2015/12/27 のログ
ご案内:「部室棟空き部屋」にアリスさんが現れました。
■アリス > 暗く寒い年ももうすぐ終わる夜。
新しい部が出来た時に仮に割り当てるような狭い部室に何人もの少年少女が無言で流れ作業のごとくパーツを組み立てては次の人に回していた。
一名の少女が、出来上がりをチェックして、袋に入れて箱に梱包する。
梱包した箱には『フィギュア福袋』と書かれていた。
夏の聖戦においてアリスが作り、売り出した同人誌の女性キャラをランダムに投入した物である。
■アリス > 流れ作業も20箱の梱包を迎えようかと言う頃、頭のパーツを担当していた少年が顔も上げずに『新規フィギュア間に合う?』と問いかける。
「サビ残してくれたら。」
梱包前の最終チェック役のアリスが返す。
アリス一人では梱包作業が間に合わなくて、お手伝いを何人かに頼んだのだ。
もちろん有償。
但し、それでも全ては間に合わない。
■アリス > 「あ、これ胴のパーツ違う。」
やり直し、と胴の担当の人に一体回し。
『なんで全部はめ込み同じにしたのさ?』なんて問いかけにはスルーを決め込んだ。
フィギュアを見ながらほんの少しだけ物思いにふける。現実逃避とも言う。
今流れ作業で作っているフィギュアは夏前に自分が生まれて、学園に来て、出会った人達をインスパイアもといモチーフにして作った同人誌のキャラ達だ。
新規フィギュアのモチーフは常世マーケットの後にであった人達をモチーフにした着せ替え可能な代物だ。
商品と同時に自分の足跡でもあるフィギュアを見て、少し位物思いにふけってクリスマスになんやかんやしたかなー位の妄想をしても罰は当たらないんじゃないかな、と思って。
その妄想が、一部視線から漏れた。
■アリス > 漏れた妄想が作業をしていた一部少年を通過。
暫くしてフィギュアを見て挙動不審に陥る。
そして。
『畜生、俺達がこうしている間にもあんな夜やこんな夜を過ごしてるんだろうなぁ!』
この一言で作業をしていていた他の人員が、
『何がクリスマスだ!聖なる夜じゃなくて性なる夜(一部)だろーが!』
『いい子にしててもサンタは来ない、プレゼントはもぎ取らねばないんだー!』
『これが終わったら……玉砕しにいくんだ、俺…』
等々の悲哀と嘆きが噴き出す。
これはもう、作業にならないと見て。
「お、おつかれさま、バイト代で暖かい物を食べてくると、いいですよ?」
恐る恐る提案する。宥める効果は、きっとあんまり無さそうと諦め混じりで。
■アリス > しばらく、さめざめとした空気が流れて。
独り身だらけと判明した、いや、この時期に一日バイトを受けてたからには予想できた人達が一人ずつバイト代を受け取って部室を出て行く。
その後一人、残され。
「はー、間に合わせるのは厳しいかー。福袋は種類減らして残りは別の機会にしてー。
足りない分は宅配便で取り返してー。
……新しい妄想ネタ拾いに行かないと。」
ちょっと寒い、と身体震わせ、コートを羽織。梱包された箱に血の印をつけて、詠唱。
残っているパーツの入った箱にも印をつけなおして、箱を浮かせて運んで、部室を後に。
KENZENな目的でひっそりフィギュア福袋が売られる事になるけれど、それはもーちょっと後のお話。
ご案内:「部室棟空き部屋」からアリスさんが去りました。