2016/10/05 のログ
ご案内:「教室」に六乃坂 樹愛璃杏那さんが現れました。
六乃坂 樹愛璃杏那 > 宇宙だった。

六乃坂 樹愛璃杏那は今正に宇宙に居た。
無機質な学校の椅子に座りながら完全に脱力。
仙人が見れば己を恥じて帰俗する程の完全さを以て女子高生は忘我の果てに浮かんでいた。


『――――』
声がする。宇宙の声か。いいや、六乃坂の思考はまさしく無。
ブッダも真理にアクセスするほどの圧倒的無――

『六乃坂さんッッッ』
現実。圧倒的現実。
「オ゛ッ」
困惑と怒り入り交じる女性教師の懸命の呼び掛けによって六乃坂はセイウチにも似た声を出しながら現世に戻って来た。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「ぁ?」
思考を完全に無に彷徨わせていた六乃坂が現実を認識するには若干の間を要した。
スーパーフラットな思考、もはや生まれたてに等しい脳みそ。

そうここは空き教室。
生活態度授業態度全てにおいて素行不良のこの娘を、慈悲の心を以て正さんとする教師がいた。
そしてその前で圧倒的忘我。圧倒的爆睡をキメていたのが六乃坂 樹愛璃杏那だった。

素直についてきて最初のうちは渋々とは言え真面目に話を聞いていた、はずだった。
目を開けたまま涎を垂らす六乃坂を見た教師は「すわ異能攻撃か」と戦慄した。
まさかマンツーマン形式の説教で目の前で爆睡されるとは、哀れなるモブ女性教師には未知の事象だった。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「あ~~~~……」
そうして六乃坂の意識は現世にやってきた。おかえり六乃坂。ただいま地球。

「ワリワリごめごめ、ちょっと……オッケ完全に聞いてました。」
絶望的状況に於いてなお真顔。軽めのアへ顔もかくやと言わんばかりの寝姿を晒しておいて聞いていたと宣った。
女性教師もこれには一瞬虚を突かれたものの、冷静に、では今何の話をしていたか申せとお告げになった。
ナイスジョーク、とでも言いたげに首を傾げる六乃坂。


長い沈黙。



「…………ちょっとトイレ行ってきてイっすか?もれる。」

『――先生の時もそれでそのまま帰りましたよね。』

「まじもれる……」

『教師だから、受け入れます……』

「ないわ~~~~~!!!!」

苦し紛れの逃げ手段も圧倒的許容力によって封殺され、天を仰ぎ脚をジタバタさせる様は何物にも例えようが無いほどただの駄々っ子であった。