2016/02/17 のログ
ご案内:「図書館」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > バレンタインの喧噪を横目に週末をいつも通り過ごした蘭は、勉強のため、放課後図書館を訪れていた。
…といっても、週に数回図書館に寄って勉強をするのは、蘭にとってはもはやルーティンであり、試験前「だから」と、特別にやらなければいけない事はあまり多くない。
あえて言うなら、範囲が広い科目の、冬休み前後の頃の振り返りだろうか。

そんなわけで、まずは普通に文学のコーナーへ足を運ぶ。
古典基礎の古典常識などの部分の参考資料を見繕うためだ。

美澄 蘭 > 「あ、あった」

授業で参考図書として挙げられていた、日本古典を文学論的に読み解き、解説する単行本を見つけて、軽く背伸びをして手に取る。
そして、それを貸出カウンターの方に持っていく。

ご案内:「図書館」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 真乃真の成績は悪くない。
その成績は興味がある科目のみを選んだ点とある程度は勉強をしているからである。
ああ、普段はともかく試験の前には勉強している。

そんな感じで真乃真は図書館にいた。
手に抱えているのは異世界の文化に関する本が二冊。
そして何故かメガネをかけていた…。

「美澄さんじゃないか!君もテストの勉強かい?」

貸出カウンターに向かうところで。
前に一回、正確には二回会った知り合いを見つけて声を掛ける。
図書館でなんとか許される範囲の声量で!

美澄 蘭 > 滞り無く貸し出し手続きを終え、自習スペースへ向かおうとするところで、見知った異性の先輩とすれ違い…そして、声をかけられた。

「………あっ、真乃さん………」

「こ、こんにちは」と、どこかぎくしゃくした仕草で頭を下げる蘭。
先日、別れてから「とあること」に気付いてしまったせいで、どう振る舞ったらいいのかよく分からないのだ。

「…え、ええ、そうなの。
借りた本を使った勉強は、本の中身を読みこなしてからにしようと思ってるから…
今日は、理科をやろうと思って」

真と目を合わせないようにして、少し震えた声で答えた。

真乃 真 > 「確かに読みながらだとどうしても中途半端になっちゃうからね。」

そう答えながら少し考える。

(…僕何かしたっけ?)

なんか避けられてるように感じる。
だけども前回会った時に何かしたような覚えもない。
…すると、このメガネのせいだろうか?
いやいや、覚えてないだけで何かしている可能性の方が高い。

「えーと、もしかして前会った時に僕、美澄さんに何かしちゃった?」

ストレートに尋ねた。
なんでこんな態度なのか分からないのはなんとも気持ちが悪い。

美澄 蘭 > 「ええ…本を読む時は、一旦本に集中しないとだし…」

目を合わせないように、少し下を向いたまま答える。
…が、真から直球で訪ねられると、びくっとしたかのように背筋を強張らせ。
…それから、少し頬が赤らんだ。

「………えぇっと、その…真乃さんが、悪いんじゃないんだけど………」

口元を手で隠し、顔が少しだけとはいえ一緒に横に振れる程度に視線を泳がせ。
………その後、意を決したように深呼吸して、それからちらりと真に視線を向けると、頬を赤らめたまま。

「………変なこと………聞いても、いい?」

そう尋ねる声は、今までとは比べ物にならないほど震えていた。
…とはいえ、この狼狽えぶりは、真は見覚えがあるかもしれない。

真乃 真 > 「そうかー。また僕が何かやっちゃたのかと思ったよ!」

ホッと胸を撫で下ろす。
気が付かず何かしらをやっちゃった事があるらしい。

「変な事?いいぜ!僕は僕に関する質問は基本的にいつでも受付中だ!」

そう、答えながら目の前の少女の態度に既視感を覚えた。
いつだっけ?ああ、あの時だ。動けなかったあの時の感じだ。
アレだったことがばれてしまったあの時の感じだ…。

「…ああ、美澄さんが僕に何を聞きたいのか分かっちゃったよ。」

狼狽える目の前の少女を見つめ自信有り気な笑みを浮かべる。
…全てを見抜いたように。

「さてはこのメガネについてだね!!そう、君が気づいた通りこれは伊達なのさ!」

メガネを外して見せつけた。

美澄 蘭 > (………「また」って………)

思ったが、口には出さない。
もとい、出す心の余裕は無い。

「………えぇっと…伊達眼鏡のことじゃなくて………」

相手の自信満々な振る舞いと、その答えのギャップに、戸惑いつつも若干呆れたように目を伏せる。
…が、その脱力は緊張を抜くという意味ではいい方向に働いたようだ。
声の震えは、大分落ち着いていた。

「………学園祭の、異能を使った美術展示に…「テクスチャ」って異能を使った展示があったの、知ってる?」

今度は、真の方を自信なさげながらもしっかりと見て。
いきなり本題に入って「ナニソレ」という顔をされるのが恐いのか、話題の導入として、不自然ではないだろうところから切り込んだ。

真乃 真 > 「ええ!?違うのかい!?自信あったのにな!」

ポーズを付けて驚いたように大げさに言う。
どことなく分かって言ってる様に見えなくもないがいつもこんな感じである。
そのあとすぐ表情を笑みに戻して話を聞いた。

「ああ、覚えてるとも。あの展示は僕の同級生で美術部の張古君が作ったものだからね!
 当然知っているともさ!」

アクティブな異能を芸術として内包しそれをテクスチャの異能でコーティングしたクリエイティブな石膏像!
と本人は言っていたものだ。
動いているところを見てない真にはぶっちゃけ、分からなかった…。

「それがどうかしたのかい?」

特に何も感じてないようにそう聞き返す。

美澄 蘭 > 「………そうなの………」

「自信あった」と大げさなポーズをつけて言う真と対照的に、こちらの声は力ない。
この振る舞い、どこまで作っているのだろうか。以前の「あの件」を踏まえると(無論、「あの件」の「中の人」が真である、という前提だが)、ほぼ素だとしてもそこまで驚けない蘭がいた。

「………そう………
………私ね、あの作品の「芯」に何が使われたか、知ってるの。
真乃さんの同級生の人が作ったなら………真乃さんも、知ってる?」

何でもない風に応じる真に、人違いの可能性を若干考えつつ。
真の表情を伺うようにしながら、尋ねた。

真乃 真 > 表情を保ちつつ答える…。

「…もちろん知ってるよ。あれの中身は身体に変化のある異能を持つ人が交代しながら入ってたんだよ。
 流石にあの中にずっと入ってろなんていくら体力があっても辛いだろうしね。」

表情を保ちつつ答える……。
例えば体が大きくなるものや腕が伸びるもの。
他にも様々な異能を持つ人が入っていたので時間帯によっては動き方が全然違っていただろう。

「それでもやっぱり「芯」になるにも向き不向きがあって見栄えの良さや中の人の体力。
 例えば「ポーズが変わる」そんな異能なら見栄えもよくて違う姿勢がとれて凄くいいよね。」

そう言って自らの異能を発動する。
前触れもなく、音もなく、いつの間に変わったのか分からないうちにポーズを変える。
それこそ、芸術品のような。石膏像のようなポーズに。

「そう!君のお察しの通り僕があの時の石膏像の中の人!自分のポーズを変える異能を持つ男さ!」

カッコいいポーズをとりながら楽しそうな笑みを浮かべてそう答えた!
でも、声は普段よりも抑えめである。

「いやー、いつぐらいに気づいたの?」

美澄 蘭 > 「………交代で入ってたの?」

目を大きく、何度か瞬かせて。これは蘭にとっては新事実だった。
まさか展示の内容が変わっているとも思わないから、そこまで何度も同じ展示会場に足を運んではいない。
…と、まるで時間が飛んだかのように、真のポーズが変わった。
その姿勢…確かに、見覚えがあった。
自分の疑念が勘違いでなかった事に、蘭は心から安堵する。

「………訓練施設で別れた後よ。
声とか、しゃべり方に覚えがあるなぁとは思ったんだけど…思い出すのに、ちょっと時間がかかっちゃって」

柔らかく、はにかんだような笑みを見せた。
何やら、気まずい思いをしていたのが、少々馬鹿らしくすらあった。

真乃 真 > 「実はそうなのさ!」

ちなみに中に人が入っていたことがばれた切っ掛けの言葉が「交代まだかな…。」であった。
言った本人も当然覚えていないのだけれども。

「あの、後かー。なるほどそれで今日会った時変な感じだったんだね!
 中身がホントに僕で合ってるか気になるけど違うかったら気まずいなー的な!
 その気持ち凄く分かるぜ!」

笑みに対して笑みで返す。

「特に言うなとかは言われてなかったんだけどね。
 …もし言わなかったらいつ気づくのかなって。
 やっぱり、声だけだったら中々気が付かないよね!」

邪気の無い笑みを浮かべてそう言った。

美澄 蘭 > 「………あ、そういえば「交代まだかな」って言ってたっけ………
しゃべった事自体にびっくりして、内容はあんまり覚えてなかったから」

こちらは思い出したのでした。

「………合っててもそれはそれで気まずいわよ。
あの場であんなやりとりしたもの………」

苦笑いしながらそう言う。
蘭が異性慣れしていない事を前回にした、美術展での出来事。
真の堂々とした様子から、今この場では、そこまで恥じ入る感覚にまではならなかったのだが。

「まあ、あれだけ大声で話しておいて秘密も何も…というのはあるかもね。

………それもあるけど…真乃さん、初対面みたいな感じで話しかけてきたでしょう?
まさか、その前にあんな形で会ってるなんて、まず考えないし」

くすくすと、こちらもおかしそうに笑って。

真乃 真 > 「ああ、確かあの時は美澄さんが照れてそれでも少しでも作品(僕)を見てもらおうと
 頑張ったんだよね。僕がなんか女性的な話し方したりして…」

常世祭のことを思い出してあの時のように声を高めにだして女性っぽいしゃべり方をしたのは今思うと厳しい。
いや、ギリギリいけるかもしれない?

「それこそもし急に知り合いみたいに話しかけたら驚くだろう?距離をとるだろ?そこに君が練習してる魔法の出番ってわけだね!
 さて、冗談は置いといて一方的に相手が知り合いみたいに話しかけてきたら僕でもなけりゃ怖いだろうからね。」

更にいえばその時点で既に蘭が男子が少し苦手っぽいことは分かっていたのだ。
それは考慮して初対面っぽくはなしたのだった。

美澄 蘭 > 「………あれは、声質的にも相当無理があったわね………」

あの時の裏声を思い出してくすくすと笑う。

そもそも、蘭がうっかり「異性」を意識してしまったのは真が恥ずかしがったのがきっかけだったりはするが、その辺は自分の事で一杯一杯だった蘭の意識にはあんまりないのだった。

「………確かに、ちょっと不気味に思うかも。
名乗ってもらえたら話は早………あ、それも駄目ね」

今のような流れを経ずに真実が明らかになっていたら、間違いなく動揺してパニックになっている。
そう自覚した蘭は、真の考えを認めて頷いたのだった。

真乃 真 > 「そ、そんなことないと思う、わ…ごめんやっぱり無理あるね!」

その時の声を再現してみて思い知ったこれは駄目だわ。
無理だわ、無理あるわ。
記憶を美化しすぎていたようだった。

「そう、だからこれぐらい間が空いて丁度良かったのかもしれないね!」

うんと頷きながら言う。流石、真ナイス判断。

「さてとそろそろ僕は行こうかな?なんか図書委員の目が怖いし…。」

油断して少し煩くしすぎたかもしれない。
図書委員のあの目は、まだギリギリセーフの目だ…あれを超えると不味い。

美澄 蘭 > その時の声を再現しようとして諦める真の様子に、くすくすと楽しそうに笑った後。

「………それもあるけど…真乃さんがこういう人だと分かってなかったら、きっと私どう反応していいか分からなくて、大変だったと思うの」

「きっと、また困らせちゃってたわ」と言って、はにかみがちの笑みを浮かべる。
…と、真の言葉に、結構話し込んでしまっていた事に気付く。

「あ、そうね…私も勉強しないと。
有機化合物の暗記、確認しておきたいし」

そう言って、自習スペースの方に改めて目をやる。

「…今日、話せて良かったわ。
試験、お互い頑張りましょうね」

「それじゃあ」と言って柔らかい笑みを向けた後、蘭は自習スペースに向かって歩いていった。

ご案内:「図書館」から美澄 蘭さんが去りました。
真乃 真 > 「あれくらいは困ったうちにも入らないよ!」

また困らせてしまうといわれても特に困ったつもりはないのだった。

「ああ、美澄さんなら心配なさそうな気がするけどね!お互い頑張ろう!」

笑みに対しては笑みで返す。
そうして貸出カウンターの方に向かう。

「さてと、僕も頑張らないとな!」

また一段と厳しくなった図書委員の目線から自らを守るように
伊達メガネをかけなおして進む。

ご案内:「図書館」から真乃 真さんが去りました。