2015/12/13 のログ
ご案内:「図書館」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > (放課後の図書館。思い思いの場所で、入館者それぞれの静かな時間が流れている。
その閲覧席の一角で、すらすらと鉛筆を走らせるか細い音がしていた。
手元に六号ほどのスケッチブックを広げたヨキが、広げた画集の模写をしていた。
スケッチブックの右側に広げられた図版の、宗教画を基にした精緻な銅版画だった。
特定の信仰を持たないヨキが、純粋な美的観点から選んだ一枚だ。
描き出した構図の上に升目を引く。人物それぞれが手にしたアトリビュートが示す象徴を記す。
細い描線が産む空気の流れを、黒鉛の筆致が忠実に描き留めてゆく)
■ヨキ > (鉛筆を走らせながら、右手の手のひらを上に向け、人差し指を開く。
指先からちらりと銀色の光が散って、それは銀色の糸になった。
糸はまるで生き物のようにするすると伸び、ゆっくりと曲線を描く。
描いた輪の中を糸が自ずから潜り抜け、音もなく編まれる。
自律する銀線が、やがて縦横に編まれて面を形づくる。
異能のフィリグリーが波打つドレープを産み、それはたった今模写していた聖女の横顔を象った)
ご案内:「図書館」におこんさんが現れました。
■おこん > あ、ヨッキみーっけー。元気しとるー?
(9本の尻尾はもそもそしており、若干邪魔であるがゆえに尻尾はひとまとめ。
ヨッキがすごい勢いでなにかお絵かきをしていたのだけれど、
気にする様子もなく容赦なく声をかけた。 手に持った絵本を机の上に置くと、
ヨッキのおとなりに座る。 興味深げにスケッチブックを覗き込み、
なるほど、となにもわかってなさ気な顔で頷いた。)
■ヨキ > (それは銀線で編まれた仮面と呼ぶべきものだった。
眼窩にぽっかりと孔を空けた女の顔を、正面から、横から仔細に眺める)
「…………、」
(そこで、傍らから聞き知った声がして手を止める。
銀色の糸が、するすると吸い込まれるようにしてヨキの手のうちへ戻ってゆく)
「やあおこん、君か。
はは、ヨキはいつでも元気であるよ。君は……訊くまでもなさそうだな」
(笑って、隣に腰掛けたおこんを見遣る。
手元のスケッチブックには、本を真似て描いたと知れる絵が残っている)
「少しばかり、絵の勉強をな。君は?読書の時間かね」
(おこんが持ってきた絵本を覗き込む)
■おこん > 元気なのはよいことじゃのー。
いやー、ワシは咳がとまらんのよな。
こんこん、なんてのう! ワハハ!ハハ……ハハハ…
(手でキツネ・サインを作ってヨッキにアピール。
今のはジョークだという気力すら無いほどに
自分のボケに打ちのめされて肩を落とした。)
しかし、ヨッキは見事なもんじゃのー。
さすが美術教師、鍛錬も怠らぬのは関心じゃ。
ワシか?ワシはなー。 これじゃぞー!
(じゃーん!覗きこむヨッキにページを開いて見せる。
『きつねのかみさま』と書かれた絵本は、
可愛らしい狐が紙面いっぱいに描かれているものだった。)
■ヨキ > 「風邪か。声に覇気があまり……」
(殺戮者はボケをも殺した。
だんだんと肩を落とすおこんを見ながら、ものすごく神妙な顔になってくる。
おこんのキツネを真似たつもりがメロイック・サインになっていた)
「絵も描かねば腕が鈍ってしまうからな。
手を動かしていなければ、どうにもうずうずしてしまって」
(今のところ『こんこん』を咳だと思い込んでいるヨキが、おこんが開いた絵本にへえ、と笑ってみせた)
「『きつねのかみさま』か。君の同類かな?
もしかして、独りで読んでいたのか。何なら、このヨキが読み聞かせてやってもよいぞ」
(周囲の席を見渡す。人の少ない時間とあって、多少の声量は問題ないようだった)
■おこん > ワシだって調子悪くなることくらいあるわい。狐の霍乱というやつよな。
(ヨッキはもっと容赦なかった。 ものすごい勢いでメロイック・サインを決める
相手の手を、狐の口吻にあたる部分でつんつんとつついてじゃれつく。)
そうじゃな、流石ヨッキじゃなー。 ワシ、今度ヨッキがなんか描いてるところを
見てみたいのう。 こんど授業にこっそり紛れ込んじゃろうかのー。
(ヨッキの絵はすごい、スケッチブックにバリバリと描いてたのを見るだけで、
あまり知識がない自分にも、技術の蓄積がわかるというものだ。)
ウム、狐の神様がなー、なんかこう、あれなんじゃぞ。 神様になる…
そうか、一緒に読んでくれるか? それなら頼むとしようかのう!
(ヨッキの提案にぱあっと表情を明るくする。 絵本を渡してから、
いそいそとヨッキのお膝の上に収まった。大きな尻尾をゆらゆらさせながら、
交互にヨッキの顔と絵本を見やる。)