2016/01/15 のログ
ご案内:「保健室」に奥野晴明 銀貨さんが現れました。
ご案内:「保健室」に蓋盛 椎月さんが現れました。
奥野晴明 銀貨 > ある日の午後、もたもたとミルクティ色の少年がサイズに合わない制服を袖をまくったり
だぶだぶのまま引きずったりして保健室への道を歩いていた。

目当ての教師がいるであろう部屋の前まで来ると懸命にドアを開けようとしてもたつき、
控えめにノックして中へ呼びかける。

「せんせぇ、蓋盛せんせぇ……いらっしゃいますかぁ?」

その声はいつも聞き知っている声より随分と幼く舌っ足らずだった。

蓋盛 椎月 > 「やってるよ~」

気だるそうな声を上げる蓋盛。
スマートフォンから手を離し、デスクから立ち上がって扉を開けに行く。
慣れた声であったが、どこか違和感を覚えて首をひねる。

「やあ、銀貨……」

扉を開けて今度は反対方向に首をひねった。
茫洋とした眼差し。
想像した高さに彼の顔がなかった。

「なんかおかしくない? なんか」

反応に窮して怪訝な声が出てしまった。

奥野晴明 銀貨 > 蓋盛が扉の先で見たものは全長が彼女の胸のあたりにしかなく
どうみても6歳前後に縮んでしまった奥野晴明銀貨であった。

ぼんやりした薄紫の眼で蓋盛を見上げると、いつもの作ったような笑みではなく
子供が迷子になってようやく親が見つかったというような安堵の微笑みを向けてきた。

「せんせぇ、よかったぁ……あのう、ちょっと休ませてください」

そういうとずりずりと制服を引きずって保健室の中に入る。
肩口が下がって肌蹴てきた、構わず子供は丸椅子にちょこんと座る。

蓋盛 椎月 > 「…………」

目の前の現実にどう対応していいのか判断しかねて、
保健室に入っていく銀貨(小)を真顔のまま見送る。

「……いいけど。
 新手の異能使いの攻撃でも受けたか?」

常世島で何が起こってもそう驚かない自信はあるが
さすがに身近な人物がそれを被れば話は違う。
なんとも言いがたい表情で乱れた着衣を指で整えてやった。

奥野晴明 銀貨 > 「ううん、違うんです。ええっと、時魔法の実技だったんですけどぉ
 同じ班の子がちょっと失敗しちゃって、それで咄嗟にかばったらこうなっちゃいました」

えへへ、と自分が失敗したわけでもないのになぜか恥ずかしそうに笑う。

「それで担当の先生に一応保健室で検査してもらって異常がないかどうか確かめてもらいなさいって。
 もしかしたら研究所のほうに連絡してもらうかもしれないですけど……」

奥野晴明銀貨は常世の異能研究機関で大切な被検体であり研究対象である。
何か異常が起こればすぐに連絡することが義務付けられているのだ。

「んんーでも僕の見た感じだとそれほど厄介な魔術じゃないですからー
 たぶんそのうち解けると思います。
 だけど、なんかね、ちょっとこう、周りの見る目が怖いっていうか……変なのでー退避しに来ました!」

常日頃の冷静な言葉づかいとは違い、どうも精神も見た目に引きずられているのか
子供がたどたどしくなにが楽しいのかぴょんぴょこ身振り手振りでしゃべる黄色い声といった感じである。

乱れた着衣を整えられると嬉しそうにありがとうーございますー!と笑みを浮かべる。
もともと控えめに言って美少年だったが、幼くなるとたちまち中性的な愛くるしさが前面に出て、人々が向ける視線の意味もうなずけるような気がする。

蓋盛 椎月 > 「そうか……
 胎児まで戻らなくてよかったね」

明らかにコメントに困っている様子だった。
魔術や異能関係の事故に遭ってここを訪れる生徒は少なくはないが、
さすがに子供に戻ってしまうケースははじめてだ。

元は十四歳――いや十八歳の、わちゃわちゃと小さな手を動かしながら喋る様子に、
なにか見てはいけないものが目の前にあるかのように視線を逸らした。

「実はあたしの知らない銀貨の弟様だったりとかでドッキリとかじゃない?
 カメラ回ってない?」

恐る恐るといった手つきで一応彼の血圧、脈拍、体温などを測ってはみる。
といってもこれだけ元気ならする必要など無い気もするが。

奥野晴明 銀貨 > 「そうですねぇ、あと記憶も戻らなくってよかったなぁ。
 せんせぇのこと忘れちゃったらショックですもの」

蓋盛に検診ついでに触られるとふふふ、と嬉しそうに口元を緩める。
特に異常はみられないし、普通の子供と同じ健康体であった。

ドッキリとかじゃない?との言葉に少し頬を膨らませて

「もぅ!先生ちゃんと僕の家族構成知っていらっしゃるでしょう?
 今はーちゃんと血のつながった人は僕一人きりですー!

 そんなに信用ならないなら、先生の体にあるほくろの数とかー
 今までえっちした回数とかー教えて差し上げますよ」

えっへんと小さな胸をそらして腰に手を当てる。
それに、と小さく呟いて

「僕みたいなのがそう何匹もいるなんて、恐ろしい世界でしょう?」

その時だけは子供らしからぬ寂しい表情を見せた。

蓋盛 椎月 > 「はい、異常なし……と」

《イクイリブリウム》ならこの変化もおそらく解除は可能だろうが、
どうやらまったくの健康体であるようだし、
本人が大丈夫と言っているならそう慌てる必要もないだろう。

「わー、わかったから、その姿でそういうこと大声で口にするな、
 外に聞こえたらどうすんだ」

完全に幼子の振る舞いの彼からそんな言葉が出るとさすがの蓋盛もぎょっとして、
両手でよせのジェスチャーを取る。
前にどっかの狐に自分が同様な目に遭わされたときもここまで幼くはならなかったろう。

寂しげな表情を見せれば、ぽん、と彼の頭の上に手を乗せてやる。
どこぞの狐が化けてからかっているのでもないとようやく確信した。

「安心しろ。
 そんなにたくさんいたらまとめて囲ってハーレムにしてやるよ」

ニヤ、と笑ってみせた。

奥野晴明 銀貨 > ありがとーございますっと検診に礼を言って足をぱたぱたとさせる。

少しだけいたずら気に笑うと

「この姿だとやっぱり危ないですかー?駄目ですかー?
 んんー、先生はやっぱり幼すぎるのはダメなのかなぁ。
 でもちょっと背徳感とかありません?」

ちらちらと伺うように着衣のすそをまくって誘惑してみたりする。

だが頭を撫でられればじぃと蓋盛見つめて、

「先生のえっち、ハーレムだなんて欲張りさん」

彼女の不敵な笑みに、安堵の表情で目を細める。

蓋盛 椎月 > ずいぶんと小さくなった銀貨の脇の下に両腕を通して抱え上げ、
彼を膝の上に乗せた体勢で自分の使っている事務椅子の上に一緒に座り直す。

「何を今更。
 あたしが欲張りで節操がないのはきみも知っているはずでしょう。
 記憶に障害でもできたか?」

幼子を白衣の袖に包まれた腕が緩く抱きしめ――
銀貨の服の裾から指先が忍びこむ。

「念入りに検診してくれようか」

冗談めかした言葉ではあったが、向けられる視線は明らかに幼児へのものではなかった。
銀貨の耳に湿った息が絡みつく。

奥野晴明 銀貨 > 蓋盛に抱え上げられ膝の上に乗せられれば子猫のようにおとなしくなる。
相手から伝わる体温にしっかりと背を預けて、ふふんと嬉しそうに鼻を鳴らす。

「そうですねぇ、先生は欲張りで節操がない方ですものねぇ。
 そこが好きなんですけど」

服の隙間から彼女の指が忍び込んで来れば、はぁとこれまた幼子には似合わなぬ熱っぽい吐息を漏らす。
この後研究所で再検査されたらばれるなぁとは思いつつも誘ったのは自分なので仕方ないと諦めた。

耳にかかる蓋盛の湿っぽい吐息にぶるりと体を震わせて頷いた。

ちらりと衝立の向こう側、カーテンに覆われたベッドのほうを見つつ
「ああ、そういえば」
とのんびりとした声を上げた。

「先生、せんせい、する前にお話が合ったのを思い出しました。

 ええっとですね、僕の卒業後のお話なんですけれどもぉ」

甘ったるい幼児の声が緩い調子で話しかける。

蓋盛 椎月 > 「あたしはきみの子供らしくない子供っぽさが好みだね」

目を細めて囁いて、指先が子供らしくぷにぷにとした肉を弄ぶように摘む。

「進路?
 何か志望でもあるのかい、銀貨」

裾の入り口で柔肌をくすぐっていた指をするりと抜いて、
代わりの暖を求めるように小さな手を握る。
そういえば冬も半ば、卒業シーズンも近い。
甘ったるい彼の声がよく聞こえるように、頬ずりするように顔を近づける。

奥野晴明 銀貨 > 「なぁにそれ、僕ってそんなに子供っぽかったですか」

くすくすと笑いながら顔を寄せる蓋盛に自分からも頬を摺り寄せ
互いの指を絡めて手を握る。蓋盛の女性の手の中に今の子供姿の手はすっぽりと収まった。

「ええまぁ、僕の卒業は一年後ですけれどもぉ、
 志望というか義父からの要望というか……。

 この間年明けに家族会みたいな顔合わせをしたんですけれども
 その席で義父に以前から言われてたのですが
 将来は義父の仕事を手伝ってほしいと言われまして。
 まぁ異能が取り柄の僕を傍に置きたがるということは秘書兼ボディーガードみたいなとこだろうと思いますけれども。

 それで、そのまま働くよりはやはり学歴もものを言うだろうしで大学に進学することを許されたんですね。
 日本国内の大学なら大体どこも今の成績で行けるのだろうけれど折角だから海外の大学にしなさいと言われまして。

 ほら、この間留学していたでしょう、僕。
 それの成果もあって、米国か英国の大学へ行けそうなんですよ。

 当たり障りのない経済学あたりをおさめつつ、向こうでも異能の研究対象として自分を提示できそうですから
 そういう感じに進もうかなぁって思っているんですけれど。

 で、ですね。ここからが肝心なんですよぉ」

一呼吸置いて咳払いする。今の姿ではあまりに合わない。
よいしょと蓋盛の膝の上で体を反転させて彼女に向き合う姿勢に座りなおす。
じっと顔を近づけてその瞳を見つめる。

「あのですね、卒業したら僕と一緒に海外に行って一緒に暮らしませんか、っていうお誘いなんです。

 先生さえよければなんですけれども、でも無理強いはしたくないし……
 だからもし嫌だったら断ってくれてもいいですよ。
 急な話ではないから、ちゃんとよく考えて返事してくださっていいですしそれまで待てます」

どうでしょう?と小首を傾げて彼女の肩に手をのせる。

蓋盛 椎月 > ふむ、と相槌を打ちながら神妙な顔で銀貨の身の上についての話に耳を傾ける。

「おめでとう、と言うべきかな。
 ……海外、か」

ここだって本土にしてみれば海外のようなものだが、重要なのはそこではない。
当然この常世学園の養護教諭という職からはおさらばとなる。

肩に置かれた手の甲を指でさする。
即座に答えることはしない。

「どうせ行くんだったら何か面白いことをしたいな」

少し考えて出た言葉はそれだった。
人生のすべてを遊びと称する蓋盛にはなによりそれが第一だった。

「もっと強引に情熱的に誘ってはくれないの?
 黙って俺についてこい、みたいな」

銀貨の人となりを知った上で、あえてそんなことを
微かに笑いながら言ってみる。

奥野晴明 銀貨 > 手の甲をさすられながら蓋盛の言葉にじっと耳を傾ける。

「先生が望むならなんでも、好きなように遊べますよ。
 どうせだったら世界征服でも目指してみます?」

子供らしくない含みを持った笑みを浮かべながら彼女の耳にささやきかける。
自分と彼女ならたぶんそれが可能だということを知っていて。

もっと強引に、情熱的にと言われれば少しだけ真顔で考え込み
そっと幼い唇を彼女の口に寄せて吸い付いた。

少し長めに押し付けた後唇を離し、

「椎月せんせ、来て、一緒に。一緒に来てくれないと、僕、ダメになりそう」

ぎゅうと彼女の首元に腕を回して抱きしめる。
離れたくないと子供が駄々をこねるような様子だった。

蓋盛 椎月 > 「世界征服か。いいね、しおりを作ろう。
 どこから壊すのか考えるのは楽しいぞ」

くつくつと喉を鳴らして小刻みに笑う。


「……ん」

瞼を閉じて受け容れる。
その行為は、奪われる、と表現するにはあまりにも幼い吸い付きに感じられた。
糸のように細めた目で自身に縋り付く銀貨の姿を見た。

「よくできました」

背中を擦りながらのその言葉は、母親か教師が子供にかけるものそのものに思えた。
銀貨の願いに明確な返答をしないまま、再び彼を抱え上げて、
今度はベッドのある衝立の向こうへと足を運ぶ。

「ご褒美、あげよっか」

奥野晴明 銀貨 > 「地球を征服し尽くしたら今度は宇宙にしますか。
 できればこの星の外側からオーロラが見てみたいなぁ。
 きれいなんですって」

どこかで仕入れた知識をしゃべりながら蓋盛の笑いに気をよくした。

幼い口づけを受け入れた蓋盛の顔に満足げに頬を染める。
そのまま衝立の向こう側へ運ばれれば抵抗もしないままベッドの上へ身を横たえた。

ご褒美の言葉に、薄い紫の眼がわずかに潤んで、んっ、と押し殺した声と共にこっくりと頷いた。

「ください、全部」

子供の手が、体が、子供らしくない手つきで自らのだぶついた制服のボタンを外して肌蹴てゆく。
それから蓋盛の体に再度腕を回すとそっと耳に囁いた。

「返事、待ってますから……」

あとは軽く瞼を閉じて彼女にされるがまま体を預けた。

ご案内:「保健室」から蓋盛 椎月さんが去りました。
ご案内:「保健室」から奥野晴明 銀貨さんが去りました。