2016/07/19 のログ
ご案内:「図書館」に世永明晴さんが現れました。
世永明晴 > 「…………ん」

席についている。
本。医術書。資料。
それなりの厚さの本を真剣そうな顔つきで捲っている。
知識を読み漁っていく。勤勉とも違うそれは、パラパラと早い速度で読んでいるようでいて、目はしっかりとその文字を追っているように思える。格好も伴い、まるでなにかの研究者のようだ。(まるでそんな理由とは無縁なのだが)

ただし、その目が瞑っていなければとつくが。
読んでいるのか、それとも寝ているのか。
その判断は自らにしかついていないだろう。

世永明晴 > 「……ん、…………む」

自分の状態を正確に言い表すことが出来ない。
この状態を解消したいわけじゃない。起きている自分は、露ほどにも思っていないだろうが。
ただ……知る必要があった。

脳科学、睡眠時の身体的機能。
まるで異能を調べているとは思えない。
……。

眠くなった、とはひどく語弊があるが。入れ替わりと表現するならばそれも正しいだろう。ただ、自分は“世永明晴”である。
なら、起きる時間が近づいた、の方がより正しい。

先程まで読み漁っていた本で気になったページを開き、手元にあるノートへ何か書き込む。目をこすった。
調べた結果で分かる事実が嬉しいのかどうかすら分からないまま。

そうして世永明晴は起床する。

世永明晴 > 「……んべ」

まぬけでいて、それでいて図書館には合わない音量の声が響いた。
寝ぼけ眼の瞳で。目をこすった。周りを見た。

やはり、思うのは。

「……またっスよねー」

重いため息をついた。そして、やっぱり。
此処が図書館であることを把握すれば、慌てたように顔の前で手を振った。

世永明晴 > もはやいつものこと。
それでも、ため息が出てしまう事を、自分自身は許容する。
仕方ないのだ。

そして。もう一つの事実。
これは特に誰にも言ってはいないが……気づく人も出てくるかもしれない。
徐々に。これが出始めてから、眠っている時間が長くなっている。
焦りはない。どうせいつも眠っているようなものだ。
だが……まぁ。何とかできるならば、何とかしなければならない。

その為にも、自らが率先して調べなければならないのだが……。

「これっスもんね」

調べている間に眠ってしまう。眠っている間の知識は自分にはない。
進んでいるのか、停滞しているのか。その判断すらできない。
なぜなら、共有できないからだ。
一つ欠伸をして、手元にある本を眺めた。
わけのわからない物ばかりだ。頭の出来はそうよくない。
ただ……その本の種類が、異能とはあまり関係ない物ばかりなのが気になった。

世永明晴 > ……。

というか、この本は自分で片づけるのか?
どこにあったかもわからないのに?
それなりの量がある本を前にして、助けを求めるように周囲を見た。
いやしかしどう説明しろと。

「……た、たすけ……」
蚊の鳴くような、呼吸音の様な。何とも言い難い声だけ残して。
また、大きくため息をついた。

ご案内:「図書館」に界雷小羽さんが現れました。
界雷小羽 > 小羽は、図書館に来ていた、図書館に生徒が来る理由なんて、
本を読む以外にはありえない。小羽は本を読んでいた。

特に変な所はなく、変な事も起こらなかった、が、対面に座っていた白衣の生徒が、
突然、素っ頓狂な声をあげて、それからあたりを見渡し、困ったように「助けて」

なんて、声を漏らすのを聞いてしまった。
聞かないフリをしようかとも思ったが、そうしてしまうと、
なんとなく後味が悪い、助ける気が無くとも、何故困っているかくらいは聞いてあげても、
恐らくバチは当たらないだろうと考えた小羽は、
渋々、大変に仕方なく、目の前のその生徒に声をかける。

「あの、何か困りごとですか?
 あと、突然変な声を出されると集中が途切れて迷惑なんですが。」

世永明晴 > 「…………をぅ!?」

驚いた。小声で悲鳴にも似たものを上げた気がするが、それを悲鳴というかはまた別だ。
対面の席の存在をほとんど意識してなかった。
どれだけ焦っていたんだ、ともいえるが。

「ち……ちがうっスよ。えぇと……」
後半の台詞に対する弁明が先立った。といっても、特に言えることもないので、小さな声ですいません……と謝るしかなかったが。

「……いや。その。……本の戻し方が分からなくって」
手を顔の前で振る。これでは何の説明にもなってなかろうと。

界雷小羽 > 「ま、素直に謝るのなら、許してあげなくもありません。

 ………それで、本の戻し方、ですか?
 元の場所に持って行って、本棚にしまうだけだと思いますけど、
 
 普段は使用人のような方でも連れているんですか?」

小羽は呆れたように息を吐いて、さらに首まで振る。
心底呆れています、というポーズだ。

世永明晴 > 「あー……その。……どうもっス」

焦っていたものが、その言葉に少しだけ笑った。

どちらかというと皮肉だろう。
少し、棘が強いのかもしれない。なんとなく初対面の相手をそんな風に観察しているような感想を持っていることと。
その言葉に笑いを苦笑いに変えた。

「違うっスよ。……えーと。どっから持ってきたか、覚えてなくて」

界雷小羽 > 「素直に謝れて、素直にお礼が言える人は大成しますよ。」

小羽は満足気に頷くと、その後の言葉に成程、と相槌を打つ。

「戻す場所を忘れる程馬鹿な人が読む本には見えませんけれど、
 でも、そうですね、どうしても戻す場所が分からない、と、いうのでしたら、
 図書委員会の方に戻しておいてください、と頼んで渡せば戻してくれるかと思いますよ。

 それが恥ずかしいのでしたら、その本を一旦借りて、それで返せば、
 勝手に元の場所に戻してくれるでしょう。

 ………何しろ、図書委員会、なんて、
 如何にも仕事が多そうで面倒な委員会に好き好んで入っている人達ですから、
 それはもう、存分に便利に使っていいと思いますよ。」

世永明晴 > 「なんだか含蓄ある言葉っスね」

小声で、なんだか田舎のばーちゃんみたいス。……と少しだけずれた感想。それに失礼。

ちがっ……。と、バカではない、とでも言おうとしたが。
まぁ、大まかに言えばバカなのだろうし。
「……あはは。……まぁ、バカだからいろいろ調べないといけないんスよ」

目を瞬かせた。
ありがとうございます、と前置きした後。

「……詳しいでスね」
それに優しい。

「図書委員に知り合いでもいるんでス?」
随分な言い草、ではある。知っている人がいないとそうは言わないだろう。そう判断しての言葉だった。

界雷小羽 > 「私はあなたと違ってバカじゃないですし、そう感じるのかもしれないですね。
 いい機会ですから、覚えておくといいんじゃないですか?

 ………何か言いましたか?田舎のばーちゃん?」

小羽は、耳ざとく聞き取って、じとっと聞き返す。
しかし、図書委員の知り合いが居るのか、と聞かれれば、いいえ、と首を振った。

「……何故です?

 居るわけないじゃないですか、さっきも言ったように、
 図書委員の方は、仕事が多くて面倒くさい委員会に好き好んで入るような人達、ですから。
 便利に使うなら兎も角、知り合い、お友達、
 そんな関係になったら、面倒事に巻き込まれるに決まっています。」

そういって小羽は、そんな人間と何故知り合いにならないといけないんですか?と首を傾げた。

そもそも小羽は、図書委員以外にも友達らしい友達はいないし、
知り合いらしい知り合いもいない。

学内では一人だし、かといって、目立つような素行不良があるわけではない。見た目も地味。
だからこそ、どこまでも目立たない、そんな生徒である。

「それにしても、調べないといけない事、ですか。………何か事情でもあるんですか?
 ああ、先に言っていましたね、馬鹿だから調べてる。失礼しました。

 そろそろ閉館の時間ですし、本を図書委員会の人に戻して貰うなら、早めにしたほうがいいですよ。
 帰りが遅くなってしまっては可愛そうですからね、何しろ、折角の夏休みですから。」

そういって、小羽は、自分の読んでいた本を
図書委員会の人間に頼んで戻して貰うつもりで席を立った。

図書委員会の人間の事を配慮した発言のようで、
少なくとも、小羽は本の場所を覚えている。
場所を覚えているのなら自分で戻せば、図書委員会の人間の作業を増やす事もない。

マッチポンプ、というほどではないにせよ、近しいもの、と言わざるをえないだろう。

世永明晴 > 「いやいや」
なんのなんの。手を振る。
耳ざとい。口に出した自分が悪いにしても、油断ならない。……油断も何もないのだが。

そういうものだろうか。一つ顎に手を当てて、頷いた。
「なんとなくっス」
そういう少女なのだろう、これだけで判断してしまうのも浅はかなのだが。
それでも一面性というものはきっと否定できない。
「……他人だから、っスか」
そうして一人納得する。

「……ま、馬鹿だから、っス」
「馬鹿だから、自分で調べないと」

席を立った彼女を見る。

「……もうそんな時間なんスね」
ほんと、たまらない。自分の時間が減っていく。

そうさせてもらうっス。一つ頷いた。
夏休み、という言葉から少しだけ考えた。
「読書、好きなんスね」
深い意味はない。
夏休みに図書館に来て読書をするのが多数派、とは言えないだろう。多分。

あ、とふと思う。どうせだ。大体の人に聞いている。意味はなくとも。
ある意味、ただの習慣だ。

「調べものと言えば。……一応聞いていいっス? 初対面すよね」

例えば、寝ているような自分ととか、なんて。
今までの反応からすれば明白だが。だけど、聞いておけば少しだけ安心できるのだ。

界雷小羽 > 近くの図書委員の生徒を呼び止めて、本を戻しておくように頼みながら、
小羽は、世永のほうに手を伸ばす、どうやら、本を渡せ、という事らしい。

「馬鹿だから、なら、仕方ないですね。
 私もあなたにそこまで興味があるわけではないですし、深くは聞きませんよ。
 
 本当にそれだけなのかもしれませんしね。」

小羽は、ふっ笑う、特に意味はなく。
笑いたかったからふっと笑った。

「読書は、そうですね、嫌いではないですよ。
 
 それに、図書館というのは涼しいですから、夏にゆっくり過ごすには居心地がよくて。
 
 外に出ずに過ごすにしても、寮は夏休みは連日連夜、部屋で大騒ぎしている人達ですとか、
 ロビーで大騒ぎしている人達ですとか、そういう人達の場所ですからね。

 たまには海にでも行ってみようかな、とは、思いますが。」

初対面すか?と聞かれて、小羽は露骨に「は?」という顔をした。
他に形容のしようもない、「は?」という顔だ。

「それは、ナンパか何かですか?
 もう夜も遅いですし、この時間にナンパするというのは、
 読んで字のごとく、いくらなんでも軟派すぎると思うんですが。

 ちなみにあなたとは初対面です。一度も顔を合わせたことはありません。
 でもそうですね、寝ているような顔のあなたの事は、先ほど、
 あなたの向かいで本を読んでいた時に見ましたよ。」

世永明晴 > 「あ、や。……ありがとうございます」

少し慌て乍ら、自らの近くにある本を渡した。
……優しい、のだろうか。小首を傾げた。

「はっきりいいまスね」
興味がないとこうもはっきりと言われると、逆に面白いものなのだと生きてきた中で初めての体験だ。
「別に……深いことがあるわけでもないんでスけど」
ただ、自分の事を、自分から言うというのは少しだけ抵抗があるのだ。まぁ、誰でもそうだろう、きっと。

「静かなところの方が、まぁ。過ごしやすいっスよね」
共感。自分も誰かと合わせて騒げる性質ではない。元より、そして何より今となっては。頬をかく。

「……いくんス?」
海。今の流れだと、その。
大変、イメージが合わないな、と。顔に出てなければいいが。

「……そんないやそうな顔しないでください」
「は?」の顔に返すのは困った顔だ。ちがうちがう。首を振る。
というか、そう見えるのか。……。まぁ、見えるか、と小声で呟く。

「ナンパなんてできないスよ」

……調べているようだ、寝ている時の自分は。それだけでも。
少しだけ、安堵の吐息を吐いた後。
改めて、ありがとうございます、と少女に向けて頭を下げた。

界雷小羽 > 「別に、お礼なんて言わなくていいですよ。ついでですから。」

受け取った本を渡し終えてお礼を言われると、
小羽はふんと鼻を鳴らした、先に小羽が言っていた言葉と矛盾しているが、
小羽は、そんな事は気にしていない。

「はっきり、とは以前に、普通、
 見ず知らずの他人の事を態々知りたいとは思わないと思いますよ。
 少なからず好意があるなら別ですけど、私、馬鹿はあまり好きでは無いですから。

 顔は、言う程悪くないと思いますけどね。中の中くらいでしょうか。

 ………深い事じゃないなら猶更聞きませんよ、そういうのは勝手に自分で解決してください。
 本当に切羽詰ってる時なら、そんな勿体つけるような余裕もないでしょうから。

 それほど切羽詰ってはいないんでしょう。あなた的に。今のところは、少なくとも。」

行くんス?という言葉には、勿論、と返す。
「普通の女子高生ですから、海ぐらい行きますよ」と、続く。

「先に言った通り、私は馬鹿はあまり好きでは無いですから、
 あまり好きでない相手にナンパされれば、嫌そうな顔もします。

 とはいえ、そうですね、きちんとお礼を言えて、謝れますから、
 どうしてもと言うなら考えてあげなくもない範囲ですかね。

 まして、出来ないというのなら、無理にとまでは言いません。」

お礼を言われて、きょとん、とする、
数度目をぱちぱちとさせて、結局よく分からず、首を傾げた。

「………それは、何に対するお礼なんですか?

 そういえば、さっき、眠い顔をしながらノートに何かかいていましたよ。
 それも忘れてしまっているなら、課題として提出する前に確認して、
 丁寧に消しゴムで消しておいたほうがいいんじゃないですか?」

小羽は、とんとん、と荷物をまとめて、鞄にいれる。
機能性重視の大きいバッグだ、すいすいとモノが入っていく。

世永明晴 > 「さっき言ってたのはなんだったんスか……」

呆れるように笑った。照れ隠しとも思えないので、まぁ。そういうものなのだろう。

「そういうことじゃないスよ。……どっちかっていうと、その内容の意味を、見ず知らずの他人にはっきり言う、事の方、でスかね」
そういうのは、割合。内心留めとく事の方が多いだろう、と。

あー……。視線が泳ぐ。
顔を中の中と表現され、どういう気持ちになればいいのか分からなかった。まぁ、いい方と解釈しておいた方が、精神衛生上悪くないのだろう。

「……そうっスねー」
鋭いことを言う少女だ。多分、そうなのだろう。切羽詰まっていない。
ただ、そこに諦めが含まれているならば……まぁ、今考えてもしょうがない。
「切羽詰まった時は……まぁ」
もし近くにいたのなら縋りつくことでもしたのかもしれない。

「普通の」
相手の言葉を繰り返すように言ってしまった。
「……そう、スよねー。まぁ。……海、いきたいスねー」
まぁ、いいか。いきたい気持ちもある。自分も。それでいいか。

「何故俺はナンパの成功率について講釈されてるんスかね……」
違うと言ってるのに。眠そうに目をこすった。
むしろ応援か? 少し困った様に、あー、と唸り。

「……じゃあ、お名前だけでも教えてくださいっス」
合ってるのか間違ってるのかわからないが、まぁ。このぐらいで及第点という事で。

「……何にでスかね。教えてもらったお礼、かな」
今欲しかった情報を。多分、それが一番大きい。
そして、もう一つ。
え。と音を零す。目線を落とした先には「夢は見ている」
の文字。

「……わけわかんねー」
何を伝えたいか、まるで分らない。寝ている時。
彼女が言う通り、忘れてしまったのだ。ただ……消しゴムで消す気にはなれなかった。

「……ダイイングメッセージならぬ、スリーピングメッセージでスかね」
意味を考える必要がある。だから、その時までは。
バッグに荷物を詰める音で彼女を流し見ながら、少しだけ思考に沈みかけ。ノートを閉じた。

界雷小羽 > 「なんだか回りくどい話し方をする人ですね、
 はっきり、言いたい事を言えばいいのに。めんどくさい。

 切羽詰るくらいの状況になってから泣きついてくるのはやめて下さいよ。
 
 そういう時って、大体手遅れなんですから。
 その時は私じゃなくて、他の人にしてください、面倒事が大好きな図書委員にでも。」

「ええ、普通の」と、世永に繰り返された言葉を、小羽はさらにもう一度繰り返す。

「一緒に行きますか?普通の女子高生と男子高生らしく。………って思いましたけど、
 あなたと海に行って、それで楽しめる未来は想像に難いので、遠慮しておきますね。」

泳ぐ視線を気にも留めず、荷物をまとめた小羽は、そのかばんを背負う。
「帰ります」と一言だけ言って、足を一歩。呼び止められて、振り向いて。

「界雷です。下の名前は別に恋人ではないですから不要ですよね。」

問われれば、ふーんと、少しだけ目を細めて。
 
 「ただ寝ぼけて書いただけじゃないんですか?
 謎解きは一人でやってください、それか―――。そう。」

「図書委員にでも手伝って貰ってください。」と、一言告げると、
小羽はそのままスタスタコラコラさっさーと図書館を出て行く。
「そういえば自分は名乗ったけど、あの人はなんていう名前なんだろう」

………と、名前を聞き忘れた事に気が付くのは、
図書館を出て数十メートル、少し喉が渇いたな、と、自動販売機の目の前に立った時だった。

ご案内:「図書館」から界雷小羽さんが去りました。
世永明晴 > 「……うまく喋るのは得意じゃないっス」

はっきり言うのも。

「切羽詰まる前なら泣きついていいみたいな言い方でスね」
物事をはっきり言って、棘があり、なんだかんだで親切。
なんだろうな、この少女は。あまり……そう。普通の、とは言いづらい気がするが。それは言うべきではないだろう。

「だから。誘った側から断れるってなんなんスか。ナンパ引っ張りすぎじゃないスか。いや……」
かといって誘う勇気とやらと、元から誘う気もないが、なんだろうこの寂寞感。眠そうに目を瞬かせる。

「……いいや。謎解きなんかでこれ以上図書委員の仕事を増やすわけにも、っスね。帰りが遅くなると可愛そうなんで」
なにしろ、折角の夏休みなんで。

先程の彼女をまねるかるの様にそう言うと。立ち去っていく彼女の背中に。
「……あぁ。じゃあ。界雷」

見送る。見送った後も、少し自分が残した言葉の意味を考え。
閉館時間の、図書委員の無言の圧力に気付いて慌ただしくそこを出ていく頃には。自分が名乗り忘れたことをすっかり忘れていた。

ご案内:「図書館」から世永明晴さんが去りました。