2017/11/15 のログ
ご案内:「ロビー」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 放課後。ロビーの椅子に座って、蘭は携帯端末を操作していた。
その画面に映っているのは、ドレスの試着をしているらしい2人の少女。
常世祭に伴って開かれる同好会の発表会で連弾をするので、組曲の中の題をイメージにしつつ、2人で雰囲気を揃えるために一緒に見に行っていたのだ。
衣装を正式決定したのは、奇しくもハロウィンの少し前。

本番が、近づいている。

美澄 蘭 > 自分がメインの一人になる演目の衣装に「恋人」の意見は反映されなかったのは、タイミングが悪いとしか言いようが無い。

(曲のイメージ大事だし、もし聞けたとしても参考程度だったんだろうなとは思うんだけど)

試着姿を映した画像を閉じて、携帯端末をポケットに納めた。

美澄 蘭 > 童話の「お姫様」の、「夢のドレス」は、著名な映像化作品のイメージに支配されつつも、はっきりとした形を持たない。
だから、蘭とパートナーの女子生徒は、それ以外の題からイメージを拝借した。それぞれの外見の、個性に合うように。
予算のレベルを2人で揃え、「マ・メール・ロワ」に相応しい柔らかさを備えたドレスは、蘭の方が今まで常世祭に伴って出演した発表会で着用したものに比べると、だいぶ「子どもっぽい」。

いや…他の場面でも、蘭は、自分がかつてのような背伸びの仕方をさほどしなくなっているのを感じていた。

美澄 蘭 > 「10代らしさ」のラインは、あまり気にしたことは無い。
読みたい本を読み、着たい服を着て、したい勉強をしてきた。
その結果、大人びていると感心されることも、気取っていると疎まれたこともあった。
「アウトサイダー」として、家族が一番濃い繋がりで…そこに、同年代の人間はあまり入ってこなかった。蘭には、兄弟姉妹がいないし、従兄弟も遠方だ。

その過程で取りこぼしたものが…どうやら、確かにあったらしい。

美澄 蘭 > 「上下」の無いところで「対話」すること。
「対等」であるよう「双方で」努力出来る関係を作ること。

親や、大人達に守られていてばかりでは、きっと分からなかったこと。

「…よし」

蘭は立ち上がると、やや早足で部室棟に向かった。

ご案内:「ロビー」から美澄 蘭さんが去りました。