2015/09/27 のログ
ご案内:「図書館」にダナエさんが現れました。
■ダナエ >
──ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
静かな図書館に、響く異音。
石灰やら白化した珊瑚やらフジツボやらに覆われた、
分厚い全身鎧の重騎士が受付の前を通り、
一直線に低年齢向けと思われるコーナーへ。
先日もらった便利そうな呪符(使用済み)に興味を持ち、
自分も作ってみようと何とも無謀なことを考えて
本を探しにきたところ。
「………………」
当然と言えば当然ながら、
マジックアイテムの作成は低年齢向けではないのだろう。
『だれでもつくれる☆マジックアイテム』などという
本は見つけられない。
ご案内:「図書館」にライガさんが現れました。
■ライガ > テーブルの一角に、本の山があった。
時折その陰から、ぱらり、ぱらりと頁をめくる音が聞こえる。
ふと、その山がもぞもぞと動き、隙間から白髪頭が見え隠れした。
すんすんと鼻を動かし、妙な顔になる。
「……なんかやけに磯臭いな。
誰だよ、こんな時期に海水浴行ってきたの」
やや時季のずれた海の匂いは、どうやら幼年向けのコーナーからするようだ。
ライガは身を乗り出して、そちらへ視線をやる。
■ダナエ > 目当ての本は低年齢向けでないコーナーでなら
見つけられるのだろうが、いちいち文中の漢字でつまづいて
辞書を引きながらではろくに頭に入るまい、と諦める。
他にめぼしい本を探そうとしたところで、人の声が聞こえた。
内容は磯臭いというもの。
これはまあ間違いなく自分のことだろうと、
本の棚からヒョイと(ゴゴッと)声のした方へ姿を覗かせ、
「磯臭くて悪かったな!
これでも真夏よりはだいぶましになったのだ」
■ライガ > 本棚の間から、岩のような全身鎧が現れたので、内心ちょっとビビる。
絵本やら百科事典やらが並ぶ中、明らかに周囲となじんでいない。声からするに女性だろうか。
その口調と勢いから、好きでそういう匂いを発しているわけではないようだ。ライガは何かを察した。
「あー……えーと。気に障ったら、すまない。
なんか探し物かい?そこは小っちゃい子向けのコーナーだけど」
『対呪術防御』などと書かれた、ハードカバーの本をめくりながら、詫びついでに声をかける。
あまり見慣れない姿だ、蒸れないんだろうか。
■ダナエ > 謝られたので怒りは引いていく。
「……マジックアイテムの作成に関する本を、
探していたのだが。このコーナーにはないらしい」
ちっちゃい子向け、との言葉にまた少しプライドを削られる。
「ここのコーナーは異邦人にもちょうどいいのだ」
への字口。
本の山を見て、眉を上げる。
「……もの凄い量だな。
貴公はこれを全部、今日一日で読むのか?」
一体何の調べ物だろうと思うが、漢字は残念ながら読めない。
ちなみに当然蒸れます、秋の到来に感謝。
■ライガ > めくる手を止めて、ふうむ、と考える。
「マジックアイテムの作製、ねえ。
需要は多いけど、そうホイホイと作れるようなものじゃあないんだけどな。
一応聞くけどさ、魔術の心得は?」
魔導具作成の才能、それのあるなしは脇に置き。
それなりのものを作るのであれば、一朝一夕でやれるものじゃない。
「僕も異邦人だけどさ……あれ、もしかして最近飛ばされてきたクチ?
それなら、日常的な言葉くらいなら解読、手伝えるよ。流石に専門用語は魔術以外は難しいけど。
それと、ただアイテム欲しいってだけなら、学生街とか、異邦人街とか、いろんなところで売ってるだろ。
そういうのじゃなくて?」
傍の本の山に目をやると、ああ、これ?と指さす。
「別に、大した量じゃあないさ。
要点纏めてるだけで、あと半分ほどで終わりだし」
■ダナエ > ──マジックアイテムはホイホイ作れない。
とても当たり前のことを人に言われると、
まるで自分が愚か者のように感じる。
いや実際そうなのだが。
「ま、魔法は使えるぞ。
魔法剣や防御魔法なら得意と言っていいはずだ」
偉そうに答えてみたものの、使える魔法は主に戦闘魔法。
魔導具作成の才能など、恐らく微塵もない。
「文字の勉強中でな。今はカタカナを覚えているところだ。
……親切に感謝する、が……」
本のタイトルに漢字が混じると、
そもそもどれがマジックアイテムに関する本なのか
見つけることさえできないのだ。
「……大丈夫だ。貴公も忙しいだろうしな」
本の山を見て。
買えばいいじゃんというブルジョワジー的発想からの
発言に胸を痛める貧乏人。
「か、買うより……作れるようになった方が、
後々便利だし、自分にちょうどいいものになるだろう」
お金がないとは言えない。
半分終わったと聞けば、
眼鏡効果もあって相手が賢そうに見えて眩しい。
「……貴公は教師か?
何について調べているのだ?」
興味を引かれ、異様な足音を立てて本の山に近づいてくる。
■ライガ > 一番心配していたことは、これで解消された。
さすがに、これで魔術使えなかったら、『買え』というほかない。
「あ、使えるんだ。
なら信仰する高次存在と、呪文の書き方と、材料の手配さえできればいけるんじゃないかな。
魔術学の先生捕まえれば、それっぽい本は教えてくれるだろうし」
とはいえ、文字を読めないようでは呪文書く以前の問題である。
東洋系言語は種類多いからね、とうなずくが、
アルファベットもダメなの?と一応聞いてみる。
「まあ、ある程度実力のある術者は、簡単なものなら自前で用意するだろうし。
最終的に自分で手入れしたものが一番、なじむとは聞くしなあ。
それに、学生の小遣いじゃ、バイトでもしないとなかなか買いにくいかもね。
僕の友達にも、マジックアイテム買ったあと金策に苦労したってやつはいたし」
立ったままでは辛かろう、近くの椅子をすすめる。
……座れるかな?
「いや、あいにくながら生徒でね。
呪さ……いや、命に係わる魔術・呪術の解析と解呪の方法を。
東西、色んな種類があるから、こうやってメモして居るところさ。
おかげでノートも既に3冊使い切っちゃったが」
ノートには書きかけの文章が並んでいるが、記号のような文字の羅列でとても読めたものではないだろう。
■ダナエ > 「し、しばし待たれよ」
手のひらを相手へ向け、反対の手で鎧の懐中を探り。
ペンとメモを引っ張り出し、
「ええと、信仰する高次存在……は、神だな。
それに、材料…………おお、そうか、ここは学校だったな。
教師に聞くというのは名案だ」
ポンと(ゴコッと)手を打つ。灯台下暗し。
各種の祈りの言葉はあっても魔法のための詠唱呪文
という概念がほぼない世界から来ているため、
そこは省略。
「あるふぁべっとと言うと……こういう字か?」
積まれた本の中からアルファベットを探し、あれば指差す。
日常生活でよく見かける数個なら読める、くらいのレベル。
友人が購入後に苦労したと聞けば、眉間に皺。
「やはり高価なものなのだな……」
椅子を勧められるが、
「ああ、いや、このままで問題ない。
椅子が壊れては困るからな」
「じゅさ?」
言いかけた言葉にキョトンと。
「ノート三冊分とは、教師並みの調べ物だな。
もはや研究と言っていいのではないか」
ノートを失礼にならないくらいにチラリと覗く。
が、解呪と聞けば失礼になるぐらいガン見。
「そ、それでどうなのだ?
古今東西の呪いを解く方法……いいものは見つかったか?」
読めないので、結局本人に聞く。
■ライガ > あ、『待て』のジェスチャー、ある文化圏なんだ。
と心の中で感心したのはさておき。
「これはほんの一例で、
他にも、星や精霊の名前を記したり、高次存在の名前を省略したりなんかもあるらしいから。
そう言うのの詳しい人は、学生にもいるんじゃないかな。
め、名案て……」
むしろなぜ、教師に訊くという選択肢が浮かばなかったのか。
ここ学校なのに。
「そうそう、そんな字だよ。
でも、それでも得意ってわけじゃなさそうだね」
指さされた単語にうなずき、でも、それでも日常会話レベルかー、と頭を抱える。
「ま、まあ、指輪とかのアクセサリじゃなくて、護符とか呪符とかならまだ、値段は何とかなると思うけど」
危うく呪殺というところだった、物騒な言葉を飲みこみ、なんでもない、とごまかした。
ノートを覗くというか、穴のあくほどまじまじと見る鎧姿を、あっけにとられて眺める。
そんなに興味持たれる分野だろうか。
成果を聞かれれば、両手を上げ、首を左右に振る。
「それが、試してみないことには何とも。
全く効果がない、ガセ情報って場合もあるしさ。
果たして、ノートに書いておいた何割が役にたつのやら。
なに、興味でもあるのかい?解呪に」
■ダナエ > 「ほう、精霊か……。
練習するなら神より精霊の方が良さそうだな」
失敗してもあまり気が咎めなさそうだ、
という精霊が知ったら怒りそうな考え。
学生なのに教師に聞くことを思いつかなかったり、
読み書きができないのに教師になろうとしたり、
わりと根本を見落とすタイプの騎士。
「そうだな、
使い捨てタイプの紙なら高くはないかもしれない」
頷いて同意。
「何でもない、のか……?」
何だか動揺している様子を、不思議そうに眺める。
まさか“じゅさ”の後に“つ”が続いて呪殺とは思い至らず。
興味があるのかと問われれば、
ようやくノートから意識を離して探るように相手を見る。
「…………まあな。ないことはない。
貴公こそ、なぜ解呪に興味があるのだ?
ノート三冊分もの興味だ、何か理由があるのだろう」
■ライガ > 「そうね、小さな精霊のほうが、失敗時のリスクはより少ないだろうね。
あんまり背伸びする物じゃあないし、強力な術でも、うまく扱えないと暴走の危険もあるからなあ」
この辺は、実際に作ってみないとわからないが。
「紙、を使うってことは呪符かな。
その姿もあるし、僕はてっきり、もう少し形が残るものがいいのかと思ったんだけど。アミュレットとかの。
でもまあ、資金的な意味でも無難なのかな」
そう、何でもないんだ。
動揺を隠してにやっと笑い、探る視線をかわすように答える。
「理由ね、僕だって、ないこともないさ。
ま、解呪をわざわざ調べてるんだ、呪いを解くか、呪いをかけるか、くらいしかないだろ。
ちょーっと死活問題になってる案件があってね、簡単に解決しそうにないんで、こうやって知識集めてる最中さ」