2016/10/02 のログ
ご案内:「休憩室」にルチアさんが現れました。
ルチア > 素知らぬ顔で図書館に入り込み、その後この世界に関する書物を数冊読み――
疲れたので、休憩室へと。
ブラックの缶コーヒーを買ってから窓から投げ込まれる日差しを避けて、
壁際のソファへと腰を下ろし。
持て余す様に手で缶コーヒーを弄びながら、細く長く息を吐いた。

「まあ……想像はしていたけどね」

本格的に、認めなければならなかった。
“この世界は自分がいた世界ではない”
自分がいた世界と言語や地形は殆ど一緒だが、歴史に関する事柄は細部が違う。
大まかには似たような歴史を辿っているが、人名だったり時期だったり、と違いは上げて行けばキリがないほど。

そして、一番の違いは矢張り――大変容と呼ばれる事柄だ。
自分の世界には、こんな出来事はない。
魔術も異能もあるが、それらは秘匿されたままだ。
そこを境に、歴史は大きく自分の知ったそれと大きく違っていっている。

ルチア > 似ているが、違う。
認めてしまえば幾らかは楽になった。
似てるだけマシだろう。
少なくとも言葉は理解できているし、おおよその生活様式だって同じだ。
(但し、文明の度合いはこちらの方が幾らか上であるように思えた。
流入した文化もしくは文明のためだろう)
門、と呼ばれるものによって飛ばされた場所もここなのは幸いした。
この島に関する詳細な本も読んだが(異邦人向けのガイドブック、のようなものではあったが)、他の地域よりずっと異邦人が生活しやすそうである。

「なぁに、悪いことばかりではないさ」

自分に言い聞かせるように呟くと、少しばかりぬるくなった缶コーヒーを開封した。
一口飲んで広がる苦味と酸味は自分の知るそれだ。
異世界もしくは平行世界だとは思えないそれ。

ルチア > しかしながら、考えるのは今後のことだ。
便利不便の面から色々助けてもらった男に言われた通り、学園に入学するのが良いのだろう。
学生証の類がこの島では重要な役割を示すのは明らかに思えた。
何かしらをするのに身分証が大切になってくるのは、どこの世界でも同じことだ。

しかし――

「あいつらはどうしようか……」

己の武器の兄弟銃。
外典。
それらの扱いはどうなるのだろうか。
知っている日本では当然銃は持ち歩けるものではなかったし、それはここでも同じでは無いのだろうか。
今は置いてきているが、あれらを手放すわけには行かないのだ。
“日本”にいた時同様隠し通す、でも良さそうな気はするが。

小さく唸るような声を上げて、ちびりびちりとコーヒーを飲む。

ルチア > 「取り敢えずは今週中に手続き取らないと、か」

自分の身分を宙に浮かしておいても仕方がない。
出来ることであれば早めに動いてしまう方がどう考えても得策に思えた。
まずは学園に入学するのが当面の目標と言うか指針なのは変わりない。
問題なく入れればいいが。

この島――学園に受け入れてもらえるかどうかで、自分のこの先は相当に変わってくることくらいは解っている。
精々猫でも被ろうか、と一人つぶやきながら

ルチア > コーヒーを飲み干すと立ち上がってゴミ箱へと。
外をふと見れば容赦なく太陽が光を地上へと降り注いでいる。
そんなところも、この世界と己のいた世界は一緒だ。

「――痛いな」

眩しすぎて。
目細めて呟くと、ゆっくりとした歩みでその休憩室を後にした。

ご案内:「休憩室」からルチアさんが去りました。