2017/04/26 のログ
ご案内:「図書館」に藤巳 陽菜さんが現れました。
■藤巳 陽菜 > 爬虫類図鑑。
そう銘打たれた本を読む。
色とりどりの爬虫類がカラーの写真付きで紹介された本である。
蛇にカエルにトカゲ。生態系や体の仕組みなんかも図解付きで乗っている。
その中でも開いているのは蛇のページ。
『蛇には大きくわけて4つの進み方があります。』
蛇行運動、直伸運動、アコーディオン運動、横ばい運動。
その進み方が記されて図解と解説までついている。
そのやり方を見ながら自分の蛇体を動かしてみる。
しかし…
「えーと、蛇行するにはここをこうして…こっちはこうで…。
…上手くいかないわね。」
例え理論や理屈が分かっても身体が付いていくとは限らない。
■藤巳 陽菜 > 蛇行させる、波のように動かす。
それは分かるどのような形を作ればいいのかのイメージは分かる。
だけど、体の制御が追いつかない。
これを右にしてこれを左に、そしてこっちはまた右に…。
…身体が頭に付いて行かない。
人の頭は蛇の体を動かせるように出来てはいないのだ。
「もう、こんがらがってきた…。」
こっちを動かしたらこっちはこう?
静かな図書館にシュルシュルと蛇の体地面を擦る音がする。
■藤巳 陽菜 > でも、人の足はもっと複雑だったはずだ。
しかも、二本もあって同時に動かしていた。
「頑張れ、私。それと比べたら蛇の尻尾なんて一本。
人間様の敵じゃないわ。」
そんな風に自らを鼓舞しつつ尻尾を何とか動かす。
この蛇の身体は先に行くほど意識して動かしやすく身体に近いほど意識して動かしにくい。
そう、先の方は色々な神経が集まっているのか割と自由に動かせる。
だけど体に近いぐらいの場所は感覚も鈍くてアスファルトの上を引きずっても痛みも無いぐらいだ。
「…意識しないと、根元の辺りがおざなりになるわね。」
■藤巳 陽菜 > 「…右、左、右、左。」
うねうねと蛇体が揺れる。
リズムに合わせて波打つように蛇のように。
だが…
「前に進まないんですけど!」
地面にピタリとついた蛇の身体は波打つように動いているのに前に進める感じは全くしない。
しゅるしゅると蛇の身体が擦れる音だけが静かな図書館でいやに大きく聞こえる気がする。
■藤巳 陽菜 > …少ししてからその本で進めなかった理由に気がつく。
いくらかの悪態をついた後、いつものように松葉杖をつきながら進み
貸出カウンターまで向かう。
松葉杖をつく音と一緒に小声でリズムを取る声が聞こえる。
ご案内:「図書館」から藤巳 陽菜さんが去りました。