2015/06/22 のログ
ご案内:「美術部部室」にビアトリクスさんが現れました。
■ビアトリクス > 「失礼します」
(美術部部員であるビアトリクスは
いつものように部室の扉を開ける。
今日も誰もいないようだ……)
■ビアトリクス > (適当に捨てられているカラの絵の具のチューブに
躓きそうになりながら、奥から石膏像を引っ張りだす。
先日中断したままになっていた石膏デッサンの続きだ)
(……しかし、どうにも気もそぞろになって
うまくいかない。)
■ビアトリクス > 「…………」
(スケッチブックから指を離す。
このデッサンは表面情報を意のままに書き換える《踊るひとがた》の
地道な訓練を兼ねていた。)
(……しかし)
「こんな地味な練習じゃ
もう頭打ちにしかならないんじゃないか……?」
(そんな疑いが首をもたげる)
(実際、ここ一ヶ月ほど
《踊るひとがた》の制御能力は向上していなかった)
■ビアトリクス > 「……」
(《踊るひとがた》を自分の意思で使おうとした時、
それはほとんど『少し便利なペン』以上の働きはしなかった。
しかし、《踊るひとがた》が自分の意思によらず
感情の昂ぶりで発現した時――
それは圧倒的な速度と精緻さを見せつけた)
■ビアトリクス > 「つまりは……」
(スケッチブックの新しいページをめくり、
指を添える。
直近で、激しく感情が揺れ動いた時のことを思い出そうとする。)
(『そう自分の体を傷めつけるものではないよ、色彩の君』)
■ビアトリクス > (その瞬間、)
「あっ――ああああッ!」
(指先が熱を持って輝く。
スケッチブックの上に赤と白の色彩が音を立てて広がる。
その色彩の塊はスケッチブックの上を蠢くに留まらず、
そこに添えた指の上からさらに腕までも這い始めた)
「と――止まれ! 止まれ!!」
(叫んで、自分の手首を強く掴む)
■ビアトリクス > (バランスを崩して椅子から転がり落ちる。
激しく息をつく。
数秒してようやく色の侵食は収まり、
少しずつ薄れていく。)
「はぁ、はぁ」
(自身の能力に侵される感覚はひどく気色の悪いものだった。
冷たい汗が全身を伝う。
それと同時に、じんわりとした熱が
身体の中央にまだ残っている。
心臓が動く音がはっきりと聴こえる。
立ち上がろうとして失敗。)
■ビアトリクス > (思わずさっき叫んでしまったが、
部室の外にまで聴こえていたかもしれない。
床に座り込んだまま、呼吸を整える。
……少なくともすぐ誰かが駆けつけてくる気配はない。
胸を撫で下ろす。)
■ビアトリクス > (……立ち上がる気力も起きない。
パンパン、と埃を払う。
熱は未だに内側に篭ったままだった。
倒れた時に乱れたスカートを、手でぎゅっと押さえつける。)
「…………気持ち悪い」
(自分を嫌うものに美は訪れない。
……そう彼は言った。その通りだと思う。
それでもしかし、いまだ自分を好きそうにはなれない。)
■ビアトリクス > (しかしわかった。
《踊るひとがた》の効力は
やはり、術者の強い感情――イメージに左右される)
(つまり、これを使いこなすには
自身の感情という暴れ馬を乗りこなさなければならないということだ)
■ビアトリクス > (なにひとつ自分に自信の持てないビアトリクスにとって、
《踊るひとがた》とはある種のアイデンティティのようなものだ。
この異能についても別に好きでもなんでもなかった。
ただ自分にはこれしかないから使っているというだけで……。)
(絵が好きだったから美術をやっているのか。
《踊るひとがた》があったから美術をはじめたのか。
どっちだったのか、それはもうビアトリクスには思い出せない)
(使いこなせるかどうか、ではない。
どうあっても使いこなさなければならないのだ――)
ご案内:「美術部部室」にルーシェ・サリさんが現れました。
■ルーシェ・サリ > (部活に入れとうるさく言いつけられやむを得ず見学をしていた帰り道。妙な力の作動を感じ、足をとめた)
「美術部でナニおっぱじめてんの? ゲージュツは爆発ってやつ?」
(神々しいまでの光を見た。ならばと思い扉手に手をかけて中を覗いてみよう。扉を小さく開いて瞳をぱちくりさせる)
「姉さん。ここって美術部?」
(性別を勘違いしている)
■ビアトリクス > (転がったスケッチブックには、
赤と白の模様が螺旋のように渦巻いて混ざり合っているのが見える)
(声をかけられて、のろのろと立ち上がる。
パンパン、とスカートについた埃をはらう。
ふう、と溜息)
「ぼくは姉さんじゃないが。美術部ではあるよ。
……ずいぶんと古い言葉を知ってるみたいだが、
べつに本当に爆発させるって意味じゃないよあれは」
(わずかに紅潮の残る顔を向け、愛想悪く返事)
■ルーシェ・サリ > 「ふーん。面白い術使うね」
(スケッチブックを一瞥。足で扉を軽く蹴って開けて、フードの奥で相手をじっと見遣る。スカート。でも女ではないらしい。男っぽい格好ばかり好む彼女の言えたことではない。フードを払いのけると頭を掻いた)
「そうなんだっけ。知らん。オッサンが昔懐かしむ感じに言ってて聞いただけ。ここ美術部っしょ? 見学会ってやってないっけ」
(適当な椅子を取り上げて、背もたれを前に抱え込むように座る。スケッチブックに興味があるのか、あるいは相手の容姿か、交互に視線を変える)
■ビアトリクス > 「さっき光ってたのなら、ぼくの異能の暴走だな。
……恥ずかしながら」
(スケッチブックをそそくさとめくり、別の頁にする。
これを見られるのはひどく気まずい。
自分自身に向けられる品定めされるような視線も苦手だ)
「見学会? さてね。ぼくは下っ端の一年だし、
そういうのはよくわからない。
一応常に見学は自由だよ。入部も。
勝手に見てけばいい。大して賑わってもいないが。
……お茶でも出そうか?」
■ルーシェ・サリ > (異能と聞いてもあまり食指が動かないが絵の動くスケッチブックには興味があるようで、別の白紙に切り替えられてしまうと残念そうに椅子の上で胡坐をかいた)
「お茶があるなら見学会でもなんでも参加しないと」
(言うなり部室内を勝手に物色しようと歩き回る。もしお茶セットがあったならば勝手に準備し始めるだろう。場所を見つけられなかったのならば相手に場所を聞いて準備し始めるだろうか。部室内でお茶のできそうなスペースがあるかは状況しだいだが)
■ビアトリクス > (部屋の隅に置かれていた机を適当に引っ張ってくる)
「……お茶と言ってもあいにくこんなものしかないが」
(二人分の、欠けた湯のみに熱い烏龍茶が入って出てくる。
お茶請けは、適当に棚をあさったら出てきた
『パイせんべい』という謎のお菓子だ。
おいしいかどうかは不明)
「……なんか部活探さなきゃいけないけど気が進まない、ってやつでしょ君」
(当てずっぽうだが、自分も前はそんな感じだったしきっとそうだろうと)
「なんでもいいからとりあえず部活入っとけぐらいのノリなら
美術部はオススメかな。
なにせ幽霊部員多いし、みんなでなんかしようみたいな
意識高いノリでもないから気楽この上ないからね」
(机の前に椅子を寄せ、烏龍茶をすする。
スケッチをサボる口実を見つけたと言った感じでくつろいでいる……)
■ルーシェ・サリ > 「お、わかってんじゃーん大将」
(姉さんから大将へ呼び方が変化。理由はお菓子とお茶が出てきたからに決まっていた。机を集めて簡易的にお茶会が形成される。早速ぼろい容器に口をつけるとパイせんべいなるお菓子をパク付く。パイのような甘さとしょっぱさが―――)
「うーん……」
(おいしいのかまずいのか微妙な表情となり眉間に皺が寄る。お茶で流すと、どっかりと椅子に座り腕を組む)
「ま、そんなとこ。部活入れ入れうるせえから探してるとこ。みんなでワイワイやるの苦手だから、美術部とか文芸部とかどうよと思ってたんだ。ココいいかもな。人いないし」
(美術部の活動中のはずだが一人しかおらず閑散としていた。とりあえず的に入部しておくのもよいだろうと考える。お茶を飲み干すと勝手に二杯目をとりに行く。並々注いできて道中で一口すすりつつ椅子についた)
「活動って絵描いたり粘土こねたり? おれ見てるからやってみて」
(微妙な顔をしつつパイせんべいをもぐもぐ。食えよと言わんばかりに相手の机の前に数枚置きつつ活動風景をせがむ)
■ビアトリクス > 「誰が大将だ。……いまいちだなこれ」
(誰が置いたか知らない菓子を勝手につまみながらの感想)
「ああ、文芸部とかもいいだろうね。
行ったことはないがどうせボンクラ共が
ダラダラとゲームでもしてるんだろうよ」
(あんまりな偏見)
「そうだね、水彩、油彩、工芸……色々だ。
ぼくが専らやっているのは絵だけど」
「え……ああ」
(パイせんべいを茶で流し込んで、
椅子を元に位置に戻し、石膏像の前に。
スケッチブックをめくり、指を添え《踊るひとがた》を鉛筆代わりに
デッサンを再開……)
「……やりづらいなこれ」
(小さくぼやく。
いかんせん地味な上に、
ビアトリクスは見られていると集中できないタイプの未熟者だったので
かなり見物していてつまらないものとなるだろう)
■ルーシェ・サリ > 「文芸部って文とか書いてる部じゃないのか」
(イメージ的には大勢集まって文を練り上げている絵しかなかったのか、ぽかんと口を半分開けている。部活自体やったことがないのだから当然の反応だった。美術部の活動内容を説明されると周囲の備品や未完成品を含めて見遣る。芸術に詳しくは無いが検討はついた。パイせんべいに飽きたらしくほかの菓子を探す。なかった。しかたがなく茶を飲む)
「だと思う。じっくり見られて集中できねえと。そっぽ向くとつまんないし、みてるとはかどらないし、難しいな」
(つまらないことはわかったので、よしならばと勝手に紙と鉛筆を持ち出してなにやら熱心に描き始めるだろうか)
■ビアトリクス > 「文芸部ってのは文学とか小説が好きなやつら……つまりオタクが集まるだろ?
オタクが一定数集まったらどうなるかってのは火を見るより明らかだろう。
まじめに作品完成させようってのは半分いりゃいいほうだな。
どこだって同じさ」
(まるで見てきたようなことを言い)
「人目があるぐらいで気が散るのは未熟な証拠だよ。
恥ずかしい。」
(実際没頭状態になれれば見られていようが
なんだろうが気にならないものなのだ)
(絵を描き始める様子をおや、と横目に見て)
「……君は絵には興味あるの?」
(入部希望者に本来最初に訊くべきことをようやく)
■ルーシェ・サリ > (せっせせっせと何かを描きつつ、話に耳を傾ける。耳が音に反応してビアトリスクのほうへ向いた)
「つまり陸上部は走るの大好きなやつらが集まって作品を……つくんねーわ……とにかく文芸部とかその辺は面白くなさそうだなあ。どうせ入るなら面白い先生とか面白いイベントとか欲しい」
(紙に描き出すのは植物の絵だった。およそ地球には生息していなさそうな奇妙奇天烈なキノコやら、樹木やら。いずれも簡略化されており、お世辞にもデッサンのデの字も知らぬ自己流とわかるだろうか。ペンを文字通り机の上に投げて紙を置く)
「比較的ね。興味あることに絞っていくとメシ食うこととかになるけど料理研究部はあれ作る側なのな。料理は食うのが好きなんだ」
(絵は美術と言うより生物学のデッサンに近いものだった。まずいまずいいいつつパイせんべいを一枚食らう)
■ビアトリクス > 「さすがに体育系と文化系は同じ尺度じゃ語れないよ……」
(若干あきれて)
(ちら、とその紙を見る)
「ふうん。面白い絵だ。……少なくともぼくの絵よりは」
「そりゃまあ食うのは三大欲求の一つだしな。
誰だって興味あるだろうそりゃ。ぼくだってある。
食うことに興味があるんならファイアーミートにでも行くんだな。
……あれは部活っていうか店だが」
(パイせんべいの消化ノルマをこなす)
「……ぼくも部活に入れば面白いことの一つもあるかと思ったが
口を開けてばっかりじゃ何も飛び込んでは来ないらしいな。
そもそも、絵なんて美術部に入らなくても描ける」
(『道具と場所の調達は楽になるけど』、と付け足して)
■ルーシェ・サリ > 「ファイアーミート? 聞いたことある」
(聞き覚えがあった。腕を組んで記憶を辿るも不発に終わる。頭を使うのは止めだとひらひらと手を振ると、先ほどの紙を裏返しておいた)
「思い出せない―――けどうまそうな名前してんな。けどやっぱ食う系の部活はいいや。ほかは陸上とか……いや待てよ、陸上で魔術だの異能だの使うのまずいよなあ」
(その辺どうなっているんだろと付け加えてせんべいをかじる。相変わらずまずい。茶で流し込むと、部室に置かれている備品の数々を見るために歩き回る。デッサン用紙はもちろん、像もあれば絵の具も置いてある。高そうな予感)
「大将も絵に興味があって入ったと。それか金欠で道具が買えなかったとかか」
■ビアトリクス > 「陸上に限らず運動系って異能との折り合いどうしてるんだろうな……
ま、ぼくには関係ない話だし、どうでもいいが」
(少しずつ男性の石膏像のデッサンは完成に近づいている。
精緻に描き込まれてはいるが……やはり見て面白いものかというと微妙)
「興味ね……
あったといえばあるし、ないといえばないとも言える」
(なぜかぼんやりとした答え)
「ま……惰性だよ。ぼくは惰性で絵を描いているんだ。
他に得意なこともなかったからな」
「イーゼルやら石膏像やらを借りられるのは便利だね。
個人で持つにはかさばるから。
筆や絵の具は借りられなくもないが、
まあ自分で持つほうがいいな……消耗品だし。
おかげで金欠であることには違いないな。特に油彩は高い」
(芸術は貧乏人のやることじゃないんだよ、と皮肉っぽく笑う)
■ルーシェ・サリ > 「全力でぶっぱできるなら私は最強だ」
(人称がぶれた。部室内を徘徊するのに飽きたか、今度はよりによって相手の背後に椅子を置いて肩越しに凝視するという行動に出る。距離は10cmと無い。気を散らそうという意図か。ニタニタと意地の悪い笑みに口を吊り上げていた)
「興味ないなら、部室に律儀にこないだろ。本当は興味あるけどどう絵を描いてわかんないとかじゃないの」
(物言いは含みの無い素直なもの。像のデッサンが完成に近づくのを見つつ、今度は立ち上がってこれみよがしに覗き込んでみる)
「部活のひとつにしても金かかるなんて世知辛い世の中だと思う。デッサン? っていうんだっけ。どのあたりで完成になんの」
(色を塗るのだろうか。線をまとめて雑な補助の線を消すのだろうか。じっと観察してみる)
■ビアトリクス > 「近くないか」
(ぼやくが、慣れたのか最初ほどには集中がとぎれる様子はない。
……よく見ると、指先で触れた場所のコントラストが
濃くなったり薄くなったりしているのがわかる。
《踊るひとがた》というのはそういう異能なのだ)
「……異能の訓練を兼ねてるんだ。
毎日使わないと錆びつくからな」
(素直なものいいには不機嫌そうに、言葉少なにそう答える)
(……しばらくして)
「……ほら、これで完成だ」
(コントラストのはっきりとした男性像のデッサン画が出来上がる。
白黒のままで、特に色が塗られたりはしない。
面白い出来栄えではないが、形をしっかりと捉えられていると
素人目に見てもわかるだろう)
■ルーシェ・サリ > (異能あるいは魔術を行使しているのはわかったが、どのような内容かまでは把握できない。描く能力だろうかと思っている。絵が着々と仕上げの体勢に入った。人は慣れるもの。近距離で見つめていても慣れてしまえば畑のかぼちゃに等しい)
「ちぇっ……大将恥ずかしがりやさんみたいだったから見つめて妨害してやったんだけどな」
(効果がないとわかれば行動は早かった。背後から隣の椅子に座りなおして頬を腕で支える倦怠感あふれるポーズで待ち続ける。
出来上がった男性像と実物を見比べて軽く拍手をした。白黒二色。やれ人相書きだのやれ危険な植物の見分け方だのでしか描けない彼女にはとうていできない芸当だった)
「おーすごい。大将……すまんすまん。名前聞いてなかった。毎日描いてるってことは子供の頃からやってるってことになる。あんま褒めたりしないタチだけど正直上手い」
(上手い上手い言いつつ肩でも叩いてみよう。コミュニケーションのつもりらしい。
付け加えて、思い出したように名乗る)
「おれはルーシェ。ルーシェ=サリな。よろしく大しょ……なーんてもう言わないからさ」
(流石に気分を害するだろうと両手を挙げて降参のポーズ)
■ビアトリクス > 「ずっとその手にかかるほどかわいいやつじゃないんでね、あいにくながら」
(褒め言葉を受けても、大して面白くもなさそうに)
「続けてりゃ誰だってこれぐらいは描けるよ」
(どんな凡才でもな、と卑下が続きそうになるのを押しとどめ。
肩を叩かれれば、露骨に顔をしかめて距離を取ろうとする。
その手のスキンシップを苦手とするタイプだった)
「ルーシェか。よろしく。ぼくは……日恵野ビアトリクス。
もし入部する気になったら……そのへんの棚に入部届があったから
名前書いて置いといてくれ。きっと誰かが受理する」
(書類の入った棚を指で指し示して、
スケッチブックを畳み、席を立つ)
「……ぼくは日課が済んだし退散するよ。
じゃあな。また縁があったら」
(そうして部室を後にした)
ご案内:「美術部部室」からビアトリクスさんが去りました。
■ルーシェ・サリ > (去る相手を見送った。書類のある棚に歩いていき、一枚とる。とるが、さてどうしたものかと悩む。どうやら嫌われてしまったようだし、顔を合わせるのもよろしくなかろう)
「ビアトリスク?」
(たしか魔女だったか女神だったかの名前と記憶にあったが思い出せずじまい。書類を出すかは後で考えようとその場を去ろう)
ご案内:「美術部部室」からルーシェ・サリさんが去りました。