2016/09/25 のログ
ご案内:「図書館」に烏丸秀さんが現れました。
■烏丸秀 > 「んー」
久々に図書館へと来た男。
その一角、なにやら小説や大衆文学などといったものが集まった場所へ腰を下ろし。じぃと本棚を見つめる。
最新に近い小説などは人気が高いらしく、何冊も借りられているようだ。
烏丸自身はあまり本は読まないのだが。
「そろそろまた入れようかなぁ……」
本棚を眺めながらぽつりと呟き
ご案内:「図書館」に化野千尋さんが現れました。
■化野千尋 > 「なにか、お探しですかあ。」
本棚を前にした男の背に、ゆるりとした締まりのない声が掛かった。
様々な服装をした人のいるこの学園でも、和服を見ることは多いことではなかった。
ゆえに、化野千尋はにこやかに彼に話掛けるに至ったのだ。
当然、迷惑にならないよう、囁くくらいの声量で。
「あだしのでよければ、本探しくらいならお手伝いしますよう」
中々に見当外れではあったが。
■烏丸秀 > 「ん?」
ふと振り返れば、なにやら大人しそうな子。
さて、図書委員だろうか?
いずれにしても。
「うん。探しているというよりかね、品揃えを見に来たんだ」
本棚を指差す。
最新の小説などはどんどん補充しないと、あっという間に流行りに追いつけなくなってしまう。
「そろそろ補充した方がいいかなぁって」
■化野千尋 > 「補充……?」
はて、と首を傾げ。
さては彼は図書委員か何かだろうか、と双方勘違いをしたままに。
「そうですねえ。あだしのは、新しいものも面白いなあとは思うのですけど。
図書委員さんからおすすめを聞いて増やす、とかもいいかもしれませんねえ。
新しものばかりもいいですが、昔の本も面白いものはたくさんですよ。」
あだしのは新しさんについていけておりませんし、と続ける。
本棚に並んでいるタイトルは、耳にしたことがあるものも多かった。
同じ授業に参加している女の子たちが口にしていたのを覚えている。
「なにかおすすめとかって、ありますかあ。」
■烏丸秀 > 「お勧めねぇ、ボクはあんまり本を読まないからなぁ」
図書館に来ておいてこの言い草である。
ふと女の子の方を見る。
垢抜けていないが、なかなかに可愛い。
純朴そうで、世間擦れていない。
なるほど
「キミは普段どんな本を……あ、ちょっと聞こえにくいから、よければどうぞ」
ちゃっかり自分の隣の席を指し示しながら
■化野千尋 > 「お気遣いありがとうございます、ええと……。
ああと。お名前を伺っても構いませんでしょーか。
あだしのです。化野、千尋。千を尋ねる、で千尋です」
彼の横の席にとすんと腰を下ろして、興味津々に頬杖をつく。
本を読まない、と聞けば驚いたように目を丸くした。
「本を読まないのに図書室に……ああ。
空気感がすき、とか。そういうことなのでしょうか。
あだしのはですね、基本的にはなんでも読むんです。
とびきり好きなものはないですが、本を読む、ってことが好きで。
内容は別に気にしないんです。ページを捲るのが好きなんですよ。
強いて言えば、ううん。
この学園ができる前に書かれた本は、よく読みますね」
■烏丸秀 > 「なるほどねぇ、何でも。あ、ボクは烏丸秀。しがない学生だよ」
ふむふむと頷きながら。
「ん、ボクはね、島の外から色々な物を輸入なんかをしてるんだけどね。そういう時に、一緒に本も輸入するんだ。
それで、大部分は本屋に卸すんだけど、一冊ずつここに寄付したりもしててねぇ」
などと自分の素性を明かし。
「この学園が出来る前の、かぁ。
ボクは売れ筋の本を輸入するから、あんまり学園成立以前の本は取り寄せないんだよねぇ。最近だと……あ、この恋愛小説なんかは読んだかな。最初の3ページくらい」
『Your Name』と書かれた背表紙を指差しながら
■化野千尋 > 「それ、全然しがなくなくないでしょーか。」
思わずツッコミが入った。
コホコホと空咳を数回重ね、また興味津々に彼を見やる。
「輸入ですかあ。おすごいんですねえ。
あだしのにはわからない世界です。それと、ありがとうございます。
からすまさんのおかげで、あだしのは本を読めていますから。」
にぱ、と笑みを浮かべ。
彼の指差す先に視線を向ける。これも話題になっていたはずだ。
食事中に何度か友人が会話をしていたのも記憶に新しい。
「3ページじゃなんにもわからなくないでしょーか。
せめて、そうですねえ。…… …………? なんといいますか、難しいですねえ。
あだしのはまだ読んでませんが、本は最初だけじゃなにもわからないと思いますよう。
そう、どうせなら、最後3ページを読む、とかにしてみたらどうでしょう。
答え合わせが嫌いじゃなければ、外れの本は引かないと思いますから。
あだしのはよくやるんです。最後3ページを読む、とか。」
とんとん、と数度机を指で叩いて。
「あだしのは、本をツールのように思っていますから。
あまり物語が読みたくて読んでいるわけじゃないので、邪道といえば邪道ですが。
結構、外しはしないものですよ?」
■烏丸秀 > 「いや、すごくいい話なんだけどね。
なんかこう、小説で読むなら本物の恋の方がいいなぁって、思っちゃうんだよねぇ」
肩を竦めながら言う。恋の相手には不足しない男である故に。
「んー、どうだろうなぁ。
ボクは物語りは好きだけど、どうも小説はね。
なんだろう、現実の方が面白いよね、って」
そして彼女の方を見て言う。
「千尋ちゃんはどう?
何か、面白い事、この島であった?」
■化野千尋 > 「そうなるとそうですねえ。
恋に困ってないなら、確かに必要はないように思います。
あだしのも、そういう台詞を言ってみたいですねえ。」
ふふ、と口元に手を当てて恥ずかしそうに笑みを落とし。
現実のほうが面白いと言われれば、「そうでしょうねえ」、とまた笑い。
彼と目を合わせるようにして、ぽつぽつと言葉を選んでいく。
「面白いこと、ですか。
面白いことと言われても、すごうく範囲は広いですよねえ。
……でも、あだしのはこれを自信満々に答えられますよ。
――全部が。
この島の全部が、あだしのには、とっても面白いですよ。
島に来て二ヶ月ほどでしょーか。本当に、すっごくおもしろいんです」
自信満々に、前髪を掻き分け。
爛々と輝く赤い瞳をまっすぐに彼に向けて、楽しげに笑った。
■烏丸秀 > 「恋するだけなら簡単だと思うなぁ。
キミ、カワイイし。ちょっとお洒落すれば、男が放っておかないでしょ」
ふふっと微笑みながら語りかける。
素材はとてもいい。あとは磨き方次第。
「もし、そういうのが分からないんだったら、ボクが手伝うけど?
うん、面白そうだなぁ。キミにぴったりの服とか化粧品を輸入物から探して……」
うんうんと嬉しそうに視線を見つめ返す。
――どう見ても、純朴な少女を騙そうとするワルイオトコである。
■化野千尋 > 「あだしのにはまだ早いように思いますけど、ね。
あだしのは、誰かを好きになるよりも恋に恋しちゃいそうですから。
もっといい女になってからかなって、思います」
大真面目に微笑みながら言葉を返す。
物語でしか恋を知らないゆえの言葉であった。
実に、世間慣れしていなさが如実に表れている。
「あ、これ。もしかしてナンパってやつですかあ。
お上手ですねえ。さすが、女の子には困ってないひと、です。
お手伝いをしてもらえるなら、喜んでお願いしますよう。」
暫く考え込むような間を置いて。
「……本土に戻って、人の中に馴染めるよになるなら。
みんなみたいになれるなら、喜んでお願いしたいところですねえ」
一瞬声のトーンを落として、またあっけらかんと笑って。
ありがとうございます、と微笑んだ。
「ナンパだったら、端末の番号とかご入用ですかあ。」
■烏丸秀 > 「あ、ナンパ目的だと思われてる。本気なのになぁ。
まぁ、よく間違われるけど」
けらけらと笑う。
ちなみに本気でナンパである。
「ん、それじゃあ今度ショッピングに行こう。
うん、楽しみ」
にこにこと笑うとスマホを取り出す。
もちろん、番号を聞く気で
■化野千尋 > 「だいじょーぶですよ。
はい、お友達ができることはとっても嬉しいですから。
実はあだしの、すっごくうれしいですよ。」
下げたポシェットから携帯端末とメモを取り出す。
普段、こういうことに慣れていないのがよくわかるだろう仕草。
メモにつらつらと自分のアドレスと携帯番号を書き連ねる。
小さなうさぎの絵柄のメモを、すいっと彼の前に置く。
「すみません。あだしの、あんまり経験なくて。
これで登録してもらっても、よろしーでしょうか。」
■烏丸秀 > 「ん、おっけー。
あ、ボクのも登録しておく?」
手馴れた様子で登録しながら尋ねる。
機械操作は得意ではないが、これくらいならお手のものだ。
「よければ操作するけど」
■化野千尋 > 「あ、それじゃあおねがいします。
みんなすごいですよねえ。あだしのは写真くらいしか使いこなせません」
す、とタブレットを差し出して。
「よかったら、昔の本も読んでみてください。
えっと、現実に体験できないことも載っていたりしますから、ねっ。」
■烏丸秀 > 「ん、キミが言うなら、少し読んでみようかな」
タップで軽快に登録していく。
これで良し。
「それじゃ、ボクはそろそろ。
ショッピングの約束、忘れちゃやだよ」
いつの間にか、約束にしてしまい
■化野千尋 > 「はい、お待ちしておりますねえ。
あだしのは、もう少しだけ本を漁ってから帰ります。
ええと、からすまさん。ありがとうございましたっ。」
口元を緩めて手を振る。
彼が背を向けたあと、すぐに「友達だあ……」と嬉しそうに呟いて。
夕日が傾くまで、彼女は図書室に篭りきることだろう。
ご案内:「図書館」から化野千尋さんが去りました。
ご案内:「図書館」から烏丸秀さんが去りました。