2016/07/16 のログ
ご案内:「職員室」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > (あるひとりを除いて)何を食べても腹が満たされなくなった。
腹が膨れないならばと、毎食のメニューの量が減った。
食べる量が少なくなると――結果的に。休憩時間が増えることとなった。
昼休みの職員室。
人並みの日替わり定食を早々と食べ終えたヨキが、自席で居眠りをしている。
チャラいTシャツにつなぎ姿で椅子の背凭れに寄り掛かり、顔が天井を向いている。
唇が薄く開いてはいるが、息をしているのかどうかよく判らない。
土気色の肌と相俟って、見ようによっては死体だ。
だがこれまでの夏と違って、今年のヨキの首にはあのごてごてと重々しい首輪がない。
生白い首筋に喉仏が浮かんだ格好は、なかなか衆目に晒されることがなかったものだ。
両腕を緩く組み、垂れた耳の陰からはイヤフォンのコードが伸びている。
イヤフォンは机上のスマートフォンにつながっており、ラジオの音楽を流しているらしい。
上を向いているがために、大きな犬の耳もわずかに斜めに垂れ下がっている。
人間と同じ形の耳たぶや、耳の穴が垣間見えているのもまた珍しい。
つまりヨキは、それくらい疲れていた。
■ヨキ > 職員室にはちらほらと教師の姿が見えるばかりで、至って静かだ。
空調の利いた室温に、ヨキの寝顔も大人しい。
時どきむにゃりと唇を動かす様子で、辛うじて生きていることが知れる。
楽曲が切れ間なく流れるインターネット・ラジオはつくづくBGMに最適で、
スマートフォンのアラームをセットした時刻まではそうそう目覚めそうにない。
どんなに疲れていても、髪や肌の手入れと目元の化粧だけは欠かさないのがこのヨキだった。
たとえ丁寧に見た目を整えることが、一層死化粧めいてしまうとしても。
汚いよりは、綺麗な方がましというものだ。