2017/02/11 のログ
ご案内:「禁書庫」に和元月香さんが現れました。
■和元月香 > 初めて図書館を訪れた月香。
ふらふらと歩いていると、何やら変な場所に迷いこんでしまった。
「……うわ、これあかんやつじゃね?」
怪しげな本のオンパレード。
何やら凝った封印などがされている物もある。あかんやつやこれ。
だが転校したてな月香がそこが立ち入り禁止区域などと知る由も無く。
しかも。
「やっべ道忘れた……」
諦めきった、ハハハハハハッという乾いた笑い声が虚しく響いた。
■和元月香 > 好奇心の赴くままにふらふらと行動してしまうのは自分の悪い癖だ。
(しゃあねぇ切り替えだ!)
こんな時にオリハルコンメンタルを発揮し、額に右手を当てて、勝手に一人でキメ顔した。
「………。
何これ虚しいな」
そうぼそりと呟くと、改めて禁書庫をぐるりと眺めて、ふむ、とよく考える。
月香が図書館を訪れたのはちゃんとした理由があるのだ。
ちょっとした、調べ物。
様々な世界を巡ってきた月香はふと考えた。
(ん?待てよ。ここって色んな異世界と繋がってるんよね?
もしかしたら知ってる世界の情報があるかも…)
全ての世界に思入れがあるし、出来ればもう一度行きたい世界だってある。
そう考えて、様々な世界の情報を調べるために。
図書館を訪れたなら、こういった怪しげな場所にこそヒントがあるのかもしれない。
(…戻る方法は後で考えよう。
よし、探すか!!)
暇潰しとも言う調べものの時間はたっぷりある。
片っ端からまだ安全そうな怪しげな本を開いて、じっくりと探し始める。
■和元月香 > 「………術式よく分かんないが、これは駄目だな」
数分後、ヤバい魔道書を見つけてしまった月香は無言でそれを閉じる。
かれこれ三回目だ。
(うすうすヤバい予感はしていたけど、ここって禁書庫的な感じか)
今更である。
しかし暇だし戻れないので、すぐさま次の本へ。
……と同時に目を少し見開いた。
「……あれれ?これどっかで見た事あるぞ?」
真っ黒な表紙と背表紙、そしてページも真っ黒の本。
…果たして何処で見たのだったか?と月香は首をかしげてから、暫くうーんと考え始めた。
(何だか引っ掛かるな~…。
しかも、妙に何だか良い印象を抱けないし…。
こんな特徴的な本なら、覚えているよねぇ…)
■和元月香 > ……暫く思い悩んでいた月香は、パンッと手を鳴らした。
「うん分かんね!!保留!!」
思い切り良く掛け声を上げると、黒い本をグイッと本棚の奥に押し込む。
そのまま、次の本に手を伸ばしかけ………。
______……
「…っん?」
…何か声が聞こえたような気がして、反射的に手元の黒い本を見た。
「………うん、気のせい!!
気のせいだな!!何か怖いけど気のせいだな!!」
じわじわと恐怖が胸を巣食うも、見ないふりをするので必死だ。
(……妙に嫌な気配のする本だな)
月香は目を背けて、黙々と本を捲り続ける。
ちっとも見つからない知る世界の情報に、少しの寂しさを覚えながら。
■和元月香 > 「…やっぱり無いな…」
(ちょくちょく異世界の事は載ってるんだけどなー。
何かバイオレンス的な奴ばっかりだわ…。こっちの気が滅入るわ…)
貪るように一段を読み尽くしたものの、目ぼしい情報は無く、眉間に皺が寄る。
正直、暇潰しだからと言ってどうでもいい訳では無いのだ。
基本楽天家な月香だが、ちゃんと自分自身について向き合う時は向き合う主義。
“最初の世界”は、恐らくこの世界と全く同じだろう。
全く同じ出来事が起きている。地名などのパラレルも無い。
そしてあの人生で死んだのは、«大洪水»がそもそもの原因だから。
…どうして数多の輪廻を巡った今、この世界に戻ってきたのか。
このよく分からない異能の本質さえ、自分は把握しきれていない。
(もしかして、漸く“終わる”のかもしれないけれど。
別に終わってもいいんだけどなー。楽しかったし)
考えとは裏腹に軽い気持ちで、月香は本をじっくり読み続ける。
ご案内:「禁書庫」に和元月香さんが現れました。
■和元月香 > そのまま黙々と読み続けていたが、一向に情報は見つからず。
潮時か、と本を閉じる。
「さってと……帰るか!」
うーんと伸びをして、あっさりと本棚の傍を離れる。
そして、暫く沈黙して一言溢した。
「…………出口はどこだ…!」
……出口を探すのに必死になっていた月香は気づけなかった。
…黒い本が、何もしていないのにゴトリ、と動いた事に。
■和元月香 > 月香が「あった、確かここだ!!」と通路に分け入る最中。
黒い本は一人でに動き、地に落ちて。
……ゴトリ、パタンとページを開く。
黒いページに、つらつらと浮き出る白い走り書き。
『見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた』
物凄いスピードで、一ページをたった一単語で埋めつくす白い角張った文字は、何の変哲も無い漢字混じりの平仮名。
しかし、一人でに書かれた異様は、そのページを狂気で埋め尽くす。
___……やっと、見つけた。
「…え?」
月香は囁くような声に、茶色の髪を揺らして振り返る。
…しかし、振り返っても何も無い。
地に落ちた筈の、黒い本も。
(…やっぱり気のせいか!帰り道見つけたし帰ろう)
呑気に鼻唄を歌いながら、通路をスキップで歩く月香の肩にかけたスクールバックの
…チャックが何故か大きく開いていた。
そして。
ジー……と、ゆっくりと一人でにチャックは閉まった事に、月香は気付かない。
ご案内:「禁書庫」から和元月香さんが去りました。