2015/08/13 のログ
ギルゲイオス > 我の異能はそう自由の利くものでもないし、自分でも良くと分かっておらん。
機械類に関しては、もう論外であるからな。
消去法からも、得意分野からとしても、結局ここに落ち着くのであるよ。
(送還した直後、相手のリアクションを見ればちょっと間の後、喉元で小さくと笑った)

さての。
あくまで我の見立てとして、門は気まぐれな『召喚装置』或いは『転移装置』と仮定して進めておるからの。
原理は兎も角として、『余所から此方へ呼び込む、もしくは移動させる』というのは共通点であるし。
直接つながらなくとも、何かしらが有れば、というかんじであるかな。
(ちょいと肩を竦めてみる。
結局の所、根拠はないがとりあえず関係がありそうなモノを調べてみよう、その段階だ)

創造、であるか。
出来る出来ないは別として、原理や仕組みが分からぬまま作り出すというのも……随分不安を感じるのであるな。
(例えるなら、術式とか全く分からないけど、魔術の炎が出せるよ!って感じ。
ちょっとした何かの作用で、事故が起こる可能性も十分とありえる。
つまるところ、彼女の言う通り、躊躇するのは妥当と言える)
言う通りの危険性も考えられるし、或いは、想像の外にある危険が発生する可能性もある。
もうちょっとソレは、様子を見てからの方が無難かも知れんの。
(少々と臆病な判断ではあるが、イザという時が怖い。
すぐに試す、というのは考え物か)

どちらにせよであるな。
とりあえず、断片情報でも見つかればめっけものか。

どういう組織であったかは、我なりは調べてはみるが。
我々の見れる資料で、その確保していた門について詳しく書かれているとは思いにくいし。
本人達に直接も……うーむ
(聞いて、はいそうですか、と教えてくれる――訳がない)

百聞は一見に、というのは日本のことわざであったか。
転移荒野であればソレなりに開いておるのだろうが……巡って運に任せる形、しかないのかの?
(首を、かっくりと横に倒した)

ミウ > 「機械と言えば、常世島の研究者達の中にも、科学技術を使って門へと辿り着こうとしている人もいるのかしらね。
 得意分野を活用するのは、とても良き方法だと思うわ」
優雅な笑みをギル君に向ける。
「自分の異能をよく分かっていないという人はこの島でも多いだろうし、後々理解していければいいわね」

「『召喚装置』や『転移装置』みたいな単純なものだったらいいのだけれど……確かに共通するところはあるわね。
 少ない手掛かりだもの、試せる手段は試していかないとね。
 それに、もしかしたらそれが大当たりであるかもしれないわ」
根拠なんてなくてもいいと思う。
もともと、門へと辿り着けそうな手段は限られているのだから、その数少ない手掛かりから模索していくしかない……。
長い道のりだろうけど、時間がかかったとしても、そうやっていくしかない。

「そうなの……そこなのよね。
 今のまま門を創造すれば、本当に何が起こるか分からないのよね。
 わたしの司る権能が万物の創造であるからには、例え自分が知り得ない事でも創る事はできるわ。
 だけどそこには、いくつもの不安要素、不確定要素が積み重なる事になるわね」
要するに、創造という方法も現状、手詰まり。
素直に別の方法を模索した方がいいのではないか、とも考えられるけれど……。
「もちろん、今すぐに試してみようとは思わないわ。
 そもそも、現状だと試す試さない以前の問題に直面しているわねね。
 リスクのみで、成果が得られるとは、とても思えないもの」
手掛かりが少ないとは言え、わざわざ情報不足の時に危険な方法を試してみる事もない。
ただ現状は、方法の一つとして視野にいれている。

「そうね……。
 情報がほしいところだわ」

「わたしも、その組織の方面から情報を得ようとしているところね。
 元ロストサインのメンバーから直接聞き出すのは至難な上、そもそも見つけられるのかも分からないわ」
そちらの組織についても、謎が多い……。
それどころか、ミウはロストサインなんて組織の事をほとんど分かっていない。

「まさしく、そのことわざ通りだわ。
 転移荒野に一度赴いてみるのもいいわね。
 もしかすれば、門の事で何らかの方法を試してみる時に適している場所も転移荒野かもしれないわ」
これも根拠はないが、転移してくる人が多いという事は、なにかしらの力が働いているのだろう……と思う、

そして、宙に浮いている本をサイコキネシスを用いて無理に開けた。
「……っ!?」
すると、黒い影のようなものが本から飛び出して、ミウに取り込もうとする。
「これは、呪縛の類ね……。
 この書物に施されたセキュリティの一種のようだわ。
 なんらかの、呪いかしらね」
それだけ、この本に書かれている門についての記述は重大なものなのだろうか……。
「……っ!!」

ギルゲイオス > 居るのではないかな、ほぼ間違いなく。
好奇心、探究心、そう言うのに惹かれてゆくのは、ある意味人間の強みでもあるし。
出来れば、そういう機械や異能方面でアプローチしている人物とも、コンタクトを取ってみたくはあるがな。
(単体では無理でも複合させれば或いは、という事も考えられる)

ま、かなり単純化した表現であるからな。
もしかしたら神以上の存在が関与して、なんて話も前にした気がするのであるが。
とりあえず、試してみるしかない、そんな状況であるよ。
(ちょいとだけ、肩を竦めてみる。
まぁ今すぐどうにか出来るとは、考えていないし。
この辺、やはり気長にやるしかないのだろう)

サラッと凄い事を言った気がするが、神様であったな。
(神に対しての感覚がマヒしつつある魔王様)
最低限、かなり強固な障壁を準備して、その中で、となるだろうが。
それでも、不安はぬぐえぬな。
出来れば、もう少し情報なり手がかりをつかんでから、といった所か。
(先に言割れた通り、存外にそれが大当たりする可能性もあるが。
危険性の方がまだ大きい、というのが実情と言わざるを得ない。
流石に、この世界を破壊してまで帰還、なんて事は考えてはいない訳で)

そもそも、我らが接触できる場所にいるのか、そもそも生きておるのか……
(謎が謎で謎だらけ。
雲を掴むよりも不確かな事ばかりで、思わずと小さく唸る)

我も、転移荒野に落っこちてきたのでな。
たまには行ってるのだが……門そのものが開いたのは、まだ見ておらんな。
ふぅむ、力場か、別のナニカか。
あそこに集中している、というのは確かに理由があるのかも知れんの。
(もしくはその理由がみつかれば、といった所か。
思案を巡らせつつ、顎を指でなぞり)

…………いや、あんまりそういうのは強引に開けると
(なんだか嫌な予感がして、声を掛けたその直後)
おぉう、……如何にもな感じのが、出てきおったな。
ふむ、場所故に強引な方法は使えんか。
(下手すれば書庫そのものが吹っ飛ぶか、魔術に反応して妙な事が起こりかねない。
一息、整えるとあふれ出た影に手を伸ばし、掴みかかる)

すこし……待っておれ。
(双眸、閉じて。
自身の魔力を同調させ、影の中へと伸ばしていく。
探るは術式か、呪いか、その核)

ミウ > 「確かに、門を調べている研究者に接触してみるのも一つの手段ね。
 色んな方面、見方、分野で門を研究しているのだから、有益な情報も持っていそうだわ。
 その人間の強みを頼るというのもいいとは思うけれど、そういう人達から情報を得ようとした結果、代償として研究や実験材料にされかねないわね。
 わたし達は異邦人なのだからね」
それも魔王と神。研究者達も欲しがりそうな素材だ。

「『転移』や『召喚』などの魔術の方面は、あなたに任せてもいいかしら?
 気の長い話ではあると思うけれど、少ない情報を頼りにしていくしかないわ。
 もちろん、神以上の力が働いているかもしれないから、どの手段を辿っても一筋縄ではいかないでしょうけどね」
ミウも肩を竦めてしまう。
手分けした方が効率は良いはず。

神に対しての感覚がマヒしている魔王に軽く微笑む。
「強固な障壁ぐらいでは、安全は確保できそうにないわね。
 門を創造するという手段は、今のところどんな安全策を用いても、全く安心できないわ。
 情報や手掛かりを掴んだ程度でどうにかなれば良い所ね」
考えれば考える程、門の創造が下作だと思えてくる。
まだ、門が創造できずに何も起こりませんでした、という結果で終わる方が幸いな状況。
不安要素の塊である。

「残党すらも、もう残っていないのかしら……?
 この島にも、いるとは思うのだけれどね」
聞いたところ危険な人も多くいるので、そう簡単には死んでいないと思う。
結局のところ、謎だけれど。

「門の被害にあえばあの場所に転移する事が多いけれど、あなたが転移してきたのも転移荒野だったのね。
 転移荒野に向かっても都合良く、門が開く場面を見れるわけでもないわけね。
 転移荒野に門が開く事が集中しているその理由をつきとめる事ができれば、門を見られる事に繋がるかもしれないわね。
 だけれど、その理由も不明だわ……」
本当に謎だらけ……。
門を調べるのは気の遠くなる話だが、寿命が人間よりも遥かにながいというのはこういう時に大きなメリットとなる。

黒い影に包み込まれていく……。
「な、何なのよ……この呪い!」
額から汗がにじみ出てくる。
ミウも黒い影に抵抗しようとしているのだ。
禁書を強引に開けてはいけないという事がよく分かる。

ギル君の魔力が同調し、影の中へ。
かなり強力な呪いのようだ。
術式は複雑なものだが、凄腕の魔術師なら解除できなくもない。
呪いの効果は、影が精神をのっとるというきわめて危険なもの。
その黒い影の核は、おぞましいまでの“何か”であった。

ギルゲイオス > 多少の交換条件であれば、背に腹であるし仕方ないとはいえるが。
流石に、バラバラに解剖されたりするのは、全力で遠慮願いたいのである。
まぁ、うん、アレであるな。
とりあえず、信用と信頼できそうな人を見つけねばなるまい。
(脳裏にお見せできない光景が過ると、眉を寄せて、眉間に皺が寄る)

了解したのである、この魔王に任せておくがよい。
(とんと、自分の胸を叩く。
不得手分野故手間はかかりそうだが、じっくりと取り組んでゆくとしよう)

本当に、何が起きるか分からんであるからなー。
変な世界に繋がって、変な何かが流れ込んで来たらほんと笑えんのである。
ま、という訳で、創造すると言う話は、ひとまず置いておくのであるよ。
(右から、左へ。
やはり、もう少し――出来れば、全容を掴んでから、といきたい所だ)

転移してきたてだろうモノに出会う事はあるが、その最中というのは中々であるな。
こればっかりは、時の運、とでも言うべきか。
考えれば考える程に、謎と不思議ばかりであるな。
とりあず、実物を探しつつも、堅実に今出来る方法を模索していくべき、か。
(自分で言えば、先の通りに転移や召喚の類。
へふっと、緩く息を吐き出して。
その後、気合いを入れなおすように手を強くと握った)

(魔力の指先が探る、奥へ、奥へと。
潜り込む、中心部)

うわ、きっつ……
(思わずと一人つぶやく声と、僅かに頬へと冷や汗と脂汗が垂れる。
簡易な警告、及び不埒ものの捕縛用と最初は考えて、いたのだが。
潜れば潜る程、内容は高度かつ陰湿。
術によって神の精神が乗っ取れるのか、それは分からないが。
ミウの反応からして、あまり状態は良くなさそうだ)

人間とは精神の構造が少々と違う我でも幾分クるな……
(とはいえ、同調中に障壁を張る訳にもいかず。
施すのは最低限の逆流措置。
覚悟を決めて、更にと、奥へと――)

っ、!
(名状しがたき、何か。
魔術の指が触れた瞬間に、意識を保つべく唇を歯で噛み切る。
肉体と精神の堺、そこを蝕まれぬように、肉体に強い痛みを伝え)

我でもコレを直視し続けるのは…余り長くは保たんな。
ふぅ……56番から78番までを遮断、328番から552番までを偽装
(ぐっと、影の中へと腕をねじ込むと、掌を軽くとミウに触れる程度にまで近づけ。
何かを叩くように動く指先――実際のところ、コレは単純に術式介入のイメージをしやすくするため、やっているだけなのだが)

書物からの供給を切断、25……67。
(大きくと、深呼吸。
魔力の指が、中心核に触れるか、触れないか、ギリギリの位置、から)

これ、でっ!!
(意を決すると、瞬間的に、全方位から、強力な圧を核に掛けて。
思いっきりと、握り潰しに、ゆく)

ミウ > 「解剖は確かに拒否したいわ。
 どんな交換条件を出されるかは分からないし、もしかしたら善意で協力してくれるかもしれない……というのは少し都合良く考えている事になるかしらね。
 この島の研究者とはあまり関わった事がないから、信用できる人というのも心当たりないわね。
 どう接触しれいけばいいのかしら」
この島にある闇にも、もしかしたら触れる事になるかもしれない。

「頼りにしているわ、ギル君」
ギル君に、優雅な微笑みを向ける。
彼の成功を願おう。

「あなたの言う通り、ひとまず創造という方法はしばらく置いておく事にするわね。
 あなたの意見も聞けてよかったわ。
 それでは、わたしは別の手段を探り始める事にするわね」
とは言っても、その手段はいかなるものがいいだろうか……。
少なくとも、創造という方法に近づくため、情報収集はかかせないかな。

「門が開く瞬間の映像を探すところから始めた方がいいのかもしれないわ。
 とは言っても、そんな映像を世に残せるつわものがいればの話になるかしらね。
 時の運……にも頼らざるを得ないわ。
 そうなるわね。
 今取れる手段を取っていきましょう」
気合を入れ直すように手を握る彼を微笑みながら見る。

影に包み込まれていく。
呪いに抵抗する際の苦しみに思わず、自身の体を両手で抱いた。
ミウの表情からも、苦しみを感じさせる。
「──わたしに憑依しようとしないでよ」
精神をのっとられないように抗う。
相当、強力な呪いだ……。

ギル君が影の事について調べてくれている。
今は、精神をのっとられないようにするため抵抗し続ける。
神がそう簡単に、呪いなどでやられたりはしない。
「ギル君……迷惑をかけるわね……」
なんとか言葉にして、ギル君に伝える。

核……その“何か”がゆっくりと握り潰されていく。
だが、そのまま潰れそうになったところで、核は鼓動していき、そして強力な圧に抵抗しようとしている。
それでも、もう一息といったところだろうか……。

ギルゲイオス > まー、此方から魔術やら何やらの情報を提供さえすれば、ある程度ギブ&テイクは成立するとは、思うのだが。
ああいう研究者って、変人が多いイメージなのであるのよな。
(悪く言えば、マッド)
我もこれといって、心当たりがおらんのよな。
学校の先生辺りから探ってみるのが、いいかも、知れんが……
(けど、その先生も癖強いの多いんだよなーってツラ)

我も協力者、であるからな。
少々臆病な判断でもあるが、参考になったのなら幸いである。
うむ、それでは何か思いついたりしたら、教えてもらえるとありがたいのであるよ。
(こくこくと、頷く)

……映像、で気づいたのであるが。
開いた門がどんな姿なのかさえ、分からんのよな。
物理的に目に見える何かが開く、とも限らんし。
(或いは、虚空から不意に何かが出てくる、そんなモノの可能性さえある)
…………本当に前途多難であるな。

しつ、こいな、……このっ!
どんだけ強固な呪い、であるかっ
(片手だけではなく、もう一方も。両手を影へと捻じ込むと、体ごと寄せる。
偽装や遮断を施して、まだこれだけ耐える。
誰が何の為に施したのか、それほどこの本が重要なのか。
中身を確かめてみなければわからないが、それは後の話。
これをどうにかしなけれれば、先も何もあったモノじゃない)

それは、構わんので、あるが。
……コレが済んだら、余力は色々と無さげ、であるなっ
膝枕辺りで、手を打とうかのっ
(微かに冗談めかしたように、喉を小さくと鳴らす。
本の内容は、後で聞けばよいだけだ。
今は、なすべき事を。
両手で核を握り締める様にとしたまま、足裏で床を軽くと叩き。
呪いの中へと潜り込ませる、魔力の楔。
上下左右とその先端を核に叩きつけると、ギリギリと食いこませてゆく)

もう、この、いい加減、にっ!!
(歯を食いしばると、三つの瞳を見開き)
ぶっ潰れるが、よいっ!!!!
(喉から絞り出すような、声。
渾身の魔力が放射されると、書庫全体に突き抜けるが如く吹き荒れて。
逆流防止も全て解除して攻撃にまわすと、そのまま、一気に。
魔王の力が、核を、圧潰させようとする)

ミウ > 「早い話が交渉材料を用意しておく、という事ね。
 それなら、話もスムーズに進むかもしれないわ。
 わたしも何か、交渉材料を考えておこうかしら」
研究者が喜びそうなものは、ギル君も言った通りなんらかの情報になるだろうか。
「偏見がいけない事だとは分かっているけれど、確かに変な人が多い印象は拭えないわね。
 異能などを研究するなら、ある程度は仕方がないところがあるのでしょうけれどね」
普通に生活するだけならば、マッドな人と関わらない方が無難なのだろう、きっと。
「学校の先生ならば、研究者について知っている人もいそうね。
 あとはあそうね……研究区に赴いてみるあたりかしら」
そういえば、研究区には足を踏み入れた事がない。
さして用事がなかった、という事もある。

「この件に関しては、むしろ臆病……というより慎重になるぐらいがちょうどいいわ。
 分かったわ、何らかの情報を手に入れればあなたに教えるわね。
 わたしも、あなたの協力者なのだからね」
そう言って、上品な笑顔を魔王に向ける。

「そうなのよ。
 そもそも、門の性質どころか、形すらもさっぱりなのよ。
 そうなってくれば、実際に見る……という手段も出来るかどうかあやしくなってくるわね」
どれだけ意味が分からない存在なんだろう……この門。
「時間ある限り、じっくりといきましょう」

「……あっ……ぐっ…………!!」
悲痛の声をもらす。
黒い影、いい加減に諦めてよ……。
体に痛みが走りながらも、呪いをはねのけようとする。
この本は危険だ……。
こんなものが禁書庫とは言え、保管されていいわけがない。
ある意味で、この呪いを受けたのが自分でよかったと思う。
そして、ギル君が傍にいる状況だったのは最大の幸運。

「わ、分かったわ……。
 終わったら……膝枕でも何でもしてあげるわよ……」
苦しげに、そう返した。
この場は魔王たるギル君に託す。
もちろん、呪いに抗い続ける事は忘れない。
自身の体を抱く腕の力が強まる。
ギル君が頑張っているんだ……ミウも頑張って、耐えないと……!

ギル君が核にさらなる力を込める。
激しく抵抗していた核だが、なんとか潰す事に成功したようだ。
ミウの体はその場で崩れ落ち、息を切らせてながら両膝をつく。
「はぁ……はぁ…………た、助かったわ……。
 ありがとう……ギル君……」
大量の汗が額から滲みだしながらも、笑顔を魔王に見せた。
そして、黒い影は跡かたもなく消滅する。

ギルゲイオス > そういう事であるな。
お互いにいい交換が出来れば、そこから信頼を築く、という事もできるのである。
……ぶっちゃけた話、神、という存在そのものが強力な交渉材料と言えなくもないがの。
(まさに、喉から手が出る程、と言える。
もっとも、安売りしすぎると解剖オチも見えてくる為、どの程度出していくか、それが重要だろうが)

研究者と兼任している先生も多いようであるしな。
むしろ本業は、かもしれぬがの。
研究区……そういえば、我もいった事がないな。
どうにも、近寄りがたい印象というか……
(そしてなんとなく感じる怪しさ。
空気がどうもなじまない、場所ではあるが。
目的を果たすためには、足を向けてみる必要もありそうだ)

うむ、よろしく頼むのである。
此方も進展があり次第、何かしら連絡する故な。
(まぁ、一人より二人の方が、当然進みも良い筈だ。
協力者、という言葉に少しと安心感を覚えると、片手をヒラヒラとさせた)

謎が謎しか呼ばないのである、ミステリーである。
そうであるなー……まぁ、地道に、時間を掛けて、探していくしかあるまい。
(気分は鑑識か、探偵か。ある意味では、それよりも困難そうではある。
といとばかし気分を入れ替えるために、呼吸を一つ)

まぁちょっとした冗談であるが――何でも、だとっ!!
(カッと見開かれる、三つの瞳。
その一言が、魔王のヤル気を更に高めた……かは、定かではないが。
最後の、ひと踏ん張り。
渾身を込めた一撃に、魔力の指が何かを潰した感触を得る)

はぁ、ふ……はっ……
(握りつぶした姿勢のままに、荒い呼吸を繰り返し。
目の前、影が消えて霧散していった頃合いに)

ふへぁ……
(奇妙な声を喉と肺の奥から絞り出すと、天井に向かって大きく息を吐き出し。
ややと足元をよろめかせれば、ミウと時を同じくして床へと座り込む)
いいや、無事で何よりだったのである。
しかし、なんつー危険な本が………
(術士として相応の技量はあるが、解呪の専門家、という訳ではない。
色々と精いっぱいな状況だったのは、まずと間違いはない。
疲労感に身を任せ、少しの間遠くを見るような視線の後に、ごろりと、床へと倒れる)
うぅむ、床が冷たくて心地よいのであるが、ちょっと硬いのであるな……
(まぁ仕方ない、とばかりにへばってる魔王様)

ミウ > 「情報交換などによる信頼構築も確かに大切になってきそうね。
 だけど、そう易々と神である事を交渉材料にはしたくないわ。
 わたしは、自分が神である事を誇りに思っているもの」
研究者からすれば欲しいものだと言えるだろうけれど、与えられないものもある。
背に腹は代えられない、という状況にも陥る可能性はあるけれど。

「研究者と兼任している先生を探す、というのは手っ取り早いかもしれないわね。
 だけど、どの先生が研究に携わっているか、分かるかしら……。
 研究区は、行く機会以前に、あまり行きたくならないような雰囲気を漂わせているのは確かね。
 そもそも、学生は落第街以上に行く事が少ないかもしれないわ」
落第街に行ったとしても、研究区には行かない……。

「任せておきなさい」
と、ウインクしてみせるが、門の手掛かりがつかめるという根拠は一切、これっぽっちもない。
「あなたの連絡も待っているわ」
二人いるというのは、とても心強いものである。
それも、協力者はなんと魔王である。
頼もしい、という言葉では終わらない。

「その謎、ミステリーを解き明かさなければ前に進めないわけだけれどね。
 着実に、成果を上げていきましょう」
調べていけば、少しずつだが前に進むはず。
実際に、探偵みたいな人を雇えばどうなるのだろうか……。
最も、門については知り合いのなんでも屋には調査を依頼している。

魔王の三つめの目が開かれる。
何でも、という言葉にやる気を高めたのだろうか。
核を潰し、黒い影を消滅さてくれた魔王。
あの黒い影を消し去るなんて、
本当に、魔王は凄い……。
ギル君に、優しく微笑みかける。

「ギル君……あなたのお陰で無事に済んだわ。
 この危険な本に、どんな事が書かれているのかしらね」
サイコキネシスが解けて地面に叩きつけられた本。
『門』に関して、どんな情報が記されているのだろうか。
影も消し去った事だし、今は安全に開く事ができるだろう。
だけど、あんな事があった手前、本を開ける元気もない。
「お疲れ様、ギル君」
倒れたギル君の頭を優しく抱え、女の子座りした自身の膝に優しく乗せようとする。
「約束だものね」
そして、ギル君に微笑みかける。

ギルゲイオス > あー、そうか、そうであるな。
安売りでなくとも、そう易々と売り飛ばせるものでは、ないだろうしな。
我も魔王という立場を誰かに切り売りしろ、と言われても――それが必要であっても、良くは思わんだろうしな。
我が軽率であったよ。
(肩を幾分と下げると、顔を横へ振った)

夏季休暇も終わって、授業も普通に始まるからな。
何となくそれっぽい先生は、目につくのでは、と思うのだがな。
ほら、えーと、白衣であったか。
(白い服、あれに凄く自己主張を感じるのである)
或いは、出ている講義の担当をしている先生伝いに聞く、とかかのぅ
(顎に指を当てると、ちょいと考えるような仕草と)
落第街……実はまだ行った事がないのだ。

(ぐったりと倒れたままではあるが、向けられた笑みに軽くと口の端を上げ。
なんだか自慢するかのように、胸を張る。
倒れたままだけど)

さてな、これだけの呪いが掛かっているのだから、余程のモノだとは、思うのだがな。
それが我々にとって有効かは、実際に読み解いて確かめるしかあるまい。
ひとまず安全になったことだし、しっかりと確かめるのはまた後で、か……
(魔王も創造神様も、随分お疲れの状態。
その状態でさらに禁書の難解な内容を読むというのも、少々、きつい話だ)

いやいや、気にしなくて良いのであるよ。
それに、万が一が有った場合は、お互い様――む……?
(パタパタと手を振りつつ、問題ないとばかりに言葉を返して、いたのだけれど。
脱力した頭が持ち上げられると、双眸をちょいと丸くとして)

ぬぅおっ!?
(自分で言っておいて、いざとなると視線が周囲に泳ぐ)
えーと、あー……うん、その、はい…である。
(膝に頭を乗せた状態で、なんとも落ち着かなさげに。
見上げて、笑みを見て、横に逸らして。
疲れた体に、心地の良い感触。
目の前にいるのが、創造神というよりかは女神と錯覚――いや、女性の神全般を女神というならあながち間違いでも――なんて、混乱した思考が脳裏をよぎりまくる)

ミウ > 「神である事を交渉材料にするという提案自体は合理的ではあるし、意見を言ってくれるのはとても嬉しいわ。
 何にしても、研究者を頼るとなれば何かしらの交渉材料を用意しなければいけないのは、回避できない事かもしれないものね。
 その辺りは、別の方法を考えてみる事にするわ」
落ち付きを感じさせる笑みをギル君に向ける。
 
「そうね、研究者に見える先生に話しかけていくという手段も有効になり得るわね。
 白衣の先生は、服装だけなら研究者のようなイメージはあるかしら。
 手っ取り早いのが、門や異世界、異邦人について講義している教員に声をかけてみる事になるかしらね」
直接その教員が、門の研究者だったりするかもしれない。
「落第街は……色んな事件に巻き込まれてしまう場所ね。
 実際に襲われるような事も何回かあったわ」
宣戦布告される、ドラゴンに出くわす、違法取引現場を発見する、などなど、実際に経験した事だけでもよくない事ばかり起きてしまう場所である。

倒れたまま胸を張る魔王は、とても微笑ましい。

「ギル君が苦労して影を消したのだから、代価として有益な情報の一つや二つ欲しいところだわ。
 そうね、それにまだあの書物にどんな罠が隠されているか分からないわ」
さすがに、もう何も仕掛けられていない……とは思うけれど。
禁書には容易に触れてはいけない、という事が分かる。

魔王を膝に乗せると、彼の目が泳ぐ。
ぎこちないギル君は、微笑ましいものがある。
魔王のそんな一面が見られて、とても楽しい。
ギル君の頭の感触が膝へと伝わってくる。
「ギル君、さっきはかっこよかったわ」
優しい声で、魔王に言う。

ギルゲイオス > 或いは、神という存在そのものではなく、創造神として作りだした何かを、とか。
研究者であれば、簡単に作りだせない素材とか、そういう、うーむ……まぁ、そういうのは本人が考えるのが一番であるな。
(ミウがどういう事が出来るのか、それ自体は余り良くと知らない。
相当色々なことが、というのは何となく察しはつくのだが)

医者の可能性もあるがの、この辺は聞いてみるのが一番手っ取り早いであろうさ。
そう、であるな。となれば、新学期は色々と新しい講義に、手広く参加してみる、か……
(かっくりと頭が横に倒れた。
時間はかなり取られる事にはなりそうだが、知識的にも有効なのは間違いはないだろう)

噂にたがわぬ危険っぷりであるな。
ミウとなればいざ逃げる、位はまず問題ないのであろうがな。
やはり、用がなければ、そうそう行くべきでもないか。
(と感とか言ってると、気づいた頃に巻き込まれるのが世の常、である)

……確かに、二段構え三段構えについては、考えておらんかったな
(なんとか決着した安心感に、気が緩んでいたと自覚する)
魔術的な検査なら、我の方が得意やもしれぬし。
とりあえず、一休みしてから再度確認してみるとするかの。
またあんなの出てきたら、読むどころの騒ぎではないからな……
(発動前に対処が出来れば、先に比べても余裕あある。
膝枕の上で、緩くと息を吐き出す音が)

むー……むぅ……
(変なうめき声を漏らす、駄魔王様。
相変わらずとチョイチョイ視線が泳いでいたのだが、やがて観念したのか、少しとばかり落ち着いたのか。
身体の力を抜くと、頭をそのまま預ける。
といっても、所々やはりむず痒そうに見えるかもしれないが)

ふふん、ま、まぁ我は魔王であるからな。
決める時は、しっかりと決めるのであるよ。
(一瞬言いよどみながらも、何時もの調子に口を開き。
ちょいとばかり自慢げに、鼻を鳴らす)
今回は丁度我がここにおったがな。
何か他に困った事があれば、かっこういい魔王様として、協力するのであるよ。
(数度と頷いた後、頬を軽くと太股へと寄せて)

……なんというか、少しとばかり落ち着かぬが、同時に凄くと落ち着くの。
矛盾している事を言っているのは、分かるが。
(緩くと息を吐き出せば、身の力を抜き)
先の事で少しと疲れたので、このまま、ちょっとだけ休ませてもらっても良いかな。
1、2時間もしたら目覚める故――足がしびれるようなら、その辺に投げ出して貰っても構わん。
(己の胸の上に両手を乗せると、双眸を閉じて。
そのまま身を任せるように、呼吸が緩くとなっていく)

ミウ > 「わたしの創りだしたものを交渉材料にするのは、ありだわ。
 ひとまず、その方法を検討してみるわね。
 良い提案が聞けたわ、ありがとう」
どれ程、その交渉材料が効果的に働くかは、創造するものと研究者次第だろうか。

「それもそうね……保険医は、白衣を着ていて何もおかしくないわ。
 色んな講義に出れば、門に触れられる機会も出てきそうね。
 ただ、良い情報収集にはなっても、決定打にはなり得ないわ」
門に詳しい教員を見つけ、そこからもう一歩踏み出して、門の研究者へと辿り着かなければいけない。

「わたしは、落第街でも自分の身は自分で守れるわね。
 だけど、用がなくても、気紛れで行ってしまう事があるのよね。
 そして碌でもないハプニングに出くわすのよ」
多分、今後も気紛れで落第街に訪れる事もあるだとうと思う。

「あれだけの呪いを仕掛けていたのだから、さすがに二段構えはない……とは思うわ。
 確信はないけれど、そう願いたいわね。
 もちろん、警戒するのに越した事はないわ」
あの呪いの上に、もし二段構えなのだとすれば、もう化物級の禁書と言えるかもしれない。
「そうね。
 あの書物の内容は、とても気になるところだわ。
 先程は、不用心に開けてしまってごめんなさい。
 次は、慎重にいきましょう」
不用心に禁書を開こうとした事は、反省。

うめき声を漏らす魔王。
少しずつだが、膝枕の上でも落ち着きを取り戻したようである。
だが、まだ少々むず痒そう。

魔王の言葉に、落ちついた雰囲気で微笑みを向ける。
「さすがは、魔王ね。
 魔王の力の片鱗を見たわ」
今日は、びしっと決めてくれる魔王に助けられた。
彼には、感謝しなければいけない。
「分かったわ。
 いつか助けが必要だと思った時、とてもかっこいい魔王を頼る事にするわね。
 本当にありがとね、ギル君」
今のギル君は、ミウの膝の上でしょうしょうぎこちないけれど、
偉大なる魔王様はかっこよく、そしていざとなれば頼りになる。

「なによそれ」
魔王の矛盾している言葉に、冗談めかして柔らかく言う。
「あんなにも頑張ってくれたものね。
 わたしは、恩人にそんな手荒な真似はしないわよ。
 あなたが目覚めるまで、ずっとこうしているわ。
 おやすみなさい、ギル君」
目を閉じる魔王を静かに見守る。

ギルゲイオス > そう、片鱗であるのだよ。
魔王の力は、まだまだこんなモノではないのである。
(などと言いつつ、膝枕に少々とじゃれつく魔王様。
ちょっとだけだが、余裕も出来たらしい。
……もっとも、ロリ神様に膝まくらされてる長身の魔王様とか、傍から見られたら大変な事になりそうである。
ここが禁書庫なのが救い、ではあるが)

我も万が一の時は頼るでな、お互い様であるな。うむ。
(一つ、頷いた)

我にもよく分からんのである。
(小さく喉を鳴らせば、笑い声と共に肩が揺れて)
そうであるか?
なら、目覚めた時に、この場所で、もう一度ミウの顔を見るのを楽しみにしておこう。
(やがて小さな寝息を立てて、浅い、一時の眠りにへと。
柔らかく優しい感触に包まれたまま、眠る顔、その口元には笑みがあたようで)



――ふぁ!?
(目覚めた時、同じ状況で大層と、驚いた様では、あったそうな)

ミウ > 「では、魔王の力はまだまだ底が知れないというわけね」
魔王に、にこりと笑いかける。
さらにかっこいい魔王の姿が見られる事に、期待してしまう。
確かに、今の光景は他の人には見せられないものがあるかもしれない。

「あなたがわたしを頼ったその時は、任せておきなさい」
彼に、頷き返した。

そしてギル君は、ゆっくりと眠っていった。
ミウは、そんな魔王の顔を微笑みながら眺める。

そして目を覚ました魔王は、かなり驚いていた。
思わず、ミウも驚いてしまう。

ご案内:「禁書庫」からギルゲイオスさんが去りました。
ご案内:「禁書庫」からミウさんが去りました。