2016/06/28 のログ
ご案内:「保健室」に朝宮 小春さんが現れました。
朝宮 小春 > 久しぶりに、授業後に吐き気を覚えて動けなくなる。
身体は基本的に強い方だと口にしているのだけれど、本当に強いわけではなく、自分に強いと言い聞かせるタイプ。
バカは風邪をひかないのではなく、気がつかないだけなのだ。

「………うぅ、ん………………」

ぐったりと保健室のベッドで横になりながら、ううんううんと唸る眼鏡。
頭がぐわんぐわんと痛むし、たまったものではない。

原因はよく分かっている。
自宅にかかってきた、ぶしつけな電話。

朝宮 小春 > 彼女は普通の教師である。
確かに異能研究を志し、その夢に挫折し、また更に歩み始めるといった特異な部分はあれど、研究者への憧れや自分の希望であるが故の志である。
そりゃまあ、穏やかに生活ができる、多少の金銭を考えなくも無いが。

異能の力を我が物に、とか。 その力を解き明かして名声を一身に、とか。
それを活かしての国家転覆、とか。 自分で異能力者を作り出しての世界征服、とか。
そういうことに興味はまるで無い。

しかし、世の中はままならないもの。
彼女の母と、彼女の妹はそういうことに興味があったのである。

異端研究の咎で、現在行方不明のこの二人。
試作品の人工異能を行使する危険性もあるため、言うなれば指名手配。


つまり、電話は警察からの捜査協力依頼。

朝宮 小春 > 後ろ指、とまではいかずとも。

彼女がこの場所にやってきて、何度か危ない目に遭いながらも続ける本当の理由はこんなところにもあるわけで。
ようやく1年、2年と数え、自分のポジションを確立している頃にやってきた電話。

いろんなことを思い出して、体調を崩したという次第。


「……あら……。」

目を覚ませば、ぐわんぐわんと揺れる視界の中で時計を目にする。
結構に寝ていたらしい。昼過ぎに終わったのに、もう日が沈み始めている。

この状況でも授業は全部やってしまった自分はきっと馬鹿。

ご案内:「保健室」に蓋盛さんが現れました。
蓋盛 > からり。
戸を引いて、保健室をテリトリーとする教員(わりと居ないことが多い)が足を踏み入れた。
ベッドのほうに人の気配を感じて、シューズをぺこぺこと鳴らして近づく。

「おや。あたしがいない時に限ってこれだ。
 ずいぶんとしんどそうですね。何か飲み物でも用意しましょうか」

ベッドを覗き込んで、気楽な調子で声をかける。
口元にはかすかな笑み。

朝宮 小春 > 「…あ、お邪魔してます……。」

顔面蒼白、からはちょっとよくなった顔で微笑む眼鏡。
まだ頭は痛むけれど、相手の言葉に少しだけ目を瞬かせて。

「いえいえ、大丈夫大丈夫。
 こう見えても身体は弱そうで弱くないって言われるんです。」

ぽん、と胸を叩いてえへん、と威張ってみて。
………3秒後に、頭を抑えた。

「すみません………、ください。」

自分の非を認めることができる社会人。

蓋盛 > 「さすが朝宮先生。
 きついときにきついと言えるのが真の良い大人なのだなぁ」

頭を手で押さえる様子に小さく頷く。
棚をがさごそとあさり、お湯を沸かして飲み物の支度をする。
少し待てば、トレイに乗った透明な耐熱グラスを満たす琥珀色の液体が現れる。
トレイを持つ手の指には絆創膏(どうも最近巻いたらしい)。仄かな生姜の香り。

「頭痛に効くんですよ、生姜湯。
 紅茶やコーヒーでもいいんですけど、カフェインはかえって悪くなっちゃう人もいるんで」

ベッドの傍の丸椅子に座る。

「お仕事頑張り過ぎちゃいました?」

朝宮 小春 > 「ありがとうございます……。」

素直に生姜湯に礼を言い、………受け取ろうとしたところでふと、気がついて。

「……怪我、ですか?
 頑張り過ぎちゃうのは、お互い様じゃないですか。」

苦笑しつつも、その手に触れて悪くさせてしまわぬように、そう、っとグラスを手に取る。
大丈夫ですか? と口にしつつ、目をゆっくりと閉じて口をつけて。

「………いえ。 こう、なんでしょう。 ……笑いません?
 ……いやなゆめを見た、というのが一番近いかなぁ、って……」

ちょっとだけ不安そうにしながら、自分でも照れ隠しのように笑って見せる。

蓋盛 > 「なあに、大した怪我じゃあないし。
 頑張ってる内には入りませんよ、あたしなんて」

絆創膏を巻いた箇所を、手のひらで覆うように乗せる。
生姜湯を口にして、不安そうに零す相手に、目を細めた。
嫌味を感じさせない優しげな表情。

「笑いませんよ。
 嫌な気分になって、それにつられて身体が不調になるのは、むしろ自然です。
 ……何か嫌なこと、思い出しちゃいました?」

朝宮 小春 > 「頑張っている人は、みんなそう言います。」

くすくすと笑いながら、まだ少し青白い顔のままで、湯に口をつける。
相手の優しいその表情に少しだけホッとした様子で、ベッドでもう少し甘えてしまう。

「よかった。 子供のよう、ってよく笑われるんです。
 ………こちらの学園では、無い、とは思うんですけど。

 その。 ええと。

 身内が警察のお世話になると、いろいろこう………」

もごもご。

蓋盛 > 「けいさつ……」

想定外だったか、虚を突かれたように瞬きを何度かすると、
椅子を鳴らして相手に向き直る。

「あたしは、朝宮先生の御身内に関しては詳しく存じあげないのですが、
 朝宮先生は別に関係ないし、悪く無い……
 っていうのは、本人が一番わかっていることですかね」

困ったような笑い。

「御身内の方に関しては……もう、あまりいい思い出ではない?」

遠慮がちに掛けられる声。
ぽん、とベッドのシーツの上に手が置かれる。

朝宮 小春 > 「悪かったら言いません。
 私の悪事って言ったら………マラソン大会に出ろって言われて仮病を使ったことと。
 バレて出場した時にショートカットしたことくらいで。」

視線をそらす。
あはは、と僅かに笑いながらも、相手の反応に動揺がやっぱり透けて見える。

「………………あはは、いやその。
 まあその、それなりに。
 本人たちをどうこうって言うより、噂話とかで前の職場、どうにも居づらくなって。」

困ったように、言葉を選んで選びきれないといった様子で言いながら、視線を落とす。
ここで同じことが起こる可能性を考えないわけではないけれど。
なんとなく、目の前の教師はそうならない、ような気がした。

生徒を前にすると100%先生になってしまうからこそ、今しか言えないこと。

蓋盛 > 「それは大した悪行ですね。
 いえ、すいません。驚いてしまいました。
 ここにはいろいろ妙な経歴を抱えてる方が多いですね、本当に」

ごくささやかな懺悔に、はっはっはと笑ってみせる。

「ああ、そっちでしたか……。
 あたしは、この通り、面の皮の厚い人間ですから。
 あまりそういうことで、悩んだことがないんですよねぇ」

小さく嘆息する。
シーツの上に置かれた手が、朝宮の手をそっと握ろうと動いた。

「……そう。朝宮先生は、頑張ってこられたんですね。
 大丈夫ですよ。内にも外にも悪しざまに言う連中がいたら、
 あたしが撃ってやりますから」

悪い笑い方。
少しだけ身を乗り出して、相手の顔を覗きこむように近づく。

朝宮 小春 > 「後悔していたり、恨んでいたりってことは、無いんですよ。
 私なりに納得しているので。
 妙な経歴を持っていても、ここだと妙の平均レベルが一段階どころか五段階くらい一気に上がってしまうので、私は普通なんですよね。

 ………どうにも、周りの目が気になるちっちゃいところがあるので。
 それに、子供はどうしても素直に取りますよね。」

そっと握られると、ぴくりと驚くのだけれど。
握られるとその暖かさに、こちらからもちょっと握り返す。
眠っていたはずなのにひんやりした手は、ちょっと緊張で硬くて。
ずい、っと顔を覗き込まれると、白かった頬がわかりやすく紅くなる。

「………ありがとうございます。
 でも、そんなことをしたら本当にお世話になっちゃうじゃないですか。
 ………聞いてもらえて、その。 少し楽になりました。」

くすくすと微笑みながら、覗きこまれた顔の鼻をつん、と指でつついて返し。
その上で、握られた……こっちからも握った手は、しばらく離さない。

蓋盛 > 「気にしないでください。
 あたしはきっと、“妙な”人間の力になりたくて、ここに居るんです。
 例えば異能なんかの存在で、普通からは少しズレてしまって苦しんでしまう人の。
 ……何しろあたしもそういう、ズレた人間ですから」

穏やかな声。
大切なものを愛おしむように手を包み込んだまま、目を伏せる。
鼻先をつつかれて、大げさにのけぞってみたりする。

「だからあたしであなたの力になれるなら、
 これほど嬉しいことはないんですよ」

いずれそっと手を離しても……
彼女の具合がよくなるまでは、傍で見守るだろう。

朝宮 小春 > 「………………」

思う。変わり者で妙な母に憧れ、変わり者になろうとして。
なりきれずに引きずりながら、ここにこうしている。
思う。自分の側にこういう教師がいたら、きっと違ったんだろうなと。
小さなことで思い悩み患うことを避けることは絶対にできないのだろうけれど。
それでも。

「椎月先生って、呼んでもいいですか?
 ………………もう少し、このまま。」

今は頼ってしまおう、と心に決める。
先生でなくなると、なかなか手を離してくれない系女子。
実はこっちのほうが年上………なのであった。

蓋盛 > 「ええ。もちろん。お好きなだけ」

見る者を安心させるための笑顔をにじませて、小さく頷き、
ぽんぽんと布団の上から撫でる。拒むはずなどなかった。

保健室の窓から朱い光の差し込むなか、
そうやって寄り添うことが至極当然のことであるかのように、そうし続ける。
甘えられ、手を握られることを心地よさそうに、静かに目を細めていた。

ご案内:「保健室」から蓋盛さんが去りました。
ご案内:「保健室」から朝宮 小春さんが去りました。
ご案内:「廊下」にメルル博士さんが現れました。
メルル博士 > 「あなたの異能は正常に機能しています。
 “ソレ”は異能の暴走ではなく、あなたのその力が次なるステージに進もうとしているのです」
とある授業が終わった後、廊下にてメルル博士は女子生徒より相談をもちかけられていた。
その女子生徒は、どうやら自身の異能に異常がないか不安になっていたらしい。
しかし、メルル博士が携帯している機械を使って診断した結果、ひとまず異常は見受けられなかった。
『そうなの? よかったぁ』
女子生徒は心底安堵している様子だった。

メルル博士 > 『ありがとね、メルル博士。
 そうだ、何かお礼させてくれないかな?』
女子生徒はお礼を申し出たが、それに対してメルル博士は無感情に返事をする。
「お礼……ですか。
 しいて言えばあなたの異能を診断している時に、同時にあなたの異能データを取らせていただきました。
 お礼と言うなら、そのデータという事で結構ですよ」
『そっか。じゃあまたね、メルル博士』
女子生徒はメルル博士に手を振って去っていく。

そして一人残されたメルル博士は、窓から空を仰いでいた。
メルル博士は、別に善意であの女子高生を診断したわけではない。
より多くの異能データを採取する。そのデータを生かせば、異能技術はさらに進歩するはずだ。

メルル博士 > メルル博士は白衣のポケットに手を突っ込むと、廊下を歩み始める。
今日の授業は終わったのだから、研究所に帰って昨日の研究の続きでもしようか。
「可動式ラボも修理しないといけませんね……」
現在、可動式ラボは修理中……。
先日の激しい戦闘により、可動式ラボが損傷してしまったのだ。
「メルル博士は天才ですから、可動式ラボもすぐに修理が完了するんですけどね」