2016/06/05 のログ
十六夜棗 > 「ここまでは大丈夫ね。」

妙な異能で調理をすると工程に関わらず、酷い物になると言う事はこれで否定できた。
出来上がったお刺身をみて、ひと安心。

「次は、調味料を種類を少なくして混ぜるわ。
醤油、みりん、すり生姜。」

三種で合体事故はきっと起こらない。
三つを生姜だけ少なめにしてボウルに入れて混ぜ合わせ、さっきのお刺身を入れて馴染ませる。
そして、鍋蓋でいいので蓋をする。

「じれったくなるかも知れないけれど、味をつける時は馴染ませてちょっと置くといいわ」

じゃあ、やってみて、と別のボウル等を差し出し。

松渓つばめ > 「味をなじませてちょっと置く……ね」

この娘先ほどは立派に三種類の調味料で合体事故を起こしてみせたのだが、『火』が関与していないだけで落ち着いたものであった。

「へぇ生姜……そういえば生姜焼きなんてやりかたもあったっけ」と言ってから、
ぽっと頬染めて名探偵のポーズのように顔押さえて少し咳込んだ。
「そそーいえば棗ちゃんどっか行く途中?邪魔じゃなかった?ってか邪魔だったよね」みたいに急に別の話題を振るなど、そんな妙なリアクションを見せつつもつばめの顔は本気そのものであって。

「こうやって味を付けてからなのね、火ー使うのは」
IH調理台と味付けの完了した素材を、しゃがんで交互に水平の視線で眺めながら、当たり前のことを口にした。「揚げ物だけかと思った。道理で……天ぷらは美味しく出来るワケだわ」そりゃあね。

十六夜棗 > 「そう、ちょっと置くの。」

これなら大丈夫、とほっとして。
「生姜焼きもあるけれど、もうちょっと料理に慣れてからがいいわ。」とか。
「いや、用事があったと言う程じゃないわよ。」とか、なんとか振られた話題に対応して、次の手順を忘れない様にするのがやっとの一杯一杯。

「そうね、基本的には味をつけてからよ。今回は火は使わないのだけれど。」
使ったら、多分失敗する。
自分自身カツオは殆ど扱っていないのだから無理はしない。
きゅうり、レタス、万能ネギを持ってきて、
きゅうりは千切り、万能ネギを刻んでレタスは適当に切って。
後はお皿に蓋をしていたお刺身と一緒に盛り付けるだけ。

「カツオのサラダ、兼ご飯に乗せればツケ丼の具、サンドイッチにも挟みやすいお手軽メニューね。」

手抜きメニューとも言うかも知れない。

松渓つばめ > ――種明かしをするならば。本来のレシピは理解していても、それをまともに再現できないタイプの料理オンチ、それが娘。

「きゅうりに、レタスに、ネギ。……刺し身サラダね!」
故に。手本がなければ作られたのは、
魚の刺し身の上にレタスをぶちまけ上から醤油をかけた創作料理……『新緑の魚発掘現場――醤油の梅雨に熱をあげて』であったろう。上がるのは血圧である。

先ほど『上手く揚がる』と言っていた天ぷらも、ただ揚げてクッキングペーパーに並べるだけのものだったのだ。

しかし……「こ、これは……」成し遂げた。明らかに無害な料理である。
そして、つばめは体の中で朗らかにテテテテッテッテッテーと鳴るのを感じていた。
「すごい。美味しそうだわ。たべてみてもいい?」この上なく感動。自分の作ったもので「食べたい」と思える感動。

十六夜棗 > 「味を染みこませたお刺身のサラダって色々使えるのよ。」

ちゃんと出来た。
マグロの赤身でやった方法で無難に出来た。
どんな方法で異臭が発生していたのか、その原因は解らないままだけれど、やり遂げた気持ちで一杯になりかけていた。

「ええ、食べましょう。食べて味を確認して、やっと作り上げられたって気持ちになれると思うわ。」

この辺はちょっと人とずれている感覚かも。
食べて味を見ないと慣れていない食材は安心できない。
だからまだやり遂げたではなくて、少し緊張の色が表情に混じっていた。
では、お箸を手に、いただきます。

松渓つばめ > 「うんうんっ、やっぱ試食してみないと。でもあたし、コレ失敗とは全然思えないわ」
作ったのは自分だけれど、ある意味目の前の少女の手料理とも言えるだろう。
躊躇なく口に押し込んだ。

勿論……手の込んだ複雑な、そういう美味しさとは別物である。しかし素材は良く、美味。
「ッ、生姜の香りが味醂にマッチして、カツオの臭さは鎮めたままに優しい甘みと香りが生きている…!……和風なのにレタスが合うわ合うわ…で……!」
服がはじけたらダメなので、窓を開けて遠吠えをしていた。オーバーだが、それくらいの感動とでも言いたいのだろう。

「―――なんてこった。ウマ、これウマ」幸せそう。「これ、生姜をワサビにするとかお酢系のドレッシングとか、色々できるんじゃない?」レベルが上がっている……!

十六夜棗 > よし食べよう。
大丈夫、失敗要素はない。
自分に言い聞かせて一口。

素材よし、しみこませた混ぜタレがちゃんとカツオの身にあっている。
しみじみとこのタレ便利だなぁと噛み締めている直ぐそこで感動の渦に包み込まれていそうなつばめさんが見えた。

「ん。それは良かったわ。
良かったんだけれど。」

幸せそうな所に水をさすつもりはないけれど、
アレンジャーの気配がする。
ついつい出来上がった料理にアレンジして自爆するような。
そ、そのー、と何かいいたげにでも言えない光景がそこにあった。

松渓つばめ > 酔っ払っているかのよう。軽く左右に揺れながら隣に戻った。
「ぅん?大丈夫大丈夫。まずは基本をしっかりと、でしょ?
しばらくは新鮮さをウリにするような料理つくって、
段々と焼き物やスープみたいなの覚えて、今回みたいな煮付けは最後!」
指を一本、二本、三本と立て、それから手をパーにして笑いかけた。


食器や調理器具を洗って、たっぷりのモツは衛生に気をつけて廃棄廃棄。
気がつけば辺りはまだ明るいものの、月が見える時間。
「んー、それにしても棗ちゃんいて助かったわ!」これお礼!とクーラーボックスを開け。
それなりのサイズのを数匹、冷蔵庫の中の氷と混ぜて。
「焼いて食べると美味しいってバイト先のおっちゃんが言ってたわ。ぜひ貰って?」友情の証と手渡すのです。

十六夜棗 > 本当に大丈夫なのか、怪しそうな素振に見えた。

「ええ、そうよ。
単純な物から順番にやっていけば何とかなると思うわ。」

段階を踏んでやっていく様子で、そこでようやく安心できて、表情が緩んだ。
ゆっくりと食べ終えれば、後片付け。
お皿やボウルにまな板を洗って。ふと近くを見ればクーラーボックスを開けている様子。

「いいのかしら。今回のだって、たまたまって感じだったわよ?」
貰える物はありがたいけれど……
友情?……まともに関わったのがこのお料理だけで?
嫌な記憶が蘇る。
この間もスラムで考えて出した結論を忘れてはいない。
手に、込める。彼女に打ち込んでもいいものだろうか。
私がそれを信じる為の魔術を。でも、ばれると危険でもある。
自然に、自然に。手に込めたプログラムをデコピンの形を作って。

「それは嬉しいけれど、調子に乗りすぎて二段飛ばしとかしそうだからていってしとくわ。」

遊びに行こうとする時に、なぜか最初に十六夜棗の事を思い出す。
お試しレベルで一回で消えるそんな魔術をデコピンに乗せて打ちこもうとする。
少しずつ段階をかけていこう。

松渓つばめ > 「良いの良いのー、ってうぉぅっ」
――魔術の効きがわかるのなら、一切のレジストがなかったことがわかるだろう。

「っててて、降参降参、基礎練習ちゃんとしないとダメでしょ?わかったってー」
額を押さえて、屈託ない笑みを返した。
おまじないが少なくとも、棗にとって悪い形で現れることは無いんじゃないかと思えるような。


「っふふ、今日はホントありがとね。全ッ然話しないの大損だったわ、あたし」
でも、今日からはヨユーで取り戻せそうね。そんなふうに未来を占うのでした。
制服にかばんに大きなボックスという無茶な出で立ちで。

十六夜棗 > 「わかれば良いわ。」

レジストされなかったっぽい感覚が始めてで、それがレジストがないと言う事を知るのはもう少し後の話になる。
ただ今は合わせて微笑んで。

「どう致しまして。そう言ってくれると嬉しいわね。ああ、つばめさん。一応部屋番と携帯位は教えておくわ。」
もし、これで、魔術が通っていて、遊びに行く誘いの連絡が来たら――少しずつ、魔術の度合いを高めてみて、友達を作っても良いのかも知れない。
そんな事を考えながら――片付けを終わらせて、連絡先の交換を申し出て。
本日はお疲れ様、またね、と表向き和やかに帰って行く。お誘いがあれば一緒に寮までは戻るだろう。
それは平穏と、少しの狂気の、始まりになったかも知れない。

松渓つばめ > 「部屋番……なんだ寮だったの!」と、さらに満足気で、ちょっとうるさい程度のおしゃべりが同行するのでしょう――
ご案内:「教室」から松渓つばめさんが去りました。
ご案内:「教室」から十六夜棗さんが去りました。