2016/09/27 のログ
ご案内:「屋上」に加賀智 成臣さんが現れました。
■加賀智 成臣 > 「…………ふぅ。」
屋上で遠くを見渡す影が一つ。
……今日は、自殺しそうな雰囲気ではない。
「(……変わる、かぁ……。
………どう変わればいいんだろう。)」
どこか物憂げな顔で、どこを見るともなく遠くを見回している。
ご案内:「屋上」に比良坂 冥さんが現れました。
■比良坂 冥 > そんな青年を貯水タンクの陰からじぃ…っと眺める少女がいた
病人のように白い肌に、骨灰のように白い髪
その瞳は陰よりも深い、溝川のような暗さを宿して
ただただ、その青年を陰から見つめている
■加賀智 成臣 > 「……………帰ろ……うおっ。」
立ち上がる。後ろを振り向く。
……その瞬間、貯水タンクの裏に隠れる少女が見えた。
正直言って白昼堂々幽霊でも出たのかと思った。
「………あの、何でしょう……?」
高い背を丸めて、頭をボリボリと掻きながら挨拶。
雰囲気がなんだか虚無的で、何を考えているのか分かりづらい。
■比良坂 冥 > こちらを向いた青年と目が合う
口早に小さく"飛ばないんだ"と零した声は聞こえたか聞こえなかったか
「……加賀智成臣。2年生、男子寮XXX号室住まい」
「ネガティブで自分を下等評価、苛めの対象」
「発現異能は不屍者(アンダイイング)、原理解明不能、不死身不滅の存在であることだけが立証」
「風紀委員レイチェル・ラムレイ、図書委員・谷蜂檻葉と多少の親交がある」
「苦いものが苦手で、趣味は自殺方法を探ること」
「……合ってる?」
少女の口から矢継ぎ早に吐き出される言葉
その間も、じ…と視線はその目を捉えたまま
■加賀智 成臣 > 「……………。あ、はい。
ただ、一つだけ訂正するなら、僕は苦いものは好きですよ。」
少しだけ目を丸くするも、特に関心がなさそうで、再び眠そうに目を細める。
目の周りのクマが妙に目立つ。
「……で…何でしょう?僕の個人情報なんて調べても、何の特にもなりませんよ。
あぁ、レイチェルさんたちに脅しをかけるとか…そういうアレでしょうか?」
はぁ、とため息をつく。
自分などと多少なりとも親交があるなどと知られたら、彼女らが何を言われるか分かったものではない。
それだけは避けなければ。
■比良坂 冥 > 「……そう、修正しておくね」
訂正を受けると抑揚もなくそう応えて
「……得にはならなくても、特定には使える…。
加賀智成臣に間違いないなら…お願いしたいことがあって。
…自分から誰かに話しかけるのは、得意じゃないから…確信が欲しかった。
………そんな物騒な話じゃないよ」
そう言ってゆっくりとした歩みで近づいてゆく
■加賀智 成臣 > 「はぁ。」
気のない返事で、訂正に返事を返す。
歩まれても、特に何も構えず……何の興味もなさそうな顔で。
「……あの人に近付くな、この人から離れろ、とかならよく言われるんですけどね。
……別にこっちから近付いた訳じゃないのに。それで、何でしょうか…?
僕如きが出来ることなんて大したことじゃないですけど。」
■比良坂 冥 > 「……じゃあ…簡潔に言うね」
密着、といほどではないにしろ、近い位置で足を止める
すっと見上げるようにしてその顔へ視線を上げて
「谷蜂檻葉を犯して」
深い深い陰をその瞳に落として"お願い"を言った
■加賀智 成臣 > 「え、嫌ですけど……」
即答。
「……そんな事したら谷蜂さんが傷付くでしょう……
…特に僕に犯されるとか、多分性器に汚物を突っ込まれたほうが幾分かマシですよ。なんせゴミですし。
……まぁ、多分僕が断っても他所に頼みに行けばいいだけでしょうけど……役に立てなくて申し訳ありません。」
その目は、冥に負けないほどに黒く濁っていた。
死んだ魚と表現するのも生ぬるいほど、負に沈んだ目。
■比良坂 冥 > 「え?」
首を傾げる
かくんっと、首が折れたのかと錯覚するような動き
「だからいいんだよ?
ゴミ以下の人間に犯されて、傷ついて傷ついて傷ついて死にたくなって裏切られて、
そんなどん底の檻葉のたったひとつの光に私がなるの。
大丈夫役には立てるよ。君にしかできないことだもの。
檻葉は君のことを悪く思ってないからどうなっちゃうのかな、本当に。
もしかしたら図書室にも顔を出せなくなるかもしれないし、
もしかしたらもしかしたら傷ついて引き篭もっちゃうかも…。
あ、そうしたら私が二人でいれる時間も増えるね…やっぱりやろう?
ねえ、いいでしょ?
どうせ希望も何もない生き方してるんでしょ、人を傷つけるくらい平気でしょ?
それとも傷つけたくない理由があるのかな。
あるとしたら、どういう理由なのかな。
大丈夫だよ檻葉の傷は私がちゃんと癒やすから。
君は何も考えずあの子をグシャグシャに汚して苦しめてくれればいいの」
…おそらく晴天の下
交差される視線は、そのどちらもが暗く濁る
■加賀智 成臣 > 「はぁ。」
頭をボリボリと掻く。……相も変わらず、興味の無さそうな態度で。
「……人を傷付けちゃいけないんですよ。道徳の授業で習いませんでした?
僕は谷蜂さんを傷付ける理由がありません。したくもありません。
だからやりません。正直、貴女のこともどうでも良いですし。」
……妙に饒舌だ。普段よりも舌の滑りが良い。
吃音も鳴りを潜めている。動悸も無い。過呼吸も起きない。頭痛もしない。目も泳がない。
その代わり、体が熱い。
「中二病だか本物の異常者なのか知りませんけど、そういうのは自分でやってくださいよ。
そうそう、おままごとセットならデパートに行けば売ってますよ。」
ああ、そうか。
これは……あれだ。
人を傷付け、傷付けさせることを平気だと思っている人物への『怒り』。
……我ながら、自分の性格の悪さに嫌になる。
■比良坂 冥 > 「それは、人が人を傷つけてはいけないってことでしょ?
あなたは、ゴミ以下だって自分で言っているのに、人のつもりなんだ…?」
くす くす
「自分をゴミ以下だって卑下する癖に拒否権なんていう人間らしいものをを主張するなんて、滑稽。
……君、本当は言うほど自分を低くみていないよね…?
ちゃんと、自分のこと人間だと思ってるんだよね…でなきゃ、そんなこと言わないもの、ね。
……見込み違い、だったかな……?」
はぁ、と小さくため息を吐く
「それに、今の君…怒っているようにも見えるよ…?
……ゴミムシの分際で人間のフリして怒って見せたり…面白いね?
本当は、どうなの…?」
くすくす
張り付いた笑みが、顔を覗き込む
■加賀智 成臣 > 「ゴミ以下ならもっと駄目でしょ。
……ゴミが人を傷付ける権利なんて持ってると思ってます?
ゴミがゴミにNOを突き付けて何が悪いんですか。
貴方こそ、平気で人を傷付けられる異常者が人間扱いしてもらえるなんて思わないで下さいよ。
谷蜂さんと仲良くなりたいなら人間らしい行動を身に着けてからにしてください。」
イライラを叩き付けるように、頭を掻く。
荒れる濁流のように、思考が纏まらない。
「………………。
ええ、何でか凄くイライラしてます。何ででしょうね?
貴女が羨ましいからかもしれないですね。」
その表情は変わっていない。ドブ沼のような黒い瞳は、光を反射しないまま。
……だが、どこかに違和感がある。
■比良坂 冥 > 「その権利がないゴミに犯されるから、深く深く傷ついて、可哀想な檻葉になれるのに…」
どうしてわからないのかな、と再び首を傾げる
「私は正常だよ。だって檻葉を心から愛しているもの。
だから檻葉には幸せになってもらいたいの。
心からの幸せをプレゼントしてあげたいなって思ってるよ?
ほら、0から100になるよりも、-100から100になったほうが幸せでしょ?
人の幸せを願えるんだから、私は人間なんだよ。君と違って」
くすくす くす
「ふしぎ。
何も苛立つコトなんてないはずなのに、
そんな感情、持ち合わせていないはずなのに?
私が羨ましい?そんな卑しい眼で見ないでほしいな、腐っちゃう」
口の端に湛えた小さな笑みが、歪んでみえる
少しずつ少しずつにじみ出る狂気によって
■加賀智 成臣 > 「全然分からないです。
壊したものを直したいなら、接着剤でも買ってきて下さいよ。」
手を振る。
……ドブのような腐った瞳に、感情が宿る。侮蔑という、最も人を傷付ける感情が。
「0から200にする気概もないのに幸せを祈るなんて面白いジョーク言いますよね、かなり笑えます。僕もないですけど。
貴方が欲しいのは愛じゃなくて『谷蜂さん』でしょ?そして貴女が願ってるのは『自分の幸せ』だ。
楽しいでしょうね、自分のことしか考えずに生きるのは。」
空が、曇ってきた。
「もうとっくに腐ってますよ。僕も貴方も。
………。そう考えると、僕は言うほど不幸じゃないのかもしれないですね。」
■比良坂 冥 > 「気概がなくちゃ幸せを祈っちゃいけないの?
自分の幸せの為に誰かの全てを求めちゃだめ?
卑屈に生きる癖に、自分以外にはそういうものを押し付けるの?」
それは本心?それとも嫌悪感をカタチにしているだけ?
覗き込む瞳の闇が深まる
「…一緒にしないで欲しいな…私は前を向いて歩いているもの…」
そう、あらゆる障害を踏み躙りながら
「それにしても残念…。
君が人の役に立てる、チャンスだったのにね。
……それとも、何か君自身にメリットがあれば気も変わるのかな」
■加賀智 成臣 > 「ええ、駄目です。
僕以外が不幸になることを僕は認めない。
僕以外が不当に虐げられることを僕は認めない。
僕以外の人間が、あらゆる理由で理不尽を被ることを僕は認めない。
絶対にです。」
それが、加賀智成臣という人間を、心底から表している言葉だった。
『虐げられたい』のだ。
自分のような存在でも、あらゆる人間の下に立つような自分でも、虐げられることで人の心を揺り動かす。
『虐げられることで、自らがそこに存在する理由を得ている』のである。
ストレス発散だろうがなんだろうが……自分という存在が、他者に何かを与えていることを実感できるから。
『虐げられることによる存在の肯定』を、独占したいから。
……そのことに、そしてその事が何かを引き起こしていることに、加賀智自身は気付いていない。
「前を向いてる?寝言もここまで来ると清々しいですね。
人の歩くために整備された道を借りることでしか生きていけない寄生虫が。」
目がドス黒く濁り続ける。
辺りに、空から雫が落ちた。
「まだ自分を人だと思える図太さがあるんですね。少し尊敬しますよ。
それと、僕の知り合いにどうのこうのとかするなら特に意味は無いですよ。
僕には何も出来ないんですから。」
■比良坂 冥 > 「……思ったより、頑固。
立派な考えだね…なのに自己評価が最低の、二律背反」
歪みを感じる
歪んだ視点からですら感じる、歪ななにかを
「………」
寄生虫、その言葉に雰囲気が変わる
瞳は深い淀んだ井戸の底のように暗く濁り、狂気を孕みはじめる
寄生虫
それは往々にして宿主に害を与え───必要とされず、排斥される存在だからだ
…雰囲気が変わったのは、一瞬
雨が落ちはじめるとふっと元通りの…暗い雰囲気に戻る
「……雨」
ぱたぱたと降り始める雫を手の平で受け止めて、空を見上げる
束の間、視線をそちらへ戻すと小さく微笑んだ
「降ってきちゃったし、もう行くね。
……またお話しようね、かがちくん」
くるりと踵を返す
言葉は伝われど理解は及ばない
感情は伝われど心には届かない
だから、少女はまるで諦めていないようだった
ご案内:「屋上」から比良坂 冥さんが去りました。
■加賀智 成臣 > 「………………。」
目の奥に映る感情のような何かは、濁っている。淀んでいる。歪んでいる。
性根が、人間性が、そしてそのあり方が。
「……そうですね。
できれば二度と会いたくないですが、どうせ諦めないんでしょう。
頑固なのはお互い様ですね。」
そう言って、見送った。
「…………雨。」
雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。
雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。
雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。
雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。
雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。雨。
「………………?」
はっと、顔を上げる。
空には、雲ひとつ無かった。先程まで、雨が降っていたことなど嘘のように。
首を傾げながら、水たまりを避けて屋上を後にした。
何か、忘れているような。
ご案内:「屋上」から加賀智 成臣さんが去りました。