2017/07/26 のログ
ご案内:「ロビー」に藤巳 陽菜さんが現れました。
藤巳 陽菜 > 放課後のロビー。
陽菜は結構ここで過ごすことが多い。
自販機もあるしそこそこの静かさだし割と過ごしやすかった。
普段のように自販機でジュースを買おうとすれば一人の風紀委員の姿が目に入った。

(…あれって風紀委員よね。)

異能がどうとか覗きがどうとかそんなの事を独り言を話している。
…色々と悩んでそうな感じだ。
…もしかしたら異能で覗き行為をしている誰かを捕まえるための活動中なのかもしれない。

(大変そうよね風紀員…頑張ってほしいわね。
 …ジュースとか差し入れとかあげてもいいかしら?)

この島に来たばかりの頃風紀委員の先輩に助けてもらった事もあり陽菜は結構いい印象をもっていた。

飛鷹与一 > もし、彼女に詳細な独り言の内容を聞かれていたら確実に変態覗き魔扱いされていただろう。
幸い、独り言も断片的にしか聞かれてないようだ。もっとも、少年もそこまで意識していなかった。
ただ、自分以外の誰かの気配を感じたのか、フと顔を上げてそちらを見ようとする。
一言で言えば少年は地味だ。服装は風紀委員会の物だが、顔付きも髪型も目付き…いや、目付きは死んだ魚じみていたが。
ただ、そんな生気や覇気の無い瞳が自分以外の姿を捉えれば。
一瞬、キョトンと目を丸くしたが直ぐに慌ててペコリと会釈をする。

(うわぁ、考え事に没頭しすぎて誰か来た事に気付くのが遅れた…!)

と、内心で反省。ちなみに、彼女の容姿…下半身の蛇体については特に気にしない。
この島で1年近く暮らし、しかも風紀委員をしていれば、さして珍しくも無いからだ。

藤巳 陽菜 > ジュースを…恐らく好き嫌いのすくないだろうスポーツドリンクを二本買う。
この時期ならこれを貰って困る事も少ないだろう。

そうしてジュースを買ったところでその風紀委員と目が合った。
以前助けてくれた風紀委員の人と比べれば…まあ普通の顔つきだけど
彼女と比べるのは流石に誰であっても分が悪い。

「ええと、風紀委員の人…よね?お仕事お疲れ様です。
 事件の捜査とかの途中ですか?」

流石、風紀委員。
この蛇の下半身に嫌な感じの視線を向けてくることは無い。

飛鷹与一 > そもそも、少年としては平凡を出来るだけ好むので今の容姿が丁度いいのだ。
美形でも醜悪でもなく程々が気楽で良い。目付きだけは多少目立つがそれだけだ。
軽く会釈をして挨拶をすれば、向こうから声を掛けられた。彼女の問いかけに首を横に振る。

「あ、いえ俺はこの後…夜からの巡回警邏の当番なので。今はそれまでノンビリしている所です。
流石に、まだ新米なので捜査する程の偉くもなければ敏腕でもないですよ」

と、小さく笑ってそう付け加える。だが、実際一部で彼の技能は重宝されてはいる。
しかし、初対面の少女にいきなりそれを話すのもアレだろう、と黙っておく事に。

そして、こうして会話をしていても少年は自然体だ。彼女の体に注視する事は無い。
不審な眼で見る事も無ければ、蔑む事も嘲る事も無い。ソファーに座って寛いでいるままだ。

勿論、内心では『ラミア種の人かな?』くらいは考えているが、それをポロッと口に出す事も無く。
初対面の相手なのもあり、変に失礼にならないように努めようか。

藤巳 陽菜 > 「…ああ、そうなんですかごめんなさい、覗きとか異能とか言うのが聞こえちゃって
 もしかしたら、異能を使って女子更衣室とかを覗こうとする新手の変態を捕まえようとしてるのかと…。」

異能を使って更衣室を覗くだなんてそんな卑怯な行為許すことが出来ない。
そんな使い方で有効活用しているとか言われたらきっと、叩くだろう…尻尾で。

「でも、覗きじゃなくても自分の異能で悩んでいる人もいる中で好き勝手、犯罪とかにも使う人がいるんでしょう?
 そういうの本当に嫌ですよね…。
 本当に…普通に生きたい人ばっかりが損をするなんて理不尽だわ。」

異能の犯罪が広がれば異能者やついでに異邦人なんかに向けられる社会の目は厳しくなる。
…ただでさえ目立って生きにくいのにこれ以上生きにくくなってしまっては困る。

「普通に生きたい異能者の人も生きやすいように夜からも風紀委員頑張ってくださいね。
 あっこれ良かったらなんですけどどうぞ…。」

そう言いながらスポーツドリンクを手渡す。
…彼からの視線は普通にニュートラル、ラミア種の人だと思われているだろう。
誤解されて嫌な思いをする前に説明した方が良いかもしれない。

飛鷹与一 > 「…え?あ、いやいやそれは流石に…と、いうかそういう輩がいるかどうかも分かりませんし。
少なくとも、風紀委員会にその手の被害報告は来てなかった筈です」

と、内心でドキリとしつつ律儀に答える。不可抗力とはいえ自分が新手の変態になりかけた事は流石に言えない!
と、いうか何かあの強靭そうな蛇の尻尾でぶっ叩かれる未来が見える。
勿論、異能なんて使わないでも分かる未来予想図である。

「…まぁ、そうですね。異能はそれこそ千差万別で個性の一つみたいなものですから。
…まぁ、本土とは勝手が違いますけど異能があるか無いかだけで犯罪は普通にありますよ。
治安が良い場所もあれば、その裏で悪い場所も必然的に出来てしまいます。」

風紀委員を実際していれば、そういう犯罪を”根絶”は無理だろうと悟っている。
それでも、誰かが対処しなければならないのだ…それに、風紀委員はこの島の警察機構のようなものだし。

「ええ、ありがとうございます…って、いいんですか?じゃあ有り難く頂きます」

と、スポドリを受け取れば、軽く眼を丸くしつつも直ぐに笑顔で会釈を。
あ、そういえば名乗っていなかったな、と思い出して軽く居住まいを正し。

「そういえば自己紹介してませんでしたね。俺は2年生の飛鷹与一といいます。
えーと、まぁ既に格好でもお分かりだと思いますが風紀委員会に所属してます」

そちらは?と、彼女の名前とかも尋ねてみようか。

藤巳 陽菜 > 「まあ実際証拠も見つけられないですしね。」

遠隔視の異能や魔術を持っていれば証拠もなくそんな事をやってのけられる。
逆にいえば実際やっていなくてもそんな異能を持っているだけで覗きを疑われるだろう。
…世知辛い。

「そうですよ、そうなりますよね。」

幸い陽菜は治安の良い地域しか出入りしてない事もあってそう言う犯罪に巻き込まれた事も無ければ見かけたことも無い。
少しくらい聞いた事があるくらいだ。
それも、しっかり風紀委員や公安委員が動いている証拠であるだろう。

「私は一年の藤巳陽菜っていいます。
 …先輩なんですから敬語じゃなくてもいいですよ。落ち着きませんし。 
 えーと、こんな足なんですけどこれでも普通に人間なんですよ?」

ご案内:「ロビー」に飛鷹与一さんが現れました。
飛鷹与一 > 「ですね…(まぁ、その手の異能を持ってる俺は色々とコメントし辛いんだけど…)」

何せ、その遠隔視を偶発低とはいえ先ほど発揮してしまった。
勿論、覗こうと思って覗いた訳ではないし、そもそも己の力をまだ把握しきれていないのだ。
何か地味に罪悪感を感じてしまうが、流石にそこは黙っていようと思う。

「まぁ、自分からそういう場所に行くのはオススメしませんよ、という事で」

風紀委員会の己から最低限言えるのはそれくらいだ。歓楽街、そしてその先―落第街。
彼女が行く機会が皆無とは言わないが、行くとすれば完全自己責任だ。
幾ら風紀委員会でも全ての人を守れる訳では無いのだから。

「あ、すいません敬語はもう癖みたいなものなんで中々…って、藤巳…陽菜…さん?
…あの、もしかして「柊真白」さんをご存知ですか?俺の友人で師匠でもあるんですが」

以前、彼女からその名前をメールで聞いた。異能で悩んでいるようだから話を聞いてあげて欲しい、と。
そうか、この人だったのか…と、内心で納得しつつ。ある意味で漸く会えた、とも言える。

(…いや、まぁ俺が出来るのは愚痴とか聞いたりするくらいだけどね!)

藤巳 陽菜 > 「行きませんよ。特に用事もありませんし…。」

歓楽街やその東には特に用事はない。
…この先この異能を解決する方法のヒントがあると知れば
行く事はあるかもしれないけれど。

「えっ?柊さんの弟子ってあなたが?
 あの子より年下の人をイメージしてたんだけど…意外だわ。」

あの子が弟子っていうくらいだからそしてその話し方たから
14歳であるあの子よりも年下だと思っていたのだけど…。

「…意外だわ、へー。」

値踏みするように改めてじろじろと観察する。
じゃあ、彼があの子の家に泊まったり一緒にご飯食べたり一緒にいて安心したりする例の彼なのか。

(そういえば異能で悩んでるだろうから相談聞いてあげてとか言われてたのよね…。
 まあ、私にできるのなんてせいぜい愚痴を聞いたりするくらいなんだけど…。)

ご案内:「ロビー」に飛鷹与一さんが現れました。
飛鷹与一 > 「ですよね…まぁ、もしどうしても行く用事が出来てしまったら、信頼できる友人とかに声を掛けるとか。
最悪、俺が役に立つかどうかアレですけど護衛役くらいは努めますので」

と、一応申しておく。間違っても単独で行くなんて無茶はしないで欲しいと目線で告げて。

「ハイ、料理…も、ですがどちらかといえば戦闘方面です。ナイフ術とかその辺りの。
ほら、風紀委員なので荒事もどうしてもありますから…。」

と、腰のククリナイフを軽くポンポンと叩いてみせる。勿論本物の刃物です。
あと、彼女の様子から師匠の素性…種族や年齢はどうやら聞いていないらしい。
勿論、その辺りに関しては師匠の許可なくこちらも口にはしないけれど。

「……あーうん、そう言われると思ってました」

予想していた反応なので、観察するような値踏みするような視線も苦笑気味に受け止めて。
そういう事で気分を害する程でもないので、まぁ彼女の好きにさせておこうと。

「…あー、それで彼女からメールで簡単に聞いたんですけど。
何か異能?の事で悩んでるという事で、相談乗ったり愚痴を聞いてあげて欲しいという事なんですが…」

と、奇しくも同じ事を考えているとは露知らず、こちらからそう切り出してみたり。

藤巳 陽菜 > 「そうね。その時はお願いします。」

流石に一人で行くことは無いだろうと思うけど。
風紀委員と一緒に行くのであれば心強い。

「戦闘方面の弟子ね…柊さんってそんなに強いの?
 何ていうかそんな風なイメージが湧かないんだけれど…。」

学校での彼女のイメージからは想像もつかない。
学校では割と静かというか何というかあまり活発に動くイメージがない。
魔法使いとかそう言う風に言われた方がしっくりくるくらいだ。
確かに包丁さばきは凄いと思うけどナイフ術とはまた別のものだろうし。

「えっ、ああそうなの。私の異能は見ての通りこの蛇の身体よ。
 多分、あなたの想像するのと同じくらいには苦労するわ。
 私もこの前料理を教わってるときに愚痴とかを聞いてあげて欲しいなんて言われたんだけど…。
 異能で苦労しているんですよね?」

飛鷹与一 > 「ええ、…あ、一応連絡先を交換しておきますか?お互い連絡手段があった方が便利かもですし」

勿論、彼女が差し支えなければであるけれど。スマホをゴソゴソと取り出してみせつつ。

「強いですね…と、いうか動きが速過ぎて俺ではまず見切れないです。
達人というか超人クラスかと。…あと、刃物の扱いも天才的です」

模擬戦闘などもしたからよく分かる。身に染みているとも言えるか。
真顔で彼女は「強い」と断言する。その表情や雰囲気は真剣で嘘偽りなく。

「…いきなり変化した、という類でしょうか?あ、すいません何か当てずっぽうで口にしてしまって。
…俺もまぁ、生まれつき持ってる異能があるんですが…まず、制御が全く出来ないんですよ。
それに、能力のオン・オフ…切り替えが出来ないので…今、この瞬間にも実は発動してたりします」

と、苦笑い気味に肩をすくめてみせる。彼女と系統は違うが…。
”自分自身の意思で力をコントロール出来ていない”という点では共通項かもしれない。

藤巳 陽菜 > 「あ、じゃあお願いします。」

スマホを取りだして…これで大丈夫だ。
この島に来てから個人的に連絡を交換するのは二度目だった。

「…ちょっと、待って…。
 なんか、全然イメージ出来ないんですけど。」

自分の中の『柊真白』像とこの人の言う人物が噛み合わない。
確かに…いつの間にかいなかったとかそう言う事が良くある子であはあるが
そこまで早いイメージではないし…。

「ええ、そんな感じです今年の4月に朝起きたら急にこんな事に…。
 今は慣れましたけど初めはまともに動くことすらできなくて…。」

それまでは全く普通の生活をしていたのだ。
それがどうしてこんな事に。

「異能の制御は私も出来ないですし…
 それにもし異能が消えたとしても足はもう元に戻らないらしいんですよ。
 …えっと、飛鷹さんはどんな異能なんですか?」

目には見えないタイプの異能ではあるらしいけど。

飛鷹与一 > 「ハイ、じゃあ交換しちゃいましょうか」

と、いう訳でスマホを取り出して連絡先を交換。何気に連絡先を交換した知人友人は少ないのでちょっと嬉しい。

「…うーん、一度彼女の訓練風景を見たりすれば、俺が言いたい事も一発で分かるとは思うんですが。」

ただ、自分が思う限り、彼女は目立つのは嫌うだろうし頼んで訓練風景を見学させてくれるかどうかは分からない。
ただ、まぁいずれ彼女も師匠の強い場面と遭遇する可能性はある。

「…成る程。突然何の前触れもなく異能に覚醒する、という例も意外と多いらしいです。
図書館とかにそういう記事を纏めたファイルみたいなのもありましたし…」

ただ、彼女のように異能の発現として肉体の半分が変化したまま、というのは流石に初めて聞いた。
口にはしないが、彼女のソレは特殊なケース…もしくは何らかの”イレギュラー”の可能性がある。
内心であれこれ考えてみるが、情報に乏しすぎて上手い結論が出てこない。

「……異能が消えても蛇の体はそのまま、ですか?」

その言葉に考え込む。そうなると、彼女の異能は蛇体化”そのもの”ではないのだろうか?
…分からない。もしかして先祖とかにそういう異邦の血筋が混じっているのだろうか?

「…俺ですか?一言で言えば「死を捻じ曲げる」異能です。自分限定で。
例えば、致命傷になりそうな事故とか異能や魔術で攻撃されても、力が働いて”自動的にそれらを打ち消したり跳ね返したり受け流したり。
ただ、代償もありまして…俺自身の生命力。つまり寿命を削っていきます。
先に話した通り、異能を解除も操作もできないのでどうしようもないのが現状ですね」

「研究区でも何度も検査とかして貰ってますが進展無しです」と、ついでに肩をすくめてみせる。
淡々とした語り口だが、つまり裏を返せばその現実をある程度受け入れつつ打開策を模索してる感じであり。

藤巳 陽菜 > 「一発で分かっちゃうくらいなんですね…。」

ダメだやっぱりイメージが湧かない。
まだ、激しい運動よりも瞬間移動とかしてる方が自然な感じですらある。

「…読みました。
 身体が変わるタイプの異能はあまりなかったですけど…。」

少しでも参考にしようと色々な資料を読み漁っているがは元に戻る参考にはならなかった。

「ええ、もう身体が変質してしまっているらしいんですよ。
 変質させるだけ変質させてその異能の効果はもうなくなってるみたいなんですよ。」

他人事のように話す。その様子は既に諦めているようにも見えるかもしれない。
血筋やなにやら見てみてもそんな事は一切ない。
ただ、もう蛇体化させる異能が完了しているだけだ。
下半身を蛇に変えた時点で異能はこの身体から消滅してしまっている。

「死を捻じ曲げる?ええと…寿命が削れるのは嫌ですよね。
 でも、余り知らないので良く分からないんですけど寿命が削れてもその場で死ぬよりはマシなのでは?」

説明を聞く限りそう思う。
確かに平時であればただ寿命が削れるだけの損なものだが危険に接することの多い風紀委員では有用なものではないのだろうか?

飛鷹与一 > 「…まぁ、俺としてはそんな事よりも真白さんと友達で居てくれればそれで十分だと思いますけどね」

彼女はあのように無表情、淡々とした雰囲気だから誤解を招く事も多い。
だから、彼女と長く友人付き合いをして欲しい。少年は素直にそう思う。

「……つまり、事はもう既に終わった後…と、いう訳ですか。
そうなると異能…いや、魔術的なアプローチの方がいいのかな…。
例えば、一時的にでも人の足に変化させるような魔術とか。」

彼女の話を聞いただけの判断だが、現状は蛇の下半身はどうあっても人の足に戻せないとみた。
そうなると、アプローチとしては一時的に人の足に”変化させる”力、または術式が妥当という事になりそうだが。

「…でも、納得が行かないな…それじゃ一方的に変化させられただけだ。
…絶対に何か意味がある筈だ。そうじゃなければ理不尽どころじゃない」

ボソボソと、敬語も忘れて独り言のように。まるで我が事のように”納得していない”ような呟きだ。

「…反動があるんですよ。死を捻じ曲げたエネルギー…というんでしょうかね。
それを周囲に撒き散らすんです。無差別に。そしてそのエネルギーが何を起こすか分かりません。
エネルギーが暴発するか、誰かが身代わりで死ぬか、兎に角…。」

そこで一息吸ってから苦い顔で口にする。

「死を捻じ曲げる度に自分の命を削った挙句、周囲に不幸を撒き散らす。善悪関係なく誰彼問わず。
…そんな最低なクソ異能です」

藤巳 陽菜 > 「ええ、あの子は料理もおいしいし、話してみると更に可愛いし…。
 わたしも仲良くしたいと思うわ。」

特に目の前の彼の話をしてる時とか普段からは想像もできないくらいに感情が動いていて可愛かった。
…まあ、普通の人と比べるとそこまで動いていたわけでもないけど。それでも。

「そうね、確かに元には戻れないけどそれなら少なくとも二本足で立てるもの。
 …魔術方面で考えていった方が良さそうね。」

今度、師匠にも相談してみよう。
最近連絡も取れていないけれども…。

「飛鷹さん?大丈夫?
 そんなに考えても意味なんてないわよ多分。
 もし、意味があるなら何か意図があって変化したのなら私はそっちの方が許せない。」

どんな、意図があったとしても普通の生活を奪われてもいい理由にはならないはずだ。
…それに意図なんてない方が素直にこの異能をこの身体を嫌うことが出来る。

「…何も知らずに勝手な事を言ってごめんなさい。
 本当に酷い異能ねそれ!そんな訳の分からない現象が起きてしかも寿命まで取られるんでしょう?
 それを生まれつき持って生きて来たなんて…。」

自分のこの異能でさえ人に大きく迷惑をかける事の無いこの異能でさえこんなに憎いのだ。
…人を無作為に傷つけるその異能の辛さはどれほどのものなのだろう。
そして、そんな異能を持ちながらいや、持つゆえに逃げる事も出来ない。
…普通の精神を持つ人間ならば間違いなく心を病んでいる。

ご案内:「ロビー」に飛鷹与一さんが現れました。
飛鷹与一 > 「あはは、真白さんと藤巳さんはもっと仲良くなれると俺も思いますよ」

お世辞でも謙遜でもない。彼女が持つ…「普通の少女」としての感覚は大事なモノだから。
例え、下半身が蛇に変化してしまった現在でも、その感覚はずっと持っていて欲しいものだ。
”普通さを持ち続ける”というのは、実はとても難しく…そして尊い事なのだから。

「俺も魔術は使えますけど、正直偏ってますからね。そういう変化系統の魔術は素人ですが。
ともあれ、こうしてお会いできた事ですし。俺も出来る範囲で協力します」

彼女にもアテはあるような気はするが、ささやかながらこうして知り合った以上、何か出来る事があれば、と。

「…え?あ、すいません。どうもあれこれと考え込む癖がありまして。
ただ、変化した事には必ず何らかの理由はあると思うんです。
何の前触れもなく、偶々、突然…不自然すぎてむしろ逆に何らかの意図が働いてると考えちゃいますよ」

むしろ…彼女の異能の”真価”は別にあるのではないか?とも思う。
それに、異能は未知数の現象も多い。彼女が新たな力を発現させる可能性だってある。

(…異能でも魔術でも、色んな角度から検証しないと…多分、彼女の体が変化した理由は分からないかもしれない)

一つ言えるとしたら…理由の無い変化は無い、という事だ。
必ず、そこに何らかの要因がある筈なのだ。それはまだ分からないが。

「…ええ。死なない力は便利そうでも、命を削ったり誰かを巻き込んだり。
そんな代償がある力なんて俺は要りません。とはいえ、生まれてから付き合いだから切り離す事も出来ない」

そこで言葉を切って一息。スマホをちらり、と確認すればぼちぼち警邏の時間だ。

「すいません、俺はそろそろ風紀の仕事があるので。藤巳さんはどうしますか?」

スポドリはそういえば口を付けていなかった。警邏の合間に後で頂く事にして、ライフルケースを担いでソファーから立ち上がろう。

藤巳 陽菜 > 「そうかしら?それならいんですけど。」

仲良くなりたいと思う。
…同学年では結構仲がいい方であるとも一方的に思っている。
流石に目の前の彼には敵うべくもないけども。

「ええ、その時はお願いしますね。
 私に魔術を教えてくれた人も多分変化系は詳しくないので。」

魔術の師匠が使う流派では変化の魔術は禁術だったらしいので
あまり期待は出来ない。

「考え過ぎですよ。
 病気にかかるみたいなものです。運が無かったんですよ。」

何千人に一人の難病とかそんなものと同じだ。
運命的なものではないし、選ばれるべくして選ばれた訳じゃない。
何かをしたからこうなったとかでもなければ、しなかったからというわけでもない。

この異能はただの理不尽だ。

彼女でならなかった理由は無い。

「…お互いに何とかする方法が見つかると良いですね。」

きっと、自分よりもどうしようもなさそうな彼に告げる。
現象として表れている自分であればもしかしたら最悪物理的な手段で何とか出来るかもしれない。
だが、彼はそうでもない。
幾ら苦しくても、要らなくても、自ら命を絶つことすらできない。

…自分の悩みが少し小さく見えてしまえそうだった。

「私も帰りますよ。もう、結構いい時間ですし。」

スマホを確認すれば、確かに良い時間だった。

「それじゃあ、飛鷹さんまた。
 柊さんにもよろしくね。」

そう言うとそのまま出口へと向かう。
スポーツドリンクは帰る途中で飲むとしよう。

(…それにしても彼が柊さんの…へー。)

飛鷹与一 > 「真白さん、何だかんだで面倒見良かったりお節介な所もありますからね」

おそらく、彼女の周りでは一番交流が深い?ので、何となくその辺りは掴めてきている。
まぁ、実際はあちらが圧倒的に年齢は上であれこれ経験も豊富なのだが。
こう、オカン気質な所があるような気がする。

「了解です。まぁ、それ抜きにしても雑談とかくらいは気晴らしでお付き合いできるかと」

自分に出来ない事はしょうがないが、何も出来ないという事は無いと思いたい。
彼女の割り切ったような、そんな言葉に無言で一度目を伏せたがそれだけだ。

(…理不尽、か。俺の異能もそういう事になるのかな)

彼女には結局話せていないが、少年はもう一つ異能がある。
そちらは、死を捻じ曲げる力に比べればまだ自力で発動・解除が出来るだけマシではあるが。
どのみち、理不尽な力を持たされて、背負わされてもどう落とし所を見つければいいのか…未だに分からない。

「ええ、まぁ諦めていませんが正直なるようになれ、とも思ってます。
生まれてからの付き合いですし、自分の一部だと割り切れない事もないですからね」

ただ、このまま異能を分からないままに放置しておくのは危険だ。
自分自身でなく周りに被害を与えない為にも、だ。
だから、苦しかろうが何だろうが諦めない。せめて異能を制御できる手段は見つけたい。

「あ、ハイ。…って、まぁ藤巳さんも普通にちょくちょく会う事もあるかと思いますけど」

と、苦笑気味に言いつつも手を軽く振って見送ろうと。
さて、これから仕事を頑張りますかーと、軽く伸びをしてから歩き出そう。

(…まぁ、藤巳さんが多少息抜きになったならいいんだけどな)

と、彼女の考えてる事など露知らず、そこを心配しながら彼女と反対方向に歩き去ろう。

ご案内:「ロビー」から藤巳 陽菜さんが去りました。
ご案内:「ロビー」から飛鷹与一さんが去りました。