2017/02/08 のログ
ご案内:「ロビー」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 午後。その日の講義を終えた蘭は、研究所に寄る前に軽く勉強していくべく、机の傍にある椅子に腰を下ろした。
「よいしょ、と」
それから、机の上に勉強道具を広げる。
今日は、治癒魔術の勉強をするつもりのようだ。
■美澄 蘭 > 蘭が現在履修している治癒魔術は、生物学的な知識が肝要になる、生命魔術の類だ。
だから、理論的な部分のノートは、生物やら保健体育やらのものとそこまで差がないように見える。
端々に書き込まれた術式が、それが通常の生物系の授業でないことの証だった。
蘭は、自習用のノートにざっくりと「自分視点の」まとめを作り直しながら、講義の復習を進めている。
静かな集中。勉強に対する気負いはなく、ただ自然に、自分が必要だと思っているからそうしている、というくらいの静謐さだった。
■美澄 蘭 > そうして、いくつかの小項目をまとめ直したところで、
「…ふぅ」
と、1つ息を吐いてから、時計を確認する。
…研究所の時間に合わせようとするとこれ以上の勉強は半端になりそうだが…一息くらいはつけそうだ。
蘭は広げていたノートを閉じ、筆記用具をペンケースにしまうと、自販機の方に向かった。
ご案内:「ロビー」に真乃 真さんが現れました。
■真乃 真 > 「また人を助けてしまったぞ!流石は僕だな、流石僕だ!」
そうやって自分を褒め称えながら廊下を行く男が一人。
首に異様に白く長いタオルを靡かせた男である。
人を助けたといっても教師の手伝いで荷物を運んだ程度。
誰でも出来るような簡単な仕事であったがまあ、人助けは人助けだ!
「おっと、美澄さんじゃあないか!久しぶりだね元気にしてたかい?
確か夏以来だね!いやあ、本当に久しぶりだなあ!」
そうして一仕事終えて向かった自販機前で出会ったのは知り合いの女子生徒!
最後にあったのはいつだったか?夏ぐらいだったっけ?
とにかく久しぶりだ!
■美澄 蘭 > 自販機で商品を眺めていて…ふと気付く。心なしか、チョコレートフレーバーの商品が多い。
(そういえば冬だけど………あ、もうすぐバレンタインだっけ)
そんなことを考えながら、チョコレートフレーバーのホットミルクティーを購入し、手に取ったところで聞こえてきた…聞き覚えのある、やたら元気な声。
「あ、真乃さん…お久しぶりね。
私の方は…色々あったけど、まあそれなりにやってるわ。
真乃さんは、元気そうね」
声をかけてきた青年に、控えめな微笑を返す。
この少女なりに目の前の青年には心を許しているのか、表情の強張りは見られない。
■真乃 真 > 「そうか、それなりか!やっぱり、それなりがいいよ!
無理するよりはよっぽど良い!」
季節が二回変わればそりゃもう色々あるだろう。
なにしろ、真も色々あった!
「ああ、僕は元気さ!基本的に元気だからね!
元気じゃなかったら病気かそれか偽物を疑ってもいい!」
或いは金欠か、大半の場合は病気か金欠かだろう。
「おっと、何か普段と自販機の品ぞろえが違うな…。
珍しいなチョコ風味の…まあ、寒いときにはあったかくて甘いものが良いよね!」
まだまだ、寒いしきっと甘いものが売れるのだろう!
そんな事を言いながらも無難に普段から売っているココアを選ぶ。
ある意味チョコレートフレーバーみたいなものではある!
■美澄 蘭 > 「…無理、かぁ…今はある意味無理してるのかしら…?
色々過渡期で、やらなきゃいけないことが多くて」
「今日もこの後用事があるのよね」と、微妙な顔。
相手にも当然色々あっただろうことにまでは、頭が回りきっていないかもしれない。
「………覚えておくわ」
それでも、真が「元気じゃなかったら病気か偽物」と豪語すれば、柔らかい苦笑いを零す。
自分が割と仕送りで苦労していないせいか、「金欠」はあんまり頭にないかもしれない。
「そうね…冬だから甘いのが嬉しいのもあるし…
………それに、バレンタインが近いのもあるかも」
「ココアもチョコレートみたいなものよね」と少し笑みを零しながら、自分が買ったミルクティーを開けた。
■真乃 真 > 「この時期は体調も崩しやすいしほどほどにしときなよ!
保健課の人が体調崩してたらどうにもならないぜ!
…まあ、やりたいことがあるなら無理してでもやっといた方が良いと思うけどね!」
只でさえ体調崩しやすい時期なのだ。
無理をして体調を崩してしまってはもったいない。
でも、どうしてもやりたいことがあるならば話は別だ!!
「バレンタイン…ああ!もうそろそろバレンタインか!
男子である僕にはそこまで縁が深いイベントじゃあないからね!
そうか、バレンタインか…今年はいくつかもらえるかな…。」
そうだ、もう少しでバレンタインである。
そう、女子からチョコレートをもらえるイベントだ!
明らかに義理のコンビニで売ってるような安い奴を!
■美澄 蘭 > 「そうね…生活リズムが崩れるほどの無理はしてないから大丈夫だと思うけど、気はつけておくわ。
ありがとう…真乃さんも、気をつけてね」
真から体調を気遣ってもらえれば、はにかみがちに笑んで礼の言葉を返した。
そして…バレンタインに対してそこまでがっつかない、期待もしていないコメントを零す真に対して、不思議そうにきょとんと首を傾げて。
「…真乃さん、知り合い多そうだから結構もらいそうだけど」
本気チョコと義理チョコの区別をしていないのか、無頓着なのか。
無邪気は、時に残酷である。
■真乃 真 > 「ああ!僕は基本的に無理はしない男だからね!!
でも気をつけるよ!気をつけるとも!!」
本人が無理だと思わなければ無理じゃあないのだ!
「…一昨年はさ。いや、その頃は風紀委員入ってたんだけど
その時は凄くもらえたんだよ。うん、完全に義理のヤツだけど!
でも、去年はかなり減ってたね!一昨年と比べて!かなり減ってた!
あれは堪えたね!一回凄い貰ってる分ダメージは大きかった!」
どちらにしてももらえるのは一目で義理と分かるものでしかないのだけど!
「それに僕は確かに知り合いは少なくないけどチョコをくれる知り合いはかなり少ないからなあ。
うん、チョコの数よりも大事なものはこの世界にはたくさんあると僕は思う!!
そ、それより美澄さんは誰かにチョコ渡したりするのかい!ほら、気になる相手の一人や二人!!」
無駄にカッコいいポーズを取りながらそんな風に会話の矛先を逸らす!
まあ、真もチョコを貰ってないわけではない!例え値段が10円とか30円だったとしても!
■美澄 蘭 > 「…真乃さんの動き回り方、結構凄いと思うけど…
………保健課(わたしたち)にしっかりお世話になるようなことにはならないようにだけ、気をつけてね」
自信満々に言い張る真の様子にかえって危うさを見たのか、苦笑混じりにやんわりと牽制する。
…そして、真のバレンタイン事情を、馬鹿にする様子もなく、真顔で受け止めた。
「…そう…身分が変わったって真乃さんは真乃さんなのにね…」
というか、真顔で受け止めるどころか若干「堪えた」を共有してる感すらある。
この少女の性格からすると、作為の可能性は凄く低い。
それでも、真乃が「数より大事なものはたくさんある」と言えば、表情を晴れやかにして。
「そうね…数で競ってどうこうっていうのも、違うものね」
と頷くが…自分の事情について聞かれれば、どきっとしたように顔、全身に緊張を走らせて。
「えーっと…その…ない、わけじゃないんだけど…」
少し俯いて、露骨に目を泳がせた。
■真乃 真 > 「僕は風邪をひかないって言われるくらいには風邪をひかないけど…。
うん、気をつけるよ!」
他にも真乃と煙は高いところが好きとか真乃とハサミは使いようとか。
色々言われているがきっと死んでも治らないのだろう。
「…で、でも、確かに渡しやすさは格段に違うと思うよ!
風紀委員の長いタオルのカッコいい人とただの長いタオルのカッコいい人だったら大分違うし!
流石に風紀辞めた後までその時の知り合いが渡しに来ることも無いしさ!
う、うん!そう考えたら大分、納得できた!
ああ、寧ろ去年より渡したかった人は多い可能性すらあるな!!
それにもらったチョコの思いの大きさは渡しずらさの分去年の方が確実に上だ!」
気を使わせてしまったかもしれない!
なるべく気にしなくても良いように考えているうちに実際自分の気も晴れてきた!!
「つまり!あるてことだね!誰!どんな人!同級生!?下級生?先輩!?もしかして先生なのかい!?
ああ、大丈夫だ!言わなくても良い!言ってもいいけど!
ところで、僕の口はダイアモンドより堅いという事で有名なんだ!いや、そんな話はどうでもいいな!
嫌なら無理には言わなくてもいいからね!すっごい気にはなるけど!」
この女子生徒がチョコを渡すのはどんな相手なのだろう!
想像が勝手に膨らむ!
■美澄 蘭 > 「…その言われようもひどいわね…」
「気をつけてくれるなら良いけど」と、苦笑混じりに。
色々言われてるのは多分知らないか、意図的に耳に入れていない。
「ああ…風紀委員やめた分「知ってる」ことのハードルが上がっちゃった、のかしら?」
と、真の考える理由に納得しかけたように首を傾げるが、その後の真の良い方に考える能力の(過剰にすら思える)発露に、
「………気持ちが晴れたなら何よりだわ」
と、微妙な笑みを浮かべたりするのだが。
「え………そうね、まあ、あるっていえば、ある、けど………」
もの凄い勢いで真に詰められて、笑みがますます引きつる。
「…本命、って言いきれるほどの気持ちじゃないし………そもそも…私、きっと相手に釣り合わないわ…」
そう言って、悲しげに目を軽く伏せる。
言う言わない以前の話だった。
■真乃 真 > 「何か今年も乗り切れそうな気がするよ!
届く数が少ないほど想いが大きいって考えよう!
そう、今年も少なかったら!一杯もらったらそれはそれで想いの大きさは変わらないと思うけど!」
ポジティブシンキング!!
都合のいい思考ここに極まった感じだ!
「なるほど!本命って程の気持ちじゃないって言うならそれならずっと渡しやすいはずだよ!
釣り合う釣り合わないとか考えてる時点で君が思ってるよりもきっと本命に近いんじゃあないかな!」
本当に本命でないならば自分との関係までは考えないだろう。
だからその想いは本命でないにしてもとても真摯なものだろう。
「まあ、でも結局本命かどうかは渡した本人しか分からないからね。
だから、軽い気持ちと思い込んで渡して見ればいいんじゃないかなチョコ!
チョコを渡すだけならタダではないけど自分で作れば安いものさ!」
この目の前の女生徒と釣り合わないなんてどんな相手なのだろう?
凄い貴族のひとだったりするのだろうか?能力が優れているのだろうか?
どっちにしても、きっと自分を過小評価しているのだろう!
■美澄 蘭 > 「…そうね、それがいいんじゃないかしら」
ポジティブシンキングは悪いことではないだろう。特に、後ろ向きになってひがんでしまうよりは。
そう思った蘭は、くすくすと楽しげに笑みを零しながら頷く。
…が、核心を突かれれば、「ぅ」と小さく息の詰まったような声を零して。
「………た、確かに、そう言われると、そうかも………」
ちょっと深刻そうに眉を寄せて、口元に指を当てて俯く。
でも、この気持ちが「本命」に相応しいかというと、違う気がするのだ。
だって、心で負けてしまっている。今のままでは、対等になれない。
それでも、「軽い気持ちと思い込んでみれば」という励ましを受けてか、
「そうね…義理のつもりで渡すと思えば…気は、楽かも。」
と、憑き物の落ちたような表情で、頷き…そして、顔を上げて。
「…真乃さん、ありがとう。
あ、でも一つだけ言っておくと…お菓子作りに必要な道具を揃え直すとか、材料を揃えるとかやって…おまけに時間もかけるとかクォリティとかを考えると、手作りって割高よ?」
お礼の後に、お節介なぶっちゃけをして…少し、悪戯っぽく笑った。
■真乃 真 > 「そう、釣り合うとか考えてる時点でそれは種類とか程度はともかく
好きなんだと思う!思うよ!ああ、間違いなく!」
尊敬とか親愛とかライクだとかラブだとかはともかく!
「うん!女子からチョコをもらって困る男子はいないからね!
特に美澄さんからだったら誰が貰っても嬉しいとおもうぜ!!」
まあ、真は誰にもらっても嬉しいのだけれど!
甘いものも好きだし!
「気にすることは無いさ!!」
そう、大したことは言ってない!
「…ま、まあ伝わる思いに対してなら多少高くても安いものさ!!!
そう!そういうやつだよ!うん!まあ!うん!!!
それじゃあ!僕はそろそろ行くよ!!頑張りなよ!!」
まさか割高とは…適当に言ってしまった事が丁寧に解説されてしまった事に対して
恥ずかしさを感じたのだろうか最後に挨拶を残して廊下を走らず急いで去っていった!
■美澄 蘭 > 「そりゃあ…種類はともかく好きじゃなきゃ、義理だって渡したいとは思わないでしょ。
…よっぽど立場の不均衡があるならともかく」
そう言って、くすりと笑う。
種類違いの「好き」を認めるくらいなら、抵抗はないらしい。
「………でも、真乃さん、私のこと過大評価してない?
私、結構「じゃじゃ馬」よ?」
「美澄さんからだったら」と言われて、その笑みに若干困ったようなニュアンスが混じる。
「そう…でも、背中を押してもらったから。
今度、「お礼」はさせてね」
そう言って、柔らかく笑んで…
「ええ…じゃあ、またね。真乃さん」
急いで去る真を、無邪気に見送り…それから、自分も予定のある場所へ向かった。
後日、バレンタインの前後。
蘭から、真に対して「義理チョコ」という形での「お礼」が。
小さいパッケージとはいえ、チョコレートで有名な国の有名ブランドのチョコレートが贈られたりするのは、また別の話である。
ご案内:「ロビー」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「ロビー」から美澄 蘭さんが去りました。