2015/12/09 のログ
ご案内:「職員室」にヨキさんが現れました。
ヨキ > (十二月。年の瀬前に、ヨキがデスク周りのこまごまとした整理をしている。
 生来の整理魔であるからして、元から十分すぎるほどに小奇麗なのだが、それでも本人にとっては雑然としているらしい。
 大きな身体を丸めてデスクの下に潜り込み、書類や備品の入った箱を整頓している)

(ガン!)

「痛てッ」

(けたたましい音を立てて、机の引き出しに後頭部をしたたかに打ち付けた)

ヨキ > (もぞりと机の下から這い出てくる。
 必要のなくなった書類はどしどし裁断し、アイディア主婦のごとき細やかさで小物類を片付けてゆく。
 机上に整然と収まったバインダー類を見ながら、ふっとほくそ笑んだ)

「さすがヨキ。美しい」

(オフィス用品のモデルルームと見紛うデスクの前で仁王立ち。
 現在の時刻、ヨキは電話の番をしている。今のところ、室内に他に人はない。
 独りニヤつきながら、壁際の事務用キャビネットへ掃除の手を移す。
 太い油性ペンで『クリスマス』と書かれたダンボールを、キャビネットの上から易々と下ろした)

ヨキ > (クリスマス。現代日本において、正月と並びウィンターシーズン最大のイベントであろう。
 《門》解放以後さらに著しく文化のるつぼと化した常世島で、どれほどの人間がそのイベントを享受するか定かではないが。
 中に入っているのは、年少の生徒らが拵えたリースやオーナメントの類である。
 市販品にべったりと拙く色を塗っただけのダーラヘストを箱の中から取り出しながら、小さな声で鼻歌を口ずさむ。
 このごろ流行りのロックバンドの新作で、テレビでもよく流されている曲だ)

ヨキ > 「ひッ……ぶしゅん!!」

(キャビネットの上からはらはらと舞い散った埃に中てられて、でかいくしゃみを一発)

「くしゅん!ひぐッしゅん!!」

(二発。三発。ずび、と鼻を鳴らして、忌々しげに頭上を見遣る。
 アイディア主婦の次は姑の眼差しでキャビネットの上を人差し指で撫でる。埃のかたまり)

「…………!!」

(不倶戴天の敵とばかりに目を見開き、急いで湿らせた雑巾を用意する。
 引きずってきた踏み台の上に立ち、がしゃがしゃと拭き掃除をも開始した)

ヨキ > (雑巾を洗っては拭いてを繰り返し、普段の掃除では行き届かない奥の埃まで拭い取る。
 やがてチャイムが鳴り、他の教師らが職員室に戻るころには、普段よりも心なしか清潔さを増していることだろう。
 そうして職員室の片隅には、ちょこんと飾られた小さなクリスマスツリーがひとつ。

 ヨキの姿はすでになく、自分の行う講義に向かった後だ。
 その日は校内のそこかしこで、くしゃみをするヨキの姿があったという)

ご案内:「職員室」からヨキさんが去りました。