2016/05/29 のログ
四季夢子 > 「おっとそうでした。私は図書館で熟睡をするなんてお行儀の悪い朝宮先生の事なんて知りませーん。」

よいしょ、と隣の席に座り込んで同じようにウィンクを返して話題を締結っ。
若干のトゲがありそうなのは恐らく夕焼けの見せるまやかしの類って所。
ここ、図書館だから本が傷むのを避けるべく窓なんか無いけれど。

「ふーんそういえば以前にもそーゆーの調べたりしてるって聴いたような、聴かないような……ま、いっか。
ええ、私の方は魔術書をちらほらと……私そーゆー方面の才能とか適性検査とかでも全っ然無かったんですけどね。
ちょっとこう……そういう人でも使えるようなのがあるかもって話を小耳に挟んだから……
ほら、例えば空とか飛べたら素敵だなって鳥を見て思ったりしません?何よりロマンチックだし……。」

先日、アリスさんと会話をした時の事が今日此処を訪れる契機でもあって、
私は首を傾げる朝宮先生に少し早口で問いに応じ。

「あ、でも何も魔法使いになりたいとか、そーゆーのじゃあ無いんですよ。そーゆーのじゃ……。」

はたと止まって視線を逸らしてしまう。随分子供っぽい事を言ってしまったと頬を掻いて含羞を散した。

朝宮 小春 > 「そうよね、知らないわよね。」

言いながら、頬をぷにり、とつまんでおこう。この子はほんとに……!
まあ、それでもイチゴ味の飴を自分の口の中に入れてしまえば、手を離して。

「………そうなの? じゃあ、一緒に探していきましょうか。
私、その手の適性検査は全く受けていないのよね。
もしかしたら私にもできたりするかもね?」

ふふふ、と指をくるりと回して見せる。
子供っぽいことに、それと同じくらい子供っぽい仕草を交えて答える。

「あらそう? ………そういうものが使えたら、と思う時も無いわけではないのだけれどね。
空を飛べたらな、とは思うのだけれど。
……高いところ、怖いのよね。」

とほほ、と頬をかく。どこまでも一般人だった。

四季夢子 > 頬を突かれても黙して起き上がりこぼしのようにゆらゆらするだけ。
猫みたいに笑って横目でみてたりもするけれど。

「あら、先生も興味がある感じですか?
そういえば噂だと図書館の奥には見るだけで正気を失うようなおどろおどろしい禁書とか、
頁を開いた者を本の世界に取り込む魔術書とか、人の皮で装丁された本とか、
他にもetcetcなトンデモ魔術書博覧会みたいな区域があるって噂があるんですけど、
朝宮先生は何か聞いたりしてます?」

閑話休題。
私は席から立ち上がると学校にはつきものの噂話を零し、適性検査の話題を掬う。

「朝宮先生が魔法って、それ絶対大変な事になると思うんでやめたほうがいいと思うんですけど」

但し、棒読みで。
そりゃあもう棒立ちの上に棒読みで。
この先生が仮にファンタジーにあるような何か凄い魔法の適正があったとしたら色々大変な事になるだろうと、
この四季夢子は勝手に確信しているのだった。

「高所恐怖症が治る魔法とかもあるかもしれないけど、どうなんだろう……
ま、まあ暇潰しのようなものでもあるし、気楽に探してみましょ?」

他者の精神性に作用する魔法。あるとするなら有る意味では恐ろしい代物の所在は一先ずとし、
私は机上の本を幾つか抱え上げた。先ずは後片付けからしないとね。

朝宮 小春 > 「……そんなものがあるの? 噂でしょう、噂。
 生徒が立ち入り禁止の場所にあるから、そういう噂が立ってしまうだけ。
 そんな本がこんな場所にあるわけないじゃない。」

苦笑を浮かべながら、相手の言葉に首を横に振り。
いろいろなものを見ても、まだまだ常識外のものを受け入れきれない。
まあ、その目で見ていないから仕方ないのだけれど。

「……どういうこと?
 私だって一つくらい、そういうものが使えてもいいじゃない。
 暗いところで明かりを出したり、暑い夏にかき氷を作れたり。」

使い方が地味かつ生活的だった。
きっと頭のなかにある光景は全く違うのだけれど、それには気が付かず。

「そうね、それじゃあ………」

さくさくと辞書を戻して、論文を鞄にしまいこみ。
どこにあるのかしら、と周囲を見回して。

四季夢子 > 「うーん先生がそう言うならやっぱり噂なのかしら。
実際は稀覯本を保管していたりーとかそんな所なんでしょうけど……
あ、でもそれはそれで観てみたいかも。」

苦笑を浮かべる朝宮先生の横であっけらとする私だけれど、
薄暗い室内にて居並ぶ書架を飾る稀覯本。なんてものは想起するだに心が弾む。
帰りに古本屋でもまた寄ろうとそう決めて本を片付けていった。

「……あ、そーゆー……ええ、そりゃあそういう魔法なら全然平和的よね。
私も暑い夏に好きなだけシロップが作れる魔法とか欲しいし、あと小豆餡とか。」

二人合わせて宇治金時が食べ放題になる魔法である。
もし実現したらこの夏は一儲け出来るに違いから私は不満そうな朝宮先生に笑顔を向けて手招きをする。

「さっき向こうの方は見たから今度はこっちを探してみませんか?
ここ基本的には系統別にあるっぽいんですけど何分広いせいかちょっと適当だったりするんですよねー。」

朝宮 小春 > 「ダメよ? こういうところはしっかりしているからすぐ分かってしまうし。
 そういう本は脆いから、本当に気をつけないとすぐに破れたりするのよ。」

苦笑を浮かべつつ、相手の言葉には頭のなかで想像してしまう。
そんな便利なものではない、とわかっているけど。

「………そういうのができたら、お互いに部屋を行き来する夏になりそうね。
 嗚呼、泳げるようになる魔法とかあるかしら…」

考えながら、手招きに素直に招かれて、奥に向かい。
相手の言葉に頷きながら、高い書棚を見上げる。

「………確かに多いのよね。
 背表紙が真っ黒だったり真っ白だったりする本とか、怪しいのだけれど……」

手を伸ばして本を一瞬躊躇しながら引き抜いて。

「本の世界に閉じ込められる、って………凄く怖い話だけれど。
 入るとしたら、どんな本に入りたい?」

四季夢子 > 「判ってますって。朝宮先生には話しましたっけ?うちの実家、古物商だもの。
古い品物の扱いは心得て……はいないけど、あだやおろそかに扱ったらいけないって事くらいは知ってますよーだ。」

ふっふーん、と得意満面に鼻を鳴らして差し上げて、次なる言葉にそういえばと相槌を返す。

「先生まだ泳げなかったんだ……いえ、私も似た様なものだけど……まあでも海なりプールなり行くにしても、
浮き輪でも使って浮いてたりするのも楽しいでしょうし、それでも良いんじゃないかなあ……。」

背を伸ばして系統不明の不可思議な本を手に取る姿を見上げながらに言葉は落ちて、問われたらさも思案するように
頤に指を添えて格好の一つもつける。

「仮にそんな本が本当にあったとしたら……そりゃあハッピーエンドで終わるような奴がいいですよね。
間違ってもホラーとか御免だわ。例えば……街中にゾンビがうようよしてるような奴とか。」

朝起きたら街中がゾンビだらけでした。なんてよくあるB級ホラーだけれどB級だけに無難に怖い。
私は露骨に嫌そうに眉根を顰めてみせた。ただ、それとは別に先生が引き抜いた本が気にもなるので、
近付いて覗きもするんだけど。

朝宮 小春 > 「……この夏に泳げるようになりたい、って思って考えているのよね。
 ほら、運動不足解消にもなるじゃない?」

指を立てて偉そうに言う。この夏の目標です、と言い切る姿は、やっぱり前向きなもの。
相手の言葉に、肩を竦めて目を伏せて。

「……確かにね。
 そういうものも怖いし、サスペンスとかも怖いわー。
 どう頑張っても、私じゃあ犯人にも名探偵にもなれやしないもの。」

参っちゃうわ、なんてくすくすと微笑みながら、真っ白な裏表紙……どころか、表紙まで真っ白な本をそっと開いてみて………。


………


………閉じた。
いっぱい肌色を見せた女の人がいっぱい肌色を見せた男の人と運動をしている本だった。
ぼしゅぅ、と湯気があがるほど顔が真っ赤になる。

四季夢子 > 「あー水泳って全身運動で云々って言いますもんね――」

本の内容にお互いに苦笑を交わし、互いに運動音痴な身の上に頷きあって……

「…………い、一応全身運動かしら。」

……二人揃って夕陽なんか差し込まない部屋なのに夕陽に染まったような顔色になっちゃう。
乾いた笑いも響いたかもしれない。

「そ、早々怖いと言えば落第街とかも怖いって友達が言ってたなあ。
朝宮先生だから"落第街"なんて言っちゃいますけど一応あそこ歓楽街扱いなんですよね。
なんでも不用意に足を踏み入れると……その、そーゆー本みたいな事になるとか……。」

現実は本よりなんとかで、怖いわーって話題を誤魔化そうとするのだけど何だかちょっとずれた気がしなくもない。

「ホラーとかサスペンスもそーですけど、そういう本も困っちゃいますよね、うんうん。
やっぱりほら、そういうのは……じゃなくて、そうだ!朝宮先生ってどういうタイプの人が好みとかあるんですか?」

しなくもないけど話題は転がり続けていった。

朝宮 小春 > 「………こ、これのことは忘れましょう。
 一応、……預かります。」

真っ赤な顔で溜息ついて。持ち帰って破棄しましょう……。
ちゃんと破棄しますからね!!

「……そ、そうなの? 私は行ったことが無いし、
 行かないほうがいい、と言われているのだけれど。
 歓楽街には時々行くのだけれど、ね。

 ………本のことは忘れなさい、っていうかどんなことになるの……!?」

完全に真顔で頬がひくつく教師。
怖い場所だという認識ははっきり植え付けられたらしい。

「………い、言わなくてもいいから!!
 ……好きなタイプ? うぅ、ん……… 貴方は?」

四季夢子 > 「多分それ、誰かが悪戯で入れたものでしょうしね……。」

流石に図書館と言えど区分けもせずにこういう物は置くまいと此方も赤い顔で頷くのみ。
疑おうなんて気持ちはこれっぽっちもなくて、こういう所ではきちんと大人を信用するのでした。

「ええと、噂で落第街に美味しいお店があるーとかそういうのを聞いたものだから、
そのことで友達に話をしたら『迂闊に行くと危ないですよー』って言われてしまったんです。」

危ない、の所で朝宮先生が抱えた白無地表紙の本を指差し言外に示す。
実際本当にそう危ないのかは別として、類似した噂なんてものは実しやかに流れたりもしているかもしれない。
生憎と私はその手の噂は余り聞いていないのだけど。

「え"っ、わ、私の好きなタイプですか?そりゃあ……背が高くて~格好よくって~お金もそこそこあって~……」

その折に投げ返された質問には変な声が出てしまうのだけど、それはそれとしきちんと答える生徒の鑑。

「……あとは~……私のことをきちんと視てくれる人がいいな。四季夢子としてきちんと視てくれる人。先生は?」

最後にだけ、建前じゃない本音の一つも混ぜ込んで先生に改めて投げ返しましょっと。

朝宮 小春 > 「そういうものなのかしらね?
 ………歓楽街までなら大丈夫かしら、今度行ってみる?
 大人がついていれば大丈夫でしょう。」

大人、大人、と自分をぽんぽんと叩きながら言ってみる。
安心感が溢れだしている。きっと。

「………さ、流石に無いでしょう。ええ。
 ………本に入らなくてよかったわ。」

がっくりと肩を落としながら、そんなことをぼそぼそと。

相手の質問の返答を真面目に聞きながら、ふふ、と僅かに微笑んで。

「そうね、……先生を脅かすくらいには動きまわる子だもの。
 しっかり見つめてくれる人でないとね。」

そのまま、ぽんぽん、と頭を撫でてあげることにする。
相手の言わんとすることは、ちゃあんと理解している。

「………で、私だけれど。 そうねぇ………
 尊敬できる人かしら。 何かしら、どこか尊敬できないと、大事にできないと思うしね。」

四季夢子 > 「歓楽街は実は夜に何度か言ってるんで大丈――…………今のはオフレコで。」

くちがすべった。
大人を誇示する朝宮先生から目を逸らして誤魔化して、これみよがしに本棚から本を選ぶ素振り。
折良く「意中の相手を振り向かせる魔法の手段」なる本を見つけて取り上げた所で
同時に頭を撫でられたもんだから不満そうに見上げてやるんだから。

「……む、すっごい子ども扱いされた気がする。ふーんだ私が驚かす先生なんて朝宮先生くらいですよーだ。」

はいこれ、と朝宮先生に本を押し付けながら転がるように悪罵を言って頬は風船のよう。
ただ好みの内容について先生が尤もな事を言うとぶしゅうと吹き出すようになって笑ってしまうのでした。

「やだ朝宮先生ったら、それは当たり前の大前提じゃないですかあ。…ちなみに誰か具体的にいるんです?」

このこの、と肘でつついて根掘り葉掘りと問う形。好奇心旺盛な私は猫みたいに笑って猫を殺すように言葉を連ねるの。

朝宮 小春 > ………

「止めはしないけど、心配はするわ?
 ………せめて、行くなら教えてね。」

ぽんぽん、ともう一度頭を撫でて。怒るでも無く、呆れるでもなく。
本を押し付けられれば、少しだけ首を傾げて、ううん、とうなる。

「だって私にとっては生徒だもの。………それはどういう意味かしらね?
 解答次第では、ほっぺたを引っ張るじゃすまないけど。」

全くもう、と少し不満気にしながらも、苦笑交じりで怒る気配は全く無い。

「……うー、ん。 実はあんまり考えたこと無いのよ。
 ほら、………………ええと、まあ、男の人にいい思い出は少ないし。
 ずーっと研究とお仕事ばかりだったもの。」

電車とか。なんて詳しくは言わないけれど。
とほほ、と肩を落として。学問に人生捧げてしまった系女子です。

四季夢子 > 「おっといけない。こっちもオフレコで、或いは無かった事にしてくださーい。」

心配をし、怒ってくれる先生の手から逃れるようにくるりと回りながら離れてみせて
特に意味も無くカーテシーのような一礼をし舌を出した。
ただ具体例が全くもって無かったというか、誤魔化す素振りすらなく肩を落とされてしまうと
危うくそのままずっこけそうになりもした、おおっとっと。

「……朝宮先生絶対モテると思うんだけどなあ。ああでもいい思い出が無いって苦労してるんだ……。」

尊敬できないような悪い人に引っ掛かる姿が想起されて思わず声にも憐憫の色。
先程頭を撫でられたように、今度は此方が朝宮先生の肩を叩くのでした。

「ま、まあ気を取り直して探しましょう?あ、ほらもしかしたら素敵な人を探す魔法とかあるかもしれないし!」

励まして促して、本探しは結局徒労に終わったのかもしれないし、そうじゃなかったのかもしれない。
行き先は杳として知れないけれど、一つ確かな事は二人揃って図書館の司書さんに帰宅を促されるまでは居たってことかしら。

ご案内:「図書館」から四季夢子さんが去りました。
ご案内:「図書館」から朝宮 小春さんが去りました。