2017/10/19 のログ
ご案内:「図書館」に和元月香さんが現れました。
■和元月香 > 図書館の棚の間を、右往左往する人影がひとつ。
抱えているのは、積み上げた10数冊の本。
種類は魔術書、文庫本、エッセイ、旅行記、
資料類まで実に様々である。
「...これは...。前読んだな。
でも、もう1回読み直してみようかな...」
ぶつぶつ呟きながら、躊躇なく
本をまた1冊抜き取って本の山に積み上げる。
もう相当の数なのだが、彼女はまるで気づいていないかのようで。
■和元月香 > 図書館を訪れる生徒は大抵限られている。
読書好きな生徒、勉強熱心な生徒、
単に休憩室を憩いの場にしている生徒など。
なので、彼らはその光景を見ても然程驚かない。
少し久しぶりなだけで、大量の本を抱えて
本棚を行き来するとある少女の姿は見慣れたものだ。
たまにしか図書館を利用しない者や、
新参者などは思わず目を剥いて二度見していたが。
しかしながら常連者の生徒の何人かが、
ふと疑問に思う。
____あれ?あの子、エッセイとか読むんだ?
____【異邦人が著者な本】とか、【異界】についての本ばっかり読むやつだと思ってたが。
____今日は、1冊も無いんだな...?
そう。
彼女が図書館を訪れる理由。
それだけが、いつもと違っていた。
■和元月香 > 今までは、異世界について調べていた。
願わくば、かつての世界達にまた出逢えるよう。
...もとい、あの美味しかった食べ物の数々に再会するために。
それだけの理由で、月香はこの図書館にある
異界関係の蔵書は読み尽くしていた。
興味のあるものにはなんでもできる。
何十分も、何時間も、何日も。
苦痛を覚えない彼女の集中力はずば抜けているどころではない。
しかし所詮は脆い人の体。
飲まず食わずでいいわけはなく、人並みの生活を送るよう心がけている。
...普通ならば、痛みや病気の症状となって現れる体の警告。
月香はそれに気づかない。気づけない。
この前風邪を引いた時、体が重いことに気づいたのは
発病後二週間後のことだった。
(なかなか不便な体だよなぁ...)
ふとそんなことを思い当たりながらも、
月香は本を次々とタワーに積み重ねてゆく。
ご案内:「図書館」に和元月香さんが現れました。
■和元月香 > 「.....あ」
ようやく腕にかかる異様な重さに気づいたのは、
それから数分後のことだった。
頭の高さ以上に積み上がった本のタワーに
やっちまったと苦笑を浮かべて、月香は懲りずに伸ばしかけていた手を降ろす。
そのまま大人しく本棚の脇の座席に座り込むと、
どんっと音をたてて本のタワーを机に置いた。