2016/02/18 のログ
ご案内:「図書館」にセシルさんが現れました。
■セシル > 試験が近い。
セシルは入学したてなので単位や昇級がかかるような試験ではないが、来年度からの授業参加のための学力レベルテストはある。
現時点で、ほとんどの科目はセシルと同年代か、やや下くらいのクラスに入って通用するレベルと判定されているが…1つだけ、現時点で深刻な問題を抱えている科目がある。
理科………特に、化学である。
■セシル > セシルの元いた世界は、魔術の発展が著しい分、こちらの世界で言うところの科学技術はさほど発達していなかった。
無論、魔術が発達している分で生活の利便性はある程度確保出来ていた。しかし、知識面の話になればそうはいかない。
セシルの世界では物質を扱うのは「錬金術」の分野で、セシルはそちらに特に関心を寄せていなかった。
知識不足と、世界観の著しい差異による理解への障壁が相まって、セシルの化学の勉強は現在、相当切羽詰まっている。このままでは、来年度から、著しく年少な生徒達に混じって理科を勉強する事になってしまいかねない勢いである。
■セシル > 1人ではどうしようもなくて、やむなく理科の教員に相談をしたところ、
『この世界でも昔は化学と錬金術って一緒だったんだけどね…
その辺りの科学史の本とか読んでみたらちょっととっつきやすくなるんじゃない?ラフフェザーさんは文章読解力には問題無いみたいだし』
と言って、何冊か本のタイトルを教えてもらった。
今日は、それらの本を探しにきたのだ。
以前に会った少年との約束も、ついでに果たすくらいのつもりではいる。
■セシル > そんなわけで、まずは図書館の蔵書検索用の端末へ。
訓練施設に通い詰めているだけあって、タッチパネル式の機械には大分慣れてきていた。
この世界の元からの住人に比べれば速度は遅いものの、滞りなく入力。
探すべき本のタイトルは教えてもらって既に分かっている状況なので、複雑な検索条件設定の必要も無かった。
本のタイトルで検索をかけ、分類などを確認すること数回。
「…む、これは閉架か…」
先生が薦めてくれた本の中に、フロアには置かれていない本がある事を確認する。
(…まあ、開架に置かれている本が難しくて厳しそうであれば、だな。
どうせ試験前に全てを読みきれるはずもないのだし)
そんな事を考えながら、書架の中へ踏み入っていく。
■セシル > まず手に取ったのは、「錬金術」と「科学」の橋渡しをした、この世界の歴史上の偉人の伝記だ。少し高い位置にあったが、セシルの身長とすらりと長い腕があれば、背伸びせずに届く範囲である。
子ども向けらしいそれはさほど分厚くなく、手に取ってぱらぱらと眺めた感じ絵や図も多い。
(…まずは、導入用に確保しておこう)
というわけで、左手にその本を持ったまま、別の本を探しにまた書架の間を歩く。
■セシル > 次に手に取ったのは、錬金術の歴史を、「科学」と照らし合わせて書かれた歴史書である。
ぐっと字も細かくなり、単行本にずらりと回りくどい文章が続く。
元々身体を動かす方が好きなセシルは、その書面を見て「うっ」と小さな声を漏らした。
(………今持っている本で導入に不足だと感じたら読むとしよう。
最初から読む気でいたら、勉強ごと挫折しそうだ………)
力ない溜息とともに本を閉じ、棚の元の位置に戻す。
■セシル > そんな感じで何冊か確認してみるが、セシルにとっては心が折れそうだったり、テスト対策と並行で読み進めるには荷が重いものが多かった。
最初に手に取った伝記と…錬金術と化学の基礎知識の接続を試みた大人向けの学習書を手に取って、貸出カウンターに向かう。
■セシル > 「貸出、お願いします」
そう、カウンターの図書委員に声をかけて、二冊の本と、学生証を提出する。
事務的な対応に慣れているのだろう。セシルの容貌と学生証に記録された内容のギャップを気にするそぶりをまるで見せず、図書委員は貸出手続きをしてくれた。
「ありがとうございます」
そう言って本を受け取った後…
「………そういえば、この図書館って、水に濡れても大丈夫な本は扱っているのでしょうか。
そういった体質を持つ異邦人の知人が、悩んでいたもので」
と、切り出してみた。幸い、この期間の図書館需要は自習スペースに集中しているので、さほど窓口は混雑していない。
■セシル > 聞かれた図書委員の回答を、真剣な表情で聞いたセシルは、
「…そうですか…回答ありがとうございます」
そう言って、頭を下げ。
それから、学習のため自習スペースに向かったのだった。
ご案内:「図書館」からセシルさんが去りました。