2015/07/30 のログ
ご案内:「屋上」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > (夏休み初日、午後。
デッサンの講習会を終えて、屋上のベンチにひとり横たわっている。
西日が建物に遮られ、日陰を風が通り過ぎてゆく。
ベンチの端から足を床に投げ出して、頭の傍には飲みかけの緑茶のペットボトル)
「………………、」
(すう、と静かな寝息。
腹の上にはタイマーをセットした、シャンパンゴールドのスマートフォン。
眠っているらしい)
■ヨキ > (不意に、ぱちりと目を開く。アラームはまだ鳴っていない。
スマートフォンを持ち上げ、時刻を確認して、)
「…………なんだ……」
(設定した時刻まで、あと3分ほど。
目覚まし時計の通りに眠っていられないのはいつものことだ。
それでも何となしにがっかりした様子で、目元に腕を載せる)
ご案内:「屋上」に美東暦さんが現れました。
■ヨキ > (階下に蝉の声を聴きながら、ゆっくりとした呼吸を繰り返す。
講習会か、あるいは来学期のことか、はたまた――とにかく、じっと考え事に耽っているらしい)
(――ぴ、)
(アラームが鳴り掛けたその一瞬のうちに、手早くタイマーを切る。
んん、と小さく唸って、むくりと身を起こす。
くしゃくしゃの黒髪が、いくらか乱れている)
■美東暦 > 鳴らず止んだアラームがほぼ同時か、段に足音を鳴らし屋上へ出る。
西日を目の当たりにして目元に手をかざした。
フードを上げた白いパーカーが光で妙に照る。
口ずさんでいた洋楽を止めて、「おおおぉお……」と意味のない声を漏らした。
翳さない指先は銀色の缶を下げている
■ヨキ > (ベンチに座り直し、髪を掻き上げる。
眼鏡の下に指を差し入れて目元を擦り、ペットボトルを取る。
中身をぐいと煽ったところで、やってきた人影と、その声に目を向ける。
小さく笑って、)
「…………、やあ。散歩かね」
■美東暦 > 夏期の休みも始まって、わざわざ日の近い此処に誰が来ていると思っていなかったのだろう。
ヨキの声に、パーカーの丸い頭が一瞬震えて振り返った。
「おぉう……っ!? あ、ヨキ先生こんちわーっす」
細長い缶を振るのは、一昨年度に年金工の講義をとっていた数少ない生徒の一人だ。
授業態度はともあれあまり手先の器用な人間ではなかった。
散歩かとの問いに曖昧な笑み。
暑さを避けようと日陰へと歩み寄る。
「いやぁー、ちょっと美術部にまた顔出してみようかなー……とか思って」
■ヨキ > (それが知った顔であることを認めて、軽く手を掲げる。
振り返る様子に、可笑しげにくすくすと小さく笑った)
「久しいな、美東君。元気にしていたかね?」
(日陰へ向かって歩む姿に声を投げながら、ベンチの隣を空ける。
美術部へ、と聞けば、ほう、と感心したような声を上げて)
「そうか。それは嬉しいことだな。
部の方は他の先生に任せてあるから……ヨキもすべてを見ている訳ではないが。
ともあれ、美術に触れてくれることは嬉しいよ。
君は、興味の幅が広かったからな。真面目で話も巧くて、印象に残ってる。
何か部でやりたいことでも思いついたか?」