2017/01/27 のログ
ご案内:「図書館」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 放課後。
蘭は、図書館に入ってくると、まっすぐ返却カウンターに向かった。

「ありがとうございました」

そう言ってカウンターに差し出すのは、二冊の本。新書サイズと、ハードカバーのセット。
異能学関連の入門書と、異能学と文化人類学の学際的な啓蒙書だ。

美澄 蘭 > 「異能ってなんだ?」の方は、本当に「異能」の定義から始めて、学術的に信頼のおける「曖昧さ」を保ったまま、口語調に近い語り口で異能について説明したり、大まかながらも分類を試みたりという入門書で、適当に手に取った割には分かりやすかった。

しかし、それ以上に蘭の心を捉えたのは「異能と民族誕生神話」の方だった。

人々が、何を崇め、祈りを捧げてきたのか。
人々は、何に憧れをのせ、自分達の「世界観」を作り上げてきたのか。

それが、人々が「神」を殺していった近代化の後の世界で、どのような形で異能と結びついていったのか。

世界は、その捉え方は多様にあるということ、そして「異能」も決してそういったものと無関係ではないと綴る語り口は、論理的に構成されながらも熱があった。

本を返した後、蘭は書架の山の狭間へと足を踏み入れていく。
…異能の制御やら何やらで、何だかんだに研究所に足を運ぶことが多いと、まとまって勉強する時間が外ではとりにくいのだ。
気軽に開いて閉じれる本の方が、今はちょうど良かった。

ご案内:「図書館」に高菜結衣さんが現れました。
美澄 蘭 > (せっかくなら、分館人類学関連の新書とか読みたいけど…この館だとどの辺りかしら?)

華奢な少女が、書架の間の通路を歩く。

高菜結衣 > 量の本を乗せた『全自動書籍運搬機』……小型の自立移動本棚を伴いやってくる左目が翡翠色した少女……
全自動書籍運搬機はカウンターに進めるとアームを伸ばすと、自身が運搬している蔵書を返却カウンターに返却し始める。
それを尻目に、少女……結衣はまたまた、機械工学系の書架へと足を進めていく。


「んーむ…………」

唸り声を上げて少し思案の後、「世界の超科学発明」なる、怪しい書物が目に入るとそれを手に取ってぱらぱらとめくっていく。
そして、ふと顔をあげると同じく書架で本を探している人に目が止まり……。
そろりそろりと近づいていく……


全自動書籍運搬機は未だに借りている大量の本を返却している

美澄 蘭 > (この辺り、機械工学系なのね…そうすると、文化人類学とかの棚は遠いかも…)

漫然と棚の中身を吟味していて、ようやく気付いた少女。

(一番近い案内はどこかしら…?)

そう考えて、周囲を見回…そうとしたところで。
そろりそろりと近づいてくる、小柄な少女の姿に気付く。

「………えーっと…何か?」

ことりと首を傾げ、不思議そうな表情で問う。
同年代の学生とあまり同じ講義をとっていない蘭からすれば、馴染みのない顔だった。

高菜結衣 > 気づかれたところで、人懐っこい笑顔を浮かべて

「こんにちは~」

そんな挨拶をする頃には、返却カウンターにいた全自動書物運搬機が車輪を回転させてやってくるが
主を無視して、機械工学の棚から借りる予定の機械設計関連の本をアームを伸ばして次々と書架から本体の書棚に積み込み始めている。

「えっと……特に用事はないですよぅ。 ただ単にどんな本を借りるのかなって興味が湧いただけです」

にこにこと笑いながら相手の顔を見る

美澄 蘭 > 「………ええ、こんにちは」

人懐っこい笑みで、今更の挨拶。蘭は反対側に首を傾げて、躊躇いがちの挨拶を真顔で返した。
それでも、「特に用事はない」と素直に表明されれば、それはそれで納得はしたようで

「そう…じゃあ、私と同じね。
私も、特に借りなきゃいけない本があるわけじゃなくて…何となく、暇つぶしになりそうな本を探してただけだから」

「興味があるのは、ここにあるのとは別の分野だけど」と素直に語る割に表情が打ち解けないのは、相手の振る舞いというよりは、その背後で勝手に次々と本を書架から引き出して「自身に」積み込んでいる、小さな本棚のような「ナニカ」に警戒心と好奇心を刺激され続けているからだろう。何アレ面白怖い。

高菜結衣 > 表情がいまいち打ち解けないのを見ると不思議そうな顔になり
 
「なんか、不思議そうな顔をしてますけど……あー……あれですか?」

せっせと本を積み込んでいる全自動書籍運搬機を指差す。

「あれはですねぇ~……全自動書籍運搬機です。 機能は書籍の収納と、運搬と、貸出・返却手続きをすることで、最大積載量75キログラムで………電気駆動式です。私の傑作の一つですよぅ」

無二の友達を紹介するような口調で機能を解説したあと

「あと、読書中の椅子の機能も……あだっ!!」

……椅子といった瞬間全自動書籍運搬機のアームがこちらに伸びてきて、結衣の後頭部を思いっきり殴っていく。
殴ったあと、アームはスルスルともどっていき、書籍の積み込み作業にしれっと戻る。

殴られた結衣は頭を抑えてしゃがみこんでから、いたずらっぽい笑顔を浮かべ顔を上げる。

「椅子の機能はないみたいですよぅ」

美澄 蘭 > 「不思議そうな顔」と、その原因を指し示されると、ばつが悪そうにほんのり顔に赤みをさして軽く俯き、

「え、ええ…勝手に動いてるから、気になって…」

と弁明するが、蘭が微妙な顔をしていたのも気にせず、嬉々として「無二の友達」を紹介し始めると、それはそれで驚いたように目を丸くして、少女の顔と、彼女の「無二の友達」の間で視線を動かした。
そして、彼女の説明を受けて

「………75キロも一気に本を手に入れたり運んだりって、個人だとなかなかない気はするけど、その辺の判断までやってくれるなら凄く頼もしい読書の助手………あ」

「読書中の椅子の機能」という言葉に反応して相手の後頭部を殴った「読書の助手」のアーム。
呆気にとられた後、思わずくすりと笑むが…数秒の後、今の事態が示した事実に気付いたらしい。

「………自我もあるの?」

驚愕の表情で、ゆっくりとした瞬きを2、3しながら、目の前の少女に尋ねた。

高菜結衣 >  
「そりゃあ、全自動ですから勝手に動きますよぅ」

全自動をことさら強調させている

そして、自我はあるのか?と問われた頃には立ち上がると少し首を傾げる。

「うーん……最新鋭のAIとサブAIに私が錬成した『賢者の石』と呼ばれる金属をコアにつけて
 効率的に書籍の選択ができるように設計したんですけど、殴る機能はつけた覚えが無いんですよぅ」

十中八九この賢者の石とやらが原因だと思われるが、本人は予定外の機能と言い張っている。
その頃には全自動書籍運搬機が本を積み終えて、結衣の傍にやってきて控える。

「これも、つけた覚えがない機能で……本以外を載せようとすると起こるんです……っ」

そして、ポケットからポーチを取り出して本棚に載せようとする結衣の手をアームが掴み、ギリギリ締め上げる

「いだだだだ!!!ごめんなさい!!許して!!」

謝った結衣に許してやるかと言わんばかりにアームを離すと、再びカウンターに向かい、
貸出手続きを始めていく。
司書も毎度毎度のようで、戸惑うことなく手続きを始める。

「ものすごくおこだったみたいですよぅ」

手を擦りながら、目の前の少女に人懐っこい笑みを浮かべる。

美澄 蘭 > 「…まあ、そうなんでしょうけど…
行動原理のプログラムっていうか、組むの大変そうだな、って…って、AI!?賢者の石!?」

説明を聞いて、思わず大声を出してしまい、その後「しまった」と言う表情全開で自らの口を手で塞ぐ。
…他人のことが言えない自覚はあるが、この少女、自分がやっていることの凄まじさを理解していないのではないだろうか。と、信じ難いものを見る目で少女と向き合っている。

「………まあ、コアの材質的には、何が起こっても不思議じゃない感じはするわ………。

…あ、えーっと…別に、実演のために無理して痛い思いしなくていいからね?」

悩ましげにこめかみに指を当てながらも、本気で痛そうだった目の前の少女を、それなりに本気で心配しているようで、「無理して痛い思いしなくていい」と語る少女の声は、かなり切実に気遣わしげだった。

高菜結衣 >  
「………?」

大きい声を出して自らの口を手で塞いだ相手に首を傾げて不思議そうにじーっと見ている。

「どうしたんですか?なんか鳩が豆鉄砲食らった顔してますよぅ」


そのあと、心配している相手にえへへっと笑いながら

「あはは、普段は投げ返すんですけど、毎度毎度やったら激おこだったみたいですよぅ
 心配かけてごめんなさい」

素直に頭を下げて謝ると、はたっと思い出したように顔を上げる。

「自己紹介してなかったですね、私、たかなゆい お漬物の高菜に 結う衣と書いて結衣って言います
 お名前聞かせてください」

ニコニコと笑顔を向ける

美澄 蘭 > 「………いや、だって…
AI組むってだけでも凄いのに、賢者の石って…
私は錬金術は勉強してないけど、一つの到達点なんでしょう?」

「そりゃ驚くわよ」と、声量は抑えながらも微かに声を上ずらせた。
蘭は錬金術は勉強していないが、ファンタジーの「古典」などで名前は聞いた事がある。
不老長寿の秘訣、貴金属の王たる黄金の素材、などなど。逸話には事欠かない存在だ。

「…投げ返され続けた時点で、気にするべきだったわね…
私には謝らなくていいわ………もう、痛くない?」

素直に頭を下げられれば、それを固辞するかのように手をひらひらと振りながらも、相手への心配は忘れなかった。

「そうね…お互い名乗りもしないで話し込んじゃった。

たかな ゆいさん…結衣さんね。
私は、美澄 蘭(みすみ らん)。蘭は、花の蘭」

「2年生よ」と、やっと、緊張を緩めた笑みを零した。

高菜結衣 >  
「便宜上錬金術って言ってますけど、正確には物質錬成と言ったほうがいいかもです。
 私、魔術っぽいのはそれしかできないんですよぅ。普通の魔法の素質はずぇんずぇんなくって……
 材料の物質から違う物質を任意の材質・形状に変化させるって感じです。
 その気になればオリハルコンだって出来ちゃいますよぅ。
 あるいは寸法公差ナノメートル単位ののネジも……
 あとはプルトニウムとかも……あ。内緒ですよ?」

 核物質も作れると言ってから慌てて今度は結衣のほうが自分の口を塞ぐ。
 

「あはは、投げ返すのも顔面に投げ返してくるんですよぅ。
 ひどいですよね、お嫁の貰い手がなくなったらどうするんだって文句言いたいですよぅ」

彼女は、そう言いながら相棒の不満を漏らすも、このエキセントリックな性格の持ち主に嫁の貰い手が数多とは思いづらく…。

「蘭さんですねっ、私も2年生なんですよぅ。 発明部の部長(仮)もやってます」

発明部といえば、いろんな修理を請け負う便利屋というイメージが先行している模様で……
その部長は碌でもない発明ばかりするという噂が流れている

美澄 蘭 > 「ああ、なるほど…普通の「錬金術」のイメージとはちょっと違うのね。
…私も、元素魔術と治癒魔術の勉強がメインで、体系だって勉強してるのはあんまりないから…自分の素養がどこにあるかってのは…あ、ちょっと前に調べてもらったんだっけ。
元素魔術とか属性魔術がメインみたいで…今のところ、物質を扱う魔術の系統は触る予定がないのよね。勉強自体は、楽しそうなんだけど」

美澄 蘭という少女のカリキュラムを考えると、明らかに時間が足りない。
残念そうに、やや寂しげに笑うが…その笑顔も、結衣が列挙していく物質・物体の名前に凍り付く。

「…オリハルコンに…凄いねじに…ぷ、プルト…っ」

核物質の名前を上ずった声で復唱しかけて、こっちも自分の口を塞いだ。
向かい合う、背丈に随分差のある二人の少女がお互いに自分の口を塞いでいる。どんな絵だ。

「…きっちり顔面って、凄いコントロールね…
…お嫁の貰い手は…まあ、他のところで勝負する…とか?」

そもそも「嫁に」「もらわれる」という感覚がしっくりこない蘭。とりあえず、苦笑いで微妙なフォローをするに留めた。
蘭自身が、自分がそういった方向で優位な能力を持っているとは、露ほども思っていないのもあるだろう。

「あら…同級生だったのね。この学園じゃ、自由に講義が取れるからあんまり関係ない気はするけど。
…発明部の部長さん?凄いのね…私も来年度から音楽同好会に所属するつもりでいるけど、そういう役職?みたいなの務まる気しないもの」

発明部および、その部長の名声というか悪名というかは、この少女の耳にまでは届いていないらしい。無邪気に、敬意を持った目で結衣の方を見た。

高菜結衣 >  
「そうなんですよぅ……。私を教えてくれてる先生曰く、高菜さんは魔力でこねこねして何かを織り上げるのが得意ですねって」

 手をわきわきさせながらそういうが、心なしかその手はいやらしい感じがするのは多分気のせいだろう。

「だから、私、取ってる講義も物質操作系全振りで、一般の事象を扱う系の魔法は興味ないですし、使えないんですよぅ。
 私、あんま優秀じゃないから」

 いいえ、一方に全振りしすぎているだけです。

 他のところで勝負する……という言葉にずずーんと床に崩れ落ちてから何故か落ち込み始める。

「私おっぱいも小さいし、ちんちくりんだし、くまさんパンツだし……勝負できるところないですよぅ」

床にのの字を書き出し少ししょげ始めている。そのためその後の話は全く聞いていなかった。

その頃全自動書籍移動機は、司書さんに伸びる電源コードを突きつけて充電を要求している。
どこの強盗だ…

美澄 蘭 > 「そっか…先生も認めてくれてるなら、きっと凄いのね」

柔らかい笑みを零す。結衣のあっけらかんとした口調と相まって、手つきの嫌らしさは気にならないようだった。

「そう…興味ないなら、無理に勉強することはないかもね。
順調にいけば、学園の生活って4年で終わっちゃうし」

「私も結衣さんももうすぐ折り返しよね」と。結衣の全振り具合には、流石に初対面で気付くはずもなく、真顔で答えて終わってしまう。
…が、床に崩れ落ちて落ち込み始める結衣に、「えぇっ!?」と露骨に狼狽え。

「………えーっと…身体付きそのものを嘆いても仕方ないから、自分に似合う格好を探すとか、あとは………そう、内面とか………!」

図書館に響き渡らない程度に頑張って声を抑えながらフォローを試みるが、「流石にこの歳でくまさんパンツはどうなの」とか、「そういうことを初対面の人間に零すものじゃないと思うわ」とか、そういうツッコミを挟む隙間は与えられなかった。

………と、気がつくと、彼女の「無二の友達」がいない。
視線を巡らせると、私書に電源コードを突きつけて何かを要求しているようだった。

「………ねえ、結衣さん。あれ…大丈夫なの?」

結衣の「無二の友達」を指で指しながら、心配そうに声をかけた。

高菜結衣 > 「そうなんですよぅ、でも、私は卒業しても多分ここにいると思います。
 パパが(帰ってくると色々危ないから)二度と帰ってこないほうがいいって」

 言葉を文字通りで解釈すると捨てられたとしか思えないが、
 錬金術……物質錬成の危険を察知した政府高官の父によりここへ避難させたというのが実際のところだが、
 その辺を説明しないのが、結衣の大雑把な一面でもあり……

「予定だともうちょっとないすばでーになる予定だったんですよぅ……
 内面だって……発明オタクで、機械マニアで、爆発オチですよぅ……」

 無いものを嘆いていてもしょうがないと悟ったようで、ケロッと笑顔に戻ると、
 大丈夫?という言葉に、あははっと笑ってから


「充電を要求してるみたいですね。バッテリーは市販のリチウムイオン電池ですから」

全自動書籍運搬機は、司書に電源コードをコンセントに挿してもらい、充電と言う名のお食事の真っ最中である。

高菜結衣 > 図書館に数名の学生がやってくる。
一直線に結衣のもとにやってくると両脇をガッチリホールドされてしまう。
まさに、宇宙人を連行している絵面である。

「はぇ?」

遅れてやってきた眼鏡の女子生徒に「部長、依頼品が溜まってます。今日の今日こそやってもらいますよ、修理」
と言われ、問答無用で連れて行かれる

「なんか、部活忙しいみたいなんで、行ってきますよぅ、蘭ちゃんまた会いましょうね~」

連行されながら手を降って笑顔で図書室をあとにする。

眼鏡の女子生徒は、蘭に頭を下げてからその後について出て行く。

結衣の相棒は充電が終わり次第出ていくだろう
 

美澄 蘭 > 「………え」

「二度と帰ってこないほうがいいって」と実の親に言われたという結衣の言葉に、笑顔も何もかも吹っ飛ばして真顔で固まる蘭。
結衣はあっけらかんと語るが、その過程の背後にあったものを………無駄に深読みして、盛大に誤解する。

…と、そうこうしていると、やってきた数名の学生。
結衣をがっちりホールドして彼らの語る言葉を信じるならば(そして結衣の反応を見る限り)、彼らは結衣の率いる発明部の部員達らしい。
…部長より、よほどしっかりしているように見えなくもない。

「………そ、そう…頑張ってね、結衣さん…」

笑顔で連行されていく結衣の様子を、呆気にとられながら見送って。

その後、適当な文化人類学の本を見つけて貸出手続きを行うと、図書館を出て行くのだろう。

行き先は、研究区である。

ご案内:「図書館」から美澄 蘭さんが去りました。
ご案内:「図書館」に高菜結衣さんが現れました。
ご案内:「図書館」から高菜結衣さんが去りました。