんのぅ」

いきなり扉を蹴り開けた。

暁 名無 > 「ぉん?」

銜え煙草のままぼへーっと流れる雲を見上げていたが、不意に豪快な音がして扉の方を振り返る。
こんな時分にテロリストでもやって来たのかと思ったが、まあ普通に考えりゃわざわざ外と繋がっている屋上に出てくるわけもないし……と。

「おいおい、随分とまあ足癖の悪い嬢ちゃんだな。」

制服を着ている事から生徒という事は判断がつくが。
はてこんな生徒が居っただろうか、と俺は小首を傾げた。

モルガーナ >   
「邪魔をするぞ。
 なに、気にするでない。
 他人が何処に居ろうと気にする妾ではない」

けり上げた姿勢のままの足をゆっくりと降ろしながら
一切相手の事情はかんがみられていない一方的な口調で告げ
屋上へと歩を進める。
スカートだったか、この服装は足回りが自由で良い。
何だったか……その下に着ける肌着は邪魔だったので無視したが。

「お嬢ちゃん、か。
 くふふ、良かろう。そう呼ぶことを許そう」

中々に新鮮な響きじゃのとこぼしながら
そのまま隣を通りすぎようとするも
風の運んだ香りにふと足を止め
眼前の男に半眼をむけて首を傾げる。

「……む?
 主、中々珍しい香りがするが夢魔の類か?
 それにしてはなんというべきかその……」

言い切らずに無遠慮に上から下まで眺め
そのままふむと腕を組むと
普通じゃが。と言わんとするような眼差しを向けた。

暁 名無 > 「お?まだ残ってたのか……。」

すんすん、と自分の手首やシャツの襟を嗅いでみる。
生憎と俺自身はさほど感じられなくなったが、彼女の残り香がまだあるのは素直に嬉しく感じられた。

「んまあ、俺自身の匂いってわけじゃねえから当然だわな。
 効果も本家本元の夢魔ほどじゃないし、まあ、オーデコロンの類だとでも思ってくれ。」

別段俺自身、自分の事を容姿端麗だと思ったことはない。
ただ少しばかり童顔が過ぎるきらいがあるだけで、あとは目の前の少女が思う通り、至って普通のありふれた人間だ。

モルガーナ >   
「主もしや超絶技巧の持ち主……等という類でもなさそうじゃの。
 こちらの世界の夢魔は別の生き物なのかもしれんな。
 とは言え移り香が残るほどとは」

口元を隠したままくつくつと笑い声を零す。
随分と情熱的な香水もあったものだ。

「まぁ良い。詮無き事じゃ。
 この島においては不思議も不思議ではないのじゃろう」

興味深い物よのと言いながらフェンスへと歩み寄る。
眼下には校舎と校庭、広がる街並みと幾人かの生徒。
美しい花弁を持つ花がそれらに彩を添え
一種独特な空気が漂っている、とても平和な光景。

「主はこの場所に長いのか?
 この世界は何処もこんな雰囲気なのか。
 それともここが特殊なのか……妾にはまだ判別がつかぬが」

主はそれについて何か知っておるかの?と尋ねながら振り返る。
一見普通の外見の持ち主も、この場所では一癖も二癖もある。
それは目の前のこの男も同じように感じられて。

暁 名無 > 「はっはっは、だったら良かったんだけどもな。
 ま、世界の数だけ夢魔も色々居るもんだろ。そういうことにしとけ。」

実際一口に夢魔と言ってもわんさか種類が居る。
その所為で俺は仕事に追われる羽目にもなっているし、それは夢魔に限った話でもない。

「ま、そういうこった。
 この島に限らず、この世界自体が日常と非日常の境界にあるようなもんさ。
 何があってもおかしかないってな。」

ただ俺の労働時間が増す様な出来事は起こらないに越したことはない。
それは最近思う。切に切に思う。

「ふーむ、嬢ちゃんはこの島……や、こっちの世界に来て日が浅いのかい。
 だとしたらどう答えたもんかねえ……語弊を承知で言えば、この島は縮図さ。この世界のな。
 ……とはいえ、この世界のどこの国もこの島の都市のようになってるって訳じゃあねえけども。」

よっこいせ、とフェンスに背を預け、崩れ落ちるようにその場に腰を下ろす。
ひやりとしたコンクリートの温度を尻に感じるが、春の日差しを浴びて軽く火照った体には心地良いくらいだ。

モルガーナ >   
「縮図……か。
 なるほど。人というものは
 いつ如何なる世界でもあまり変わらぬようじゃの。
 一言では語れぬという点ではこの混沌とした場所に
 最もふさわしき生き物じゃな」 

風習も、気候も、文化や絶対数さえも違う異なる世界で
それでも人という生き物はそう変わりはしないらしい。
至極興味深いけれども同時に何処か拍子抜けしてしまう所もある。

「なんじゃ、やはりこの場所は特殊なのではないか。
 曲がりなりにも教育機関が指揮をとるこの島は
 統治の一つの形としては興味深いが
 国家ともなればそうも行かまいて。
 まぁそれは主らの罪ではない」

返答に少し呆れた、そして
何処か突き放した物言いをしつつも
風に舞いあがり吹き抜ける桜色の吹雪に
扇子で隠した口元が綻ぶ。

特異か否かは別にしても
この場所の季の色は鮮やかで美しい。

暁 名無 > 「指揮をとるったって半ば象徴化されてるのが学園ってだけな気もしないでもないけどな。
 実際に島の所有は教育機関よりは研究機関に近い財団なわけだしな。
 学園を象徴化したのだって、若い人間を多く集める為に都合が良かったってだけかもしれねえ。」

まあ、いずれにせよ学園が都市の主軸として機能していることには違いない。
統治していると呼ぶにふさわしいかどうかはまあこの際置いとくが。

「とはいえ何かと放任主義な面も多々あるしな。
 学園と呼ぶには緩いとこが多過ぎる。風紀とかな。
 今もこうして破廉恥な生徒も居る訳で。」

むしろそっちの方面でよっぽど特異だ。
俺は横目で風に揺れるスカートを一瞥し、小さく溜息を吐いた。
まあ眼福だからとやかく言うのは止すけれど。他の生徒に変な影響を及ぼさなきゃ良いんだが。

モルガーナ >   
「十分じゃろう。
 この島は住人に”幻想”を与え
 効率的に治世を行っておる。
 ある意味理想的とすらいえる」

はっきり言って統治など結果として機能しさえすればよい。
元々かなり奔放な統治思想の持主からすれば
この島の治世は効率的だ。

「ほぅ?人を眺めて破廉恥とは言いおる。
 妾のどこが破廉恥という。
 今でこそ生徒という立場ではあるが
 そこらの小娘よりはよほど洗練された教育を
 教授しておるぞ。見くびるでないわ」

此方を見やる視線に若干眉を寄せ、
声にも不機嫌さが混じる。
確かにこの場所はいささか自由だとは思うが
だからと言ってそのような視線を向けられる謂れはない。

暁 名無 > 「幻想を、ねえ……まあ、確かに。」

何が理想なのかなんてのは俺にはとんと見当もつかないが。
そもそも統べることにも治めることにも興味が湧かない。
湧かないものを向ける事が出来るほど、俺は器用じゃない。
ありきたりな素人考えを口にするのが精々だ。

「……あー、んー……
 いや、当人が良しとしてるなら俺が口出しするもんじゃねえとは思うから言及は避けるけどな。
 せめてもうちょいスカートは眺めに巻いといた方が良いと思うんだ。」

どこの洗練された教育を受ければそうなるのか。
さっきもドア蹴り開けてたし。どの口が言うのか。

モルガーナ >   
「まぁ良い。
 万人が統治する必要はない。
 その責を負うモノだけがそれを論じればよいだけの話よの」

適材適所、餅屋に狛の育て方を極めろというのも
また意味の無い事だ。

「……なんじゃ?見たいのか。
 別にこんな物珍しくも無かろうに。
 確かに妾自体はかなり珍しい部類であることは認めるがの」

視線を辿り、行き着く先を認めると
口元を隠しながらも片手でスカートなるものを少し摘み
ぴらりと引き上げてみせる。
その行動には一瞬の躊躇も無かった。

暁 名無 > 「ああ、そうだな。
 少なくとも一介の教員には夢幻のような話さ。
 井戸端での話題にも上がらんだろうよ。」

軽く肩を竦めて同意の旨を告げる。
そんな責任はまっぴらごめんだ。ただでさえ今でも結構まっぴらな気分なのに。

「いやいやいや、そうじゃないそうじゃない。
 この角度だとほぼ丸見えだから。はしたなさの権化になってるから。
 一周回って珍しいっつー話だわ。」

完全に不意打ちで見せられれば、反射的に眉間に皺も寄る。
いや淑女にはもう少し恥じらいとかそういうものを含んだ色気が必要だと思うのだよ俺は。
いや、見せて貰えるのはそれはそれで有り難いわけだけど。

モルガーナ >   
「主も雄ならそういった欲求があること自体許せぬ齢でも無かろうて。
 それともこの世界では欲は持つ事が罪なのか?
 この国の倫理はよくわからんな」

何処かちぐはぐで未だにつかみきれぬと小首を傾げ
やれやれと首を振り
――ふと挑発的な表情を浮かべる。

「ふむ、とはいえ興味深いな。
 つまり主にとってみれば
 妾もまたそのような行為の対象となりうるのか
 いやはや新鮮な体験ではあるの」

旅をする中で最も楽しいのは異なる文化に触れる事だと彼女は思う。
自身の中の標準が全く共通規格ではなかったと知るときのあの感覚は
中々に”そそる”ものがある。ましてや此処は……異世界だ。

「そのはしたない、という感情は一体どこから出てくる物なのか。
 劣情か、激情か、はたまた獣性を後ろめたく思う心か……
 それとも倫理に満ちた主の親切心からか?
 主の脳内の中では妾はどのように嬌がっておるのやら……
 少々特殊性癖が過ぎるのではないか?」

何処までが本気なのか、それとも全てが冗談なのか
その喫水線を悟らせないような声色とともに口の端が吊り上がる。

「最もそれに応えるとは限らんがな?
 妾と睦むにはそれ相応の立場と働きが必要というもの
 そう易々下賜するようなものではない」

暁 名無 > 「話が飛躍しまくってツッコミが追い付かねえっつの。
 燕か。初夏の空を舞う燕か。」

どこまで飛んでったもんかもはや分かったもんじゃない。
このまま放っておけば大気圏まで飛んで行って、地表にはもう戻って来ない気がする。
スカート伸ばせっつー話がどうなったら数分で睦事まで飛ぶんだ。ジェット燕か。

「この世界じゃ人前、それも互いに初めて顔を合わせる様な異性の前で劣情を煽るような事をするなっての一般の認識なわけだ。
 大抵の場合は女より男の方が腕力が強いから、組み伏せられることも多いしな。
 ……まあ、そんな態度で居るからには嬢ちゃんはそういう心配も無いんだろうが。」

一応しなきゃいけない説明だろうからしておく。
この辺のあれやそれやの異世界間での認識の差は今まで考えたことが無かったわけではないが、改めて目の前に現れられると、ちと困るな……。

「へいへい、確かに少し思うところはあったけども。
 幸い俺はもう少し胸の大きな女子が好みなんでね。
 是が非でも嬢ちゃんを抱きたいとは思わねえな。安心してくれ。」

易々と下賜されるものでないのなら、俺は分不相応として謹んで辞退しよう。
いやまあ単に仕事疲れて腰振る体力も残ってねーよってのが本音だけども。

モルガーナ >   
「翻弄されるのも主らの責、故に励むが良い
 別段理解できぬともそう責められたことではあるまい。
 主は妾でもなく、ましてや親しき仲でもない」
 
要は未知との遭遇で、
なおかつ彼女からすれば相手が理解できないは決して悪い事ではない。

「ふむ、理解できないでもない。
 妾は元の世界では此方で言う神に近い物であったでな。
 それを試みるものは愚かそのような事を口にするものすら皆無であった。
 心中までは知る気もせんが……なるほどなるほど」
 
元々あまり本気でもなかったのだろう。
あっさりと腰巻から手を放す。
この世界は自身の住んでいた世界とは違う事は重々承知している。
そのことから出来るうる限り此方の法には従うつもりではある。
最も服従するつもりもないが。

「しかし、そうか。
 そういう可能性もあるのか。
 そう考えるとか弱き乙女としては気にかけねばならんな。
 いやはやこの世界は何処までも新鮮で面白い」

筆以上の重たいものなど数分とて持てはせぬよと肩をすくめつつも
その発想自体は中々に面白いと感じたようだった。

暁 名無 > 「何に励めと。
 いやまあ、俺自身を責める気はさらさらねえし、嬢ちゃんがそれで良いってんなら別に構わねえんだけどな。」

ツッコミ不在で話がどこまで飛んでくのか、少し気にならない訳でもなかったけれども。
きっと途中で俺が耐えられなくなるのは目に見えてる。やめよう。

「……なるほどねえ。
 まあ、道理でと思わないわけでもないが……
 元の世界で神様だろうと仏様だろうと、俺ぁ別に態度を変える様な気はないんでね。
 ……いやまあ、この世界の神様仏様でも変える気はねーんだが……。」

何だか話がよく分からない方へ流され始めた気がする。
いかんいかん、仕事疲れの頭でするもんじゃない。
なにやら一人で勝手に得心がいったような表情で頷く嬢ちゃんに、俺はふと思い立って訊ねる。

「ところで、下がそんな状況で、上はちゃんと下着着けてるんだろうな?」

ああ駄目だ、やっぱり頭疲れてるかもしれない……。

モルガーナ >   
「うむ、それで良い
 妾の高貴さはともかく、今のところは妾とて
 一回の女学生にすぎん。
 不敬を咎めるのはいささか器が小さかろうて。
 最も、奉仕したいというなら吝かではないがな」

元々距離感や情報をて探るための会話
それそのものの着地点はそれほど重視してもいない。
目を白黒させる様を眺めるのは面白くなかったと言えばうそになるが。

「そんな訳は無かろう。
 妾の世界にそのような物を身に着ける風習はそもそもない。
 今後どうするかは今後次第じゃが……
 主らはよくあのようなものを身に着けて生活できるものじゃな」

あっさりと言い切った。
そして男もつけていると思いっきり思っていた。

暁 名無 > 「謹んで辞退させて貰うわ。
 嬢ちゃんが一介の女学生だと自負があるなら尚更な。
 それなら俺は教員として指導鞭撻する義務がある。
 よっぽどの厚待遇でない限りは嬢ちゃんの奉仕をしたいだなんて思わんさ。」

まあ、こちらはそのつもりでもこの嬢ちゃんが俺をちゃんと教員として扱うかは知らないが。
………ま、そんな生徒今更か。

「………。
 またまたぁ、冗談を。……って思えないから不思議だよな。
 口振りがマジだもんな。そして男は上は着けない。一部の特殊な人らを除いてな。
 そして下も下で男女で形状が結構違うもんだ。

 ………念の為本当かどうか拝見させて頂いても?」

頭が疲れてると口が回る。というか自制が少し利きづらいってのが正しいか。

モルガーナ >   
「まぁ鈍ら坊主もどこの世界にもいるものではあるがの?
 こちらでは何と言ったか……まぁ良い。
 おいおい身に着けていこうではないか」

ある意味すべてを等しく見るあたり平等主義である。
教員らしからぬ装いという事もあるが、
そもそも今現在師弟関係には当てはまらないというのが
彼女の感覚で、そもそも師であれ立場的には変わらないというのが
基本の立ち位置でもある。

「む、妾が騙る道理もあるまい?
 確認が必要というのであれば存分に眺めるが良い。
 今回ばかりは責を問わぬ」

そういうとおもむろに胸元に手をかける。

暁 名無 > 「そりゃまあ、世の常ってやつよ。
 嬢ちゃんのことだ、まあ何だかんだ楽しみながらこの世界の道理なんて覚えていけるだろうさ。
 ……いや、教える立場でいう事でもねえけどよ。」

なるほど徹底した平等主義である。
これは元の世界では神のようなものと言っていたのにも信憑性が増すというものだ。
むしろ変に偏ってない分この世界の神よりも取っつきやすいような……。

「いやあ、面白半分で騙してきそうな臭いがするしな?
 ま、折角なんで確認させて貰おうか。それにほら、下だけ見た、ってのも何かバランスわるいだろ。」

我ながらどんな言い分だと思わなくもないが。
降って湧いた好機、乗っておくに越したことはないだろうと、俺は立ち上がると確認の為覗き込んだ。

モルガーナ >   
「今から楽しみじゃな。
 何を是とし、何を否とするべきなのか……
 この世界で多数であるべき人類はいかに世界を作り上げたのか」

くつくつと楽しそうに笑う。
今回の異界渡りは彼女からすればほとんど事故に近く、
ましてや自分で選んだ訳ですらない。
けれど、だからこそ面白い。

「臣民が狼狽える様は面白くなくもないが、
 あいにく今は興は事足りておるでな。
 まぁ否定はせぬが、それは尊き者の常であろう?」

バランス云々はともかく、この通りじゃと首元を開く。
元々此方で言う和服に近い服が常で、
身に着け慣れていないものは鱗に引っかかって違和感でしかない。
……しかも見た目以上に着やせするタイプだったりもする。

暁 名無 > 「気持ちは分からんでもない。
 俺も異世界の史実や文化を見聞きするのは心躍るしな。
 まあ、一番は生態系動植物に関する事柄だけど。」

果たしてこの少女は何を見て何を聴いて、それら得た物から何を導き出すのか。
少しばかり気にはなったが、今はそっと胸の奥底に仕舞い込む。
それはいずれ分かる事だ。この学園という空間で、教師と生徒という立場で居れば。

「興が足りてるかどうか、なんてのは傍からは判らないもんでな?
 言い分は解るが、こっちとしても騙されっ放しは男が廃る。
 傍目に見て騙そうとしてるか否かが分からんのなら、その真偽を確認するしかあるめえよ。」

そして今回は真だった、と。
連日モニターを睨んでいた目を保養しつつ小さく息を吐く。
やっぱりこういう日々の潤い的なサムシングは大切だよね……うんうん……。
……って、鱗? そういや下の方にもあったっけな……?

モルガーナ >   
「最も理解し易い磁針で世界を紐解く……
 これほど普遍的で面白き事はそうそうなかろうて。
 しかしこの洋服とやらは中々慣れぬな。
 妾の身には窮屈で適わん。
 それはともかく……」

思った以上に熱心に眺めている様に
なにが気になったのかはわからずとも
若干ジト目になりながら押し殺した声を漏らす。

「……いつまで眺めておる。
 主の言を正とするのであればお主
 師としての席を追われかねん状況ではないのか?
 師という立場をもってやましき?事に精を出しておるのだからな」

状況的にはあまり世間の事を知らない生徒に
晒すべきでないらしい部位を晒させた挙句熱心に眺めているという状況。
とりあえずなんというべきか……やはり目の前のこれも
忘れがちだが夢魔の香りを残されるだけの感性は持っているらしい。
……上司に知られでもしたらどんな目に合うのやら。

暁 名無 > 「全くの同感だ。
 窮屈なのはもしかすると寸法が合ってないのかもな。
 ……おっと、そりゃ確かに違いねえや。」

はたと我に返って顔を上げる。
変な所で世情の呑み込みの早い奴め、と思わなくもないがこっちに非があるので余計な事は言わんでおこう。

「いやいや、思ってたより美しかったもんでつい見入ってしまった。
 不快に思ったのなら今度何か美味いもんでも奢ってやろうか。」

双方合意の上で【見てただけ】ですーと主張したところで聞き入れられる筈もないだろう。
確かに人目に着く目に気付かされて助かった。いやー危なかったー。

「それじゃ、サボりもバレないうちに俺は仕事に戻りますかね。
 じゃーな、嬢ちゃん。あ、そうだ。俺ぁ暁名無っていうんだ。
 用がある時は幻想生物学実験準備室ってとこか保健室に居るから宜しくな!」

そう告げて俺はゆったりと先程蹴破られた扉へと向けて歩き出す。
それにしてもあの鱗は、蛇……蜥蜴……いや、もっと別の──

ご案内:「屋上」から暁 名無さんが去りました。
モルガーナ >   
「ふむ、やはり仕立て屋を雇うしかないか。
 こういった時財を持ち歩いておらぬというのは不便じゃな。
 手はないではないが……ふぅむ……」

服を正しつつ少しばかり考え込む。
服を買うのもおしゃれをするのも義務であって
けっして趣味ではないよって買い込んでも問題ない。
……と行きたいところだが先立つものが必要なのはいつの時代も
何処の世界も同じ。
今後の事を考えると今あるものを削るより
定期的な収入が見込まれるシステムを作った方が良いが……

「……少し考えてみねばならんの」

考え込みふと顔を上げれば踵を返そうとする自称教師。
どうやら傍目にどう見えるかにやっと気が付いたらしい。

「腕の良い調理師のもとへ案内いたせ。
 妾の舌はちと厳しいぞ?」

その背中に返答を返すとこちらは再びフェンスの外の世界を見下ろす。
桃色の花弁が舞い散るこの世界はどうして中々……

「面白き事は良き事也……
 くふふ、楽しみじゃのう。
 不自由とはこうも楽しきものか」

呟く口元には不敵な笑みが浮かんでいた。

ご案内:「屋上」からモルガーナさんが去りました。