2016/08/23 のログ
ご案内:「図書館」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 悪天候で、海水浴場を開放しないことになって急に時間が空いたその日。
暇を持て余した蘭は昼間のうちに自宅で夏休みの課題を片付けてしまった。
そうして日が傾く頃合いには天候が落ち着いたので、図書館へ借りた資料の返却と、ついでに自習のために図書館へ足を運んだのだった。
防御術式を使って道路からの水ハネから靴と服を守りながら。
「…よし、と」
図書館に入ると、蘭は防御術式を解除して返却カウンターへ向かう。
■美澄 蘭 > 「ありがとうございました」
カウンターの中の図書委員に声をかけて、借りていた魔術言語とルーン文字の資料を返す。
先日勉強した際、風紀委員の同級生に即席で提案したルーンの治癒術式だが…勉強を続けてみると、早速改良の余地がありそうな気がしてきたのだ。
(…今度会ったら、どうだったか聞いてみよう)
そんなことも考えるが…魔術に関しては、履修している科目や、履修したい科目の方が優先度が高い。
そして、今蘭が履修している魔術関連の科目は、積み重ねの勉強が重要なものが多いのだ。
そんなわけで、今日は手持ちの教材で勉強すべく自習スペースに向かう。
■美澄 蘭 > 自習スペースの中の、比較的通路に近い席を適当に選んで腰掛け、ブリーフケースの中の勉強道具を広げる。
今日は、統計学の勉強をするつもりのようだ。
問題集を開いて、考え込み始める。
「えーっと…」
数理統計の処理など、情報機器が担うようになって久しい。
それでも、こうして統計学の学習で問題演習などが行われるのは、
『統計とは何をすることなのか』
『どのように計算をしているのか』
『それがどんな意味を持つのか』
を、深く理解することが求められるためだろう。自分で手を動かして体感することは、人が物事を深く理解するためには重要なのだ。
ご案内:「図書館」に滝川 浩一さんが現れました。
■滝川 浩一 > 「っっとと…」
両手に分厚い本を何冊も重ねて、書棚から自習スペースへと向かう。
分厚い本の背にはそれぞれ「生物学」「物理学」「魔術学」「異能学」等と書かれており、様々な教科の本が重ねられているということが伺えるだろう。
自習スペースへやってくると開いている場所がないかキョロキョロと周りを見る。
(さてと…いっぺんに持ち込み過ぎたな…もし、落としたら…あっ)
少し体勢を崩し、体が傾くと一番上にある本が滑って地面へと落ちる。
本はパラッという音を出しページが開かれた状態でその場に静止する。
しまったという表情をすれば、その本をどうにか拾おうと思考を巡らせる。
とりあえずこの重なった本を地面に置こうとゆっくりとしゃがみ出し。
■美澄 蘭 > 問題を解き進めていると…背中の向こうから、本が落ちるような音がした。
何となく横目で視線を向けると…何冊もの分厚い本を重ねて持った青年と、その傍らに落ちた一冊の本。
青年がゆっくりしゃがもうとしているから、恐らく拾おうとしているのだろう。
…そして、その手元の状態で拾おうとしているということは、恐らく本の落とし主も彼だ。
(………危なっかしいわね)
「………大丈夫?代わりに、拾いましょうか?」
席を立ち、青年の方に近づいていく。
青年が拾うのを任せてくれるならそれはそれでよし、頑張ろうとするなら、彼が今抱えている本を支えようかというつもりで。
■滝川 浩一 > 拾おうとしゃがみ込むが本を手にした状態ではしゃがみこむにも限度がある。
そのためしゃがみ切れずに手詰まりになったところに声を掛けられる。
「あっ……お、お願いします」
苦笑いしてオッドアイの少女に向かって本を拾うのをお願いする。
取れないと判断して一旦自習スペースへと向かおうと思ってたところに出現した少女を見て
内心『天使か』などと思う。
■美澄 蘭 > 相手のしゃがみ方が中途半端なところで止まる。…案の定、である。
「…勉強熱心なのは良いことだと思うけど、ちょっと欲張り過ぎかもね」
苦笑いを浮かべる青年に、少し困ったような、それでいてどこかいたずらっぽい笑みを返して、しゃがんで本を取る。なお、膝下丈なので、いわゆるラッキースケベ的なものはない。
立ち上がり、青年に本を差し出そうとしたところで…
青年の背が意外と高く、上に乗せ直すのは色々と危ないということに気付く。
「…上に乗せるの、危なっかしいわよね…近くのスペースまで、一緒に持っていく?」
そう、首を傾げて問うた。
■滝川 浩一 > 「あぁ、いや…すいません。なんでも他人よりスタートが遅れたもんで人三倍努力しないと追いつけない身でして…」
申し訳なさそうな顔で本を拾うためにしゃがんだ少女へと言い放つ。
本人も事情が事情なために一度に多くのことを学ばないといけない。
それが本を安全に運ぶのと因果関係はないが。
「す、すいません。お願いします」
少女が快く自習スペースへ同伴してくれると知り、苦笑いしてお願いする。
何もかも他人に頼りっぱなしで何だか自分が情けなくなってきた。
彼女に礼をせねばと考えながら適当な自習スペースへと歩き出す。
■美澄 蘭 > 「追いつく、か…
この学園で、他の人との成績差とか、気にし過ぎてもしょうがないと思うわよ。
結構授業の取り方もまちまちだし」
「私も結構好き勝手やってるし」と、真顔で返す。
この少女の今期のカリキュラムの内容を聞いたら、目の前の青年…蘭とそこまで歳は変わらないだろうか…はどんな反応をするだろうか。
…それでも、青年が恐縮した様子なのを見れば、柔らかく…それでも、どこかはにかみがちの笑みを作り
「大した距離じゃないし、一冊だけだもの。気にしないで」
と言って、青年についていくだろう。
■滝川 浩一 > 「えっ、そ、そうなんですか?」
少女の言葉を聞き、何故だか落ち込んだように俯く。
何故だか最近、自分の決意が空ぶっている気がする。
常世学園と聞き少し身構え過ぎなのかもしれない。
目指し、入会のために努力している風紀委員会も思っているほど難しくないと言われ、勝手に自分が過大評価して勝手に自分が空回りしている。
ふと顔を上げ、笑顔で快く本を運んでくれると知れば『やはり天使か』などと思う。
「すいません。助かります」
微笑んで少女の力を借りると自習スペースの適当な机の上に重ねた本を崩れないように置く。
ずっと気を張ってたため、両手が解放されれば少しリラックスして息を吐く。
■美澄 蘭 > 「だって、本土の学校と違って皆で同じ授業受けるわけじゃないし。
所定の単位を取って、ここで学んだ成果を認められれば卒業………でしょ?」
青年がどこか落ち込んだ様子を見せるので、「あれ?何か自分変な事言った?」というニュアンスを含んだ戸惑いの表情を見せる。
露骨に戸惑っている顔ではないが…表情が固まっている、というニュアンスの方が近そうだ。
「いいえ…このくらいなら、全然大したことないから」
それでも、相手が微笑んで礼を言ってくれれば、何とか笑みを作って答える。
青年が本を置いた机、重ねた本の隣に拾った本を置くと…
「…それにしても、随分広範囲の本を、たくさん持ってきたのね。
全部まともに取り組んだら、凄い時間かかりそう…」
そう、真顔でぽつりと感慨を零した。
■滝川 浩一 > 「いや、まぁ…そうですけども…」
学校の卒業条件について正確な知識を持つ彼女にそのように返す。
明らかに表情が固まってる少女を見て、悪いことをしてしまったかと考える。
成績差を気にしたわけでも卒業について気にしたわけでもない。
ただ己の未熟が許せないから勉強しているだけだ。それが結果的に成績の良し悪しにかかわっているだけ。
そういう考えを持っている彼の行動が成績差を気にしているように見えたのだろうか。
それをわざわざ指摘するのも野暮だろう。そう考え少女の言葉に反応する。
「そうですね。でも全部齧る程度に学ぶつもりなんで、別段時間は掛けませんよ。
まぁ、この量を齧るのもそれはそれで時間はかかるって言われたらおしまいですけど」
真顔で言葉を発した少女とは正反対にこちらは笑顔で返す。
その笑顔もどこか引きつっており、時間が掛かるという事実に驚いている様子が伺える。
■美澄 蘭 > 「…まあ、この学園を卒業した後本土の大学に行きたいと考えてる、とかなら急ぐ気持ちは分からなくもないけどね。
私も、4年間にめいっぱい詰め込むつもりでいたし」
「いた」と過去形で語るということは…この少女も焦って勉強しようとしていたところがかつてあり、そして今はそれを多少修正しているということなのだろうか。
…そして、青年の言葉を聞いて、考えるように口元に指を当てると
「………うーん…「齧る」の程度にもよるし、あんまり口出すのも大きなお世話だとは思うんだけど…
「齧る」だけなら、あまり厚くない入門書とか、その辺中心にするのも手じゃないかしら。
…時間をかけないつもりなら、尚更」
「詳しく書かれてる本で勉強しようとしたら、いくらでも時間かけれちゃうし」と、割と真顔で、青年の学習展望を心配しているかのような口ぶりで答える。
■滝川 浩一 > 「…『いた』ということは今現在は違うということですか?」
少女の言葉が気になり、そのように問いかける。
この少女も今の自分のようなことがあったのだろうか。
進路が変わったのか。或いは効率のよい勉強方法が見つかったのか。どちらにしてもこの少女について少し興味が湧いてきた。
考えるようにして口元に指を当てた少女の後の発言を聞き
「うぐっ…何という正論…全くもってその通りでございます」
真顔で答える少女に弱った顔をしてそのように返す。
確かに、齧る程度の勉強であるならば無理してこのような分厚い本を読む必要はない。
入門書の類を持ってくればよかったと分厚い本を見てそう考える。
これをまた一から返しにいくのか。本をペタペタと触り、そう考えると気が滅入る。
■美澄 蘭 > 「そう…興味ある講義の中に、前提知識で結構高度なことが要求されるのがあってね。
そういう講義を無理矢理取ってたら結構きつかったのと…」
困ったように笑ってそう言った後…その笑みから、困ったような色が消える。
「…ほら、興味あることを勉強して、それが分かると…その「先」、気になるでしょう?
段階を踏んで勉強していくことを考えると…学園に入って一からスタートで、更にやりたいことをある程度形にして…となると、「4年で卒業」にこだわるの、何か馬鹿らしくなっちゃって。
それが、この学園の外ではなかなか学べないことだと、余計にね。
…まあ、他にも色々あって、焦るのやめることにしたの。
元々、自分がどれだけ理解出来てるかは気にしてても、他の人との進みの差には興味なかったんだけどね」
「この学園の外ではなかなか学べないこと」というと、魔術か異能だろうか。
とにかく、少女がこの学園での勉学を満喫していることは、表情から見て間違いないだろう。
「分厚い本から、必要な情報だけ抜き出して勉強出来れば良いんだろうけど…
そもそも、そこまで出来る人ってもうある程度「齧り」終わってると思うのよね」
真顔でトドメを刺しにいく少女。恐らく素である。
…が、流石に本をぺたぺた触りながら滅入っているような表情をしている青年を見ると、流石に色々察したらしい。気遣わしげな表情で
「………えぇっと…もしよければ、本を返したりとかの手伝い、する?」
と、青年の顔を覗き込むように伺いながら問う。
■滝川 浩一 > 「学園の外ではなかなか学べないこと…」
少女の言葉を聞き、そのように復唱する。
この少女が勉強についてどれ程の力を注いで来て、それでいてどのような結論を出したのかわかったような気がする。
努力をするのもいいが少し肩に力を入れ過ぎなのかもしれない。
そう焦ることはない。勉学を楽しんでいる様子の少女のセリフを聞き、何故だか肩の荷が下りた気がする。
「ぐはっ!ご、ごもっともでございます…」
感動のセリフの後にトドメの一撃と言わんばかりの発言を食らい、落ち込みつつ少女の意見に同意する。
表情を見る限り素なのだろう。そのことを察し素直に正論として受け止めておく。
「お、お願いします。えぇっと…」
少女の名前を呼び、手伝いを頼もうとするが改めて考えると自己紹介をしてないことを思い出し
自然と口から少女の名前を聞きたそうな声が漏れてしまう。
■美澄 蘭 > 「ええ…異能だけ見ても、魔術だけ見ても…これだけ科目があると、全部はとても無理でしょ?」
そう言って、くすりと笑む少女。
その、どこかいたずらっぽさを含んだ笑みは、「勉強」それ自体は楽しめる彼女の人となりをよく示しているようだった。
「………あ、えーと…その、ごめんなさい………」
青年を落ち込ませてしまった後で、自分の素の指摘が「トドメ」だったことに気付いたらしく、気まずそうに謝罪の言葉を述べる少女。
「ううん…やる気に水差しちゃったのは私だし、手伝いくらいはさせて。
………私、美澄 蘭。」
青年が戸惑いの声を漏らせば、恐らく名前を呼ぼうとして断念したのだろうということは察しがついた。蘭も先日、図書館でやったことだったからだ。
手伝いを請け負った後、そう名前を告げる。
■滝川 浩一 > 「…確かに」
くすりと笑う少女に頷いてそう返答する。
異能、魔術。そう一口に言ってもいくつもの分野が存在する。
たしかに、それ全てを4年間で治めるなんて土台無理な話だ。
「い、いえいえいえいえ!とんでもありません!」
気を遣って謝罪する少女にそのように手と首を横に振りフォローする。彼女は正論を言っただけで自分の知識がなかっただけ。
実際彼女の非は一つも無かった。
「どうも美澄さん。自分は滝川 浩一。2年生です。転校生でこの島のことは全然知りませんが…宜しくお願いします」
自分の言動を察し、自己紹介する少女にホッと胸を撫でおろすとこちらも自己紹介をする。
手伝いを請け負ってもらい、重ねてある本を再度両手で持つ。
「俺が本を持つんで、美澄さんは本棚に戻していただければ幸いです。ではよろしくお願いします!」
少女にそのように言った後、いざ分厚い本群を戻そうと書棚へ向かう。
全ての本を収めれば、薄い入門書の本を何冊か持って自習スペースへ戻ってくるだろう――――
■美澄 蘭 > 「ね?」
青年が納得した様子なのをとって、少しだけ人懐っこさを出して笑みかける。
「…ちょっと、私人感覚ずれてるっていうか…鈍いところがあって…
たまにやっちゃうのよ。直したいとは思ってるんだけど」
大げさな仕草でフォローする青年に対して、ゆるく首を横に振り、目を伏せがちにしてそう答える。
「前科」持ち、らしい。…しかも、それなりの数。
「滝川さんね…転校生で2年生、ってことは編入生かしら?
色んなものがあって、色んな人がいるから大変かもしれないけど…頑張ってね。私に手伝える範囲で、手伝うから」
そう言って、少女も柔らかく笑み返した。
「あ、ありがとう。
…えーっと、この本は…」
浩一について、蘭も書架の方へ向かう。
本を収める手伝いをした後は、彼と別れて自分の勉強に戻っていったことだろう。
ご案内:「図書館」から美澄 蘭さんが去りました。
ご案内:「図書館」から滝川 浩一さんが去りました。