2016/10/08 のログ
ご案内:「図書館」にセシルさんが現れました。
セシル > 休日の午後。
非番だが、セシルの姿は図書館にあった。
先日、委員会の方では厳重注意で済まされたとはいえ、魔力を暴走させて相手に怪我をさせてしまったことがあって、セシルは自主的に元素魔術の訓練を制限していた。
その間…気になることがあって、身体能力鍛錬の後図書館を訪れていたのだ。

「…何か良いものはないか…」

セシルがうろついているのは、触法少年・少女の抱える問題やそのケアについて論じるルポルタージュや啓蒙書のある書架だ。

セシル > セシルは、元々武官志望だ。
こちらでは風紀を守るという役割を仰せつかったが、そちらでもやはり荒事屋の一人として評価されている。
この話し方も、声も、元の世界で、「武官として」舐められないために身につけたものだ。
しかし…単なる「武官」と、「風紀を守る荒事屋」では、事情が違う。

(…あまり分厚いものは読みたくはないが…)

そうして、その書架にある新書のタイトルを中心に…長く、そして荒事屋の割には細い指でなぞっていく。

セシル > 先日「不良学生」に絡まれた件は、故郷では育ちのいい部類に入るセシルにとって、様々な意味でショックだった。
表の訓練施設に顔を出せるだけの生徒が、ああも「風紀の守り手」に反感を持ち、しかも医療の介入すら拒むとは、一体どういうことなのか。
こういう場合、「非」体制側をあげつらってもしょうがない。「拾えないものは拾えない」で終わってしまっては、「救済」の意味などないのだ。
…というわけで、「彼女」に近い立場の少年少女について書かれた書籍などを探して、図書館に来ている次第である。
カウンセリングは専門ではないが、せめて反感を煽らない振る舞いくらいは、考えねばならないだろう…と。

「………。」

「家のない少女たち」と「家のない少年たち」という、二冊並んだルポルタージュの新書の背表紙で、指が止まる。
この二つは、著者も同一人物のようだった。漢字が、同じ形をしている。

セシル > 同じ著者が、なぜ「少年」と「少女」で問題を切り分けるのか。
そこには、とある「問題」が横たわっていて…それが、「少年」と「少女」を、「男」と「女」を分けているからだ。

「………。」

その事実に対して平静でいられるほど、流石のセシルも鈍感ではない。無言で…表情は大きく歪めないながらも、静かに眉間に皺を寄せた。

ご案内:「図書館」に化野千尋さんが現れました。
化野千尋 > 「その、だいじょーぶですかあ。」

眉を顰める彼に、心配げな声がかかった。
眉間に皺を寄せている風紀委員がいれば、過労かな?なんて思うのも当然である。
先日、落第街の方面でも似たような表情の風紀委員がいた。

「体調が悪いよでしたら、保健室にいかれるとか、一度座られるとか。」

緩やかに微笑む。
図書委員でもなんでもない、ただのお節介だった。