2018/04/08 のログ
ニコラス >  
(彼女の動きが止まった。
 視線の先を見れば、ホイルに包まれたなにがしかが見える。
 アルミホイルを破ればアツアツの肉だか魚だか野菜だかが顔を出すはずだが。)

――それ、簡単に破れるぞ。

(近付いて後ろから声をかける。
 見たところ「こっち」の住人ではなさそうだし、きっと知らないのだろうと判断。
 実際最初見た時は自分も驚いたし。
 食べる量にこそ驚いたが、それぐらいこの島では日常茶飯事だし、それよりも彼女が困っている様子を見せているのが放っておけなかったから。)

モルガーナ >   
目の前の金属塊はスライム用か何かだろうか。
別に金属を食べるもの自体は珍しくないのだが
注文する時には人間が食べるものをと頼んだはずだ。
それともこの国の人間は金属をも食い破る丈夫な歯の持ち主なのだろうか。
またはこれは真珠貝のようなもので何か呪文のようなものでも唱えれば
その中身を白日の下に晒すとでもいうのか。
そんな呪文この世界に来たばかりの自分が知っているわけがないのだが
腹立たしい事に何だかおいしそうな香りまでしており
僅かに見える隙間から湯気まで立ち上っている。

「……む」

腹立ちまぎれに思いっきり突き刺して(物理)解決してやろうかと考えた矢先
後ろから声がかけられる。
怪訝な表情で振り返ると……
うむ、知らない顔だ。

「……コホン。
 破ける……そうなのか?
 少し実演して見せよ。
 妾はこの世界にまだ慣れておらぬでな」

喉元に手を当て少し喉の調子を調整した後
首を傾げながらその声の主に応える。
口調こそ偉そうなもののその仕草はまさに
疑問だらけで理解が追い付かないといった風で
頭上に疑問符が浮かんでいるかのよう。

ニコラス >  
えぇ……いやまぁいいけど。

(なんかすごい上から目線な喋り方だ。
 とは言え困っているのはわかるし、慣れてないと言うのは本当のようだ。)

実演も何も、こうやって……あちち。

(ナイフを借りてざくりと軽く突き刺す。
 そのまま切れ目を入れてナイフを置き、手でべりべりと広げる。
 中に閉じ込められていた湯気が熱いが、まぁ耐えられないわけでもない。
 そのまま手で破って広げればおいしそうな匂いが鼻をくすぐる。
 また腹の虫が鳴いた。)

モルガーナ >   
「……おぉぅ」

とても刃が通るように見えなかった金属塊に
あっさりと刃が沈んでいく。
外から見れば熱い金属の塊であったものの
切り口を見ると驚くほど薄い物であったことが分かる。
中には魚の切り身と思しきものが包まれていた。
どうやらこの薄い金属を鍋の代わりに加熱し調理したのだろう。

「これほど引き延ばすのは中々手間じゃろうに。
 なるほど、見た目に騙されてはいかん良い例じゃな。
 こちらの世界は驚きに満ちておる。実に愉快じゃ」

工芸品ならともかく、こうして学生様に供されるものだ。
こうして調理に手軽に使われているという点を鑑みると
この国の技術はやはり目を見張るものがある。

「それはともかく礼を言うぞ。その……少年?
 危なく中身を台無しにするところであった。
 これで心置きなく楽しめるというもの
 ……ところで主、腹が減っておるのか」

これを開けた時に小さく泣いた身中の音を
耳ざとく聞きつけ小首をかしげる。
若い雄というものはいつも腹を空かせているものだが
それはこの世界も変わらないらしい。

ニコラス >  
こういうのもそうだけど、本とか服とかもスゲーよな。
しかも高級品じゃなくて大量生産してるってんだから。

(自分も一年半ほど前の図書館で大声を出して怒られた事があった。
 魔術の類はあまり見かけないが、代わりに技術が飛びぬけている。)

あー、まぁ、飯食いに来たとこだし。
悪ぃ、邪魔しちゃって。

(テーブルの上にはまだまだ料理が並んでいる。
 食事の邪魔をしてしまっただろうか。)

モルガーナ >   
「うむ、工芸品であれば納得の出来じゃが
 この島……ひいてはこの世界では
 技術的にも格差が是正されておるのじゃな。
 沢山の民が良い物を利用できるとは良い世界にきたものじゃ。
 民の側ともなれば尚更の」

どうやら目前の少年も異邦人であったようだ。
そして同様にこの世界について驚きをもって知ることになったのだろう。
それを語る少年の僅かながらに輝く瞳にその光景を見るようで
少し微笑ましく思い笑みを浮かべる。
この感覚は中々心地よく代えがたい。

「ふむ、少し食べるか?
 頼んだは良いが思ったよりも良い物ばかりでな。
 それ故に食べ時を逃すと味が落ちてしまうものが多い。
 妾一人では全て良い時に食べきれぬ」

うれしい悲鳴とでも言うべきだろうか。
きちんと食べ時を計って提供される料理の数々は
その味の水準の高さゆえにその期を逃すと味が落ちる。
勿論そのご食べてもある程度美味ではあるが、
どうせならおいしい時に食べたい。
視線を動かすと対面の椅子が音もなく引かれる。

「特別に同席を許そう。
 存分に食らうが良い」

有無を言わさずそこに座れと言わんばかりの表情で
ついっとそちらに向かって指を動かした。

ニコラス >  
一億総中流――ってのも昔の言葉らしいんだけどさ。
この国は特に世界一貧富の差が小さいらしいぜ。

(元居た世界からすれば考えられない世界――だった。
 今ではすっかりこの世界に染まってしまっているが。)

いいのか?
だってお前が頼んだ――あー。
じゃあまぁ、お言葉に甘えて。

(見た目自分より年下の女の子に奢られると言うのは、少し気が引ける。
 が、有無を言わさぬ口調と、勝手に動く彼女の前の椅子。
 意外と強引なんだな、と苦笑しながらも、対面に回って椅子に座る。
 とりあえず手近にあったチャーハンの皿を引き寄せ、手を合わせていただきます。
 元の世界で教わった祈りとは違うが、こっちの方が自身の思想とあっている。)

――そうだ。
俺はニコラス・アルヴィン。
今年から二年生。
そっちは?

(チャーハンを一口飲み込んで、自己紹介。
 ついでに彼女の名前も聞いておく。)

モルガーナ >   
「一億総中流……
 ふむ、下限を引き上げるという意味かの?
 一見乱暴に聞こえるが……こうしてその恩恵を甘受できる以上
 聞こえ以上に柔軟であったのかもしれんのぅ」

貧富の差があること自体は
元の世界の感覚では当たり前……というより在るべきものだった。
ましてやその頂点に立っていた立場からすれば
少し奇妙に聞こえるが、今はとりあえずそれに感謝しておこう。
美味しいものが食べられるに越したことはない。

「食物を無駄にするのは品が良いとはいえんでな。
 何より妾の気分が晴れぬ。
 特に異邦人の身の上ではな。
 次何時口に出来るかの保証はないじゃろう」

あのころとは違い、
此方では黙っていても食事が出てくるわけではない。
治安が良いとはいえ、その分しっかりと対価を用意せねばならない。
取引とはそういうものだ。
……ならばその価値が落ちる前に消費しておきたい。

「ふむ、ニコラスか。
 中々親しみやすい響きのある名前じゃの。
 む、妾か?
 妾の名は……そうじゃな、モルガーナという。
 こちらの世界では特別な名前のようじゃが……まぁ気にするでない。
 この島に来たのはごく最近じゃ」

したがって一年生という事になるの。
などと言いながらも料理を口に運ぶ。
……上級生に対する態度ではないかもしれないが
元々そういう事を気にするタイプでもない。

ニコラス >  
極端な金持ちは多くないけど、代わりに極端な貧乏人もいない、みたいな意味だったと思う。

(特に貴族みたいな金持ちはいない、らしい。
 働かなければ食えないけれど、働けば食えるし、働くこともしやすいとかなんとか。
 チャーハンを書き込みながら餃子も口へ詰め込んで。)

飯っつーのは命をいただくもんだからな。
俺も残すのは好きじゃない。
――そんなの金払えばいつでも食える……金、持ってるよな?

(ふと動きが止まる。
 まさかとは思うが、これだけの料理を頼んでおいて金は持ってない、などとは言うまいな。)

モルガーナ。
――んーなんか聞いたことあるな、なんだっけ。

(何か本で見たような記憶があるが、思い出せない。)

モルガーナ >   
「……どちらも身近に居るように感じるのじゃが。
 まぁ良い。今に限っては取るに足らぬ。
 それよりも優先すべきことがある」

いうまでもなくこれを全部食べる事である。
それが終わるまで貧富の差等の問題は棚上げする事にする。
籠に詰まった新鮮な野菜に乳を固めたものを混ぜあわせたものを
手に取り器から皿に移す。
大体は初めて食べるものだがある程度味に信用が出来ると感じられる今、
少し大胆に食事ができる。

「対価か?勿論じゃ。
 そもそもここは……食券?じゃったか。
 あれで先払いじゃろう。すでに払い終えておる。
 手持ちは……まぁ幾分かあてがあっての。
 そういうわけで妾の懐具合を気にする必要はない。
 いちいちそんな事を気にしておっては食事がまずくなる」

砂蟲を飲み込んだような表情でしっしと手を振る。
折角の食事位何も気にかけずに味わいたいもの。

「古い伝説に出てくる名前で元は固有名詞ではなかったようじゃの。
 此方の言葉に変換したらその言葉になったでな。他意はない。
 それよりもそれはどういう味じゃ?
 わかりやすく詳細に説明せよ」

少し身を乗り出すようにして対面の相手が口にするものに対する感想を求める。
どう考えてもおいしそうな香りがするものの一つだったが
あれはたれをつけて食べるのかと得心しながらその様子を興味深げに見つめながら
実に楽しそうな表情を浮かべた。

ニコラス >  
(確かに今優先すべきことはこの大量の食事を平らげることだ。
 チャーハンをかき込み、餃子を貪り、ソーセージを齧る。)

そっか、そういやそうだ。
そういえば異邦人は援助してくれる仕組みあったんだっけ。

(自分も世話になった仕組みだ。
 無一文で見知らぬ社会に放り込まれるほど心細いものはないのだから。)

へぇ。
今度図書館でも――え、どんな味、って言われてもなぁ……。
食ってみるのが一番早いと思うぜ、ほら。

(餃子の味を説明しろと言われてもなかなか難しい。
 なので、箸でつかんだ餃子にタレを付け、彼女の方へ突き出した。)

モルガーナ >   
元々あまり好き嫌いはないが此処まで警戒せずに食べられるというのも
この世界の料理の水準が非常に高い事に起因する。
要は不味い物がない事に安心している。
とは言え食べる速度自体は普通に比べても幾分かゆっくり。
そして小口なことから総量はそう早くは減りはしない。
一方で目前の少年は景気よく掻っ込むため、消化がかなり早くなりそうだ。

「まぁそういったものじゃな」

……別に出会った知り合いから回収したとか
そんな事情は特に話す必要もないだろうとおくびにも出さず
しれっと肯定してみせる。
勿論異邦人援助の手続きも確りと終わらせてある。

「……!?」

けれどその涼しげな表情も
突き出された食べ物と箸を見ると一変した。
ばっと口元を隠し、けれど傍から見て一見して判るほど顔が上気する。

「お、お主いきなり何を!?
 自分がしておることの意味が……判らぬよな。
 それもそうじゃ。ここは妾の世界ではないのじゃから」

しかしそれも数秒の間で、少し狼狽えた後
ため息を一つ零し平静を取り戻す。
後半は完全に独り言を呟くよう。

ニコラス >  
(幸い腹は減っている。
 ここでは軽く食べて、家で改めて、と思っていたが、この分ではその必要もないだろう。
 野菜もしっかり食べつつ、唐揚げを口へ放り込む。)

へ、なにって――あー。
悪い、気にしてなかった。

(一瞬きょとん、とするが、はっと気付いた。
 相手は異邦人だ、そういうことを気にする世界から来ている可能性を考えていなかった。)

人の口に入れたもんは口にしたくないよな。
えー、じゃあ、ほい。

(箸で持っていた餃子は自分で食べて、箸をフォークに持ち変える。
 それを改めて餃子に突き刺し、タレをつけて再度差し出す。
 このフォークは自分で使っているものではないので、汚くはない、はずだ。)

モルガーナ >   
「……すまぬ。説明しなかった妾の落ち度じゃな」

再び無邪気に差し出されるそれを見て
一つため息をこぼす。
確かにこれでは説明不足だ。
今の行動でそれを理解できれば逆に警戒する。

「……あくまで妾の世界ではじゃが
 食べ物を手ずから差し出すというのは
 求婚を意味する行為での。
 それを受けるのはそれを了承する事になる」
 
ついでに言うと口元を見つめられるのは
此方で言う下着を見つめられるのと同義になると付け足しながら
片手で片目を覆うように俯きながらため息をつく。
異界であることは重々に理解しているつもりではあったものの
やはりこういった唐突な出来事には少し戸惑ってしまう。

「そういう訳じゃ。
 こちらでは気軽に行われる行為やもしれんが
 まだ妾はあちらが抜けきっておらんでな。
 今回は勘弁しておくれ」

……昔の自分であれば、動揺どころか表情も動かさずバッサリと切り捨てた。
これは自分の感情が戻ってきているという事なのだろう。
それが今この場面では幾分か恨めしく感じる。

ニコラス >  
――えっ。

(求婚。
 動きが止まる。
 そのままたっぷり数秒動きを止めた。)

――――あ、あー、わ、悪い。

(若干顔を赤くしながらフォークを引っ込める。
 口元を、と言うくだりを聞いて、何となくチラチラと口元を見てしまう。)

あー、えー。
じゃ、じゃあ皿ごと、とかは、大丈夫、ですか?

(何故か敬語になって餃子の乗った皿を差し出してみる。
 それもダメと言われたら、これはもうなんとか説明して見せるしかないだろう。)

ご案内:「食堂」にイチゴウさんが現れました。
ご案内:「食堂」からイチゴウさんが去りました。
モルガーナ >   
「良い。気にするでない。
 これは今となっては妾の問題じゃ。
 主に悪気がない事は言わずとも伝わっておる。
 それを咎めるような真似はせぬよ」

いずれそういった行為にも慣れねばならんな。
等と口の端に乗せながら微笑む。
此方は此方。もうあの世界ではないのだから早く適応しなければ。

「……これこれ、言うた端からちらちら眺めるでない。
 流石に妾とて口にした手前恥ずかしいという感情位はある。
 最も眺めたい欲求自体を咎めるほど子供でもないがの」

此方を伺うような視線を感じると
さりげなく手元の扇子で口元を隠しながら口角を上げた。
相手は若い雄、しかも人族に見える相手だ。
先ほどのような話を聞けば余計意識してしまうのだろう。

「皿ごと、か。
 良い折衷案かもしれんな」

あちらではそれはそれで別の意味だが
これ以上追い詰めるのも本意ではない。
ゆっくりと箸を伸ばすと一つつまみ、
タレに少し触れさせたあと口元に運ぶ。

「……ん、ぅ。ふむ、これもなかなか美味じゃの」

ゆっくりと噛み締め、嚥下すると
安心するが良いと眼前の相手に笑みを向ける。

ニコラス >  
いや、俺も異邦人だからさ。
そういうの考えるべきだった。
ごめん。

(何より相手は女の子だ。
 女の子に恥をかかせるのはよくない。
 頭をテーブルにこすり付けるぐらいまで下げる。)

――あー、そういえばモルガーナはニンニクとか大丈夫なのか。
餃子って結構ニンニク入ってるけど。

(餃子がおいしいと笑う彼女にこちらも安心したような笑みを返す。
 口のにおいとか気にする人(?)だと結構気にするのだが。
 皿を引っ込めながら、その辺は大丈夫だろうかと尋ねてみる。)

モルガーナ >   
「ではこの話はここで終わりという事で手を打とう。
 ふふ、乙女にこれ以上恥ずかしい思いをさせるでない。
 主もそれで良いな?」

少なくとも誠実であろうとする姿は決して不快ではない。
十分許せる範囲なら、これ以上荒立てるのも良くはない。

「そういえばそのようなことを耳にしたの。
 幾分か経ってみなければわからんが……今のところ問題はないようじゃ。
 似ておるとは言え、我らは人間とは少々構造が違うでな」

唾液なども魔術の触媒に使われる龍と人では
外見が似ているだけで全くの別生物だった。
外見は似せているのだから問題ないが、偽装する時に面倒であったなと
何処か他人事のようにその時の事を思い出す。

「消化器官からして別物じゃよ。
 最も此方のヒトが我らの世界と同じであれば、じゃがの」

……先ほど食べたモノは香ばしくておいしかった程度だった。
ニンニクたるものは今の所その効力を発揮してはいないらしい。

「一応対策を聞いておきたいのじゃが、どうすればよいのかの。
 食べる分には気にならなかったが、気にするものも居るのであろう」

個人的な心情として不快な香りを纏いたくはない。

ニコラス >  
――わかった。
さんきゅーな。

(正直まだ納得はしていないが、彼女が言うのなら従おう。
 彼女の言う通り、女の子に恥をかかせるものではない。)

あぁ、通りで……。
ていうかモルガーナは何の種族なんだ?
――あ、言いたくないなら別に良いんだけど。

(テーブルに並べられた大量の料理。
 既に空になっている皿だけでも普通の人間であれば食べきれない量だ。
 ふと、彼女の種族が気になった聞いてみる。)

んー、そうだな。
リンゴ食べると良いとか、牛乳飲むと良いとかは聞くけど。
後は口臭ケアのタブレットとか?

モルガーナ >   
「おや、妾の素性が気になるのか。
 良い男は乙女の詮索はせぬものじゃぞ?
 とは言え妾もどういえば良いのか迷っておるのじゃが」

何処か揶揄う様に笑みを浮かべながら少し思案に暮れる。
此方の世界の龍を理解はできるが適切ではない。
とは言え……

「ふむ、やはり龍と呼ぶのが最も近しい回答かもしれぬな。
 もっと幽世に近しい存在なのじゃが……
 その件に関しては直接見なければ恐らく理解できぬ」

その最たるものが妾なのだかと胸中で呟く。
力の代名詞、翼持つ死etc etc
形容詞はいくつもあり、そのいずれも間違いではないが
……そんなに生温い物ではないことも確かだ。
それを説明する言葉を今自分は持たない。

「……まぁ詮無き事よ。
 今は一介の学生、生徒に過ぎん。
 特別であることもあるまいて。
 それよりも……」

大事な単語が聞こえた。
そう、とても大事な。

「こちらではリンゴは普通に売っておるのか?
 口臭けあのたぶれっと?とは何じゃ。
 聞きなれぬ言葉じゃ。説明いたせ」

好物が普通に売られている可能性があると聞いて
きらきらと目を輝かせていた。

ニコラス >  
えぁ、いや、そんなつもりじゃ……。

(彼女の悪戯っぽい笑みを前にたじろぐ。
 しかしどうやら教えてくれるらしい。)

龍、で、幽世……つーと、神様みたいなもん?

(生き物としての龍なら、数は少なくとも自身の世界にも居た。
 が、彼女の言葉を聞く限りは「神」と形容するのが一番近いように思える。)

とりあえずすごい存在ってのはなんとなく伝わったけど……。
――へ、リンゴ?

(なんかやけに目がキラキラしている気がする。
 今日一番の食いつきにややたじろぎながらも頷いて。)

スーパーとか行けば普通に売ってるけど。
――あー、そっちは、どう言えばいいのかな。
口の臭いを抑えてくれる、薬、ではないんだけどそれに近いものと言うか……。

(腕を組んで頭をひねる。)

モルガーナ >   
「神、か。
 強ち間違ってはおらんが
 ……まぁただの力、じゃな」

唾を吐くように吐き捨てる。
力で力を押さえつけるだけの世界で
ただ蹂躙する事こそが正義な世界で神であったとて何を誇れよう?
そんな黒い思考に染まりかけはっと意識を戻す。
……もうそんな世界ではないのだから、それに囚われてはいけない。
それに今素晴らしい事を聞いた。

「そうかそうか普通に取り扱っておるのか良い事を聞いた。
 それだけで今日は実に良き日じゃ。
 しかもこちらのリンゴは実に良い。甘くて噛み応えがあって満点じゃ。
 む。今から楽しみで胸の高鳴りが収まらん」

はぃ、大好きですリンゴ。
とりあえず後で売っている店を探しに行こう。
口臭けあたぶれっとなるものも見つけられればベストだ。
その為にはまず目の前の物を片付けなければ。

「というわけで気合を入れて腹に収めるが良い。
 期待しておるぞ?男子?」

ニコラス >  
ふうん。

(要は神様っぽい力と言うことだろう。
 何やらあまりこの辺には触れてほしくなさそうなので、相槌を打つにとどめておく。)

じゃあ、色々案内しようか。
モルガーナはこっち来たばっかりっぽいし、どこにどんな店あるかとか、詳しくないだろ。

(一年暮らした街なので、そこそこ詳しくなったつもりだ。
 自身も色々教えてもらって暮らしてきたのだし、恩は回していくものである。)

ウッス、ゴチんなります。

(とにもかくにもこの大量の料理を片付けてからだ。
 もっと寄越せと要求する胃袋へどんどこ収めていく。)

モルガーナ >   
「おや、良いのか?」

着席させた時点でそのつもりだったとは
言わないのが花だろう。只より高い物はないのである。
とは言えあちらから言い出してもらえたのは正直助かった。

「詳しくないどころかほぼほぼ知らぬに近いの。
 一部案内はされたがまだまだ足りぬ。
 どうにもあ奴ら生活に必要最低限があればそれでよいと考える輩での
 乙女心をもう少し学ばせねばならん。その為にも色々と廻らねばな」

要は物見遊山が好きなだけ。
折角変わった世界の変わった場所にきたのだから
思いっきり楽しみたい。悲しい事も楽しい事も。

「うむ、苦しゅうない。
 ……たぁんとおあがり」

最後の一言は童女のような外見に似合わぬ
老婆が孫を見守るような響きを纏っていた。
何処か慈しむ様な表情を浮かべながら
目前の相手が詰め込む様を眺め……。

「では、向かうとしようか」

食べ終えたなら一転
その外見に相応しい無邪気な笑みを浮かべて貴方を急かすだろう。

ニコラス >  
別にそんぐらい手間ってほどもねーしさ。
困ったときはお互い様って言うし、メシのお礼ってことで。

(別に金に困っていたわけではないが、受けた恩は返すのが礼儀だ。
 何より、自分だって困っていた時に助けてもらったのだから、そのありがたさは知っている。)

ならついでにちょっと遊んでくか。
ゲーセンとか言った事ねーだろ、驚くぞ。
――召使いでもいるの?

(に、と楽しそうな笑みを見せて。
 ところで今言ったあ奴ら、とは一体。
 しゃべり方がなんか貴族っぽいし、召使いなんかいてもおかしくはないけれど。)

っし、ごちそうさまです。
っと、ちょ、ま――ああもう、わかったから。

(料理をすっかり平らげ、両手を合わせる。
 流石にちょっと腹が苦しいが、無邪気な顔を見たら待たせるのも悪いなと思ってしまう。
 それでも食器をそのままにするわけにもいかず、食堂のおばちゃんと共に洗い場へ運んで。)

ご案内:「食堂」からモルガーナさんが去りました。
ご案内:「食堂」からニコラスさんが去りました。