2017/08/19 のログ
ご案内:「ロビー」に飛鷹与一さんが現れました。
飛鷹与一 > 夜の学園。そのロビーにて一人、巡回警備を終えて報告書を書いて。寮に直帰する気力も無くロビーにてグッタリする少年が一人。
ライフルケースや腰に下げたククリナイフのケースも外し、ソファーの隅へと立てかけて置きながら、ソファーの背凭れに体を預けて天井を仰いでいる。

「……疲れた。地味に仕事が増えてる気がする」

もうお盆の季節も終わりかけだが、まだまだ風紀委員会でも本土に帰省している人は多い。その穴埋めの為に借り出されたから地味に大変だ。
ドサクサに紛れて狙撃の依頼もされているし、こう休まる暇が本日は無かった。しかも未だに狙撃班から勧誘が尽きない。

(…仕事だからやるけど、流石に狙撃班はなぁ。目立ちたくないし…いや、今更かもだけど)

ご案内:「ロビー」に和元月香さんが現れました。
和元月香 > 「お疲れかーい、飛鷹くーん」

おどけた調子で、飛鷹の顔を覗きこむにまりとした笑顔。
帰り道に見掛けたちょっと懐かしい知り合いに、すっ飛んできたらしい。
爆走してきたせいで滲んだ汗を爽やかに拭う月香は、相手が以前見た時より若干人間味が増したように見えるかもしれない。

「風紀委員の仕事?お盆なのに大変だねぇ」

間延びした口調のせいで、あまり労っているようには聞こえない。
だが、「なんか奢ったる!」と自販機前で仁王立ちする月香自身には労おうとしている気持ちはある。

飛鷹与一 > 「…その声は……あ、和元さん?少しお久しぶりかもですね、こんばんわ」

馴染みのある声に、流石にダラけきった居住まいを正す…うん、今更だけど形だけでもシャンとしておきたい。
基本、知人友人の前でダラダラするのを避けている為、手遅れだろうけど改めてキリッとしておきたい。

(――?…何だろう、和元さん少し変わった…?うーん?)

何かが違う気がするが、それが何かまでは分からない。ただ気にはなったらしい。

「あ、ハイさっきまで巡回警備の当番だったので。ほら、季節柄帰省する人も多いんですよ、風紀委員でも」

だから、その穴埋めで借り出されているのだと肩をすくめて苦笑気味に。
そして、何か自販機の前に移動して仁王立ちしてる彼女はちょっと男前だった。うん女子だけど男前。

「あ、…えーと、じゃあお言葉に甘えて。お茶かコーヒーでお願いします」

和元月香 > 「あ、もう無理せんでいいのに」

疲れているように見せないように頑張る相手にはちょっと呆れ顔。
同時に、邪魔しちゃったかもしれないなという気持ちに陥る。
でも、姿を見るなり廊下を爆走してから声を掛けたことは反省していない。

「まぁ、お盆だもんねー。
飛鷹君は帰らなかったんだ、家」

先祖の霊が帰ってくる日。
墓参りなんて家族共々もうろくに行ってないなぁ、とふっと思い返す。
月香も結局、実家には連絡したきり帰ってはいない。

「んー!
たまには麦茶とかいいよね」

いつもジュースとかしか買わないんだけど、と独り言のように呟いて麦茶のペットボトルを二本購入。

「はい、どうぞ。お疲れさん」

そのまま笑顔を浮かべて、相手に1本を差し出すだろう。

飛鷹与一 > 「いや、あまり人前でダラけた姿は流石に…。」

苦笑気味に答える。それに、今はプライベートな時間だけど風紀委員会の人間だ。
あまりダラダラするのも――まぁ、公私キッチリ分けるタイプなのでダラけていたのだけど。

「あー俺、養護施設でお世話になってるので、帰省というのがいまいち。
一応、年末年始には本土の方に帰省する予定はありますけどね」

と、帰省しなかった事に頷きつつ。彼の場合、そもそも実の血の繋がった家族は全員死んでいる。

「…と、ありがとうございます。」

麦茶のペットボトルを頂けば律儀に軽く頭を下げて受け取る。疲れているのが動作の端々で分かるだろう。
実際、人手が少ないとその分、残った者の負担が増えるのは道理である。

「……和元さん、何か最近いい事でもありました?以前お会いした時よりも雰囲気が明るくなってる気が」

と、そこで先ほど疑問に思った事を口にする。ペットボトルの蓋を開けて中身を飲みながら尋ねてみようか。

和元月香 > 「真面目か!」

思わずつっこんだ。
委員会の仕事を律儀に夏休み中にやってるし本当に真面目だ。
素直に凄い。月香なんか、ハイテンションになって自販機のボタン叫びながら押して人に見られたのに。

「あっ、そうなの...」

遠まわしに養ってくれる家族いないよ、と言われた気がして月香は真顔で頷いていた。
流石に家族全員死んでるなんて事実を察することは出来ないが。

「...本当に疲れてんね。
ちゃんと寝て、ご飯食べて、適度に休んでるのかね?
無理は禁物だぞ」

まるで母親のような言い回しでペットボトルを渡す。
そして言い聞かせながら、肩をポンポンと叩くかもしれない。

(疲れてるって自分で分かるんだからさ)

しかしそう余裕ぶって溜息をついた直後、
月香の頬は知らず知らずの内に緩んでいた。

「...っへ?
あ、うん」

予想外の言葉に、反射的に頷いていた。
表情は見たことないぐらい神妙で、頬は染めていないが多分照れているように見える筈だ。

直後には自然に微笑みを浮かべ、「ふふふ」と不気味な笑い声を漏らしながらペットボトルの蓋を開ける。ご機嫌らしい。

飛鷹与一 > 「……え?」

思わぬツッコミにキョトンとした顔を。彼にとってはこの考えは普通らしい。
まぁ、同年代の男子に比べればテンションは低い、というか落ち着いてる方で生真面目だ。
とはいえ、別に堅苦しい性分でもない。単にこれが飛鷹与一という少年の平常運転なだけだ。
まぁ、今は疲れの色が濃いのでちょっとテンションは低めだけれども。

「えぇ、家族はもう全員亡くなってますし、親戚筋とは折り合いが悪くて。
あ、でも養護施設の院長先生とか同じ施設の仲間とかとは仲良くやってますよ。
手紙や電話でのやり取りも時々してますし。先程も言いましたけど、年末年始には施設に顔を出しに行く予定ですしね?」

と、自分からそう敢えて一気に喋ってから笑って流そう。正直彼女が急に真顔になったので気まずいというのもある。

「…いや、そこはきっちりしてますけど。ただ、同僚とかから「お前は息抜きがいまいち下手だよなぁ」とかよく言われますね」

苦笑気味に答える。仕事とプライベートはきっちり分けるし、食事も睡眠もちゃんとしている。
だが、肩の力を完全に抜いている場面は意外と少ないのだ。
だから、知らず知らずそれが肉体的な疲労となって現れてしまっている。

しかし、肩をポンポンと叩かれながら思う。この人もおかん属性あるなぁ、と。
彼女の内心は勿論知らないが、自身が疲れている自覚は流石にある。ただ肩の力を抜くのが下手なだけだ。

「……あー、…恋愛絡み、ですかね?」

そして、彼女の反応を冷静に眺めてから笑ってそう尋ねようか。
異能を使うまでもなく、意外と少年はこういう機微というか洞察力は鋭い。
ただ、彼自身が恋愛感情がサッパリなので、あくまで消去法と彼女の態度からの推測だ。

(…あ、何かご機嫌になってる。あながち外れでもないのかな?)

和元月香 > 「...もうええ、もうつっこまない」

恐らく真面目なところは彼の性分なのだろう。
変に堅苦しくないのはいいところだと思う。
でも遊びに行こうよ夏休みなんだから。
...という本音を全部月香は飲み込んだ。飲み込むしかなかった。

「あ、ならよかった!...ん?よかった...?」

仲良くしているなら良かった、と安堵して胸を撫でおろしかけたものの
さらっと投下された爆弾にんんん?と首をかしげる。
だが、お前自分の家族もう一度見つめ直せや、と彼女の家族を知る者は言いたくなるだろう。

「そりゃ言われますわ...。
なんかちょっと顔色も悪くないかな...」

同僚の人には同意する。
真面目な人柄ゆえ多分ある程度自己管理はしているだろうが、十分に出来ているとは言い難く。
何だか顔色も悪く見えてきた。目の錯覚かもしれないが。
おかん属性は結構良く言われる。だって母親経験者だもの。

「...................。
なんでさ、わたしの周りの男の子ってそんな鋭いの?」

イミワカンナイっと頭を抱えて大げさにのげぞる月香。この体制でペットボトルはちゃんと持っている。

友人のロボットにも言われた。いや、彼には相談したのだが。
でも君本当に鋭すぎないか、とブツブツ呟きながら体制を直した月香は満更でもなさそうで。
否定なんてもう選択肢には無いらしく、「そうだけど!!!」と開き直った。

飛鷹与一 > 「…え、えぇぇ…?」

思わずそんな声が漏れてしまった。遊びに行くという選択肢が最初から無い時点でこの生真面目さがよく分かると思う。
別に遊びたい気持ちがゼロな訳ではない。中々選択肢に出ないだけだ。
変な所で不器用?なのがこの少年のちょっと面ど…特徴的な気質である。

「…まぁ、正直もう養護施設の人達が家族みたいなものですしねぇ」

と、肩をすくめる。悲しいかな、色々あって彼の中では実の家族はもう思い出だけの存在だ。
そして、親戚筋とは完全に赤の他人というくらいに縁を切っている。互いに連絡する気も起きない程度には。

「…うーん、最近色々と鍛錬してるのもあるかも。ちゃんと休息は取ってるんですけどね」

と、少年は口にするが多分それが完全ではないのだる。だからこその疲労具合。
自己管理、というより自身の限界値を何故か完全に把握できていないフシがあって。

「あ、図星でした?むしろ結構、和元さんの態度は分かり易いと思いますけど?」

と、笑って口にする少年。いや、多分彼女の周りの人物がみんな無駄に鋭いだけだろう。こいつを含めて。
そして、いきなり元気?に開き直る様子に苦笑気味に。リアクションが見てて飽きない人だなぁ、と呑気に思いつつ。

「それはおめで…あ、でも片思いとかそういう感じですか?」

そもそも、相手がどういう人かも分からない。まぁ深く突っ込んで聞くほどに節操無しではないのだけど。

和元月香 > 「別に辛いとか、そんなんじゃないならいいっ...ちゃいいけど...」
(なんかモヤモヤするな)

あまり身の上事情を深く掘り下げてやりたくない。
しかし何故か、もやっとした違和感のようなものが。
...気のせいだろう。

「鍛錬かぁ...。訓練施設のやつもあるかな?
あれやってみたけど、思ったよりきついね!」

ぶっ倒れたよ、と肩を竦めて苦笑する。
多分個体差と個人差はあるだろうが、あれもまた休憩無しでは自殺行為だ。

「...んー、そうかな。
はつこい、だからかなぁ。妙に表情に出る...」

頬をむにむにとつまみながら渋い顔をする。
自覚は無く、勝手に頬が緩む感覚がする。
いや、そもそも表情は意識せず浮かぶのだから意識していた方がおかしいのだろう。

「...うん、まぁ。
勝手に救われて、勝手に恋しちゃった感じだし片思いだよ」

頷く。辛くはない。
密やかに終わるのもまた一興だ。
相手は風紀委員的にあまりいい人物では無いので深く聞かれないのは助かる。

飛鷹与一 > 「…まぁ、自分でもしょうもないとは思いますが性分なので」

苦笑気味に。彼女の感じているモヤモヤの正体。それは少年自身にも分からない。
違和感があるとすれば、割り切りが良すぎるという点だろうか。
親戚筋から見捨てられ、実の家族が全員死んでいても表面上は落ち着いたものだから。

「俺は本土に体術の師匠が居るんですけど、ある程度叩き込まれたからかそれが助けになってますね。
こっちでも師匠が出来ましたし、戦闘能力は風紀委員会の一員として欠かせないですしね」

こちらも肩をすくめて。ある程度少年は下地があるとはいえ、休憩なしではキツいのは同意だ。

「…俺はまだ初恋すら無いので、こうピンと来ないんですが、多分意図せず出てしまうというのはあるんでしょうね」

そう口にしつつ、矢張りというか片思いらしい。そこにあれこれは言わない。
初恋すらまだな人間がアドバイスも何も出来る訳がないのだから。

和元月香 > 「...それは分かったんだけど」

はぁ、と溜息をついてもやもやを追い出す。
家族を語る時の彼の表情は、落ち着きすぎて違和感を感じた。それで正解だ。
かつての自分と同じ表情で死んだ家族を語るところが、何故かどうも引っ掛かった月香だった。

「ししょーいるんだ!かっけーね!
いいなぁ師匠、私もほしいな師匠」

まず何を学ぶというんだ、という話だが単純に欲しいだけである。
深くは考えていない。理由はかっこいいから。

「....少しまでは仲間だったんだね、そういう意味では。
いや、本当に不思議だね。誰かをとくべつに想うってことは」

まるで子供のように、瞳をきらきらさせながら顔を綻ばせる月香は本当に楽しくて。
初めての感情に戸惑いながらも、にこにこと上機嫌に笑う余裕は十分あったのだった。

飛鷹与一 > 「……??」

首を傾げて不思議そうに。ある意味で薄情な程に、死んだ家族の事を割り切っている。
思い出はある。忘れていない。喪失感もある。けどもう涙も出ないし感情が麻痺してしまったかのようで。
そう、思い出があるだけ。それ以外の家族のあれこれは彼にはもう残骸でしかなく。

「えぇ、まぁ俺様気質のエロじーさんですけどね。こちらでできた師匠は俺より見た目年下の女の子ですけど」

と、名前はボカすが一応少女であるとは伝えておく。まぁ、見た目と年齢が一致しない者のオンパレードな島だから珍しくも無い。

ちなみに、彼が習っているのは体術とかナイフ術とか近接戦闘のあれこれである。

「――俺も恋愛的な意味かは分かりませんけど、特別?に思う相手は居るには居ますね」

ただ、それが恋愛感情なのか自分ではぜんぜん分からない訳で。
ただ、目の前の少女の様子を見る限り、恋愛というのはほっこりした気分になるものなのだろう、と。

和元月香 > 「.......、混乱させちゃってすまん」

へら、と笑って謝罪を口にする。
一部の感情が最初から欠如している月香に意外と重なるところは多く。
だからこそ、このままではきっと良くないだろう。
悪くなるかは分からないが、確実に良くはならない。
それを月香は理解しながら、とうとう彼に自分の感情を見直すようには言わなかった。

これは、他人から言っても無駄なもの。
いずれ本人が違和感に気づくことを、待つしかないと月香は思っている。

「師匠属性の女の子か、ふむ。悪くないな。
俺様っ子と年下って君、ハーレム系ラノベの主人公にでもなるの?」

確実に意味わからない言葉である。
でも実際月香にとってそうとしか思えないのである。

「...そうなん?へー、良かったじゃんか」

安堵のような気持ちを感じた。
近いものに過ぎないが、何だかほっとした。
誰なんやと聞きたいけど聞かない。

だが目は熱烈に誰なの?と問うている。

飛鷹与一 > 「…え?あ、いえいえ」

少年自身は理解できていないのか、自覚が無いのか不思議そうなままで。
あくまで彼の場合、後天的な事情によるものだが…欠けているのは確かか。
今すぐ人格に影響を及ぼす程ではないが、深い所で根付いているそれはある意味で破綻者だ。
少なくとも、感情の一部が死んでいるに等しいのは間違いではなく。

現状で少年がそれに気付くそぶりは無い。彼の場合、むしろ突っ込んでくれないと自覚できないのだから。

「…待って、待って和元さん。本土の方の師匠は普通にむさ苦しい爺さんですから!
こちらの師匠はかわいい女の子ですけど!」

と、致命的に彼女が勘違いしてそうなのでそこは断固訂正しておきたい。
そもそもハーレムとかそこまでモテる少年ではないのだから。

「…いや、そんな目で見られましても。恋愛感情かどうか俺自身分からないので。
…まぁその師匠ですけど。もちろんこちらの島でお世話になってる方の」

と、名前は出し辛いので婉曲にそう答えてみる。少なくともその師匠が彼にとってちょいと特別なのは間違いなく。

和元月香 > 「.....」

無言のまま頭を撫でるだろう。
もう何も言うまい。
自覚済み破綻者として、そっと見守るのが吉だろう。

「...惜しい!!」

イメージがガラガラと崩れる音がした。
そう叫んで頭を抱える。

「...でも俺様爺さんってかっけぇね」

かと思えばけろりとした表情で顔を上げた。
月香は、可愛いものは好きだがかっこいいものも好きだ。
俺様爺さんってかっこいい→やっぱり羨ましいという結論になったようだ。

「ほう。
年下ってロリみたいな感じ?ここ外見詐欺著しいじゃん」

軽い気持ちで問うてみる。
恐らく正解するだろうが、月香からすればやっかみというか願望である。

飛鷹与一 > 「…え?え?」

何か頭を撫でられてるんですが何故に!?という顔。
彼女と違い、自覚出来ていないのが面倒だ。ある意味、生真面目だから破綻者でもまだまともと言える。
自身の精神のバランスを保てているのだから、破綻者としてはマシな方だろうか。

「惜しいって…あーそう来ましたか。いや、まぁうんホント絵に描いたような俺様気質というか」

何か羨ましがられている気がするが、死ぬほど鍛錬させられた少年からすれば複雑な気分だ。
とはいえ、養護施設の院長と並んで父親代わりの人なので尊敬はしているのだが。

「えーと、外見はハイ。服装もゴスロリ?というか」

頷く。ただ個人的にはこれできょにうだったら完全だったのだけど。
師匠に殺されそうだから口にはしないけどね!

和元月香 > 「.....うん、うん」

くしゃくしゃと念入りに頭を撫でる。
何度も頷いて、ぼそりと「男子高校生の髪質すき」と変態としか受け取れない独り言を呟くと。

「ありがと!ごめんね」

それだけ言って、大人しく頭を離した。
自覚して欲しいやら、欲しくないやら。
複雑な心境ではあるが、少なくとも月香がそれに煩わされることは無い。
なぜなら【それ】が、月香が破綻者と呼ばれる由縁だから。

「やっぱり厳しいんだ?
でもそういう人に限って、いい人多いんだよね」

にっと笑って、麦茶を飲み干す。
ぬるい感触が、口いっぱいに広がる。

「ぶふっ...すごいねそれ」

それを思いっきり噴き出した。まじでロリとは。
口元を拭い、目を爛々と輝かせる。

(まじか、まじかまじか)
学園にロリがいるとは聞いていたが。

飛鷹与一 > 「えーと?」

何で撫でられているか全く理解していないが、ある意味で自覚しないほうがいいかもしれない類。
とはいえ、しなかったらしなかったで、いずれ破綻した己の内面と向き合うことになるのだが。
あと、何ですかその独り言は。喜んで良いのかどうか微妙に乾いた笑顔になる少年。

「え?あぁ、いえいえ」

撫でられるのが唐突だったから驚いただけで、別に嫌というわけでもなく。
まぁ、この少年には自分自身の事で難儀な目にあうのが確定した感じだ。

「まぁ、良い人ではありますがドライな面もありますよ。そうでないと師匠とは言えませんが」

完全に親身になられても困る。適度に突き放してくれるくらいでいい。
と、いうか何か食いついてきてるけどロリがすきなのだろうか?この人は。

「…いずれ、和元さんも会う事もあるかもです。「柊真白」さんという方で、1年生ですね。
俺は主にその人からナイフ術を習ってます」

と、これ以上は無理だが名前だけは出しておく。あとは彼女自身の目で確かめて貰おう。

さて、ペットボトルの麦茶を半分程度残したまま、それと一緒にライフルケース等を担いで立ち上がり。

「すいません、俺はそろそろ帰りますね?雑談ありがとうございました。良い気分転換になりましたし」

と、笑いつつ会釈をすれば、一足先に男子寮へと帰ろうと。しかし…。

「…恋愛感情って凄いんだなぁ」

そんな事を帰り際に呟いていたとか何とか。ともあれ、久々に会えたのは僥倖だった。
そんなこんなで少年は寮へと戻って行く。

ご案内:「ロビー」に飛鷹与一さんが現れました。
和元月香 > 「気にすんな!」

爽やかな微笑み。
たまに男子高校生の頭撫でたくなるよね。
え?無い?そんな馬鹿な。

「んー、できればまた撫でさせて!」

ちゃっかり約束を取り付ける。
柔らかい髪を撫でに撫で、ご満悦の月香の笑顔は晴れやかだった。

「それぐらいが丁度いいんじゃない?」

出来れば、月香だって一生付き合うならば。
いざという時、あっさり自分を突き放してくれる人物を期待したい。
...いや、これはドライすぎるか。

「柊真白、ね。
心のメモ帳にメモっておきます」

いつか会えたら、思いっきり撫でるんだ!
そんな浅はかな願いを抱く。
相手がかなりやばめの暗殺者だとは知らずに。

きらきらした目で月香が決意を固めていると、
相手は帰り支度を始めていた。

「そっか!お役に立てて何より。
私もそろそろ帰らなくちゃね!」

ぐいっとペットボトルを飲み干すと、ゴミ箱へシュート。
見事入って小さくガッツポーズをして、月香も鷹揚に立ち上がった。
スクバを肩にかけ、一度教室に戻ろうと彼とは反対方向へ歩み出す。

しかしながら、月香は。
どこか自嘲するような笑みを浮かべ、嗤うように呟いた。

「.....特別に思う、ねぇ」

ただの気まぐれのくせに!
けらけらと笑いながら、月香は晴れやかに微笑む。
それが自分なのだから。

ご案内:「ロビー」から和元月香さんが去りました。
ご案内:「ロビー」に和元月香さんが現れました。
ご案内:「ロビー」から和元月香さんが去りました。
ご案内:「」に飛鷹与一さんが現れました。
ご案内:「」に飛鷹与一さんが現れました。