2015/07/06 のログ
ご案内:「図書館」に惨月白露さんが現れました。
惨月白露 > 図書館で足を組みながら、ノートと教科書、そして問題集を広げる。
試験も残り二日、残った教科の最後の復習と思ってカリカリとペンを走らせた。

「ま、こんなもんか。」

ノートには女子高生らしい可愛らしい丸文字が並んでいる。
文字に関しても努力に抜かりはない。
赤ペンを入れると、1問だけ間違っていた。
首をかしげると、問題集の解説を読み始めた。

「―――ああ、なるほどな。」

その問題をもう一度解く。
答案と同じ回答になる事を確認して、頷いた。

惨月白露 > 二級学生、つまり、偽装された学生証だからといって、
試験が免除されるというわけもない。
むしろ、二級学生である事を隠すためにも、
可能な限り優等生である事が重要だ。

「別に苦手って事もないけどな。」

ふと、男子生徒だけでなく、女子生徒からもチラチラと視線が向けられている事を感じると、
シャーペンを口に当てて、そちらに視線を向けながらにっこりとほほ笑んだ。

黄色い歓声が上がるのに、
人差し指を唇にあてて「静かに」と注意するようなしぐさを取ると、
パチンとウィンクをして、勉強に戻った。

惨月白露 > パラパラと教科書を捲り、
概ね全部復習し終えた事を確認してぱたんと閉じた。
少し疲れた目を押さえて『ふぅ』と息をつく。

次の教科の勉強道具を取り出しながら、
近くに居る生徒が試験後の予定を話しているのを聞いて、
『そろそろ海開きか、水着、用意しとかねぇとな。』と考える。

教科書、ノート、問題集だけでなく、
今度は単語帳も取り出すと、再びシャーペンを走らせ始めた。

ご案内:「図書館」にヘルベチカさんが現れました。
ヘルベチカ > 机へと向かっている惨月の前。並べられた勉強道具の向こう側。
開いた机のスペースが、とんとん、と指で叩かれた。
立っているのは、黒いエプロンを付けた少年。
右の腕には、図書委員、と書かれた腕章が巻かれている。
机を叩いていた指が、つぃ、と持ち上げられて。
そのまま、その先端が指したのは、惨月の傍。
立てかけられた、赤い鞘の刀。
「悪いが、長物は傘立てに入れてきてくれないか」
逆の手が指さしたのは、図書館の入口、傘立ての置かれている方。

惨月白露 > コツコツと叩かれれば、頭上の耳がぴょこんと動く。
視線を上に向ければ、猫耳のついた黒髪の少年が目に入った。
声色を変えて、彼に向けて人懐っこい笑みを向ける。

「あ、すみませぇーん。」

軽い調子で謝りながら頬を掻くが、
指差されたほうに運ぶ、という事はしない。

「でもこれ、近くに置いておかないと落ち着かなくて。
 ほら、結構高いから置き引きとか怖いですし。
 ……見逃してくれないかなぁ~、なんて。」

可愛らしく首を傾げながら、困ったような笑みを浮かべた。

ヘルベチカ > こちらに向けられた笑みを見て、一瞬少年の視線が相手の頭、人以外の耳へと向いて。
また、惨月の目へと向き直った。
置き引き、という言葉を聞けば、なるほどなるほど、と数度頷いて。
「そっか。じゃあカウンターで預かるわ」
エプロンのポケットから取り出したのは、針金のついた値札。
ミシン目から切り離せば、半券を惨月へと差し出した。
35番、と書かれた、ぺらい紙。
全くもって、惨月の媚びが効いている様子はない。
「帰るときにカウンターで半券と交換できるから」

惨月白露 > 媚びが効いている様子が無い事を見れば
『なーんか最近、こんなんばっかりだな。』
などと考えて、内心で苦笑いしつつ、

ふりふりと両手を振ると、刀を持って立ち上がる。

「い、いえ、いいですよ。」

慌てたようにパタパタとノートと教科書、
そして単語帳を閉じると、鞄に仕舞い込んだ。

「丁度キリも良かったので、もう帰りますから。
 次からはちゃーんとカウンターに預けますね。
 お仕事、お疲れ様です。図書委員さん。」

ぺこりと一礼すると、頬に人差し指を当てて、
にっこりと彼に笑いかける。

「もし良かったら、この後少しお茶でもしませんか?」

ヘルベチカ > ちらちらと、時折視線が相手の頭へ向けて飛ぶ。
相手の顔。相手の耳。相手の刀。くるくると回る目。
結果として半券が無駄に成れば、そのままエプロンのポケットへと仕舞いこんだ。
「そっか。それじゃ、次使うときはカウンターへ頼む」
「世間様で言うと、置き引きよりも刃物近くにおいておかないと落ち着かない人のがとても怖いからな……」
言って、一息。万が一にも暴れられることを危惧していたのか、吐息は深かった。
そこへ掛けられた声と笑顔。

「うえ」

少年の口から零れた声。上には特に何もない。
「なんで……?」
身の程を知ることの儚さ哀しさから溢れでた疑問を、口に上らせる。

惨月白露 > 「そういう人が怖いから、刃物を近くに置いているんですよ。」

何の敵意も無さそうな、
それこそ虫一匹殺せなそうな笑みを浮かべて、頬を掻いた。

彼の気の抜けた声を聴くと、
口を押さえてくすくすと笑って彼の瞳を覗き込む。
彼の顎に手を当てると、にっこりと笑って続ける。

「好みの顔を愛でながらお茶したいから、じゃ、理由になりませんか?」

ヘルベチカ > 「ふーん」
普通の女子が言えば、確かに、と笑うのだろうけれど。
惨月の言葉に、少年は生返事に近く頷いた。
やたらと無関心か、それとも警戒しているか。
理由はすぐにわかった。

伸ばされた繊指が、少年の顎へ触れる。
惨月の指先へ伝わるのは、まだ体毛の薄い、柔らかい肌。
覗きこまれた瞳。少年の黒い瞳が、一瞬動揺の色に揺れた後。
嫌そうに歪んだ目元と、閉じられた瞼に一度覆い隠されて。
それから、開かれた。黒瞳は、惨月の灰瞳を見返して。
少年は、右手を己の頭へ当てれば、茶虎の猫耳の先端を摘んだ。

「頭に耳がついてて愛想がいいやつは、一切信用出来ない」

心底嫌そうな顔をして、そんな台詞。
どうしようもない程にどうしようもない。
「でも、いいよ。逆に面白いから。遊びに行こうか」
相手の手から逃れるように、身を引いた。
「何。どこいくの」

惨月白露 > 「あはは、そんな事言われても困っちゃうなー。」

彼と同じように、頭についた耳をくいくいと引っ張る。

「これ、飾りとかじゃなくって生まれつきなので。
 嫌いなら、外せるものなら外してあげたいんですけど。」

手を放すと、ちゃんと生きている事を示すように、
その耳がぴょこぴょこと動く。

身を引いた彼の手に滑り込ませるように手を握ると、くいと手を引いた。

「そうですね。」

頬に指を当てると、うーんと首を傾げる。

「おいしいケーキ屋さんを知ってるんですよ。一緒に行きませんか?
 ……お仕事の途中みたいですし、少しだけ。」

ヘルベチカ > 相手から身を離して、ゆっくりと深呼吸する。
信用できるか否かは別として、顔の造形が整った相手は一種の暴力であった。
二、三度、吸って、吐いてから。
「別に獣の耳が嫌いってわけじゃない。そんな、自分が嫌いな中学生、みたいなこと言わないさ」
一瞬相手から視線を外して、それからまた、相手の耳を見て。
「こっちに慣れてるってことは、他の世界から来て一週間、とかじゃないんだろ」
「そんだけ整った顔してて、それに加えて獣の耳なんてついたら、普通よりよっぽど見世物だ」
なのに愛想がいいのが、信用出来ない、と。少年は目を閉じながら、溜息混じりに。
すれば、その隙を突かれて、握られた手。
ぎょっとした顔で目を開けた。
相手が男性だとは、流石にまだ気づいていないようで。
顔が不自然に強張って。
「いいけど。元々単位稼ぎに、非番潰しの手伝いだし。だから離せ」

惨月白露 > 「あー、なるほど」
ぽん、と手を打つと、困ったように笑って頬を掻く

「いえ、逆ですよ。
 見世物だからこそ愛想は良くしないといけないんです。」

「目立つって事は、それだけ襟首正さないといけないって事ですからね。
 見た目がいいと嫉妬とかも集めやすいですし、目立つなら猶更なんですよね。
 見た目も耳もただの生まれつきなのに、困ったものですね。」

『嫉妬から変な噂を立てられたら困りますから。』と付け加えながら、
『離せ』という言葉を無視して、むしろ指を絡めて歩き出す。
強張った顔を見れば、内心で『ちょろいもんだな』とほくそ笑んだ。

「でも、ご心配ありがとうございます。優しい方なんですね。」
にっこりと笑うと、思い出したように『あ』と声を漏らす。

「そういえば名前を聞いてなかったですね、聞いてもいいですか?
 私は白露 小百合って言います、シロって読んでください。
 みんな、そうやって呼ぶので。」

ヘルベチカ > 「やっぱり、クッソ信用出来ないパターンじゃねえか……」
喉の奥から、唸るような声。
見られているから、襟首正す。確かに正しい発言だ。
これ以上ないほどに正しいし、人の目は気にするべきという意識があるのは重要な事だ。
それはつまり。
見られていないところであれば、何でもするということである。
このサイズの長物を振り回す相手に片手を取られている。
見た目の整い様は確かに魅力的ではあるが、そんなことよりも、トラの檻に放り込まれたネズミの気分だった。
しかもこの檻、硝子張り。小さなネズミは外に出れると勘違いして頭をぶつけるだけ
外から見るには楽しいタイプの催しだ。握られた手に力は入らない。
「……心配なんてしてない。優しくない。地雷処理班は優しいとは言わない」
いや、自分の心配ならそりゃあもう大層にしているというものであるが。
名乗られた名前、一瞬考え込む様子。大方偽名だろうか、と、邪推極まりない事を考えてから。
「ねこのかみへるべちか」
平坦な声で自己紹介。
「猫でもヘルでもチカでもお好きにどうぞ……」

惨月白露 > 「えっと、もしかして、
 おにーさん、人間不信とかなんですか?」

『若いのに苦労してるんですね』と苦笑すると、
困ったように頬を掻いた。

「別に、人が見てなければ何してもいいとかそういう意味合いじゃなくて、
 ほら、余計な火の粉を被らないようにというか。
 ……女の子は色々大変、ってことですよ。」

人差し指を立てて、にっこりと笑う。

「じゃ、ネコちゃんですね。宜しくお願いします。」

心なしか親しげに言うと、心配そうに彼の顔を覗き込む。

「それにしても、本当に大丈夫ですか?
 なんかこう、『疑心暗鬼』ーっていうか、何か嫌な事でもあったんですか?」

『もちろん、言いたくなければ言わなくてもいいですけど。』

と付け加えつつ、図書館を出てゆっくりと歩いて行く。
図書館の近くの路地裏に少しだけ入って、
『穴場』とも言える静かな洋菓子屋の扉のベルを鳴らす。

ヘルベチカ > 「一つだけご説明して差し上げるが、このサイズの長物振り回す方を
 女の子にカテゴリしづらいんですよ白露さん……人間不信以前なのでは……?」
相手の表情の移り変わりを、最早モニターの中で流れていく
グラビアアイドル画像スライドショーを見るかの如き視線で眺める少年。
ふと、何故、かは、分からない、が、この、相手に、
「ネコちゃん」と言われた瞬間に、背中にぶっとい氷柱を、
突っ込まれたかのように、怖気が走った。
何も突っ込まれてなんていない。突っ込まれてない。気のせい。気のせい。
首を傾げつつ、空いている方の手で己の背中を撫でながら、心の中で言い聞かせる。
「何か嫌なことって言ったらまさに今、安全地帯でお茶するつもりが
 地雷原でタップダンスに変わったことかな…」
「ていうか、何。そんなに火の粉がやたら飛んでくるような立場の人なの。お忙しいんじゃないの」
ずるずると相手に引きずられるような様相で、少年は惨月の後を着いて行く。
まだテリトリー。まだテリトリー。と心の中で途絶えながら、店へと足を踏み入れる。
「……洋菓子屋、こんなところにもあったのか」

惨月白露 > 「隠れたおいしいお菓子屋さんを探しておくのは、『女の子』の嗜みですからね。」

―――『からん』という音を立てて、その洋菓子屋へと入って行った。

ご案内:「図書館」から惨月白露さんが去りました。
ヘルベチカ > 「そりゃ、味に期待が持てる話だ」
聞こえたドアベルの音が、何故だかやたらと、響いて聞こえた――――

ご案内:「図書館」からヘルベチカさんが去りました。