2015/06/16 のログ
ご案内:「美術部部室」にビアトリクスさんが現れました。
ビアトリクス > (……一日の授業を終えて、
 日恵野ビアトリクスが訪れる場所はこの美術部だ。
 室内を見渡す。
 日暮れ時の部室は、廃墟のように閑散としている。
 よくあることだ……)

ビアトリクス > (『学生なんだから部活に入ってないと人生損するよ』
 という人生の先輩のアドバイスを受けて
 とりあえず美術部に加わることにしてみたものの、
 どうも現状はそう活発には活動していないようだ。)

(人が少ない事自体は気楽な話ではあるので
 ビアトリクスとしてはさして問題はなかった。)

ビアトリクス > (ともあれ、日課を始める。
 倉庫から引っ張り出してきた石膏像を机に置いて
 向かって椅子に座り、スケッチブックを取り出して
 デッサンの構えに入る。普通の光景だ……)

(少し妙なところがあるとすれば、
 ビアトリクス少年は鉛筆を手にしていない所だろうか)

ビアトリクス > (左手の手袋を外す。
 スケッチブック、何も描かれていないページに
 その人差し指を添える。
 まるでそれが鉛筆であるかのように……)

ご案内:「美術部部室」にアリストロメリアさんが現れました。
ビアトリクス > (ゆっくりと動かし始める……。
 すると、まるで手品のように黒い線が引かれていく。
 人差し指の先に炭があるわけではない。
 なら指の先から炭が生み出されているのかというと、それも違う。)

(彼の異能《踊るひとがた》は、
 触れた対象の二次元情報を改竄することのできる能力なのだ……)

アリストロメリア > (今日はそろそろ帰宅しようと廊下を歩いて
ふと、美術室の前を通れば 少しだけ開いている扉の向こうに真剣にスケッチブックと向き合う生徒の姿が
女生徒かと思ったが――……よくよく見れば、体型が女子のそれではなく、男性のもの)

(描いている絵と本人と、両方に興味を持てば、邪魔しないようにそっと入り、挨拶する)
御機嫌よう、もし宜しければどんな絵を描いているか……見せて頂いても宜しくて?

ビアトリクス > (声をかけられて、びくりと肩を震わせてから、顔をそちらへ向ける。
 額にはわずかに汗が浮かんでいる。
 未熟な異能制御は、彼に負担を強いていた……)

「…………ええ。構いませんけど。
 ……その、そんなに見ても楽しいものではありませんよ。
 ただの石膏デッサンですから。」

(喋り慣れていないのか、少し滑舌が悪い)
(スケッチブックを見れば、目の前の彫りの深い男性の石膏像の
 デッサン……の、途中がある。)

アリストロメリア > (彼の反応を見て、驚かせてしまった或いは邪魔をしてしまっただろうか?と少し申し訳ない気持ちになるが)

……宜しくて?
(構わないと言われれば、嬉しそうに微笑んで)
ありがとう、是非……
(スケッチブックを覗かせて貰えば、まだデッサンの途中であるが
きっと絵が好きなのだろう……しっかりと観察して描かれており
少ししか描かれていなかったものの、その線から
今まで絵に親しみ、それを長年続けてきた技術や積み重ねてきたものが
その絵から、感じとれた)

絵、お好きなんですの?
(スケッチを見つめながら、問う)

ビアトリクス > 「……」
(手汗が滲む)
(話したことのない相手と会話するのは
 いつも余計に緊張する……
 それもふたりきりとあっては)

「……さて、どうでしょうね。
 本当はスキじゃないのかもしれません。
 ぼくの異能が絵に向いているからはじめた趣味なんですけど……
 続けている割には大してうまくなってませんし。」

(再び《踊るひとがた》でデッサンを続けようとするが――
 緊張したためか制御が乱れ、極彩色の色彩が
 スケッチブックに踊ってしまう)

「……あっ」

(苦い表情)

アリストロメリア > (にっこりと穏やかに接しながら彼を見る
絵描きは内向的な人物が多いと聞くが……彼の様子を見れば
人見知りで、いきなり話しかけたのは不躾だったかもしれない――……
絵を描く邪魔にもなりそうであるし、早めに切り上げた方がいいかもしれない
――……と、ふと想いながら)

異脳……?
(あまり聞きなれない、此方の学園に来てから耳にした単語
特殊な能力のそれらしいが、自分の文化圏に無かったので理解に乏しいが
絵に向いている異脳なんてあったのか、と その多様な種類に驚きつつ)

……そう?
私が絵を描かないからかもしれませんが、十分上手い様に思いますわ

(そして、彼の異脳が発動し極彩色の色彩がスケッチブックの上に踊れば――……)

……まぁ!
(その、あまりに鮮やかで美しい色合いに目を奪われる――……
『綺麗な色ですわね!』――……と、話しかけようとして
相手の苦い表情と、石膏デッサンだった事を思い出して)

……どうやら、お邪魔してしまったみたいですわね
ごめんなさい
(静かに頭を下げると『失礼致しましたわ』と、声をかけて
そっと美術室の扉に手を触れて)

もし、ご迷惑では無ければ――……なのですけれど
出来あがった絵などを、見せて頂ける機会があれば嬉しいですわ
(そう、笑顔で言い残して去って行った)

ご案内:「美術部部室」からアリストロメリアさんが去りました。
ビアトリクス > 「あっ……」
(声をかける間もなく去ってしまった)
(正確に言うならば、声を上げることができなかった)
(なんとも言えない表情でその背を見送る……)

(けして迷惑というわけではなかった。
 折角話しかけてくれたのに悪いことをしてしまったものだ……)
(最低限のことしか喋らない生活を続けていると、
 いざというときに声は出せないものだ)
(ふう、と嘆息する)

ビアトリクス > (頁をめくって、新しい頁でデッサンを仕切りなおす)
(しかし動揺がまだ引いていないのか、
 出てくる色はやはり石膏デッサンにはそぐわないものばかり……)
(別に極彩色でデッサンをやってはいけないというわけではないが、
 自身の未熟さを見せつけられるのは彼にとって苦痛なことだった)

「……今日はもうダメだな」

ビアトリクス > (『絵に向いている異能』とは言ったが……
 どちらかというと『絵に使うことができる異能』と表現したほうが近い)

(画材無しで絵を描くことができるのは
 確かに便利かもしれないが……。
 デッサン一つ仕上げる度に息が上がっているようでは
 あまりにも効率が悪い。)
(しかも少し精神が乱れれば、思い通りの描画など
 この通り全くできやしない……)

ビアトリクス > 「くそ……!」

(苛立ちが声になって吐き出される。)
(《踊るひとがた》でデッサンするのを日課としているのは
 別に鉛筆を節約しているわけではなく、
 異能制御の訓練の一環だ。)
(これでも以前よりはずっとマシになってはいるのだが……)

ビアトリクス > 「落ち着くんだ、落ち着け、そうだ、
 いい子だ……。」

(自分に言い聞かせながら、呼吸を整える。)
(すぅ、はぁ、すぅ、はぁ……)

(机の上に置かれていた鉛筆を手に取る)
(……どのみち今は《踊るひとがた》を
 使うのはやめたほうがいい。
 普通のデッサンに移行しよう。)