2015/09/12 のログ
■山頭火 紅 > 内容を見てみれば読者に対して挑発的な内容や俳句が書かれていた。
「…なんだこれ」
手前と言うぐらいだから分かりやすく俳句について書いてあるのかと思いきや
距離の問題ではなく一人称の方の手前の方だったらしい。
「ふるいけや………何て読むんだこれ…」
それ以前に漢字についてあまり詳しく知らないアカズキンもいたとかなんとか。
やはり言語は通じるにしても文字にしてみればあまり良くわからなかったらしい。
■山頭火 紅 > 「…分からないからいいや」
アカズキンはそっと席を立って本を元の場所に戻し、腕を伸ばしてその場で背伸びをする。
それなりに長い時間この場に滞在したのではないだろうか、あまり使い慣れてない携帯を開くとそれなりの時間が経っていた。
「お家に帰ろ―っと…」
あまり有意義な時間とは言い切れなかったが、
一先ず学園で時間を潰せただけでも収穫だと思いつつ、図書館を後にする。
ご案内:「図書館」から山頭火 紅さんが去りました。
ご案内:「図書館」に日下部 理沙さんが現れました。
■日下部 理沙 > 林立する本棚の杜を抜けながら、きょろきょろと周囲を見回す白い翼の少年……新入生、日下部理沙は本を探していた。
今日探している本は異世界語の辞典である。
特に、理沙は異世界の有翼人の公用語のそれを欲していた。
■日下部 理沙 > 何故そんなものが必要なのかといえば、理沙は以前異邦人街の商店街に行ったときそれが読めなくて完全に道に迷ったからである。
見ての通り背中から大きな白い翼が生えている理沙にとって、有翼人や鳥人達御用達の洋服店や日用品店は是非とも行ってみたい。
故にまずはお勉強ということで、片言でもいいので彼らの使う異世界の公用語を覚えたいと理沙は思っていたのである。
■日下部 理沙 > だがしかし、新入生かつ最近方向音痴の疑惑が濃厚になってきているこの日下部理沙である。
今回もやはりお目当ての書物を見つける事が出来ず、路頭に迷う他ないのだろうか?
いいや、否。断じて否である。
理沙もそう何度も迷子になるわけでもなければ、探し物ができないわけでもないのだ。
無表情ながらも普段より幾分か得意気な面持ちで理沙が立つは検索端末の前。
そう、職員の負担軽減のため、今日日準備されていない図書館の方が少ない図書検索端末である。
ちゃんと場所が良くわからない人のために図書館にはこういったものがあるのだ。
コイツでお目当ての本がある場所を検索すれば、辞書探しなどまさに朝飯前である。
■日下部 理沙 > そして、コンソールをぎこちないながらもどうにか弄り、辞書の置かれている本棚を見つけた理沙。
どこの区画であるのかは分かった。
どの本棚であるのかも分かった。
ならばあとは向かうのみ。
今日は早めに家に帰れそうだなと胸中で呟きながら、意気揚々と本棚に向かう理沙。
ああ、だが理沙は知らなかった。
知らなかったのだ。
辞書の棚、それだけで上から下まで10段近くあって、それが壁一面に敷き詰められているなんて……理沙は知らなかったのだ。
■日下部 理沙 > 先ほどの得意面はどこへやら。
すっかり困り果てた理沙はだらんと翼を垂らしたまま、死んだ魚の目で辞書の棚を隅から見ていく。
一応、アルファベット順やら五十音順やらにならんでいるようなのだが、広大過ぎてどこが始端でどこが終端なのやらまるで分らない。
結果、区画の隅の本棚の端から順番に目で追っていくという作業をすることになった。
まぁ、手間はかかるが、それでもこれなら一番端にまで行けば嫌でもわかるだろう。
時間がかかっても何とかなるなら幾分マシであると理沙は気を取り直す。
だが、それは余りに甘い考えであった。
そう、ここは辞書の棚。並んでいるのは全て異語。
異国語どころか異世界語で書かれた背表紙が、ずらりと並んでいるのである。
当然、理沙には読める訳もない。
■日下部 理沙 > 「……」
本棚の隅にへたり込む、白い翼をもった茶髪の少年……新入生、日下部理沙は敗北者であった。
万策尽き果てた理沙には最早、それ以外に出来ることなど何もなかった。
■日下部 理沙 > 図書委員やら司書さんやらを探しに受付まで戻るか。
それとももう少し根性検索してみるか。
理沙は迷っていた。
迷うというよりぐったりしていた。
受付まで戻るのがちょっと面倒くさかった。
だから、もうちょっと根性検索してみようかみたいな気持ちが鎌首をもたげてくる。
多分そっちのほうが時間がかかるのは分かる。
でもこの広大な図書館では、受付まで戻るのは面倒なのだ。
理沙は悩んだ。とても悩んだ。
悩むといいながらとりあえずへたり込んで休んでいた。
■日下部 理沙 > 暫しの休息の後、理沙はようやく重い腰をあげて立ち上がり、行動を開始した。
向かう先は辞書の棚。
そう、理沙は選んだのだ。根性検索の道を。
愚行という他ない憐れな道を。
きっと受付にまで戻ったほうが早いだろう。
だが、運よく今すぐ見つかるかもしれない。
たまさか手に取ったそれが和訳異訳両方揃ったそれかもしれない。
そういう今の楽を選んだのである。
そして、僅か数分で理沙は後悔し、結局また座り込んだ。
やっぱり、戻ろう。
ご案内:「図書館」から日下部 理沙さんが去りました。