2015/11/17 のログ
ご案内:「図書館」にクローデットさんが現れました。
■クローデット > (…やっと、調査が再開出来ますわね)
常世祭の後始末も目処がつき、自由な時間と空間的な余裕が帰ってきた。
そんなわけで、クローデットは図書館の新聞が蓄積されたエリアに来ている。
美術館の過去の展覧会を辿ることで、「彼」の起源の一部を掴むことが出来た。
その時期から遡って新聞記事を漁るのは更に脇を固めるためではあるが、本命の情報に当たれるかどうかはあまり期待していない。
ただでさえ「門」の発生が多い常世島では新聞沙汰になる「門」の発生は何らかの事件性・アクシデントを含むものに限られるだろうからだ。
クローデットの主目的は、同じ時期に起こっている獣人・亜人が関係する事件の情報を得ることだ。
「彼」を研究対象としていた研究所に乗り込む口実を作るための。
■クローデット > 「学園都市」としての常世島の歴史は浅いが、それでも、蓄積された新聞の量は馬鹿にならない。
クローデットは成績優秀生として通っているし、個人的な魔術の研究もある。
おまけに公安委員会の職務もあるとなれば、調査に使える時間は限られた。
それでも、クローデットはそれを投げ出すことはしなかった。
クローデットにとって、「彼」の理想は、否定しなければならないものだったから。
ご案内:「図書館」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > (鋭いヒールの靴音は、潜められながらにして些か重たげに響いた。
規則的な足音が一歩一歩、図書館の廊下を歩いてくる。
僧綱襟めいたかたちの、仕立てのよい上衣。
波打つ黒髪の下で揺れる、一対の猟犬の耳。
人に似て非なる筋肉のつくり……
ローブの裾を翻し、クローデットが呼ぶところの『彼』――
美術教師ヨキが、彼女の背後へ徐に現れる。
人びとの妨げにならぬよう、陰のようにすいとクローデットの傍を横切ってゆく。
全国紙のバックナンバーの束を探して、やがてその頁を繰り始めた)
■クローデット > 「…これも、外れですわね」
そう呟いて新聞を閉じて棚に戻すと、また日付を改めた別の古新聞の束を手に取る。
そして閲覧スペースに戻ろうとしたところで…まさに調査対象の人物が、自分の後ろをすぅっと通っていくところに遭遇してしまった。
クローデットが、人形めいて大きな瞳を少し張ったのは、ヨキには確認出来ただろうか。
(…見られたかしら?あるいは聞かれた?)
表情を焦らず、それでも急いで取り繕うと、すれ違ったついでを装って視線を投げる。
彼は全国紙のバックナンバーの束を手に取って、そのページを繰り始めたところだった。
(…あたくしに、意識は向けていないようですわね)
閲覧スペースに移動する前に、少しだけ様子を伺うことにした。
もしそれを見咎められても、言い訳の用意はクローデットには容易い。
何せ、「疑われ慣れている」。
■ヨキ > (閲覧者の呟きには、然して注意を払っていないらしかった。
何より彼女のそれが、よくある文言だったからだ。
口元へ手をやって、新聞を繰る。十日ほど前まで遡り、文面をしばらく読む。
ページを繰る。翌日。そのまた翌日。さらに翌日……
新聞の中ほどの、どうやら特定のページをじっと読み込んでいるらしい。
――ややあって、クローデットの視線に気づいて顔を上げる。
目が合う。
相手の目線が自分に向いていることを認識するや否や、にこりと微笑んだ)
「こんにちは」
(目を細め、小首を傾ぐように挨拶する)
「ここのところ――忙しくてな。小説が読めていなかったんだ」
(気の抜けたような声でそう笑うと、新聞を捲る手を止める)
「君もその口か?何せ天下の常世祭が終わったばかりだ」
(閲覧者同士らしく、いつでも話を打ち切れる程度の軽い語調)
■クローデット > 目が合った。
にこりと微笑んで挨拶を返してくる調査対象。
その瞳を大きく瞬かせてみせた後、こちらも、品の良い微笑を浮かべてみせた。
「ええ、こんにちは」
姿勢の美しい、軽いお辞儀と会釈の間のような礼。
それから、少し歩み寄る。
図書館で声を張らないために近づくのだと思えば、そこまで不自然な動きでもないはずだ。
「あたくしも…常世祭の間止めてしまっていた調べ物をしていたところでしたの。
ずっと、委員会で忙しかったものですから。
………そういえば、この文化圏では新聞での連載小説が当たり前なのでしたわね。あたくしの故郷ではあまりなかったものなので、失念しておりました」
どのようなお話なのですか?と、若い女性らしい楽しげな微笑で尋ねた。
…その本心を、どこまでも押し隠して。