2015/07/08 のログ
ご案内:「屋上」に遠条寺菖蒲さんが現れました。
■遠条寺菖蒲 > 夜の屋上。
今日は早く帰る予定だったのだけれど、結局遅くなってしまった。
テスト期間中だというのに、新設の部署のための書類運びやら、机の用意だとかそう言う手配でも忙しくこんな夜になってしまった。
生真面目に夜遅くまで仕事する者はそんなに多くないのだが、そこはこの少女のいいところなのだろう。
その手には長方形の色紙が三枚ほど握られている。
今日は七夕で既に夜。
無記入のまま短冊を手に持ったままだ。
「お昼には書こうと思ってたんだけどね…」
苦笑して紙を手にして屋上のフェンスによりかかり、空を見上げる。
ご案内:「屋上」にラヴィニアさんが現れました。
■遠条寺菖蒲 > 短冊には願い事―― 一般的にはなにかの上達を願うものだと言う。
であれば、何を願うべきだろうか。
なんて少し顔を下に落として三枚の色紙を眺める。
■ラヴィニア > 「一体何をお持ちになられているのですか?」
菖蒲の頭上から声が落ちてくる。
もし見上げるならば、フェンスの上に修道服のようなスーツで立ち、そのロングスカートの裾をスリットからはためかせている少女が目に入るだろう。
夜空に橙色の瞳が爛々と燃えている。
■遠条寺菖蒲 > 驚いた。
けれど、驚いたような顔ではなくどこか嬉しそうな顔をして上を見る。
「短冊っていう七夕の飾りにするものの一つかな。
それと器用だなって思うけど、危ないし私が男の子だったら別の意味でも危ないかもしれないよ」
スカートなんだから、と微笑んで見上げる。
声で自分の知っている後輩であると察して微笑みかけて答えた。
そしてやや遅れて。
「こんばんわ、ラヴィニアさん」
と軽く体を揺らして夜の挨拶をする。
■ラヴィニア > 「これは失礼いたしました。はしたない真似をしてしまいましたわ」
ひょいと菖蒲の前に着地する。
両の口角をわずかに釣り上げ、微笑のままスカートの端を摘んで会釈した。
「夜分遅くごきげんよう、お姉さま。
タンザク……タナバタ、ですか? 名前は昨日今日あたりで何度か目にしましたけれど、こちらの祭事でよろしいのでしょうか」
小首をかしげて菖蒲の手のものに視線を移した。
今年から来たばかりなので、その手のイベントの知識がないのである。
■遠条寺菖蒲 > ラヴィニアの疑問を耳にして少し首を傾げそうになり、彼女の出身を思い出す。
「ラヴィニアさんは初めてだものね。
それじゃあ、知らなくても仕方ないか」
と言って菖蒲は夜空を見上げる。
「日本に昔からある祭事、イベントの一つでね。
なんでも空の星々に物語を重ねて見ているのだとかそういうものらしいのだけれど、私も詳しい訳じゃないの」
と言って苦笑する。
「七夕はそのイベントの名前で、棚機女(たなばたつめ)って禊、清めの行事から名前をとっているって聞いたわ。
そして短冊は、七夕で竹につける飾りの一つで何かの上達を願ったりするものなんですって。
私も人から聞いた程度でそういうイベントとしか教えられないのが少し恥ずかしいわ」
少し頬を赤くして詳しく教えられない事を恥ずかしがって上手くラヴィニアの顔を見れない。
■ラヴィニア > 相手が見上げるのにあわせて空を見上げると
「なるほど、ギリシャ人の物語のようなものでしょうか?
夜空に輝く星というものはロマンチックですものね」
頷いて視線を下げる。
視線を上げたまま戻さない菖蒲の方をじぃっと見上げたまま
「ミソギ、キヨメ……何かを綺麗にするということはわたくしも好ましく思いますわ。
願い事と言いますと……あぁ、ん、Albero di Natale……クリスマスツリーですわね?なんとなく想像ができましたわ」
故郷のイタリアではクリスマスツリーに願い事を吊るす風習もある。
それを思い出して、微笑んだ。
菖蒲が視線を下ろすのを待っている。
■遠条寺菖蒲 > ラヴィニアがなんとなく理解してくれたのを察して、顔をラヴィニアに向けて
「良かった。ラヴィニアさんの故郷にも似たような風習があって」
少し恥ずかしさで赤さを残す顔で微笑み言う。
まだまだ子供っぽさを残したそんな顔をして。
誰かにこういう風にはじめから何かを教えようとするのは大変なんだなぁと思考の隅で世話になっている人の顔を思い浮かべた。
■ラヴィニア > 「ええ。ツリーに雪のように白い紙を吊るすのです。
こちらは緑の竹に……色紙で飾り付けるということですね。
そういえば昼間に見かけた記憶がありますわ。
近づいて見なかったので気づきませんでしたが……あれが願い事だったのですね」
顔を赤らめたままの菖蒲の顔に笑いかけて、すっと目を細める。
それで、と切り出した。
「お姉さまはタンザクには、何を?
何か手順などはあるものなのでしょうか?」
言外に自分も書きたいな、という希望を添える。
■遠条寺菖蒲 > 「そうなんだ。日本のクリスマス……私の知ってる限りじゃ願い事じゃないから、
なんだか新鮮な話ね」
と興味深そうにラヴィニアの言葉を聞いた。
短冊に何を、と聞かれて少し悩むようにして、
「それを、今ちょっと考えてたの。
…三枚もあっても仕方ないから、ラヴィニアさんも書く?」
と言って胸ポケットから細筆の油性マーカーを取り出す。
「特に手順て言う程のことはないと思うけれど、書いたら竹に飾り付けて終わりじゃないかしら?
きっと、それを願ったという事が大切なのかもね」
よく知りはしないけれど、自分なりの考えでそう菖蒲なりの解答でラヴィニアに言う。
■ラヴィニア > 「場所が変わると風習は大きく変わりますものね。
こちらのイベントはお教えくださると嬉しいですわ」
そうして短冊とマーカーを受け取った。
「ありがとうございます! ふふふ、何に致しましょうか。
上達の願い事……でしたかしら、言われてみますと確かに考えこんでしまいますわね」
短冊とペンを手にしたままフェンスの向こうの地上に視線を飛ばす。
キャンパスの中、照明を受ける笹を見下ろした。
■遠条寺菖蒲 > 「それじゃあ、私は少し委員会の仕事が効率よく上手く出来るように。
とかにしようかしら」
こうして夜まで残って仕事してしまったのもきっと仕事の効率が悪いからだろうと考えて菖蒲そう言う。
菖蒲はスカートのポケットからボールペンを取り出して、生徒手帳を下敷きにして書きだそうとする。
「ふふ、こうして家の外で誰かと七夕や行事の話をするなんてちょっと今までは考えたことなかったな」
笑いながら菖蒲は小さな声で呟いた。
どこか楽しそうにペンを走らせる。
■ラヴィニア > 「あら、お姉さまが早く帰られるようになりますと今晩みたいに会うことはなくなってしまうかもしれませんね」
残念ですわ、という表情は本気で言っていないのがわかる。
浅い半眼に同じく浅い口の笑み。いつもの表情であり、楽しんでいるという表情でもある。
「それはそれは。
わたくしも貴重な体験をさせていただいております。
家は……お姉さまの方はご家族の方は……わたくしの方は前に申し上げた通り、修道院暮らしでしたけれど」
この学園に来ていなければ世界中を飛び回っていたはずだ。
それが、祓魔師として公安委員の仕事をしているとはいえ、こうしてプライヴェートな会話を楽しめている。
勿論その務めは別の誰かが果たしているのだろうが、それを慮るには、少女も強欲の罪から逃れていない。
■遠条寺菖蒲 > 少し書きかけたところでラヴィニアの言葉を聞いてペンを止める。
「そうね、こういう吃驚がなくなるのはちょっと残念かも知れないわね」
じゃあどうしようかしら、と首を傾げた。
その顔は困った訳でもなく、どこか嬉しそうに自分がソレで悩むことを少し喜んでいると菖蒲本人が気づいていない。
「私の家族はこの島には来てないのだけれど、今はマンションで家政婦さんと二人で暮らしているの」
少し変な人だけどいい人なんだよ、と笑顔で言う。
実家の家族のことはよく知らないが、家政婦のことならば少しは語れるくらいには親しいと言う雰囲気で菖蒲は言う。
■ラヴィニア > 首を傾げる菖蒲の顔をふふふと見ていたが、続いた言葉を聞いてすうっと目の端に月光の輝きが灯った。
「あら、家政婦の方とお二人で。
善い方なのですね、それはそれは……」
先も家族の事に対しては歯切れが悪かった菖蒲が、打って変わって楽しそうに語るのを見る。
だから、親しい友人などについて触れる時のような調子で口を開いた。
「どのような方でいらっしゃるのですか?」
■遠条寺菖蒲 > 今の家族同然である家政婦である灰須ヘラの事を聞いてくれるのが嬉しくて菖蒲は問いに答える。
「ヘラさん、灰須ヘラって名前で十歳ほど年上の人なんだけど、六年前までここで生徒で卒業してからは学園内で働いて過ごしてたんだって。
なんだか、お姉ちゃんがいたらきっとこんなかんじなのかなーって感じの人なんだ」
六年前まで生徒会の幹部であった女性であるため後で調べればいくつかの情報はすぐに出て来ることだろう。
「車のが好きらしくて暇があればよく車のメンテナンスをしてるんだよね。
そのうちドライブにもいこうかだなんて話も最近してね」
とそこまで言って少し自分がはしゃぎ過ぎてるような気がして顔を真赤にして慌てる。
「あ、そんなところまでは聞いてないよね。
ちょっと嬉しくてごめんね」
えへへ、と首のうしろに手を回して笑いながらそう軽く謝罪する。
■ラヴィニア > まくし立てる、と言っても多少は許されるであろう菖蒲の言葉に、一瞬だけ目を丸く開いた。
それもすぐに据わった瞳へと戻り、胸の前でペンと紙を挟んで両手をあわせる。
「お姉さまの、お姉さまでいらっしゃいますのね。
そんな方とご一緒にお住まいというのは、羨ましく思いますわ」
司教様たちに不満があるわけではございませんよ、と念押ししてから
「ドライブ。楽しそうでよろしいですわね……灰須、ヘラ様」
噛んで含むように名を飲み込む。
慌てた菖蒲にいえいえと笑って返した。
「お姉さまのお話を聞くのは楽しいですから。
いくらでもお聞かせ願えれば、わたくしとしては嬉しいですわ」
言いつつ、ペンをとった。さらさらと短冊の上を滑る。
■遠条寺菖蒲 > 「そう言って貰えるなら嬉しいわ」
ほんとうに嬉しそうに目を細めて微笑み、付け加えるように続ける。
「ヘラさんが姉なら、ラヴィニアさんは妹かしらね」
ラヴィニアさんは嫌かしら、と伺うように言う。
少しだけ三人で笑う姿を夢想して少しだけ変な感じがしてくすりと一人笑う。
それから僅かに考えて。
「良ければ今度暇な時にでも私の家に来てみない?
ヘラさんもきっと歓迎するわ」
ラヴィニアが短冊を書きだしたのを見て、
菖蒲は何を書くのだろうと覗きこもうとしてしまう。
■ラヴィニア > 「妹、ですか。
うふふ、ありがとうございます」
会釈して書き終える。
自宅に誘われれば、まあ、と珍しく口を開いて笑った。
「よろしければ是非に。伺えることを楽しみにしておりますわ」
そうして菖蒲が短冊に興味を見せれば、あっさりとそちらに向ける。
イタリア語だったので、
「ああ、『掃除』をもっと早くこなせるようになりますように、と書かせていただきましたわ」
■遠条寺菖蒲 > 「ラヴィニアさんは掃除が好きなのね」
イタリア語は読めないのでそのまま納得して、そう思った
その掃除と言う言葉にどんな意味があるかは分かりやしない。
「今日は流石に無理だけれど、今度ラヴィニアさんの時間の空いてる時でも教えて貰えれば嬉しいわ。
そうだ。ラヴィニアさん携帯電話とか持ってる?」
持ってれば電話番号とか交換しないか、と提案する。
ポケットから取り出したのか古めの折りたたみ式の携帯電話を菖蒲は手にしていた。
■ラヴィニア > 「そうですね……好きですわ」
少し遠い目で答えてから、続く言葉に苦笑してみせる。
「はい、携帯端末なら持っております。
まさかそれほど保守的な人間ではございませんよ」
勿論、本当にそう思われているというつもりはないだろう。
取り出したのは存外最新型の端末で、公安の連絡などがあるからというのもあるのだが。
手慣れた手つきで操作し、
「アドレスの方、送りますので……はい。よろしいですか?」
■遠条寺菖蒲 > 「ありがとう」
静かにそう答えて微笑む。
一度大事そうに携帯を両手にもって胸の上で大切そうに握る。
「あ、一度メール送信するね」
携帯を手に入れた時からのデフォルトメールアドレスで『遠条寺菖蒲です』という内容でメールを出す。
打ち終えてから送信をしてから、
そうだ、と口ずさみ。
ボールペンを再び手にして動かし出す。
■ラヴィニア > メールを確認したところで、菖蒲がボールペンを動かし始めたのを見て首を傾げる。
「……お姉さま?」
そのままの姿勢でしばらく待ち。
■遠条寺菖蒲 > 「上達ごとじゃないんだけどね。
“みんなが笑顔で居続けられますように”ってね」
特に上達を願うだけじゃなくてこういうのでも今年はいいかなって、とはにかみながら言う。
「なんだか子供っぽいけど」
■ラヴィニア > 「いえいえ、そんなことはございませんよ。大事なこと……ですわ」
目を細め眩しそうにはにかむ顔を見上げる。
「では降りてタンザク、をつけましょうか。
帰らないと家政婦の方も心配されているでしょうから」
言って、裾をはためかせながらくるりと踵をかえす。
■遠条寺菖蒲 > 「そうかな……ちょっと恥ずかしいけどね」
ちょっとだけ下を向いて呟いた。
「そうね。折角書いたんだから飾りにいかないとね!」
ヘラさんにはちょっと遅くなるってメールしてるから大丈夫だよ、と付け足してラヴィニアの後に続くように動く。
ご案内:「屋上」からラヴィニアさんが去りました。
ご案内:「屋上」から遠条寺菖蒲さんが去りました。